4
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

AIにどこまで任せられる?UXWチームで工数30%削減した実践プロセス

Last updated at Posted at 2025-12-09

この記事はリンクアンドモチベーション Advent Calendar 2025の12日目の記事です。

目次

はじめに

2025年4月にエンジニアとして UX ライティング(UXW)チームにジョインしました。
UXWチームは、主にプロダクトのデリバリーやヘルプサイトの保守・運用をしています。
それらの業務に、AI(主に GPT / Devin / n8n )を取り入れた結果、業務工数を約 30% 削減することができました。

この記事では、

「個人ではAIを触っていたものの、チームとしては活用が点在し、業務改善につながっていなかったUXWチームが、どのように “AIに任せられる範囲” を見極め、協働へ進化していったのか」

その実践プロセスを紹介します。

1. “AIにどこまで任せられるか” が分からなかった

Before

  • AIに何を任せてよいか判断できず、活用イメージが持てない
  • 「AIを使うと逆に手間が増えるのでは?」という不安
  • UXW業務との接点が見えず、最初の一歩が踏み出せない

After

  • 小さなAI活用から始めたことで、AIに任せられる・任せられない作業が明確に
  • UXライターは “判断・品質担保” に集中できるように
  • まずAIに任せてみる」マインドが自然に定着

2. どの作業をAIに任せる? ── 最初の一歩は「優先度の可視化」から

AI活用の難しさは 「そもそもどこにAIを使えばよいか?」 という判断です。
そこで業務を 「コスト(負荷)」×「効果(インパクト)」 の2軸で整理しました。

01.png

このマトリクスから、右上に位置する

  • 導入コストが低い
  • 効果が高い

タスクを初手に選びました。

選ばれたのがこちら:

  1. リリースメール作成
  2. リリースノート作成

いずれも「型」があり、情報整理が中心のタスクで、 AIと特に相性が良い領域でした。

3. 小さく試してみる! ── n8n × GPT で文章作成プロセスを“部分的にAI化”

これらのタスクは、文章構造が比較的定型なため、
n8n × GPT を用いたフロー自動化が効果的でした。

処理の流れ

  1. PdM が Slack に草案を投稿
  2. n8n が情報を取得し ChatGPTに渡し、一次作成を行う
  3. UXライターがレビューし、PdMへ最終レビュー依頼

02.png

UXライターは、

  • 表現の調整
  • 読者視点での整合性チェック
  • 最終レビュー
    に集中するだけでよくなりました。

これが最初の「AIに任せられる範囲」が明確に見えた瞬間でした。

4. “より重い作業”をAIに任せられるか?── Devinの活用

リリースノート作成を任せられたことで、
AIに任せられる範囲をさらに拡張できるのでは?という問いが生まれました。

そこで次に挑戦したのが:

  • Zendeskヘルプ記事の作成・更新
  • コード変更に伴うヘルプページの影響範囲調査

いずれも手作業だと半日以上かかる作業です。
ここで登場したのが AIエージェント Devinです。

4-1. AIに任せるための基盤づくり(GitHub化)

Zendeskの記事はそのままではAIが扱いにくいため、
記事データを GitHub に整理し、構造化されたファイルとして管理しました。

こうすることで Devin は、
HTML構造・CSSクラス・更新履歴・差分 などを読み取り、

  • 何が変わるべきか
  • どこを更新すべきか

を推論しやすくなりました。

AIに任せるには、AIが読み取れる構造を用意することが重要だと学びました。

4-2. Playbook を作り、AIに渡す「仕事の期待値」を明確化

Devin に丸投げすると品質が安定しないため、
タスクの進め方を Playbook(手順書) として明文化しました。
Playbookをslackからワークフローで呼び出すことで、安定した結果を得られるようになりました。

03.png

プロンプトの内容の一部を抽象化すると:

  • 必要情報の整理方法(設計書・対象機能・読者など)
  • 既存記事の分析(構造・差分の把握)
  • HTML生成ルール(タグ、構造、画像扱いなど)
  • 更新範囲の切り分け
  • GitHub運用ルール(命名規則・PR作成など)
  • レビュー時の報告フォーマット

これにより Devin は 「何を・どこまで・どの基準で」 作ればいいか迷わなくなりました。

AIに任せるには、
“指示”ではなく“仕事の定義” を渡すことが大事という学びがありました。

4-3. 影響範囲調査もAIに任せられるように「工程を分解」

もうひとつの重い作業が コード変更に伴うヘルプページへの影響調査

これも工程書として次のようなプロセスをAIに渡しました。

  • 対象機能・関連リポジトリの把握
  • キーワード検索で候補記事を抽出
  • 関連度(高/中/低)の分類
  • 該当箇所の特定と影響内容の整理
  • 優先度別のURLリスト生成
  • 判定理由のレポート化

これにより Devin は、 人が2〜4時間かける作業を短時間で再現できるように。

5. AIに仕事を任せるための3つのポイント

Step1. 小さく始める — 最初は、工程だけAI化する
このフェーズでは、小さな成功をつくり、AIを使うと「なんだか良さそう」を生み出す

Step2. AIと人の役割を設計する — 書く/考える を分ける
ここは、AIに任せよう!
ここからは、人がやろう!と納得感を醸成する。

Step3. 成功体験を共有する — 心理的障壁が薄くなり、文化になる
AIを使わないと業務が成り立たない!を作れる。

行動変容モデルの文脈で整理すると、
このプロセスは、態度変容の代表モデル
Unfreeze → Change → Refreeze
の流れに近いと言えます。

裏側にある“態度変容の技術”の詳細はこちら
コラム 〜Tipsの裏側にある態度変容の技術〜

6. AI活用で見えてきたUXWチームの強み

  • 情報構造化能力
  • 読者視点の判断力
  • 曖昧な内容を整理する言語化能力

これらは、
AIとの協働によってむしろ強みとして拡張される
ことが分かりました。

おわりに

AI活用とは単なる技術導入ではなく、
「チームが、AIと協働できる新しい働き方を身につけていくプロセス」
だと感じました。

この記事が、
「AIにどこまで任せていいのか分からない」
「まず何から始めればいいのか迷っている」
というチームのヒントになれば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

4
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
4
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?