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PostgreSQLにおける照合順序(Collation)の違いによる問題とその実例

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こんにちは、齋藤です。
今回は自分がPostgreSQLを使用した際に直面した
照合順序を適切に設定しないと、テキストデータの比較やソートに関して、期待とは異なる結果が得られること、
多言語環境や特定の文字の取り扱いが異なる言語を扱う場合、照合順序が異なるとデータのソートや検索に影響を与え、予期しない問題が発生するなどの照合順序による問題に関して記載したいと思います。

1. 大文字・小文字の違いによる検索結果の問題

照合順序によって、文字列の大文字と小文字の扱いが変わります。
たとえば、ある言語では大文字と小文字を区別せずに扱う照合順序が設定されている場合でも、別の言語では区別されることがあります。

実例: 大文字・小文字を区別する/しない検索

CREATE TABLE users (
    username TEXT COLLATE "C"
);

INSERT INTO users (username) VALUES ('Alice'), ('alice'), ('Bob'), ('bob');

-- 大文字小文字を区別するC照合順序を使ったクエリ
SELECT * FROM users WHERE username = 'alice'; 

このクエリでは、C照合順序は大文字と小文字を厳密に区別するため、結果として'alice'のみが返されます。
しかし、en_US.UTF-8のような照合順序を使うと、照合順序が大文字・小文字を区別しない場合があり、'Alice'も一緒に返される可能性があります。

-- 大文字小文字を区別しないen_US.UTF-8照合順序を使ったクエリ
SELECT * FROM users WHERE username = 'alice' COLLATE "en_US.UTF-8";

この場合、'Alice''alice'の両方が結果として返される可能性があります。このように、照合順序によってクエリ結果が異なることがあり、正確な照合順序を指定しないと期待通りの結果を得られない場合があります。

2. 並び順の違いによる問題

言語ごとにアルファベットや特殊文字の並び順が異なるため、照合順序が適切でない場合、ソート結果が意図しないものになることがあります。特に、言語固有の文字(アクセント記号付きの文字など)が多い場合、この問題が表れます。

実例: アクセント付き文字のソート順

フランス語では、éèのようなアクセント付きの文字がよく使われますが、C照合順序やPOSIX照合順序ではアクセントを無視して文字列をASCII順にソートするため、ソート結果が不自然になることがあります。

CREATE TABLE words (
    word TEXT COLLATE "C"
);

INSERT INTO words (word) VALUES ('eclair', 'éclair', 'elevé', 'éléphant');

-- C照合順序でのソート
SELECT word FROM words ORDER BY word;

C照合順序では、アクセント付きの文字は無視され、'eclair''éclair'が同じ順序で扱われるため、次のようなソート結果が得られる可能性があります:

eclair
éclair
elevé
éléphant

一方、フランス語特有の照合順序(fr_FR.UTF-8)を使用すると、アクセントが考慮され、自然なソート結果になります。

-- フランス語の照合順序を使ったソート
SELECT word FROM words ORDER BY word COLLATE "fr_FR.UTF-8";
eclair
elevé
éclair
éléphant

このように、照合順序が異なるとソート結果が大きく変わるため、言語に応じて正しい照合順序を使用することが重要です。

3. 特殊文字の扱いによる問題

照合順序によっては、特殊文字(記号やアクセント付き文字)の扱いが異なるため、データの検索や一致判定に予期しない結果が生じることがあります。
特に、Unicodeベースの文字列操作が必要な場合には注意が必要です。

実例: スペイン語におけるñの扱い

スペイン語には「ñ」という文字があり、これを「n」と区別する必要があります。標準のC照合順序や英語の照合順序では、「ñ」と「n」は同一視される場合がありますが、スペイン語の照合順序では別の文字として扱われます。

CREATE TABLE spanish_words (
    word TEXT COLLATE "C"
);

INSERT INTO spanish_words (word) VALUES ('nino', 'niño');

-- C照合順序での比較
SELECT * FROM spanish_words WHERE word = 'nino';

この場合、C照合順序では「nino」と「niño」が同一視される可能性があり、両方がクエリ結果に含まれる可能性があります。しかし、スペイン語の照合順序(es_ES.UTF-8)では、「n」と「ñ」は明確に区別されるため、正しい結果が得られます。

-- スペイン語照合順序での比較
SELECT * FROM spanish_words WHERE word = 'nino' COLLATE "es_ES.UTF-8";

このクエリでは、'nino'だけが正しく返されます。

4. インデックスの問題

照合順序によってインデックスの作成方法も異なります。異なる照合順序を使ってクエリを実行すると、既存のインデックスが活用されず、パフォーマンスが低下することがあります。

実例: インデックスが使用されないケース

例えば、en_US.UTF-8でインデックスを作成している場合に、ja_JP.UTF-8の照合順序でクエリを実行すると、インデックスが無視されてフルテーブルスキャンが行われ、パフォーマンスに影響を与えることがあります。

-- en_US.UTF-8でインデックス作成
CREATE INDEX idx_users_name ON users (name COLLATE "en_US.UTF-8");

-- ja_JP.UTF-8でのクエリ実行
SELECT * FROM users WHERE name = 'Alice' COLLATE "ja_JP.UTF-8";

このクエリでは、インデックスがen_US.UTF-8に基づいて作成されているため、ja_JP.UTF-8を使ったクエリではインデックスが適用されず、クエリの速度が低下します。照合順序を混在させる場合には、インデックスの作成にも十分注意が必要です。

まとめ

照合順序が異なると、データベースのクエリ結果やパフォーマンスに予期しない影響を与えることがあります。大文字・小文字の区別、特殊文字の扱い、アクセント付き文字のソート順序など、多言語環境でのテキスト処理には、照合順序が重要です。

PostgreSQLでは、クエリやインデックス、テーブル作成時に照合順序を正しく設定することで、これらの問題を回避できます。データベースの設計段階から、対象となる言語や文字セットに適した照合順序を選び、適切に選択することが重要です。

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