🧭 はじめに
OODA(ウーダ)ループって、実は1970年代にアメリカ空軍で生まれたフレームワークです。
「Observe → Orient → Decide → Act」――つまり「観察して、状況を読み解いて、判断して、動く」。
ちょっと古い? いえいえ。
実はこのOODA、不確実でスピードが求められる現場では今でもバリバリ現役なんです。
特にこんな場面、思い当たりませんか?
- チームで判断が遅れる/誰も決めない
- 会議はしてるけど、何も進まない
- 同じ問題を何度も繰り返してる…
そんなときにこそOODAが効きます。
本記事では、このOODAをNotionテンプレートとして運用に落とし込み、実際のチーム改善にどう役立ったか、3つの具体事例で紹介します。
「ちょっとOODA回してみようかな」と思ってもらえる内容になっていたら嬉しいです。
🧠 OODAループの思考ステップ(図解)
🔄 OODAループとは?
OODA = Observe(観察) → Orient(状況判断) → Decide(意思決定) → Act(行動)
フレームワーク | 主な適用先 | 特徴 |
---|---|---|
PDCA | 業務改善・製造工程 | 反復・安定運用 |
OODA | 軍事戦術・開発現場 | 柔軟・初動判断・不確実性への対応 |
🧩 Notion × OODA テンプレート構成
以下のように、OODA各ステップをNotionデータベースのテンプレートにマッピングしています。
ステップ | 記入観点 | 連携先 |
---|---|---|
🔍 Observe | 客観的に何が起きた? | KPIダッシュボード/顧客問い合わせDB |
🧭 Orient | なぜそれが起きた?どんな構造課題? | ナレッジDB/インシデント分析ページ |
✅ Decide | 何をどう判断した?他の選択肢は? | 意思決定レビューDB/Slack議事録 |
🚀 Act | 実際に何をどう実行した? | タスクDB(Jira/GitHub連携可) |
※ 週次テンプレートとして複製 → 振り返り会でレビューする運用
📌 具体事例①:要件変更ラッシュの炎上案件で適用
背景:
- 顧客側の要件変更が週2回以上発生
- 開発側がリスク想定・方針決定の暇もなく、実装と巻き戻しが連続
OODAテンプレ運用:
Observe:
・要件変更6件中、3件は「仕様認識のズレ」が原因
・レビューコメントで「いつ決まったのか分からない」声が多数
Orient:
・顧客の決裁フローが非公開で、調整者が曖昧
・バックログに未反映のタスクがあり進捗と乖離
Decide:
・毎週火曜朝に「仕様変更レビュー会」を固定開催
・Notionに仕様承認DBを設置、履歴トラッキング開始
Act:
・Slack通知 + Notionコメント強制運用
・レビューコメントを毎週OODAテンプレに記録 → 再発防止へ
結果:
- 手戻り回数:週3件 → 月1件まで減少
- チームメンバーの「不安/自信のなさ」が激減
📌 具体事例②:属人化した障害対応体制をOODAで見える化
背景:
- 担当者Aだけが障害検知〜仮対応まで対応
- ドキュメントが残っておらず再発時に混乱
OODAテンプレ運用:
Observe:
・2月〜4月で同様のDBエラーが3回発生
・復旧プロセスが毎回異なる(担当者の勘)
Orient:
・構成図/監視対象サービスのナレッジが口頭レベル
・全員が「仮説→実行→報告」の流れを理解していない
Decide:
・障害報告書をOODAテンプレ形式に統一
・定例で「Decide」「Act」の妥当性をレビューする体制へ
Act:
・障害発生時の初動をテンプレ複製で即記録
・Notion上でタグ付け&履歴蓄積
結果:
- トリアージミス:3回 → 0回に改善
- 新人でも初動対応の流れが把握できるように
📌 具体事例③:“誰も決めない”タスク停滞問題をOODAで解消
🎯 背景:
- タスク一覧に「重要だけど緊急じゃないもの」が多数放置
- 誰が決めるのか曖昧、誰も手を出さず、レビュー会でもスルーされがち
🔄 OODAテンプレ運用:
Observe:
・2週間以上放置されたタスクが10件以上
・「気づいていたけど誰も判断していなかった」という声
Orient:
・重要度と緊急度が混同されており、意思決定が後回しに
・「責任者が不明」「判断基準が共有されていない」構造的課題
Decide:
・判断基準(影響度×実行難度)を明示化
・“放置OKな条件”も併記し、行動/棚上げの線引きをルール化
Act:
・停滞タスク用Notionビューを作成(フィルタ:2週間未更新)
・週次で「判断未決タスクレビュー」を実施
・担当者割当&期日を明記し、Actとしてログ化
結果:
- 停滞タスクが約60%減少(1か月後)
- チームが「進めて良いか迷ったらOODAを書く」文化へ進化
- メンバー間の“判断責任の分担”が見えるようになった
🛠 技術連携:Notion × Slack × GitHub
連携 | 内容 |
---|---|
Slack通知 | ActステップにアサインされたらDM通知 |
GitHub Issue | OODAのDecideから直接Issue作成する連携Zap |
CSV出力 | 月次のOODA記録をCSV出力 → KPI振り返り用グラフ作成 |
⚠️ 失敗したこと・挫折ポイント
-
Orientの記入が曖昧になり「感想」になってしまうケース
→ 対策:Orient欄に「なぜ?なにが?なにと比べて?」の質問例を補助 -
Actが放置される(やったつもり)
→ 対策:Actには “完了チェックボックス” + Slack通知を仕掛ける -
テンプレを「毎回ゼロから書くのが面倒」問題
→ 対策:直近のテンプレを複製 → 前週分参照の運用に変更
💡 OODAを定着させる文化設計Tips
仕組み | 工夫したポイント |
---|---|
定例レビュー | 毎週木曜「OODA共有会」で5件レビュー(各5分) |
リンク集約 | Slack日報からNotionテンプレへ自動リンク |
評価制度連動 | Decide/Act記録数をMBO/OKR進捗に紐づけて運用 |
🙌 まとめ
OODAループは“学ぶもの”ではなく“使って初めて意味があるもの”です。
Notionテンプレートに落とし込むことで、チームの意思決定と行動を構造化し、継続的な改善に転換することができます。