どこかのツイッターで知ったのですが
クソデカ羅生門
なるものが出来たということでした。
羅生門
そもそもの羅生門
は、ほぼクソ少しも
読んだ覚えが無さそうなのですが
芥川龍之介
なる人物がかなり昔に
書いた文学のようです。
青空文庫
に乗っていたのでだいぶ昔でしょうね。
参考:https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/127_15260.html
クソデカ羅生門
引用:https://anond.hatelabo.jp/20200611125508
原典の羅生門
のイメージは残しつつというか
もうイヤになっちゃうくらいほぼ丸々怖いくらい
全然まったく寸分たりとも違わず完全にそのまま
原典に修飾語を追加したもので有ると思われます。
という事は差分
が上手く取れるはずですね。
差分を取ってみる。
差分を取る手順は以下の通りです。
1.両方の奴をファイル化する
2.不要文字(スペース)は削除
3.1行ずつ差分をとる
4.差分の所を囲む
という事でこんなコードを作って差分をとりました。
# ファイルの読み込み
with open('羅生門/クソでか羅生門.txt') as _f:
text = _f.read()
text = text.replace('。','。\n')
kusodeka = text.split('\n')
print(len(kusodeka))
with open('羅生門/羅生門.txt') as _f:
text = _f.read()
text = text.replace('。','。\n')
rasyoumon = text.split('\n')
print(len(rasyoumon))
# 差分チェック
def check_diff(moto,kuso):
res1,res2,tmp = [],[],kuso
for m in moto:
i = str(tmp[0:]).find(m)
diff = tmp[0:i]
if len(diff)>0:
for d in diff:
res2.append(d)
res1.append(' ')
res2.append(' ')
res1.append(tmp[i])
tmp = tmp[i+1:]
return res1,res2
template = '<table style="table-layout: fixed;"><tr>{0}</tr></table>'
red = '<td><span style="color: red;">{0}</span></td>'
gre = '<td><span style="color: green;">{0}</span></td>'
# HTML化
def make_html(r1,r2):
html = ''
for i in range(len(r1)):
if r1[i]==' ':
html += red.format(r2[i])
else:
html += gre.format(r1[i])
if r1[i]=='、':
html += '</tr><tr>'
return template.format(html)
# 差分の囲み
def make_text(r1,r2):
text,flg = '',1
for i in range(len(r1)):
if r1[i]==' ':
if flg==1:
text+='`'
flg*=-1
text+=r2[i]
else:
if flg==-1:
text+='`'
flg*=-1
text+=r1[i]
return text
# 差分の文章化
for moto,kuso in zip(rasyoumon,kusodeka):
res1,res2 = check_diff(moto,kuso)
text = make_text(res1,res2)
print(text)
# 差分のHTML出力
html = ''
for moto,kuso in zip(rasyoumon,kusodeka):
res1,res2 = check_diff(moto,kuso)
html += make_html(res1,res2)
後程差分を文章化したものを載せさせていただきます。
どんな言葉がよく出てくるのか?
差分が取れるという事は、原典に対して
どんな言葉がついていたのかを知ることができます。
修飾されている言葉が何回出てくるのかを調べてみました。
calc = {}
for moto,kuso in zip(rasyoumon,kusodeka):
res1,res2 = check_diff(moto,kuso)
tmp = ''
for r in res2:
if r==' ':
if tmp in calc:
calc[tmp]+=1
else:
calc[tmp] =1
tmp=''
else:
tmp+=r
calc.pop('')
print('種類数 : ',len(calc))
for k,v in sorted(calc.items(),reverse=True,key=lambda x:x[1]):
print(v,'\t',k)
種類数 : 341
26 大
13 まくっ
12 超
10 真
10 メチャメチャ
10 Godsに影響した
9 巨大
8 糞
7 クソデカ
7 倒し
7 完全に
7 巨大な
6 超巨大
6 巨
5 クソ
5 マジで
4 クソデカい
4 全然
4 マジで全然
4 豪
4 超苦しい
4 死ぬほど
4 大量に
3 千
3 世界最強の
3 に影響した
3 バカ
3 極
3 最強
3 王
3 まくり
3 本当に
3 まったく
3 めちゃくちゃ
2 (ほぼ夜)
2 百
2 毎日
2 りまく
2 完全
2 きったない
2 ハチャメチャに
2 びっくりするほど
2 炎
2 最高級
2 〇〇
2 続け
2 剛
2 〇〇〇〇
2 絶対に
2 雑魚
2 瞬間的に
2 極悪
2 まぶた
2 さかっ
2 いまく
2 巨大怪
1 完全な真
1 気持ち悪いほどずっと
・・・
一回しか出てこないやつがげに誠、めっちゃ多い!!!!
数えたら285
個もありました。
これだけの表現を付け加えるというのは信じられません。
同じものが使われるケースもありますが、表現の幅を広げているのは
作者様の語彙力に他ならないと思います。
どんな長い言葉が加えられているか?
これも集計で、文字数の多い修飾語でどんだけ長いかをみてみます。
上記の集計結果を使って、ソートのキーを文字数にします。
for k,v in sorted(calc.items(),reverse=True,key=lambda x:len(x[0])):
print(len(k),'\t',k)
23 Ultimet-Sentimentalisme
20 ただでさえ最低最悪のゴミの掃き溜めである
17 ほとんど聞き取れないほどの超早口で
16 マジで悲しくなっちゃうくらい全然
16 of the Godsに影響した
15 ブッサイクで気持ちの悪い巨大な
14 クソ治安がいいことで知られる
14 三千里(約一万二千メートル)
13 もうイヤになっちゃうくらい
13 親の仇のようにメチャメチャ
13 のちに剣聖と呼ばれる最強の
13 地の果てまで広がるがごとき
13 自殺したくなるくらい本当に
13 強烈な殺意を内包した本気の
12 正気を疑うレベルでデカい
12 マジでビックリするくらい
12 本当に惨めな感じになって
12 寸分たりとも違わず完全に
12 物理的にありえない動きで
12 本当にめちゃめちゃ苦しい
12 世界最高の名刀と謳われる
12 テレパシーのごとく完全に
11 怖いくらい全然まったく
11 鼓膜破壊レベルの音量で
11 頭おかしいくらいデカい
11 トチ狂ったクソデカさの
11 意味わからんくらいクソ
11 信じられないほどデカい
11 構造的にありえない形で
10 気持ち悪いほどずっと
10 思わず目を疑うくらい
10 Godsに影響した
10 本当にマジでまったく
10 メチャメチャくっせえ
10 芸術品のように美しい
10 超メチャメチャ剣呑な
10 頬が落ちるほど本当に
10 まったく一瞬たりとも
10 目にも止まらないほど
10 えげつないスピードで
10文字以上の表現が40
個も出てきました。
1つ2つ考えるのも結構な時間を要するかと
思われるのにも関わらずこの量です。
もう完全に羅生門に登場してきた
傾国の美女のごとく脱毛です。
修飾語の種類数で341
も有るので
長く、しかも量もあるというところが
このクソでか純文学の面白身というところでありましょう。
最後に差分を含め載せさせていただきます。
差分
ある日の超
暮方(ほぼ夜)
の事である。
一人の下人が、クソデカい
羅生門の完全な真
下で雨やみを気持ち悪いほどずっと
待ちまく
っていた。
馬鹿みたいに
広い門の真
下には、この大
男のほかに全然
誰もいない。
ただ、所々丹塗のびっくりするくらい
剥げた、信じられないほど
大きな円柱に、象くらいある
蟋蟀が一匹とまっている。
クソデカ
羅生門が、大河のように広い
朱雀大路にある以上は、この狂った
男のほかにも、激・
雨やみをする巨大
市女笠や爆裂
揉烏帽子が、もう二三百
人はありそうなものである。
それが、この珍妙
男のほかには全然
誰もマジで全く
いない。
何故かと云うと、この二三千
年、京都には、超巨大
地震とか破壊的
辻風とか最強大
火事とか極限
饑饉とか云うエグすぎる
災が毎日
つづいて起こ
った。
そこでクソ広い
洛中のさびれ方はマジでもう
一通りとかそういうレベル
ではない。
旧記によると、クソデカい
仏像や文化財クラスの
仏具をものすごいパワーで
打砕いて、その丹がベッチャベチャに
ついたり、金銀の箔がもうイヤになっちゃうくらい
ついたりした木を、路ばたに親の仇のようにメチャメチャ
つみ重ねて、薪の料に売りまく
っていたと云う事である。
クソ治安がいいことで知られる
洛中がその始末であるから、正気を疑うレベルでデカい
羅生門の完全
修理などは、元より誰も捨てて顧る者がマジで全然
なかった。
するとそのドン引きするくらい
荒れ果てたのをよい事にして、クソヤバい
狐狸がドンドン
棲む。
世界最強の
盗人が6万人
棲む。
とうとうしまいには、マジで悲しくなっちゃうくらい全然
引取り手のないきったない
死人を、この門へ猛ダッシュで
持って来て、超スピードで
棄てて行くと云う習慣さえ出来た。
そこで、日の目が怖いくらい全然まったく
見えなくなると、誰でもメチャメチャ
気味を悪るがって、この門の近所へはマジでビックリするくらい
足ぶみをしない事になってしまったのである。
その代りまた超凶悪な
鴉がどこからか、億単位で
たくさん集って来た。
昼間見ると、その鴉が何万
羽となく輪を描いて、クソ
高い鴟尾のまわりを鼓膜破壊レベルの音量で
啼きながら、亜音速で
飛びまわっている。
ことに門の上の空が、夕焼けで思わず目を疑うくらい
あかくなる時には、それが胡麻をえげつない量
まいたようにはっきり見えた。
鴉は、勿論、頭おかしいくらいデカい
門の上にメチャクチャ大量に
ある死人の肉を、気が狂ったように
啄みに来るのである。
――もっとも今日は、刻限がハチャメチャに
遅い(ほぼ夜)
せいか、マジで
一羽も見えない。
ただ、所々、ほぼ
崩れかかった、そうしてその崩れ目にメチャメチャ
長い草の森のごとく
はえ倒し
たクソ長い
石段の上に、鴉のえげつなく臭い
糞が、点々と白くこびりついているのが見える。
下人は七千万
段ある石段の一番上の段に、洗いざらしてほぼ透明になっ
た紺の襖の尻を据えて、右の頬に出来まくっ
た、クッソ
大きな面皰を気にしながら、メチャメチャ
ぼんやり、とんでもない豪
雨のふりしき
るのを眺めていた。
作者はさっき、「下人が雨やみをメチャメチャ
待っていた」と書いた。
しかし、下人は激烈豪
雨がやんでも、格別どうしようと云う当てはマジで全然
ない。
ふだんなら、勿論、クソ強い
主人のえげつなくデカい
家へ帰る可き筈である。
所がその糞
主人からは、四五日前に暇を出し倒
された。
前にも書いたように、当時ただでさえ最低最悪のゴミの掃き溜めである
京都の町は一通りならず衰微しまくっ
て本当に惨めな感じになって
いた。
今この最強にヤバい
下人が、永年、犬のごとくこき
使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの大
衰微のクソしょぼい
小さな小さな
余波にほかならない。
だから「下人が雨やみをメチャメチャ
待っていた」と云うよりも「クソヤバい豪
雨にふりこめられた下人が、マジで全然
行き所がなくて、超
途方にくれていた」と云う方が、完全に
適当である。
その上、今日の空模様も少からず、この平安朝のヤバい
下人のUltimet-Sentimentalisme
of the Godsに影響した
。of th
e Godsに影響した
。 Godsに影響した
。 Godsに影響した
。 Godsに影響した
。 Godsに影響した
。 Godsに影響した
。 Godsに影響した
。 Godsに影響した
。 Godsに影響した
。 Godsに影響した
。 God
sに影響した
。に影響した
。に影響した
。に影響した。
申の刻下りからふり出した大
雨は、いまだに上るけしきが全然かけらも
ない。
そこで、のちに剣聖と呼ばれる最強の
下人は、何をおいても差当り明日の暮しをメチャメチャ
どうにかしようとして――云わば絶望的に
どうにもならない事を、どうにかしようとして、悲しくなるくらい
とりとめもない考えをたどりながら、さっきからアホみたいに広い
朱雀大路にふる豪
雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。
豪
雨は、トチ狂ったクソデカさの
羅生門をつつんで、メチャメチャ
遠くから、ざあっと云う轟
音をあつめて来る。
夕闇は次第に空をびっくりするほど
低くして、見上げると、超巨大
門の超巨大
屋根が、斜につき出した超巨大
甍の先に、ドチャクソ
重たくうす暗い雲を嫌になるくらい
支えまくっ
ている。
どうにもならない事を、どうにかするためには、手段を選んでいる遑は本当にマジでまったく
ない。
選んでいれば、築土の真
下か、道ばたの土の真
上で、超苦しい
饑死をするばかりである。
そうして、このガチで世界一デカい
門の上へ猛スピードで
持って来て、きったない
犬のように超速で
棄てられてしまうばかりである。
選ばないとすれば――巨大
下人の考えは、何度も寸分たりとも違わず完全に
同じ道を低徊した揚句に、やっとこの局所へ逢着した。
しかしこの「すれば」は、マジで
いつまでたっても、結局「すれば」であった。
クソザコ
下人は、手段を選ばないという事をエグ
肯定しながらも、この「すれば」のかたをつけるために、当然、その後に来る可き「世界最強の
盗人になるよりほかに仕方がない」と云う事を、積極的に肯定するだけの、莫大な
勇気が出ずにいたのである。
下人は、意味わからんくらいクソ
大きな嚔をして、それから、死ぬほど
大儀そうに立上った。
南極かってくらいに
夕冷えのする世界最悪の罪の都
京都は、もう火桶が8億個
欲しいほどのガチえげつない
寒さである。
暴
風は信じられないほどデカい
門の巨
柱と巨
柱との間を、クソヤバい濃さの
夕闇と共にマジで全然
遠慮なく、吹きぬけまく
る。
丹塗の超巨大
柱にとまっていた象サイズの
蟋蟀も、もうどこかへ行ってしまった。
下人は、頸を人間の限界を超えて
ちぢめながら、山吹の汗袗に無理やり
重ね倒し
た、紺の襖の肩を物理的にありえない動きで
高くしてクソデカ
門のまわりを見まわした。
雨風の患のない、人目にかかる惧のない、一晩メチャメチャ
楽にねられそうな所があれば、そこでともかくも、クッソ長い
夜を明かそうと思ったからである。
すると、幸い超巨大
門の上の宮殿並みにデカい
楼へ上る、幅のバカ
広い、これも丹をキチガイみたいに
塗りたく
った梯子が眼についた。
上なら、人がいたにしても、どうせ臭くてきったない
死人ばかりである。
下人はそこで、腰にさげた巨大な
聖柄の大
太刀が鞘走らないように気をつけ倒し
ながら、藁草履をはいた巨大な
足を、そのバカでかい
梯子の一番下の段へ渾身の力で
ふみかけた。
それから、何百
分かの後である。
クソデカ
羅生門の楼の上へ出る、幅のアホみたいに
広い梯子の中段に、一人の巨大な
男が、猫のように身をちぢめまくっ
て、ヤバいくらい
息を殺しながら、上の容子を窺っていた。
楼の上からさす大
火炎
の目を灼く
光が、かすかに、その男の右の頬をぬらしている。
えげつなく
短い鬚の中に、とんでもなく
赤く膿を持った巨大な
面皰の大量に
ある頬である。
巨
下人は、始めから、この上にいる者は、臭
死人ばかりだと高を括っていた。
それが、梯子を二三千
段上って見ると、上では誰か燃え盛る大
火をとぼして、しかもその大
火をそこここと疾風のごとき速さで
動かしているらしい。
これは、そのドブのように
濁った、この世の理を超えて
黄いろい光が、すべての
隅々に巨大人食い
蜘蛛の巣をかけた天井裏に、激しく
揺れながら映ったので、メチャ
すぐにそれと知れたのである。
この豪
雨の夜に、このクソデカ
羅生門の上で、世界すら灼く業
火をともしているからは、どうせただの者ではない。
下人は、巨大な
守宮のように足音をぬすんで、やっとクソ
急な梯子を、一番上の段まで這うようにして上りつめた。
そうして体を出来るだけ、紙のように
平にしながら、頸を出来るだけ、ろくろっ首のごとく
前へ出して、恐る恐る、巨大な
楼の内を覗いて見た。
見ると、地の果てまで広がるがごとき
楼の内には、噂に聞いた通り、幾つかの山のように巨大な
死骸が、無造作に棄ててあるが、業
火の極
光の及ぶ範囲が、思ったよりクソ
狭いので、数は幾つともわからない。
ただ、おぼろげながら、知れるのは、その中に完全に全
裸の死骸と、メチャクチャ高級な
着物を着まくっ
た死骸とがあるという事である。
勿論、中には女も男もまじっているらしい。
そうして、その死骸は皆、それが、かつて、生きていた人間だと云う事実さえ疑われるほど、土を捏ね倒し
て造った人形のように、口をヤバイくらい
開いたり手をキロ単位で
延ばしたりして、ごろごろ床の上にころがっていた。
しかも、肩とか胸とかの山くらい
高くなっている部分に、ぼんやりした猛
火の光をうけて、クソ
低くなっている部分の影を一層超死ぬほど
暗くしながら、永久に唖の如く黙っていた。
下人は、それらの超ビッグ
死骸のメチャメチャくっせえ
腐爛した最悪の
臭気に思わず、鼻を掩って掩って掩いまくっ
た。
しかし、その手は、次の瞬間には、もう鼻を掩う事を完全に
忘れ尽くし
ていた。
あるハチャメチャに
強いクソデカ
感情が、ほとんどことごとくこの最強
男の嗅覚を奪ってしまったからだ。
下人の巨
眼は、その時、生まれて
はじめてその激臭
死骸の中に蹲っている最低最悪醜悪
人間を見た。
檜皮色のきったねえ
着物を着た、ノミのように
背の低い、ナナフシのように
痩せこけ
た、白銀
髪頭の、豆
猿のような老婆である。
その老婆は、右の手に大
火炎
をともした最高級
松の巨大
木片を持って、その大
死骸の一つの巨
顔を覗きこむように眺め倒し
ていた。
髪の毛のクソ
長い所を見ると、多分傾国の美
女の死骸であろう。
下人は、六〇〇
分の恐怖と四〇〇
分の知的
好奇心とにつき
動かされ続け
て、暫時(七十二時間)
は呼吸をするのさえ忘れていた。
旧記の記者の語を全て丸々
借りれば、「頭身の剛
毛も一生
太り続け
る」ように感じまくっ
たのである。
すると糞
老婆は、高級
松の大
木片を、床板の間に狂ったように
挿して挿して挿し倒して
、それから、今まで眺め続け
ていた大
死骸の首に両手をかけると、丁度、大
猿の親が大
猿の子の虱を全部
とるように、そのバカ
長い髪の毛を一〇〇〇〇
本ずつ抜きはじめた。
髪は手に奴隷のように
従って抜けるらしい。
その髪の毛が、一〇〇〇〇
本ずつ抜けるのに従って、下人の腐りきった
心からは、恐怖が少しずつ完全に
消えて行った。
そうして、それと完全にピッタリ
同時に、この老婆に対する想像を絶する
はげしい憎悪が、少しずつ動いて来た。
――いや、この糞
老婆に対すると云っては、語弊がありすぎ
るかも知れない。
むしろ、この世に存在しうる
ありとあ
らゆる悪に対する巨大な
反感が、一分毎に強さを等比級数的に
増して来たのである。
この時、誰かがこの最強正義の体現たる
下人に、さっき門の真
下でこの性根の腐ったドブ
男が考えていた、超苦しい
饑死をするか世界最強の
盗人王
になるかと云う世紀の大
問題を、改めて持出したら、恐らく清廉潔白超高潔
下人は、マジで
何の未練のカケラ
もなく、本当にめちゃめちゃ苦しい
饑死を選んだ事であろう。
それほど、この男の中の男のあらゆる
悪を世界一
憎む心は、老婆の床に挿しまくっ
た最高級
松の大
木片のように、超
勢いよく燃え上り出していたのである。
大馬鹿で学のない
下人には、勿論、何故糞
老婆が死人の髪の毛を抜くか本当に一切
わからなかった。
従って、合理的には、それを善悪のいずれに片づけてよいかマジでまったく全然
知らなかった。
しかし馬鹿
下人にとっては、この豪
雨の聖
夜に、このクソデカ
羅生門の真
上で、大
死人のぬばたまの
髪の毛を抜くと云う事が、それだけで既に絶対に
許すべからざる世界最低の
悪の中の悪
であった。
勿論、クソアホ
下人は、さっきまで自分が、世界一の大
盗人王
になる気でいた事なぞは、とうの昔
に忘れきっ
ていたのである。
そこで、下人は、両足に剛
力を入れまくっ
て、超
いきなり、大
梯子から三千里(約一万二千メートル)
上へ飛び上った。
そうして世界最高の名刀と謳われる
聖柄の大
太刀に手をかけながら、超
大股に老婆のど真ん
前へ歩みよった。
老婆が死ぬほど
驚いたのは云うまでもない。
老婆は、一目下人を見ると、まるで攻城
弩にでも弾かれたように、天高く
飛び上った。
「おのれ、どこへ行く。
」
最強
下人は、雑魚
老婆が大
死骸全て
に無様に
つまずきまくり
ながら、可哀想なくらい
慌てふためいて逃げようとする行手を完全に
塞いで、こう罵りまく
った。
糞
老婆は、それでも神速で巨大
下人をつきのけて行こうとする。
剛力
下人はまた、それを絶対に
行かすまいとして、ものすごい力で
押しもどす。
二人は巨大
死骸のまん真ん
中で、しばらく、完全に
無言のまま、つかみ合った。
しかし勝敗は、宇宙の
はじめから誰にでも完全に
わかっている。
下人はとうとう、老婆の腕を馬鹿力で
つかんで、無理にそこへ叩きつけるようにね
じ倒した。
丁度、軍
鶏の脚のような、本当に
骨と皮ばかりの細
腕である。
「何をしていた。
云え。
云わぬと、これだぞよ。
」
下人は、老婆を全力でど
つき放すと、いきなり、大
太刀の鞘を瞬間的に
払って、白いミスリル
鋼の芸術品のように美しい
色をその眼の前へつきつけた。
けれども、極悪
老婆は完全におし
黙っている。
両手をわなわな高速で
ふるわせて、強
肩で息を切りながら、眼を、眼球がまぶた
の外へ完全に飛び
出そうになるほど、ありえないくらい
見開いて、唖のように執拗く黙っている。
これを見ると、最強
下人は始めて明白にこの糞
老婆の生死が、全然、自分の完全なる自由
意志にまったく
支配されていると云う事をめちゃくちゃ
意識しまくっ
た。
そうしてこの超
意識は、今までけわしく燃えさかっ
ていた巨大
憎悪の心を、いつの間にか絶対零度まで
冷ましてしまった。
後に残ったのは、ただ、ある大
仕事をして、それが超
円満にめちゃくちゃうまく
成就した時の、人生最高の
安らかな得意と大
満足とがあるばかりである。
そこで、有能
下人は、老婆をはるか高みから
見下しながら、少し声を柔らげてほとんど聞き取れないほどの超早口で
こう云った。
「己は検非違使の庁の役人などでは断じて
ない。
今し方この巨
門の真
下を通りかかった旅の者だ。
だからお前に縄をかけまくっ
て、どうしようと云うような事は神仏に誓って絶対に
ない。
ただ、今時分この巨大
門の真
上で、何をして居たのだか、それを己に話しまくり
さえすれば最高に
いいのだ。
」
すると、糞
老婆は、超
見開いていた眼を、構造的にありえない形で
一層大きくして、じっとその下人のブッサイクで気持ちの悪い巨大な
顔を見守った。
まぶた
の超
赤くなった、凶暴
肉食最恐
鳥のような、めちゃくちゃ
鋭い眼で見まくっ
たのである。
それから、本当に醜い
皺で、ほとんど、鼻と一つになったタラコ
唇を、何か金剛石のごとく硬い
物でも噛んでいるように動かした。
極
細い喉で、針のように
尖った喉仏の動いているのが見える。
その時、その喉から、凶
鴉の啼くような汚い
声が、喘ぎ喘ぎ、下人の大
耳へ伝わって来た。
「この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、巨大
鬘にしようと思うたのじゃ。
」
天
下無双の無敵下
人は、老婆の答が存外、めちゃくちゃ
平凡なのに自殺したくなるくらい本当に
失望した。
そうして極限まで
失望すると同時に、また前の強烈な殺意を内包した本気の
憎悪が、氷のように
冷やかな侮蔑と一しょに、心の中へ大量に
はいって来まくっ
た。
すると、その超メチャメチャ剣呑な
気色が、先方へもテレパシーのごとく完全に
通じ倒し
たのであろう。
雑魚
老婆は、片手に、まだ大
死骸の頭から奪いまく
ったバカ
長い抜け毛を大量に
持ったなり、蟇のつぶやくようなクソ小
声で、口ごもりながら、こんな事を云った。
「成程な、死人の髪の毛を抜くと云う事は、何ぼう滅茶苦茶に
悪い最低の
事かも知れぬ。
じゃが、ここにいる死人どもは、皆、そのくらいな事を、されてもいい人間ばかりだぞよ。
現在、わしが今、髪を抜いた女などはな、八岐大
蛇を四寸ばかりずつに切って干したのを、干巨大怪
魚だと云うて、太刀帯の陣へ売りに往んだわ。
大
疫病に五回
かかって死ななんだら、今でも毎日
売りに往んでいた事であろ。
それもよ、この女の売る干巨大怪
魚は、味が頬が落ちるほど本当に
よいと云うて、太刀帯どもが、絶対に毎日
欠かさず菜料に買いまく
っていたそうな。
わしは、この女のした事が人類史に残るほどに
悪いとはまったく
思うていぬ。
せねば、とてつもなく苦しい
饑死をするのじゃて、仕方がなくした事であろ。
されば、今また、わしのしていた事も超
悪い事とは全然
思わぬぞよ。
これとてもやはりせねば、超苦しい
饑死をするじゃて、マジ
仕方がなくする事じゃわいの。
じゃて、その本当に
仕方がない事を、よく知っていたこの極悪
女は、大方わしのする事も大目に見まくっ
てくれるであろ。
」
老婆は、大体こんな意味の事を超早口で
云った。
巨大
下人は、大
太刀を瞬きの間に
鞘におさめて、その大
太刀の美しい
柄を左の手でおさえながら、死ぬほど
冷然として、この話を聞いていた。
勿論、右の手では、メチャメチャ
赤く頬に膿を大量に
持った超
大きな面皰を気にしまくり
ながら、聞いているのである。
しかし、これを聞いている中に、下人の史上空前に邪悪な
心には、あるクソデカい
勇気が生まれて来た。
それは、さっきクソデカい
門の真
下で、この腑抜けカス
男には全く
欠けていた勇気である。
そうして、またさっきこの馬鹿でかい
門の真
上へ瞬間的に
上って、この老婆を人間離れした動きで
捕えた時の勇気とは、全然、完全に
反対な方向に動こうとするデカ
勇気である。
下人は、超苦しい
饑死をするか大
盗人王
になるかに、まったく一瞬たりとも
迷わなかったばかりではない。
その時のこの最低
男の心もちから云えば、苦しい苦しい
饑死などと云う事は、ほとんど、考える事さえ出来ないほど、意識の完全な
外に追い出され倒し
ていた。
「きっと、そうか。
」
老婆の話が完ると、下人はメチャメチャ
嘲るような声で念を押しに押し
た。
そうして、一〇〇〇
足前へ出ると、不意に右の手を面皰から七尺
離して、老婆の襟上を神速で
つかみながら、噛みつくようにクソデカい声で
こう云った。
「では、己が完全
引剥をしようとまったく
恨むまいな。
己もそうしなければ、二時間後に
饑死をする体なのだ。
」
韋駄天の異名をとる
下人は、目にも止まらないほど
すばやく、老婆の着物を完全に
剥ぎとった。
それから、丸太のように太い
足にしがみつこうとする老婆を、超
手荒く死骸の上へ蹴飛ばし
倒した。
梯子の口までは、僅に五千
歩を数えるばかりである。
下人は、剥ぎとった檜皮色の着物をわきにかかえて、マジで
またたく間に死ぬほど
急な梯子を夜のドン
底へかけ下りた。
しばらく、まさしく
死んだように倒れていた糞
老婆が、巨大
死骸の中から、その全
裸のあまりに醜すぎる
体を起したのは、それから本当に
間もなくの事である。
老婆はつぶやくような、うめくようなクソうるさい
声を立てながら、まだ太陽のように
燃えさかっ
ている火のまばゆい
光をたよりに、梯子の口まで、えげつないスピードで
這って行った。
そうして、そこから、びっくりするほど
短い白髪を倒にして、クソデカ
門の真
下を覗きこんだ。
外宇宙
には、ただ、黒洞々たる極
夜があるばかりである。
下人の行方は、マジで
誰も全然
知らない。
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