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AIモデル

近年、人工知能(AI)や機械学習(ML)の進化に伴い、AIモデルを「作る」だけでなく「ロードし、運用する」ことが重要なテーマとなっている。
特に、大量データを扱う現代のシステムにおいては、モデルロードや最適化がパフォーマンス向上・コスト削減・スケーラビリティに直結する。

ロードする
ファイルとして保存された学習済みモデルを、プログラムが実際に推論できる状態として読み込むこと

AIモデルとは、データからパターンを学習し、予測や判断を行う計算モデルである。
一般に、以下の流れで構成される。

入力 → モデル → 出力

モデル
学習後の計算式または計算方法。人間が経験から学習するプロセスを、コンピューター上で再現したもの。

具体例

音声を文字に変換する音声認識AIでは、

  • 入力:音声データ

  • モデル:音声の統計的パターンを学習したモデル

  • 出力:テキスト

という流れで処理が行われる。

入力・モデル・出力の役割

入力

AIに与えるデータであり、学習の材料となる。

  • 視覚:画像データ

  • 聴覚:音声データ

  • 触覚:センサーデータ

例として売上予測AIでは、「天気・気温・曜日」などが入力となる。

モデル

入力データから規則性や関係性を学習する部分である。
多くのパターンを学習させるほど、予測精度は向上しやすい。

出力

モデルが判断した結果を外部へ返す工程である。
出力の誤差を減らすため、入力→モデル→出力のサイクルを何度も繰り返す。

AIモデルの重要性

AIモデルが重要な理由は、人間では困難な分析・予測を可能にする点にある。

例えば、ユーザーの購買行動予測では、来店回数・時間帯・季節・性別といった多数の要素を同時に考慮する必要がある。これを人力で処理するのは非現実的だが、AIモデルを使えば効率的に分析できる。

モデルとアルゴリズムの違い

混同されがちだが、両者は異なる概念である。

  • アルゴリズム:計算の手順・ルール

  • モデル:アルゴリズムがデータによって学習された結果

アルゴリズムがデータでトレーニングされることで、AIモデルが作られると理解すると分かりやすい。

AIモデルの主な種類

教師あり学習

正解ラベル付きデータを用いて学習する手法である。

回帰モデル

連続値を予測するモデル。

  • 売上予測

  • 株価予測

  • 気象予測

代表例:線形回帰、多項式回帰

分類モデル

データをカテゴリに振り分けるモデル。

  • 画像診断

  • スパムメール判定

  • 異常検知

2値分類、多値分類に分かれる。

教師なし学習

正解ラベルを与えず、データの構造を学習する手法である。

クラスタリング

データの類似度に基づいてグループ化する。

  • 顧客セグメンテーション

  • レコメンドシステム

主成分分析(PCA)

高次元データを低次元に圧縮する手法。

  • 計算効率の向上

  • 過学習の抑制

強化学習

試行錯誤を通じて最適な行動を学習する手法である。

  • 囲碁・将棋AI

  • 自動運転

  • ロボット制御

教師あり学習・教師なし学習・強化学習については以下も参照。

ディープラーニング(深層学習)

多層のニューラルネットワークを用いる高度なモデルである。

  • 画像認識

  • 自然言語処理

  • 音声認識

CNN、RNN、LSTMなどが代表例。

AIモデル作成の流れ

データ収集→データ加工(アノテーション)→モデル構築・トレーニング→再学習・運用

AIモデルは作って終わりではない。環境変化に対応するため、定期的な再学習が必要となる。

この考え方をMLOpsと呼ぶ。

モデルロード

モデルロードとは、学習済みモデルをプログラムに読み込み、推論可能な状態にするプロセスである。
モデルは学習に時間がかかるため、保存して再利用するのが一般的だ。

モデルロードの重要性

  • パフォーマンス向上:推論の応答速度改善

  • リソース最適化:サーバ・クラウドコスト削減

  • スケーラビリティ:大量リクエストへの対応

モデルロード最適化の手法

モデル圧縮

  • プルーニング

  • 量子化

  • 知識蒸留

バッチ処理

複数リクエストをまとめて推論することでオーバーヘッドを削減する。

遅延ロード

必要なモデルだけを必要なタイミングでロードする。

実務での考慮点

  • 使用ハードウェア(CPU / GPU)

  • リアルタイム性の要否

  • クラウド or オンプレミス

XAI(説明可能なAI)

XAIとは「Explainable AI」の略称であり、AIの振る舞いや判断根拠を人間が理解できる形で説明することを目的とした技術・研究分野の総称である。日本語では「説明可能なAI」と呼ばれ、AIがなぜそのような出力を行ったのか、その過程や理由を説明できることを重視する。社会に出したAIを信頼して使えるようにするための仕組みとしてXAIが存在する。

大阪大学産業科学研究所の原聡氏は、XAIを次のように定義している。

機械学習モデルの出力に加えて、その出力を補助する追加の情報(モデルの解釈、判断根拠の説明など)を出力する技術一般および研究分野全体を指す

近年、AIの社会実装が進む一方で、判断基準や根拠が不明確なAIは実運用が難しいという課題が顕在化している。そのため、AIの判断を人間が理解し、納得できるようにする説明可能性が重要視されている。

XAIの歴史

XAIという言葉が広く使われるようになったのは、2017年にアメリカ国防高等研究計画局(DARPA)が説明可能なAIに関する研究プロジェクトを発表したことがきっかけである。これ以前から説明可能性に関する研究は存在していたが、このプロジェクトを契機として研究が急速に活発化した。

日本においてもXAIは政策レベルで重要視されている。2018年に内閣府が発表した「人工知能技術戦略実行計画」では、「説明できるAI技術の開発」が研究施策として明記された。また、総務省の「AI利活用原則案」では透明性の原則が掲げられ、判断結果の説明可能性への配慮が求められている。さらに、文部科学省の研究戦略目標でも「信頼されるAI」の要素として説明可能性が位置付けられている。

XAIが重要視される背景

従来のAIは高い予測性能を示す一方で、誤った判断をした際に原因を説明することが困難であった。特に深層学習モデルは構造が複雑であり、判断根拠が分かりにくいことから「ブラックボックス」と呼ばれる。

このブラックボックス性は、AIに対する不信感を生み、社会実装の大きな障壁となっている。これに対し、判断過程を説明できるモデルは「ホワイトボックス」と呼ばれ、解釈性が高いとされる。

説明可能性と似た概念に「解釈性(解釈可能性)」がある。解釈性とは、モデルの判断過程を人間がどの程度理解できるかを表す概念であり、XAIはこの解釈性を高めるための技術群である。

AIを取り巻く問題事例

Google Photosの誤認識問題

2015年、Google Photosがアフリカ系女性の写真に対して「ゴリラ」とラベル付けする問題が発生した。この事例では、画像のどの特徴が誤った判断に寄与したのかが不明であり、説明可能性の欠如が問題となった。

Microsoft Tayの暴走

Microsoftが開発したTwitterボット「Tay」は、ユーザーからの悪意ある入力を学習した結果、差別的・攻撃的な発言を行うようになり、公開停止に追い込まれた。この事例でも、どの学習データや過程が問題を引き起こしたのかを説明できなかった点が課題として挙げられる。

XAIを活用するメリット

判断過程を検証できる

XAIを用いることで、モデルがどの特徴量を重視して判断したのかを検証できる。医療診断などの分野では、医師がAIの判断根拠を確認し、妥当性を評価することで誤診のリスクを低減できる。

モデル改善につながる

判断根拠を分析することで、モデルの問題点や改善の方向性を把握しやすくなる。これにより、ビジネス関係者への説明もしやすくなり、実務での活用が促進される。

エンドユーザーの信頼を獲得できる

AIの予測根拠を説明できることで、ユーザーはAIの判断に納得感を持ちやすくなる。説明可能性の確保は、AIに対する信頼性向上に直結する。

XAI導入における課題

XAIには多くの利点がある一方で、いくつかの課題も存在する。XAIは研究分野として広範であり、個別企業のみで十分な研究開発を行うことは難しい。また、XAIの説明結果自体が常に正しいとは限らず、解釈には注意が必要である。

さらに、XAIは判断根拠を提示する技術であり、モデルやデータの修正までを自動で行うものではない。加えて、説明生成のための計算コストや導入コストが増加する点も実務上の課題となる。

XAIの主な手法

XAIの手法は、大きく「大域的説明(Global Explanation)」と「局所的説明(Local Explanation)」に分類される。

大域的説明

モデル全体の振る舞いや、データ全体に対する傾向を説明する手法である。線形モデルや決定木による近似を用いて、どの特徴量が全体的に重要かを把握する。

局所的説明

特定のデータに対する予測結果の理由を説明する手法である。個々の予測において、どの特徴量がどの程度寄与したかを明らかにする。

代表的なXAI技術

LIME

LIME(Local Interpretable Model-agnostic Explanations)は、機械学習モデルの予測を説明するためのアルゴリズムである。特定のデータポイントに対する予測結果を局所的に解釈する手法であり、複雑なブラックボックスモデルの挙動を理解しやすくすることを目的としている。

LIMEの特徴は、どの機械学習モデルにも適用できる(Model-agnostic)ことである。特定の入力に対して、どの特徴量が予測にどの程度影響を与えたのかを明らかにすることができる。

LIMEの目的

LIMEの主な目的は、複雑なモデルの予測結果を直感的に理解可能にすることである。例えば以下のようなケースで利用される。

  • 画像認識モデルで「この猫の画像がなぜ猫と分類されたのか」を説明したい場合

  • 医療診断AIで「この症状がなぜ特定の病気の診断につながったのか」を説明したい場合

LIMEはこうした疑問に対して明確な説明を提供する。

LIMEの仕組み

LIMEはブラックボックスモデルの予測を局所的に解釈するため、**シンプルな代理モデル(Surrogate Model)**を作成するアプローチを採用する。具体的なステップは以下である。

①入力データの摂動(Perturbation)
対象データをもとに、ランダムに特徴量を変更したデータセットを生成する。

  • 画像の場合:一部のピクセルを隠す

  • テキストの場合:単語を削除する

②モデルの予測結果を取得
摂動データを元のモデルに入力し、各予測結果を取得する。特徴量の変化が予測に与える影響を分析する。

③代理モデルの学習
摂動データと予測結果を用いて、線形回帰や決定木などのシンプルなモデルを学習する。これにより、特定のデータポイントの周囲でのブラックボックスモデルの挙動を模倣する。

④特徴量の影響度算出
代理モデルの係数を用いて、各特徴量が予測にどの程度寄与したかを算出する。

LIMEの利点

LIMEには以下の利点がある。

  • モデルに依存しない
    どの機械学習モデルにも適用可能で、ディープラーニングやランダムフォレストにも対応できる。

  • 局所的な説明が可能
    特定データポイントの予測を詳しく説明でき、異常値や予測ミスの原因を特定しやすい。

  • 直感的に理解しやすい
    線形モデルなどのシンプルな手法を用いるため、専門知識がなくても結果を理解しやすい。

LIMEの限界と課題

LIMEにはいくつかの課題も存在する。

  • グローバルな解釈はできない
    特定データポイントに対する局所的な説明のみ提供するため、モデル全体の挙動を理解するには不向きである。

  • 摂動方法によって不安定になる
    サンプルの選び方次第で代理モデルの結果が変動しやすい。

  • 計算コストがかかる
    摂動データを多数作成してモデルに入力するため、大規模データセットでは計算コストが増加する。

LIMEの活用例

LIMEは様々な分野で活用されている。

  • 画像分類:どの部分が予測に影響を与えたか可視化(例:医療画像で腫瘍判断の根拠を示す)

  • テキスト分類:どの単語が予測に影響を与えたか解析(例:スパムメール判定の根拠説明)

  • 医療AI:診断モデルがどの症状を根拠に病気を診断したかを説明

  • 金融:クレジットスコアモデルの与信判断要因を明確化

SHAP

ゲーム理論に基づくShapley値を用い、各特徴量の予測への貢献度を定量的に算出する手法である。

例)
例題:A, B, Cの3人でお金を分配する

背景

あるチームが合計100万円の報酬を獲得した。この100万円を3人(A, B, C)の貢献度に応じて公平に分配したい。
「貢献度の寄与」を計算するのにSHAPを使う。

仮の貢献度

A: 主要なアイデアを出した

B: 実際に作業を進めた

C: 資料作成やサポートをした

シャープレイ値(SHAP)の考え方

SHAPは「全ての組み合わせを考慮して、各メンバーがどのくらい貢献したか」を計算する。

チーム全体の報酬 = 100万円
ベース値 = 何も貢献しなかった場合の価値 = 0

ステップ例

①1人だけの場合

  • Aだけ: 60万円

  • Bだけ: 40万円

  • Cだけ: 10万円

②2人の組み合わせ

  • A+B: 90万円

  • A+C: 70万円

  • B+C: 50万円

③3人で協力

  • A+B+C: 100万円

SHAP値の算出(簡易版)

SHAPでは「各人が加わることで増える価値」を組み合わせごとに計算し、平均する。

  • Aの貢献度 = 平均的にAが増やす価値

  • Bの貢献度 = 平均的にBが増やす価値

  • Cの貢献度 = 平均的にCが増やす価値

仮に計算すると:

メンバー SHAP値(貢献度)
A +50万円
B +30万円
C +20万円

合計 = 100万円(チーム全体の報酬)

解説

SHAPは「チームの成果に対して各人が公平にどれだけ貢献したか」を計算する方法である。
全員が協力したときだけでなく、部分的に誰かがいない場合の価値も考慮して平均する。
これにより、「誰かがたくさん貢献したのに報酬が少ない」などの不公平を減らすことができる。

Permutation Importance

特徴量をランダムに入れ替えた際の性能低下を測定し、重要度を評価する手法である。

Partial Dependence Plot(PDP)

他の特徴量を固定した上で、特定の特徴量が予測に与える影響を可視化する手法である。

参考

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