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ペンギン・ブックス

Last updated at Posted at 2025-12-16

イギリス老舗出版社のペンギン・ブックス

イギリスに1935年創業の Penguin Books という出版社があります。

ロゴ

ペンギン・ブックスなので、ロゴはもちろんペンギンです。

21歳の製作編集者エドワード・ヤング(Edward Young)が、ロンドン動物園でペンギンを観察・スケッチし、その成果がペンギン・ブックスの象徴となりました。このロゴは歴史的には数度改良されており、2003年にペンタグラム(Pentagram)のアンガス・ハイランド(Angus Hyland)によって現代的にリデザインされているそうです。ペンギン・ブックスは現在、ペンギン・ランダム・ハウス傘下の世界的な出版社となっており、親しみやすいペンギンロゴは、高品質で手頃な価格の本を象徴しているとのこと。

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創業

ペンギン・ブックスは、1935年にイギリスの出版人アレン・レーン(Allen Lane)と彼の兄弟リチャード、ジョンによって設立されました。創業のきっかけは、1934年にアガサ・クリスティのデボン邸から帰る途中のエクセター駅で、読む価値のある本が何も見つからなかったというレーンの経験にさかのぼるそうです。この経験がきっかけで、レーンは高品質でありながら手頃な価格の本を大衆向けに出版するというビジョンを構想したとのこと。​

彼は「タバコ1箱を買うのと同じくらい簡単に本を買える」ようにすることを目指し、1935年7月に最初の12冊のペンギンペーパーバックを発売しました。各本は6ペンス(タバコの箱と同じ価格)で販売されました。

ペーパーバック革命

ペンギン・ブックスの成功は、出版業界に革命をもたらしました。それまで書籍は高級品であり、主に中産階級向けの堅苦しい書店で販売されていました。しかしペンギン・ブックスは、駅の売店、タバコ販売店、ウールワース(100均ぽいお店)などの非伝統的な小売店を通じて長期印刷されたペーパーバックを販売し、これを「ペーパーバック革命」と呼ばれる変革へと導きました。​

この革命は出版業界を根本的に変え、古典作品だけでなく大衆向けの小説も広く提供されるようになりました。

ビジネス戦略と成功要因

ペンギン・ブックスが成功した背景には、3つの主要な要因がありました

  1. 徹底したコスト管理​
    レーン兄弟は印刷、配送、材料費などの厳格なコスト管理を行い、高品質を保ちながら低価格を実現することに成功しました。モダンな印刷技術を採用し、大量販売による利益に焦点を当てました。​

  2. 強力なブランドとデザイン​
    明確で一貫性のあるカラーコーディング、シンプルで認識しやすいペンギンロゴが、ブランド・エクイティを構築しました。1946年にはドイツの著名な活字家ヤン・チヒョルト(Jan Tschichold)が設計責任者に就任し、すべてのペンギン本に、統一された厳密なデザインテンプレートを導入しました。これにより、高品質の出版デザインが大衆向けに提供されました。​

  3. 革新への勇気​
    当初、既存の出版業者たちはペンギン・ブックスを一時的な流行として軽視していました。しかしレーン兄弟は批判を受けながらも、質の高いタイトルを追加し続け、読者への献身を貫きました。

現代への発展

ペンギン・ブックスは、時代の変化に対応し続けています

1996年: パットナム・バークレーと合併し、ペンギン・パットナムとなりました​
2000年代: ペンギン・グループ(USA)としての展開を続けました​
2013年: ランダム・ハウスと大規模な統合をしました。デジタル時代の圧力(特にAmazon.comと電子書籍の出現)に対応するため、ペンギン・ランダム・ハウスを形成し、スケールと強力なブランド力を活用して、出版業界の変化に適応していました。​

今日のペンギン・ランダム・ハウスは、年間15,000の新しいタイトルを発行し、年間8億冊以上を販売する世界有数の出版社となっています。

ITとの関わり

一応IT系の記事ということでいうと、ペンギン・ブックスではIT系の本も出しています。
日本でも知られている、「NEXUS 情報の人類史」もペンギン・ブックスから出版されています。

まとめ

ランダム・ハウスといえば、日本でも英和辞典とかで有名ですね。ペンギン・ブックス自体が日本で馴染みがあるといえば、そうでもありませんが、今後はペンギン・ブックスを頭の片隅にでも置いといて貰えればと思います。

参照

  1. https://en.wikipedia.org/wiki/Tux_(mascot)
  2. http://www.omgubuntu.co.uk/2016/10/alternative-tux-logo
  3. https://itsfoss.com/new-linux-mascot-fun/
  4. https://cyberpanel.net/blog/linux-penguin
  5. https://www.reddit.com/r/linuxmasterrace/comments/11684jk/pick_one_and_fight_to_death_over_it_because_the/
  6. https://www.reddit.com/r/linux/comments/uuh7xj/am_i_the_only_one_who_finds_linuxorgs_logo_more/
  7. https://www.linuxfoundation.org/blog/open-source-symbolism-exploring-the-stories-behind-linux-foundation-project-mascots-and-logos
  8. https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_computing_mascots
  9. https://allenlane.org.uk/about/historical/
  10. https://www.bps.org.uk/psychologist/behind-scenes-paperback-revolution
  11. https://d3.harvard.edu/platform-digit/submission/penguin-random-house/
  12. https://en.wikipedia.org/wiki/Allen_Lane
  13. https://sites.utexas.edu/ransomcentermagazine/2012/08/09/penguin-paperbacks/
  14. https://zodakreza.wordpress.com/2020/12/27/the-remarkable-origin-story-of-penguin/
  15. https://www.penguin.com/our-story-timeline/
  16. https://penguinseriesdesign.com/2024/04/20/some-origins-of-the-paperback/
  17. https://www.penguin.co.nz/books/driving-growth-through-innovation-9781576754955
  18. https://designmuseum.org/penguin-books
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