この記事は、Voicy Advent Calendar 2025 23日目の投稿です。
22日目の記事、のんちゃんの「『技術力がない』と悩む私を変えた、初めてのLT登壇」は以下よりご確認いただけます!是非!
こんにちは、Voicy で SRE をやってる Kaoru です。12月も後半戦ですが、いかがお過ごしでしょうか。
昨日は、のんちゃんの「『技術力がない』と悩む私を変えた、初めてのLT登壇」でしたが、今日は打って変わって、ペンギンの話です。
なぜ、ペンギンかというと、単純にペンギン好きだからです。
仕掛ける DeepSeek?
12月初旬に突如として浮上したこの噂、ただのリークだと思っていましたが、Google の Gemini 3 や OpenAI のGPT-5.2 が思考性能で競う中、DeepSeek は全く別の角度――「推論予算(Inference Budget)」の最適化――でゲームチェンジを仕掛けてきているようです。
🐧 DeepSeek「Penguin」ファミリーとは?
まず、リークされた情報を確認していきたいと思います。DeepSeek が内部で開発しているとされる新モデルマトリックスのコードネームが「Penguin」です。まぁこれは、🐧ペンギン🐧ですよね。
その最大の特徴は、よく言われるモデルのサイズ(パラメータ数)ではなく、「推論予算(Inference Budget)」という単位で階層化されている点です。これはOpenAIの o1/o3 シリーズで一般的になった「Thinking(思考)プロセス」の計算量を指していると考えられています。
| コードネーム | 推論予算 | 想定用途 | 競合ターゲット |
|---|---|---|---|
| Emperor512 | 512 unit | フラッグシップ / 複雑な推論 | GPT-5.2 / Gemini 3 |
| Rockhopper64 | 64 unit | バランス型 / 一般的なタスク | GPT-4o Class |
| Macaroni16 | 16 unit | 軽量 / エッジ・ローカル | Llama 4 8B等 |
| Mumble0 | 0 unit | ゼロ推論 / 即時応答 | 従来のSystem 1モデル |
ペンギンの種名がそのままスペックを表しているのが面白いですね。特に注目すべきは Emperor512 と Mumble0 の両極端な存在です。
Emperor512
リーク情報で最も衝撃的だったのは、フラッグシップである Emperor512 のスペックです。
推論予算512単位を備え、GPT-5.2に対抗することを目指している。推論遅延は 80ms以下に設定
これ、エンジニアなら厳しい戦いだと思うかもしれません。
「推論予算512」の意味
2024年末に流行した o1 のような Reasoning モデルは、回答を出す前に「思考の連鎖(CoT)」を生成するため、数秒〜数十秒の待ち時間(Latency)が発生する事が当たり前でした。「推論予算512」というのは、この思考ステップの深さ、あるいは内部的な検証回数を指していると思われます。
通常、これだけの思考を持たせれば遅延は数秒オーダーになるはずです。しかし、DeepSeekはこれを 80ms以下に抑えるとしています。これは人間が「即答」と感じるレベルです。
どうやって実現しているのか?
DeepSeekといえば MoE(Mixture of Experts)と MLA(Multi-Head Latent Attention)による圧倒的な効率化が得意技ですので、おそらく以下のような技術が投入されると推測できます。
-
Thinkingトークンの並列化・投機的実行
思考プロセス自体を並列で走らせ、不要な枝刈りを高速に行う「投機的思考(Speculative Reasoning)」が実装されている可能性がある -
超疎結合MoE (Hyper-Sparse MoE)
DeepSeek-V3 でも見られた「アクティブパラメータの極小化」をさらに推し進め、512単位の思考を行っても、実効計算量が GPT-4 クラスの1回分に収まるように設計されているのかもしれない
Mumble0
逆に個人的に面白いのが Mumble0(マンブル0)です。「Mumble」は映画『ハッピー フィート』の主人公の名前でもありますが、英語で「もごもご言う」という意味もあります。
「推論予算ゼロ」ということは、いわゆる System 2(じっくり思考)を完全に排除した、従来の System 1(直感・反射)特化モデルです。
最近のAIは「賢くするために遅くなる」傾向にありましたが、Mumble0は「思考停止してでも爆速で返す」ことに特化しているようです。チャットボットの相槌や、リアルタイムの音声対話、あるいは Emperor512 が思考する間の「つなぎ」として機能する設計なのかもしれません。
クラウドからエッジまで:「ペンギン」が示唆する未来
DeepSeek がこのラインナップで何を狙っているのか?
それは推論コストを崩すことです。
- Emperor512: クラウド上の重厚長大なタスク(科学計算、複雑なコーディング)
- Rockhopper64: 日常的なアシスタント業務
- Macaroni16: スマホやPC上のローカルLLM
特に Macaroni16 あたりの軽量モデルが、DeepSeek の技術(蒸留技術など)で GPT-4 クラスの性能を持てば、ローカルLLM界隈は再びお祭り騒ぎになるのではないでしょうか。
まとめ
DeepSeekの「Penguin」ファミリーは、単に性能が良いだけでなく、「思考(Reasoning)もコモディティ化する」というメッセージを感じます。GPT-5.2 や Gemini 3 が「どれだけ賢くなれるか」という天井を押し上げている間に、DeepSeek は「その賢さを、どれだけ安く、速く、どこでも使えるか」という底上げを、ペンギンの群れのように一気に行おうとしているようです。
正式発表はまだですが、もし Emperor512 が本当に 80msで動作するなら、アプリケーションアーキテクチャ(RAGやAgent設計)も2026年に向けて見直しが必要になるかもしれませんね。
明日は、なぎちゃんの「普段の業務でのAI使用方法」です。お楽しみに!
(※この記事は2025年12月時点のリーク情報に基づく妄想であり、DeepSeek公式の発表ではありません)
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