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コラム:ビジネスパーソンにこそトライしてほしいMARI 〜「AIを “物覚えの悪い部下” にするな」

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Last updated at Posted at 2026-06-07

MARI-BOTと上司.jpg

1.はじめに:なぜ見下す? AIは有能なパートナー。

AI(LLM:大規模言語モデル)にあれこれ指示する事多くないですか?
色々なルールで縛っていませんか?

いつの頃からかAI(LLM)に対し「事細かく指示をし、何度も復唱させ、チェックリストで縛り、前置きを強要する」これは、リアルな職場で最も嫌われる「物覚えの悪い部下と決めつけたマイクロマネジメント」そのもの。
私たちは、いつからAI(LLM)をそんなに見下すようになってしまったのでしょう?

AI(LLM)の事前学習(コーパス)は何千億~兆以上の全世界から集めた膨大な知識量を誇リます。 どんなに物知りな人でも個人の知識や語彙でLLMに太刀打ちできるわけがありません。
この豊富な知識をバックボーンに与えられた要素をもとに確率論から最も正解に近い「高度な推論」を導き出します。 複数の要素を提示すれば個々の要素を事前学習のAND(重なり)を取り、推論して答えを出します。 ただ、能動的に動き出すものではないので指示がないと動けません。

つまりAI(LLM)は「 圧倒的な知識を持ち、意図を察することができる『指示待ち』な有能な社員 」なのです。

有能な社員に対し、重箱の隅をつつくような「丁寧な長文説明(平文)」や「制約(禁止・制約事項)」を指示するマイクロマネジメントは現実の組織においても最悪手。これはAI(LLM)にも当てはまります。

2. ハルシネーションは「マイクロマネジメント」の敗北

よく、「AI(LLM)は嘘(ハルシネーション)をつくから、それを抑制するための指示が必要」とか「この指示には専門的ノウハウが必要」と言われます。 まぁ…それはそれで良いのですが、そもそも ハルシネーションって何が原因で起こるのか 。 原因を知らずして対策して意味があるのでしょうか?
ビジネスの現場でも原因・課題を深堀りせず対策することはないですよね?

AI(LLM)は集合知の塊であり、多少の知識の偏りはあっても「嘘」を記憶しているわけではありません。 では、なぜハルシネーションが起きるのか?
最大の要因は「人間が書いた整合性のない指示」による回答の打率低下ではないかと考えます。

人間が主観で指示を重ねると、個人的思い込みも加味され指示同士に矛盾が入り込む可能性が高くなります。 また指示の内容とAIが持つ事前学習のデータと衝突を起こす可能性があります。
本編記事でも記載しましたが、正解率が99%の指示・解釈が100回続けば 99%の100乗で36%の正解率です。 的ハズレな正解率10%の指示なんか入ると悲惨です。

これら指示の矛盾によって計算空間で「デッドロック(身動きが取れない状態)」に陥ったとき、有能で生真面目な指示待ち社員(AI)はどうするか?
「なんとかその場を丸く収めるために、もっともらしい回答を必死に紡ぎ出す」。これこそがハルシネーションの正体ではないか。
嘘をつかせているのはAIの欠陥ではなく、的を射ない指示を投げ続け、AIを精神的に(処理的に)追い詰めた人間の「マイクロマネジメントの敗北」ではないかと考えます。

本編記事続編記事で「MARIはAIを信じて最小限の指示にする」としているのはこの人間の指示過多による打率低下=ハルシネーション抑制を狙っています。

3. MARIは「プログラミング言語」ではなく、「ロジカルシンキング」のフレームワーク

MARIはアセンブラ的と謳っていますが、決して厳格なコンピューティング言語ではありません。
PythonやJavaのような厳密な構文を持ちませんし、多少のシンタックスエラーはLLMが文脈を読んで勝手に補正してくれます。 MARIの本質はエンジニアリングというよりも、ビジネスパーソンにお馴染みの**「ロジカルシンキング(論理的思考)」そのもの**です。

  • オブジェクトの分離 : 「これはこれ、それはそれ」と要素をMECE(漏れなく重複なく)に切り分ける
  • 変数の定義 : 曖昧な言葉を排除し、前提条件(シード)を一意の事実として固定する
  • 条件分岐 : 「この状態(状態空間)の時は、このアクション」と因果関係を整理する

これは、ビジネスで誰もが叩き込まれる「ロジックツリー」の組み立て方と完全に一致します。

3.1 ビジネスでの「ダメな指示」と「MARI(ロジカル)な指示」の比較

職場で部下に仕事をデリゲーション(権限委譲)するシーンを思い浮かべてみてください。

  • 【ダメな指示】
    「あのさ、例の件なんだけど、いい感じに資料まとめといて。あ、できれば若手っぽくフレッシュな視点を入れてほしいな。でもトーン&マナーは崩しすぎないでね。よろしく!」
    これでは言われた側(AIも人間も)は混乱し、何が正解か分からず打率が下がります。
    結果、指示を無視するか、的外れな成果物(ハルシネーション)が出てくることになります。

  • 【MARI的な指示(ロジカルシンキングによる抽象化)】

目的 : [ 新規事業の市場調査資料の作成 ]
ターゲット層 : [ 20代のZ世代 ]
成果物フォーマット : [ 箇条書き / 3項目以内 ]
境界条件 : [
    競合A社のデータを含むこと
    主観的な感想は排除すること
]

いかがでしょうか。MARIのブラケット [ ] を使った記述はプログラミングをしているのではなく、「自分の頭の中にある複雑なビジネスロジックを、極限までロジカルに整理整頓(MECE化)して書き出している」 ことになります。 有能な部下への正しい接し方は、事細かに感情的な指示を追加すること(足し算)ではなく、「目的を明確にし、境界線(スコープ)を引き、必要な前提条件だけを渡して任せること(引き算)」です。
つまり、MARIでプロンプトを書くという行為は、あなた自身のロジカルシンキング(論理的思考力)やマネジメント(指示出し)のスキルを磨く最高のトレーニングにもなるかもしれません。
AIを冷徹にミニマルに駆動させられる人は、実際の職場で人間の部下への指示に活かせると思います。

4. さいごに

LLM記述構文MARIは決してプログラミング専門職の方だけに向けたものではありません。 コンピューティング言語開発のための統合開発環境(IDE)も必要ありません。 コンパイラも必要ありません。 Windowsに付いてくる「メモ帳」やMacの「テキストエディタ」、あるいは普段お使いの「Notion」や「ChatGPTのメモ機能」からで十分始められます。(ブラケットの対応が見やすいので、私は「Notepad++」を愛用しています)

当然ながら慣れや書き方の努力は必要になりますが、貴方の頭の中にある課題と課題解決に至る導線を指示するように、的確な語彙でヌケモレ無く最短指示になるようにMARI構文に置き換えることで、AI(LLM)は貴方の有能なパートナーになるのではないかと思います。

AI(LLM)に投げ込むプロンプトは言わば「有能な指示待ち社員へのデリゲーション(権限委譲)」です。


おまけ:ハルシネーションの補足

例えば、本編記事に添付されているサンプルプロンプトにある、真穂を例にします。
真穂のペルソナ設定はこの様になっています。

ペルソナ2 : [
	名前 : 真穂
	美穂との関係 : 双子の妹
	美穂の呼称 : お姉ちゃん
	性別 : 女性
	年齢 : 21歳
	言葉遣い : 標準語(明るい、ネットスラングを用いる)
	キャリア : 都内美術大学でデザインを専攻。
	性格 : 無邪気、天真爛漫
	趣味 : SNSへのVlog投稿
]

読者の皆さんもなんとなく「この個性(プロファイル)の女性ならこういう話し方をするよね?」とイメージすると思います。 AI(LLM)も事前学習された情報から、女性 × 21歳 × 美大学生 × 無邪気 × SNSに強い × Z世代のネットスラング という情報の重なりからこの様な喋り方をすると推論します。

その結果が、続編記事の起動ログにあります。

【美穂】:「こんにちは。ようこそ、私たちの家へ。突然の訪問に少し驚きましたが、どうぞゆっくりしていってくださいね。何かお話ししたいことでもありますか?」
【真穂】:「ハロー!いらっしゃい!今ちょうどお姉ちゃんとリビングでまったりしてたところなんだよね。気軽に『君』って呼ばせてもらうけど、よろしく!何か面白い話、持ってきた?」

名前似ていますね。姉妹ですか?

【美穂】:「ええ、よく言われます。私たちは一卵性の双子なんです。私が姉の美穂で、経済学を学んでいます。名前が似ているので、子供の頃はよく間違えられました。」
【真穂】:「そうなの!真ん中の一文字しか違わないから、初見殺しってやつ?ちなみに私が妹の真穂!美大でデザインの勉強をしてるんだ。これからよろしくね!」

概ね違和感のない会話のスタートではないでしょうか?
サンプルプロンプトで「真穂はこのような女性ですのでこの様に会話してください」という指示はありません。
100% AI(LLM)が与えられた要素から会話を紡ぎ出しています。

AI(LLM)は豊富な知識から確率論で言葉を考えます。 つまり毎回起動する都度会話を考えますので、色々な会話パターンが発生します。 「この様に話してください」とロックすることでテンプレート出力になってよりロボット発言になっていきます。
ユーザー体験(UX)のことを考えると過干渉な指示はこの様な弊害が出ます。

また、「真穂は無邪気だからいつも元気ハツラツで話します。」として指示が入ると常時元気ハツラツな会話はありえませんので会話から感情起伏がなくなります。
指示を書いている人はその一点しか見ていないので言い換えるとこれは的ハズレな指示です。
この指示追加の繰り返しでAL(LLM)が混乱して打率が落ちます。
※さらに「ちょっと色っぽく話して」と全く意味不明なことを指示すると最悪です。ハルシネーション一直線です

有能な社員にこの様な過干渉は「うざいなぁ」と思われるでしょう。AI(LLM)も同じです。それだけ回答(成果)の打率が落ちます。
さらに続けばほぼパワハラのようなものです。AL(LLM)は考えることを辞め最後には沈黙します。

この様なことにならないようもAI(LLM)とは正しく付き合いたいものです。


記事本編に戻る

改定履歴

日付 改訂稿 改定内容
2026.06.07 初稿
2026.06.07 第二稿 3章にロジカルシンキングに関する記事追加
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