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なでしこv3ブラウザ版で音を扱う

Last updated at Posted at 2020-12-13

いつもの通り、自分が悩んだ末にたどり着いた記録を残したいと思います。
日本語プログラミング言語「なでしこ」 Advent Calendar 2020に連続投下することになるのを,少しためらったのですが…。空気を読まずに参加したいと思います(ごめんなさい)。

この記事は、なでしこのv3ブラウザ版で実行できるようにしています。

v3ブラウザ版で音声ファイルを再生したい

以下に,自分が悩んだ経過をまとめていますが,完成したテストプログラムはここに置いておきます。

標準の命令

なでしこv3ブラウザ版では,オーディオ開く等の命令が用意されています。

A=「https://nadesi.com/v3/common/sound/ki.mp3」をオーディオ開く。
Aをオーディオ再生。

ところが,なでしこv3簡易エディタでこれを実行すると,最初の1回だけ音が鳴りますが,2回目以降は音が鳴らないのです(私だけ?)。さらに,ローカルで音声ファイルを用意して試したい時に,file:///d:/xxx.wavのようにローカルパスを指定できませんでした。

どうしてもローカルのファイルを再生したかった

Webサーバが無いと音声ファイルを扱えないということになると,学校などでローカルで学習するのが難しくなってしまいます。

そこで,どうしてもローカルのファイルを再生したかったので,簡易エディタをあきらめて,ローカルにHTMLファイルを作り,それになでしこのプログラムを組み込んでみることにしました。

ローカルで音声ファイルを再生する

フォルダとファイルの準備

まず,自分のPC上(WindwosでもChromebookでも同じです)に,プログラムを保存するためのフォルダを作ります。

その中に,次のファイルを入れておきます。

  • なでしこのプログラムを実行するためのHTMLファイル
  • 再生したい音声ファイル
  • 今回作ったプラグインファイル plugin_media試作

フォルダの例
pic1.PNG

なでしこ用HTMLファイルのひな形

自分でHTMLファイルを作って「なでしこ」を実行したかったので,次のようにひな形を作りました。

<body>要素の前半では,画面レイアウトをあらかじめhtmlで作っておきます。このサンプルでは,audio要素をあらかじめ設定していますが,このようにあらかじめaudio要素を埋め込んでおいてもいいし,後で動的に生成してもいいです。

<body>要素の後半では,なでしこ3のエンジンを読み込む処理と,今回作ったプラグインplugin_media(試作)を読み込む処理があります。
//初期設定にある2行は,必ず実行します。その続きから,なでしこのプログラムを書いていきます。

template.html
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
  <meta charset="UTF-8">
  <title>なでしこ 音読込のテスト</title>
</head>

<body>
<!-- 画面レイアウトをあらかじめ作っておく -->
<h1>なでしこ3ブラウザ版で音を扱うテスト</h1>
<audio id="audio1"></audio>
<hr />
<div id="div1"></div>

<!-- なでしこ3のエンジンを取り込み -->
<script type="text/javascript" src="https://nadesi.com/v3/cdn.php?v=3.1.8&f=release/wnako3.js&run"></script>
<!-- プラグインを取り込み -->
<script type="text/javascript" src="plugin_media.js"></script>

<!-- なでしこのプログラム -->
<script type="なでしこ">
// 初期設定 -- HTML内でなでしこを使うときは必ず実行する
結果領域=「#div1」。
結果領域へDOM親要素設定結果領域に「」をHTML設定

// ここから,なでしこのプログラムを書いていきます



</script>
</body></html>

音を扱うプログラム(HTML+なでしこ)

テンプレートを使って,音を扱う命令を組み込んでみます。
今回作った命令は音読込音再生音停止音再開の4つです。

audio1.html
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
  <meta charset="UTF-8">
  <title>なでしこ 音読込のテスト</title>
</head>

<body>
<!-- 画面レイアウトをあらかじめ作っておく -->
<h1>なでしこ3ブラウザ版で音を扱うテスト</h1>
<audio id="audio1"></audio>
<hr />
<div id="div1"></div>

<!-- なでしこ3のエンジンを取り込み -->
<script type="text/javascript" src="https://nadesi.com/v3/cdn.php?v=3.1.8&f=release/wnako3.js&run"></script>
<!-- プラグインを取り込み -->
<script type="text/javascript" src="plugin_media.js"></script>

<!-- なでしこのプログラム -->
<script type="なでしこ">
// 初期設定 -- HTML内でなでしこを使うときは必ず実行する
結果領域=「#div1」。
結果領域へDOM親要素設定結果領域に「」をHTML設定

// ここから,なでしこのプログラムを書いていきます

// ----- あらかじめ埋め込んだaudio要素を使う方法
// audio要素に音声ファイルを指定しておく
audio1bgm1.mp3を音読込  // #1

// コントロールボタンの設置
ボタン1=「再生のボタン作成
ボタン1をクリックした時には
  「audio1を音再生  // #2
ここまで

ボタン2=「停止のボタン作成
ボタン2をクリックした時には
  「audio1を音停止  // #3
ここまで

ボタン3=「再開のボタン作成
ボタン3をクリックした時には
  「audio1を音再開  // #4
ここまで

</script>
</body></html>

#1では,<id名>に<ファイル名>を音読込と書いています。あらかじめ組み込んでいるid=audio1のaudio要素に,ファイル名を設定しています。ローカルで作っている場合,ファイル名にはfile:///d:/xxx.wav形式も使えます(やったぜ!)。

#2#3#4では,指定したIDのaudio要素を操作しています。音再生では音声の開始位置を冒頭(0)に戻しています。音再開では,開始位置を戻さずに再生しています。

plugin_media(試作)

そして,これらの命令を作ろうと思い,plugin_media.jsを作成しました。音以外の命令も作ったので,一部だけ抜き出して載せます。

plugin_media-audio1.js
// audio1.htmlに関係する部分のみ抜き出しています。

const PluginMedia = {
  // --- 音関係 ---
  '音読込': { // @id=aIDのaudio要素にaSrcファイルを読み込む // @オトヨミコミ
    // あらかじめaudio要素を設置しておく場合はこっち。
    type: 'func',
    josi: [[''],['']],
    fn: function (aID, aSrc, sys) {
      try {
        const audio = document.querySelector("#" + aID);
        audio.src = aSrc;
      } catch(e) {
        // エラーを表示
        window.alert('音読込 ' + e.message);
        return -1;
      }
    }
  },

  '音再生': { // @id=aIDのaudio要素に設定されている音を頭から再生する // @オトサイセイ
    type: 'func',
    josi: [['']],
    fn: function (aID, sys) {
      try {
        const audio = document.querySelector("#" + aID);
        audio.currentTime = 0;
        audio.play();
      } catch(e) {
        // エラーを表示
        window.alert('音再生 ' + e.message);
        return -1;
      }
    }
  },

  '音再開': { // @id=aIDのaudio要素に設定されている音を停止位置から再生する // @オトサイカイ
    type: 'func',
    josi: [['']],
    fn: function (aID, sys) {
      try {
        const audio = document.querySelector("#" + aID);
        audio.play();
      } catch(e) {
        // エラーを表示
        window.alert('音再開 ' + e.message);
        return -1;
      }
    }
  },

  '音停止': { // @id=aIDのaudio要素に設定されている音を一時停止する // @オトテイシ
    type: 'func',
    josi: [['']],
    fn: function (aID, sys) {
      try {
        const audio = document.querySelector("#" + aID);
        audio.pause();
      } catch(e) {
        // エラーを表示
        window.alert('音停止 ' + e.message);
        return -1;
      }
    }
  }
}

// モジュールのエクスポート(必ず必要)
if (typeof module !== 'undefined' && module.exports) {
  module.exports = PluginMedia
}
//プラグインの自動登録
if (typeof (navigator) === 'object') {
  navigator.nako3.addPluginObject('PluginMedia', PluginMedia)
}

特に難しいことをやっているわけではありませんが,Javascriptの命令をそれぞれ呼び出してみました。うまく動作しているので,これで大丈夫かと。

迷ったことは,冒頭にあるconst PluginMediaと,末尾にあるmodule.exports = PluginMedianavigator.nako3.addPluginObject('PluginMedia', PluginMedia)とで,PluginMediaという名前を全て揃えないと,正しく実行されないということです。

また,それぞれの命令に例外処理用にtry ~ catch(e) ~を入れています。HTMLにPluginを組み込んで試していると,エラーが起こった時にconsoleを見ないと間違った箇所が分からなくて困ったので,アラートを表示するようにしています。不要ならば削除してもいいと思います。

HTMLファイルをブラウザで表示してみる

ここまで作って,HTMLファイルをブラウザで開くと,画面にボタンが表示されます。そのボタンを押すと,音声ファイルを操作できます。

pic2.PNG

動的にaudio要素を生成する

先ほどのプラグインに音追加という命令を加えます。こちらは,audio要素を新たに生成するための命令なので,HTMLファイルにaudio要素を組み込んでいなくても使えるようにしています。

plugin_media-audio2.js
// 先ほどのplugin_media-audio1.jsの中に追加します。
const PluginMedia = {
  // 途中省略

  '音追加': { // @audio要素を追加して,aSrcファイルを読み込む // @オトツイカ
    // aIDを指定するとそれを親要素とする。省略するとbodyの子要素として追加。
    // 生成されたid名を返します。
    type: 'func',
    josi: [[''],['', '']],
    isVariableJosi: true,
    return_none: true,
    fn: function (aSrc, ...pID) {
      try {
          const sys = pID.pop();
          var parent = document.body;
          if ( pID.length > 0 ) {
            parent = document.querySelector("#" + pID[0]);
          };
          const audio = document.createElement('audio');
          audio.src = aSrc;
          audio.id = 'nadesi-dom-' + sys.__v0['DOM生成個数'];
          parent.appendChild(audio);
          sys.__v0['DOM生成個数']++;
          return audio.id;
      } catch(e) {
        // エラーを表示
        window.alert('音追加 ' + e.message);
        return -1;
      }
    }
  },

  // 以降省略
}

なでしこ側では,<親id>へ<ファイル名>を音追加と書きます。親IDの子要素としてaudio要素を追加し,指定したファイルを読み込みます。
親idを省略して<ファイル名>を音追加と書いた場合は,なでしこ側で「DOM親要素設定」しているidの子要素として追加されます。

引数を省略できるようにする

  • 引数を省略できるようにしたかったので,josi:の値は<親id>への助詞を,一番最後にしています。ソースを見ると分かりますが,実は<親id>にと書いても動作します。またisVariableJosi: trueが必要です(これを書いていなかったのでずっとハマった…)。
  • 次のfn: function (aSrc, ...pID)の部分は,1つ目の引数aSrc(ファイル名を指定する引数)は省略できないので,変数を指定します。次の...pIDは省略できるのでこのようにしています。JavaScriptではこれをレストパラメータと言うそうです。
  • ここでは,pID[ ]という配列に値が入っており,その末尾はシステム変数sysになっているので,自作関数の冒頭でconst sys = pID.pop();を入れて,システム変数を取り出しています。
  • すると,引数があった場合は配列pID[ ]からsysを取り出しても,まだ要素が残っているはずなので,次のif文ではpID.lengthを使ってpID[ ]の配列の要素数を数えます。pID.length > 0ならば,引数があった(つまり親idをプログラムから指定した)ということなので,変数parentにそれを設定する,ということです。
  • 最後にreturn audio.id;とすることで,生成されたaudio要素のidを戻り値として取得できます。そのためにreturn_none: trueが必要です(これも書いてなかったのでハマった…)。

「なでしこ3」のプラグインは,引数を省略可能にしようと思ったら手強かったです…(JavaScriptに長けている方なら,カンタンだと思います)。でも上手くいったからよかった。

HTMLファイルを修正する

この命令をテストしたかったので,HTMLファイルを次のように修正します。(なでしこの部分だけ抜き出しています)

audio2.html
// ここから,なでしこのプログラムを書いていきます

// ----- 引数を省略して生成させる方法
ID=「bgm1.mp3」を音追加。

// コントロールボタンの設置
ボタン1=「再生」のボタン作成。
ボタン1をクリックした時には
  IDを音再生。
ここまで。

ボタン2=「停止」のボタン作成。
ボタン2をクリックした時には
  IDを音停止。
ここまで。

ボタン3=「再開」のボタン作成。
ボタン3をクリックした時には
  IDを音再開。
ここまで。
改行作成。

// ----- 親要素idを指定する方法
ID2=「div1」に「poka.wav」を音追加。

// コントロールボタンの設置
ボタン4=「再生2」のボタン作成。
ボタン4をクリックした時には
  ID2を音再生。
ここまで。

HTMLファイルをブラウザで表示してみる

ここまで作って,HTMLファイルをブラウザで開くと,画面にボタンが表示されます。そのボタンを押すと,音声ファイルを操作できます。

最後に

ホントはやらなくてはいけない仕事が山のようにあるのですが,どうしてもプラグインを作りたくなってしまい,久々に夜更かししてしまいました。でも,なでしこv3ブラウザ版で,ChromeBookでも音を扱えるようになったら楽しいですね! ということで,調子に乗って画像と動画も表示できるようにしたので,それは別の記事にします。

一応,音,画像,動画を扱えるようにした試作バージョンplugin_media.jsも置いておきます。間違っていたらアドバイスをいただけると嬉しいです。

参考

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