こんなこと、ありませんか?
macOS の Finder で space キーを押すと立ち上がる Quick Look。便利なんですが、開発者として日々使っていると、.md を開いても真っ黒なプレーンテキスト、ソースコードに色がつかない、.tsv はソートも横スクロールもできない、.sqlite を見るために毎回 DB Browser を立ち上げる、.ipa や .pkg は何も出ない、Markdown を編集するたびにプレビューを閉じて開き直す、巨大ログを開いた瞬間にフリーズする、といった場面に何度もぶつかります。
「Quick Look がもう一歩進化してくれれば、エディタを開く回数が半分になるのに」とずっと思っていて、それで作ったのが Looq という macOS 用の Quick Look 拡張アプリです。
この記事では、Looq の特徴を「他にはあまりない部分」を中心に紹介します。
Looq でできること、一言で
Finder で space キーを押すだけで、Markdown もコードも SQLite も
.ipaも、きれいに見られるようになります。
新しいアプリを起動して使うのではなく、macOS 標準の Quick Look がそのままパワーアップする感覚です。慣れ親しんだ space キーの操作はそのまま、画面の中身だけが豊かになります。
他の Quick Look アプリと違うところ
Quick Look 拡張アプリは Looq の他にも何種類かあります。その中で、Looq が特に時間をかけて作り込んだのは次の 4 つの体験です。
1. ライブレンダリング: 編集中の Markdown が、リアルタイムで更新される
普通の「Quick Look + エディタ」は、プレビューして閉じて、編集して保存して、また space で開いて、というループになりがちです。Looq は開いたままにできて、ファイルを保存するとプレビューが自動で最新になります。
ポイントは 変更されたブロックだけ再描画する こと。Mermaid 図が 30 個ある Markdown で 1 個だけ書き換えても、再描画されるのはその 1 個だけで、残りはキャッシュから即座に復元されます。コードブロックも同じ仕組みで、ちらつきがほぼ完全になくなります。VS Code を片側に、Looq を片側に置けば、Finder のファイルでそのまま split-preview ができます。
2. スクロール位置を覚えている
500 行の仕様書や 1 万行のソースを Quick Look で開いて、ちょっと別のことをして、もう一度 space で開いたら必ずファイル先頭に戻されている。これが地味につらいので、Looq は前回見ていた位置を覚えていて、次回開いたときに同じ場所から表示します。挙動は 3 段階から選べます。
| モード | 動作 |
|---|---|
| Off | 復元しない |
| Session | アプリ起動中だけ覚える (デフォルト) |
| Persistent | アプリを再起動しても覚えている |
3. 巨大ファイルでもフリーズしない
Quick Look の他の拡張機能でよく困るのが、大きなファイルを開くと全部メモリにロードしてからレンダリングするので開いた瞬間に固まる、という現象です。Looq は形式ごとに別々の戦略で大規模ファイルを扱っています。
| 形式 | 戦略 |
|---|---|
| ソースコード | 画面に映る分しか描画しない仮想化レンダリング |
| CSV / TSV | ストリーミング読み込み、ページ単位で表示 |
| SQLite | ページネーション付きの読み取り |
| アーカイブ (TAR.GZ) | ストリーミング解凍、全体をメモリに展開しない |
| Diff / Patch | 1MB で警告付き打ち切り |
「ファイルサイズが心配だから Quick Look ではなく専用ツールを開く」という判断がほぼ要らなくなります。
4. 他のアプリでは見られないもの: SQLite, Diff, バイナリのメタデータ
ここが Looq の隠れた一押しです。Quick Look ではほぼ誰も対応していない領域を、専用ツール並みの体験で見られます。
.sqlite .db .sqlite3 を space で開くと、タブでテーブルを切り替えられるマルチテーブルブラウザが立ち上がり、列ヘッダクリックで並べ替え、500 行 / ページでめくっていけます。書き込みは絶対できない読み取り専用モードで開くので、安心して触れます。.diff .patch を開くと、生テキストではなく増行が緑、削行が赤の背景で、行番号も旧 / 新の 2 列で表示される GitHub 風のビューになります。
そして個人的にいちばん気に入っているのが、macOS が標準で何も見せてくれない開発者向けバイナリの中身が見られる機能です。.app を space で押すだけで、Info.plist、コード署名と Notarization、Entitlements、埋め込み Provisioning Profile、Mach-O アーキテクチャまで一画面で確認できます。同じように .ipa .pkg .dmg .iso .mobileprovision .mobileconfig .torrent もそれぞれフォーマットを解析して表示します。
「Notarization 通ってる ?」「Entitlements 何入ってる ?」を確認するためにアプリ本体を解凍してターミナルで codesign を叩く、という作業が space キー 1 回で終わります。署名や Notarization の検証も完全にオフラインで実行されるので、機内モードでもネット遅延もありません。
サポートしているファイル形式
Markdown は .md をはじめ十数種類の変種に対応しています。ソースコードは 200+ 種類の拡張子マッピングを揃えていて、Swift、TypeScript、Python、Go、Rust、Java、Kotlin、Ruby、PHP、C/C++ など主要な言語はすべて含まれています。アーカイブ (.zip .tar.gz .tar.bz2) とフォルダそのものも開けます。
開発者向けバイナリのメタデータプレビューは .app、.ipa、.pkg、.dmg、.iso、.torrent、.mobileprovision、.provisionprofile、.mobileconfig に対応しています。
Markdown が、本気の Markdown
Markdown は GFM (テーブル、タスクリスト、取り消し線、自動リンク)、GitHub Alerts、KaTeX、Mermaid を一通りサポートしています。Mermaid はネイティブ実装と Web レンダラの二段構えで、定番のダイアグラムに加えて比較的新しい XY chart も高速に描画できます。
長い文書では自動生成された目次サイドバーが見出しを追従ハイライトし、リモート画像は自動でキャッシュされます。タイポグラフィもフォント・文字サイズ・行間・段落間・画像の最大幅まで細かく設定でき、ライトモードとダークモードで別のテーマを選べます。
ソースコードは VS Code と変わらない見え方
Quick Look の中で開くソースコードは、見え方も操作感も VS Code とほとんど変わりません。シンタックスハイライト、行番号、コードフォールディング、Sticky Scroll での外側スコープ固定まで、エディタで見ているのと同じ感覚で読めます。
テーマは好みのものを自由に選べます。VS Code / Shiki の定番テーマが 30 種類以上内蔵されていて (VS Code Light/Dark、GitHub、Dracula、Nord、Monokai、One Dark Pro、One Light、Tokyo Night、Vitesse、Minimal、Solarized、Catppuccin、Ayu、Everforest、Kanagawa、Material、Night Owl、Rosé Pine など)、ライトモードとダークモードで別々のテーマを設定することもできます。
フォルダ閲覧も Finder 級に
space キーでフォルダを選んでも Looq が起動して、ツリービューと アイコンビュー で中身を見渡せます。Finder と同じグルーピングや列のドラッグ並び替えに対応し、サムネイルは Looq 自前のキャッシュで生成・永続化されるので、二度目以降の表示は瞬間的です。右クリックの "Looq Here" で、選んだサブフォルダにそのまま潜って続けて Quick Look できます。
多言語対応 (日本語フル対応)
Looq 1.4.0 で英語・日本語・ドイツ語・フランス語・韓国語の 5 言語に完全国際化しました。設定 UI だけでなく、Quick Look 拡張内部の HTML に埋め込まれた文字列、メタデータビューのフィールドラベル、複数形 (「残り 1 日」と「残り N 日」の出し分け) まで、細部まできっちりローカライズされています。
プライバシーと、ファイルを壊さない安心感
プライバシー第一の設計です。Quick Look で開いたファイルの中身も、ファイル名も、パスも、私たちのサーバーには一切送りません。署名や Notarization の検証もすべて端末内で完結し、Markdown 内のリモート画像を取得するとき以外、プレビューのためにネットへ問い合わせるタイミングはありません (画像も一度取得すればキャッシュされます)。製品改善のためにごく匿名な利用統計だけは取得していますが、これも設定からワンクリックでオフにできます。
SQLite はファイルを書き換えられない読み取り専用モードで開くので、間違ってデータベースを壊す心配はありません。アプリ自体は Hardened Runtime を有効化した上で Apple に Notarize されており、macOS 26 Tahoe ではネイティブの Liquid Glass デザインで動きます。
システム要件と価格
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応 OS | macOS 14 Sonoma 以上 (macOS 26 Tahoe で完全な Liquid Glass 体験) |
| アーキテクチャ | Intel / Apple Silicon (Universal Binary) |
| 価格 | 買い切り (サブスクリプションなし) + 無料トライアル |
| 配布 | parcse.com 公式サイト直販 (Mac App Store 版は近日上架予定) |
直販版には、QuickLook 拡張の登録状態を点検・自動修復する Looq Diagnostics ツールも入っています。Typora、iA Writer、Xojo、SenPlayer といった他の QuickLook 拡張と競合した場合に「どの拡張子がどこに取られているか」を可視化し、ワンクリックで Quick Look キャッシュをリセットできます。
私たちが作っている他の macOS アプリ
Looq と同じ作り手で、もう 2 本 macOS アプリを公開しています。
- Mux (parcse.com/mux)。優先順位に基づいた自動ネットワーク切替アプリ。複数の Wi-Fi / Ethernet / USB Tethering サービスを「優先順位」で並べておくと、使えるものを自動で選んでくれます。
- Ajar (parcse.com/ajar)。ごく最近リリースした最新作。MacBook の蓋 (lid) の開閉角度で、画面の明るさ・キーボードのバックライト・スピーカーの音量を一気にコントロールできる「Lid Sync」と、AI CLI / 起動中アプリ / Wi-Fi / 電源などの条件でスリープを賢く抑制する「Awake」を組み合わせた、手放しコントロール系のユーティリティです。
どちらも Looq と同じく、買い切り価格 + 無料トライアル、ファイルや個人情報を送らないプライバシー第一の設計、Hardened Runtime + Apple Notarize の構成で配布しています。
Qiita 読者特典: 30% OFF
この記事を読んでくださっている方向けに、Looq だけでなく Mux、Ajar にも使える特別なプロモコードを用意しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プロモコード | PARCSEXQIITA30 |
| 割引 | 30% OFF |
| 対象 | Looq / Mux / Ajar すべて |
| 有効期限 | 2026-07-19 (PT) まで |
parcse.com のチェックアウト画面で上記コードを入力してください。Qiita 上で記事に LGTM やストックいただいた方への、ささやかなお礼です。
ダウンロード
- 公式: https://parcse.com/download (無料トライアル付き)
- FAQ: https://parcse.com/faq/looq
トライアルで全機能を試せますので、まず触ってみていただけると嬉しいです。バグ報告や機能要望は Help メニューの Send Feedback から送れます (アプリのバージョン、macOS バージョン、チップ情報が自動添付されます)。
おわりに
Looq は「macOS の Quick Look が、最初からこのくらいできていたらよかったのに」と思った機能をひとつずつ実装していった結果のアプリです。新しいアプリを覚える必要はなく、いつもの space キーがそのまま強くなる、というのが個人的にいちばんの推しポイントです。Finder の中だけで完結する作業がぐっと増えました。ぜひ試してみてください。
