この記事が語ること
Di-Liteとそれを構成する資格について解説。
各資格を取得する意義について論じる。
また、AI時代のデジタルリテラシー基準について触れる。
0.本記事の対象読者
本記事は、以下の3つの資格に興味がある読者を対象とします。
- ITパスポート
- DS検定(リテラシーレベル)
- G検定
特に以下の読者を想定します。
- 新人・若手(1〜3年目)
- 非エンジニア/エンジニア
- 新人・トレーニーに資格を取らせたい中堅層
1.Di-Liteって何?
Di-Liteは、
経産省がオブザーバー参加する官民連携の取り組みで定義された、「最低限のデジタルリテラシー標準」
を指します。
現場で「Di-Lite」という単語が出ることはほぼありません。
IT/データ/AIの境界を整理する“裏側の地図”として用いられることになります。
カバーする領域と、対応する資格は以下の3つ。
- IT・ソフトウェア領域 → ITパスポート
- 数理・データサイエンス領域 → DS検定(リテラシーレベル)
- AI・ディープラーニング領域 → G検定
従来はIT・データ・AIが別々の領域として語られることが多かったのですが、Di-Liteは、それらを現代人に必要な一つのデジタルリテラシーとして整理している点に特徴があります。
2.取得して得があるのか?
結論、ITパス/DS検定/G検定の3資格は、AI時代において "概念理解の証明" として価値が上がっていると考えられます。
これらの資格で“実務ができることを示せる”わけではありません。
ですが、AI時代は実装コストが下がり、概念理解の重要性が相対的に上がっているという背景があります。
もちろん実務スキルは別途必要ですが、概念が揃っていないとAIを使う前提が成立しません。
- AI時代は概念理解の重要性が上がった
- 中堅が新人に説明しやすい"共通言語"になる
- 国家系フレーム(経産省オブザーバー)に沿った基礎証明
- 学習コストが低くコスパが良い
つまり、実務スキルの代替ではなく、"AI時代の最低限の思考パーツを揃えるためのセット" となっています。
これは、エンジニア/非エンジニアにかかわらず、基礎となるものです。
3.Di-LiteがAI時代に有効な理由
AI(コーディングアシスタント)前提の時代では、新人育成の評価軸が大きく変わります。
実装コストが相対的に下がった
AIがコードを書く時代では、「文法を覚えている」「手で書ける」だけでは大きな差別化にはなりません。
実装するという領域においては、AIにますます侵食されていくでしょう。
概念理解の価値が相対的に上がった
AIに正しい指示を出すには、概念を理解していないとプロンプトが成立しません。
- 何ができるか/できないか
- 何をさせると危険か
- どこを人間が判断すべきか
これらはIT/データ/AIの概念理解が前提となります。
誤解してはいけないのは、"実装力が不要になる"わけではないことです。
ただ、"身につけるべきものの優先順位"が変わっただけなのです。
4.新人向けDi-Lite資格チャート
- 非エンジニア:ITパス → DS検定 → G検定
- エンジニア:FE → DS検定 → G検定
原則的にはこの順番を推奨したいと思います。
非エンジニアは「概念」だけでまずは十分
AIで補完できる範囲が広がっているため、概念を揃えるのが合理的であり、必須の素養となってきています。
DS検定はビジネスや統計基礎といった範囲からも出題されるため、非エンジニアであっても比較的とっつきやすいかと思います。
エンジニアは「IT基礎の深さ」が必要
FEやAPは依然として価値があります。
本職のエンジニアはITパスポートを取って満足している場合じゃないので、最低限FEを目指してください。
エンジニアにおいてはDS検定とG検定の取得は順不同だと感じます。
AI開発の知見がある程度あるなら、G検定から狙うのもアリです。
AI時代の新人育成は「概念と理由」
AI時代のリテラシーには、従来のIT基礎に加え、「なぜ、何を、どう作るべきか」「どこがAIの領域なのか」を理解する力がまず必要です。
新人やトレーニーに現代的なリテラシーを身に着けさせたい中堅にとっても、Di-Liteは一定の道標になるでしょう。
5.制度上の注意点
直接問い合わせたところ、Di-Lite認定バッジはITパスポートのみ対象となっており、上位に位置するFEやAPを持っていても対象にならないとのこと。
どうしてもバッジが欲しいエンジニアはITパスも取得すればよいでしょう。
6.試験/教本レビュー
ITパスポート/(未評価)
筆者は未取得のため詳細なレビューは避けますが、一般的にはこれらの資格の中で最も初学者向けと考えられます。
学生時代に取得した方もいるでしょう。
自分に合った教本があれば十分です。
ただし、出題される各分野を網羅する必要がある点だけ留意してください。
分野別に足切りとなる点数が定められているためです。
DS検定(リテラシー)/公式リファレンスブック
DS検定は、社会人経験が数年ある人にとっては、難易度は中程度と言えるかと思います。
社会人なら常識というレベルから、重箱の隅をつつくようなデータサイエンス領域での数式に関する問題など、出題領域が幅広いのが特徴的です。
また、合格水準となる得点が8割前後と言われており、これは比較的高いと言えます。
こちらの教本ですが、正直、実務者視点では質は高くありません。
以下は筆者の感想ですが、
- 説明粒度が不統一
- 用語の掘り下げが浅い
- 模擬問題の作りが粗い
という感じです。
他の対策本や講座も検討してみてください。
後述のG検定のテキストとも一部内容が重なる部分があり、その意味でも必要度は高くはありません。
筆者の感覚としては、別途模擬問題を解きまくって、引っかかった個所だけ深堀りするのが効率的でした。
G検定/公式テキスト
G検定の試験の規定では、PCなどを自由に使えます。
つまり調べ放題なんですよね。
もっとも、検索だけしていては時間が足りないため、基礎知識は前提として必要です。
厳しい制限時間のなかで問題数をさばく技量が問われます。
3つの試験の中で最も狭く深い領域の理解が必要になるでしょう。
こちらの教本ですが、理解難度は高いですが、価値も高いです。
- 実務経験がないと理解が難しい箇所がある
- まずはざっくり読むのがオススメ
- AIの概念整理としては必読レベル
前述の既定のため、試験においては教本の内容を必要以上に深く理解しなくともよいとも言えます。
ただし、リテラシーという意味では読み込んでほしい一冊です。
7.まとめ
- Di-Liteは、ITパス/DS検定/G検定の3領域から成る
- AI時代の新人育成において、Di-Liteはわかりやすい道標である
- これらの資格は「概念整理の手段」として使うのが合理的であり、取得することに一定の価値がある
Di-Liteという枠組みにこだわる必要はありません。
ですが、資格取得に迷ったらこんな選択肢もあるということは覚えておいて損はないでしょう。