Pythonの開発環境を整えるうえで、パッケージ管理ツールの選択は非常に重要です。
今回は、3つのツール - Poetry、Pipenv、Ryeを比較してみます。
比較表
項目 | Poetry | Pipenv | Rye |
---|---|---|---|
実装言語 | Python | Python | Rust |
依存関係の管理 | ✅ | ✅ | ✅ |
ビルドツール | ✅ (poetry build ) |
❌ | ✅ (rye build ) |
ライブラリのアップデート | ✅ (poetry update ) |
✅ (pipenv update ) |
✅ (rye sync --update-all ) |
フォーマッタ | ❌ (外部ツール統合可) | ❌ (外部ツール統合可) | ✅ (ruffでのrye fmt ) |
Linter | ❌ (外部ツール統合可) | ❌ (外部ツール統合可) | ✅ (ruffでのrye lint ) |
仮想環境管理 | ✅ | ✅ | ✅ |
ロックファイル | poetry.lock |
Pipfile.lock |
requirements.lock |
パッケージング | ✅ (poetry build ) |
❌ | ✅ (rye build ) |
パブリッシング | ✅ (poetry publish ) |
❌ | ✅ (rye publish ) |
ツール自身のアップデート | ✅ (poetry self update ) |
✅ (pip install --upgrade pipenv ) |
✅ (rye self update ) |
最終リリース | 1.8.3 (2024-05-08) | 2023.9.1 (2023-09-01) | 0.35.0 (2024-06-24) |
詳細比較
実装言語
PoetryとPipenvはPythonで書かれていますが、Ryeは高速な実行を目指してRustで開発されています。
依存関係の管理
3つのツールすべてが依存関係の管理を行います。
Poetryはpyproject.toml
ファイルを使用し、PipenvはPipfile
を使用します。
Ryeもpyproject.toml
を使用しますが、より柔軟な設定が可能です。
ビルドツール
PoetryとRyeはパッケージのビルド機能を内蔵していますが、Pipenvにはこの機能がありません。
Poetryはpoetry build
コマンドを使用し、Ryeもrye build
コマンドを提供します。
ライブラリのアップデート
すべてのツールがライブラリのアップデート機能を提供しています。
Poetryはpoetry update
コマンドを使用し、Pipenvはpipenv update
コマンド、Ryeはrye sync
コマンドを持っています。
フォーマッタとLinter
PoetryとPipenvは直接フォーマッタやLinterを内蔵していませんが、外部ツールとの統合が可能です。
一方、Ryeはruffによるフォーマッタ、Linterが標準で統合されています。
その他の特徴
- 仮想環境管理:3つのツールすべてが仮想環境の管理が可能です。
- ロックファイル:依存関係の正確なバージョンを記録するためのロックファイルを生成します。
- パッケージング:PoetryとRyeはパッケージングとPyPIへの公開機能を提供しますが、Pipenvにはこの機能がありません。
- ツール自身のアップデート:3つのツールすべてが自身のアップデート機能を持っています。(pipenvのみpipでアップデート)
- 最終リリース日:Ryeは新しいツールということもあり開発が活発です。Poetryも定期的に更新されています。
まとめ
どのツールが最適かは、プロジェクトのニーズや開発スタイルによって異なります。
Poetry、Ryeは依存関係管理からパッケージング、パブリッシングまで幅広くカバーしており、特にPyPIへの公開を考えている場合に便利です。
Pipenvはシンプルな依存関係管理と仮想環境の統合に強みがありますが、ビルドやパブリッシング機能はありません。
RyeはRustで書かれているため、高速な動作が期待でき、さらにフォーマッタやLinterの統合も魅力です。