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はじめに

Job To Be Done(JTBD、ジョブ理論とも言う)というマーケティングの理論を紹介します。
導入部分を重点的に解説し、実践方法等は他記事を参照する形にします。

若干Qiitaに書くことを迷いつつ、他の人も書いてるので。

JTBDはこういう人に役立つかも

  • プロダクト・マネージャ
  • 企業のマーケティング担当
  • 個人開発サービスが全然流行らない(´・ω・`) という人

JTBDとは

  • 人の置かれている状況と、その状況を解決して得たい進歩に着目することで、人に求められる製品・サービスを生み出そうという理論です。
  • 訳が分からないよ(´・ω・`)、 ということで事例を基に解説します

ミルクシェイクの事例

Job To Be Doneには様々な事例がありますが、よく出てくるのは次のミルクシェイクの事例です。

あるファストフード企業がミルクシェイクの売上を改善したいと思った。
ミルクシェイクの購入者属性を整理し、同一の属性を持つ人を対象にフルーツ味かチョコレート味か、など、どんなミルクシェイクが理想的か尋ねた。特定したターゲットの好みをもとに製品を改善したが、売上は全く改善しなかった。

そこで再び調査を行った。すると早朝にミルクシェイクを買い、店内で飲まずに車で去る一人客が多いことに気がついた。なぜ買ったかを尋ねてみた。
購入者は戸惑っていたが、「ミルクシェイクでなければ何を買ったか」を聞くとすぐに理由が明らかになった。

早朝の購入客はみな「仕事先まで長く退屈な運転をしなければならない。時間を潰してほしい。」という状況だったのだ。

ドーナッツはくずが落ちるし手が汚れる。ベーグルは味がなく、運転中なのでジャムも濡れない。バナナはすぐに食べきってしまう。
しかしミルクシェイクは違う。手は汚れないし、車のカップホルダーにもぴったりで扱いやすい。濃くどろどろしていて、細いストローで吸うとかなり時間がかかる。

通勤時の退屈な状況を解決するのに最適だから買われていたのだ。
購入客には人口統計学的な共通点はなく、共通点はこれだけだった。

この事例から次のようにミルクシェイクを変えればいいのでは?という案が出てきます。

  • フルーツや小さなチョコを混ぜる。ストローで吸うたびにちょっとした"驚き"が生じるようにして通勤時間を飽きにくくする

しかし、この話には続きがあり、そう単純にはいかないことが分かります。

しかし、朝の通勤以外で客が来た場合は全く状況が変わる。
例えば夕方に、小さい子供を持つ父親が子供にミルクシェイクをねだられたという状況もあり得る。
その時父親は「優しい父親の気分を味わう」ことを求めてミルクシェイクを買うことになる。
夕食前に菓子を食べさせるなという母親の言いつけに後ろめたさを感じながら。

この状況を考慮すると、次の案が出てきます

  • ミルクシェイクの量を減らす。子供が夕食を食べれるように、母親への後ろめたさが短時間で済むようにする

これは通勤客への改善案「ミルクシェイクが長持ちすることで通勤時間を飽きにくくする」と逆行します。

なので、通勤時間帯とそれ以外でミルクシェイクの中身を変える必要があることが分かります

この事例から分かること

  • 人口統計学的な共通点は「顧客がなぜ買ったか?」には答えられない場合があります。
    • 特にこの事例の朝の通勤客については性別、年齢は関係ないです。
  • 1つの製品に1つの改善策とは限りません。顧客の反応を平均化してはいけません。
    • 一つですべてを満たす万能の解決策を求めていると、結果的に何一つ満たさない製品になりえます
      • この事例では、朝と夕方で適するミルクシェイクの内容が変わります
  • 競合もまた、状況と求める進歩に応じて変わります
    • 朝の「通勤時間を潰す」ことの競合はミルクシェイクの競合はコーヒーやバナナ
    • 夕方の「優しい父親の気分を味わう」ことの競合はキャッチボールや玩具
    • ミルクシェイクを買わないという無消費もまた競合
      • 退屈な運転であるにもかかわらず我慢している等
      • この状況に気づくことは潜在ニーズに気づいたともいえる

ここまでで、人の状況とその人の求める進歩に着目することの意義は述べました。
やっと理論の中身に入ります

JTBD概要

  • ある特定の状況で人が成し遂げたい進歩を“ジョブ”と呼びます
    • ミルクシェイクの事例では「退屈な通勤時間を潰す」等です
  • 消費とは“ジョブ”を片づけようとして、特定の製品やサービスを“雇う”ことです

:pencil: "雇う"は日本語として違和感がありますが、次のニュアンスから来ています
アメリカでは、庭の芝を借る、買い物にいく等ちょっとした手伝いを小遣いを与えて人にやらせたりすることも「hire(雇う)」と表現するそうです。こうした、何かを成し遂げるために対価を払って一時的に採用することを"雇う"と表現しています

  • 人は置かれた状況によって何を“雇う”か左右されます
  • “ジョブ”には機能的な側面だけでなく、感情的、社会的側面があります
    • 例えば「優しい父親の気分を味わう」です

ジョブとニーズとの違い

  • ニーズは漠然とした方向性になりがちで、消費行動の理由を探るには不十分です
    • セグウェイは「個人の交通手段の効率化」というニーズを元に考案されました。
      • どういう状況で何をするためにセグウェイが必要なのか?には答えがないので多くの人が買いませんでした

アピールすべき"スペック"とは

  • よく数値をアピールポイントとして挙げている製品がありますが、ジョブ理論を用いるともっと良いアピール方法が見いだせます
    • どういうジョブを解決するのかをアピールすればよいのです

具体的にどうしていくのか

参考

クリステンセン「ジョブ理論」入門
JTBD/ジョブ理論をまとめてみた
JTBDをコンテンツマーケティングに応用する
ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム
「ジョブ理論」完全理解読本

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