はじめに
『秋葉原ロボット部 理論グループ Advent Calendar 2025』の投稿です
- 『一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する』読書会は
- 2022/10/24~2025/07/07の期間で139回開催されました
- ちなみに、僕は2023/07/03(第37回)からの途中参加でした
この有益な読書会は終了しましたが、多くの部分が納得できず、モヤモヤが続いています、まあ、いつかスカッとするでしょう
『力学・場の理論: ランダウ=リフシッツ物理学小教程』を読む機会があり、§36.ローレンツ変換のセクションに4次元時空での回転の話がとても興味深かったので記事にしました
※直感的に理解できることを目的としており、定義とかは適当なのでご勘弁ください
概要
この記事の概要はこんな感じです
- 特殊相対論での4次元は、時間+3次元空間で、${ct, x, y ,z}$ の4次元
- この4次元時空で不変な量は、世界間隔
$$
ds^2 = c^2 t^2 - dx^2 - dy^2 - dz^2
$$
- 4次元時空$(ct,x,y,z)$での回転は以下の6種類
- $xy,yz,zx$:空間座標の中での回転 => 空間回転
- $tx,ty,tz$:時間軸と空間軸での回転 => ローレンツ・ブースト (速度変換) 👈
面白いと思ったのは、時間軸と空間軸での回転です、なんだか、アレッ!て感じを持ちませんか?
3次元空間と4次元時空
3次元空間 (ユークリッド空間)
相対性理論で扱う3次元空間$(x,y,z)$は、ユークリッド空間と呼ばれます
ユークリッド空間においての距離は、空間距離$(dl)$として以下のように定義されています
$$
dl^2 = dx^2 + dy^2 + dz^2
$$
4次元時空 (ミンコフスキー空間)
相対性理論で扱う4次元時空$(ct,x,y,z)$は、ミンコフスキー空間と呼ばれます
ミンコフスキー空間においての距離は、時空間隔 (世界間隔)$(ds)$として以下のように定義されています
$$
ds^2 = c^2 t^2 - dx^2 - dy^2 - dz^2
$$
3次元空間での回転
$xy$面において考えます、この$dl^2$を不変、例えば$1$とするためには
dl^2 = dx^2 + dy^2 = 1
これは、見た瞬間、三角関数に置き換えればよさそうですね
$$
\begin{aligned}
dx &= \cos \theta \\
dy &= \sin \theta \\
\end{aligned}
$$
これって、いわゆる、円ですね
$$
dl^2 = dx^2 + dy^2 \\ = \cos^2 \theta + \sin^2 \theta = 1
$$
距離$dl^2$を不変とするような変換は回転変換ということですね
点$(x,y)$から点$(x',y')$の回転変換は以下です
\begin{bmatrix}
x' \\ y'
\end{bmatrix}
=\begin{bmatrix}
\cos \theta & -\sin \theta \\ \sin \theta & \cos \theta \\
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix}
x \\ y
\end{bmatrix}
※(注) 距離を不変とする変換は、平行移動、鏡映などもありますが・・
4次元時空での回転
$xy$面での回転は3次元での回転とまったく同じです
$ty$面において考えます、この$ds^2$を不変、例えば$1$とするためには
ds^2 = (cdt)^2 - dx^2 = 1
以下のような変換が考えられす
$$
\begin{aligned}
cdt &= \cosh \theta \\
dx &= \sinh \theta \\
\end{aligned}
$$
これは、馴染みがないかもしれませんが、双曲線関数と呼ばれていて振る舞いが三角関数っぽいです、ハイパーボリックsin、ハイパーボリックcosと読みます
$$
ds^2 = (cdt)^2 - dx^2 \\ = \underline{\cosh^2 \theta - \sinh^2 \theta = 1}
$$
世界間隔 $ds^2$を不変とするような変換はローレンツ変換です
点$(x,y)$から点$(x',y')$の回転変換は以下です
\begin{bmatrix}
ct' \\ x'
\end{bmatrix}
=\begin{bmatrix}
\cosh \theta & -\sinh \theta \\ -\sinh \theta & \cosh \theta \\
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix}
ct \\ x
\end{bmatrix}
以下のように置くと、見慣れた式になります、$\theta$をラピディティと呼びます
\begin{aligned}
\cosh \theta = \gamma = \frac{1}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}\\\\
\sinh \theta = \gamma \beta = \frac{\frac{v}{c}}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}
\end{aligned}
\begin{bmatrix}
ct' \\ x'
\end{bmatrix}
=\begin{bmatrix}
\gamma & -\gamma \beta \\ -\gamma \beta & \gamma \\
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix}
ct \\ x
\end{bmatrix}
=\begin{bmatrix}
\frac{1}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}} & -\frac{\frac{v}{c}}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}} \\
-\frac{\frac{v}{c}}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}} & \frac{1}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}} \\
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix}
ct \\ x
\end{bmatrix}
双曲線関数
\begin{aligned}
\cosh x = \frac{e^x + e^{-x}}{2} \\
\sinh x = \frac{e^x - e^{-x}}{2}
\end{aligned}
ちなみに、三角関数はオイラーの公式 $e^{i \theta} = \cos \theta + i \sin \theta$から以下のように指数関数で表現することができます、すごく似ていますよね、振る舞いが似ているのはこの辺から生じるのですね
\begin{aligned}
\cos x = \cos ix = \frac{e^{ix} + e^{-ix}}{2} \\
\sin x = \sin ix = \frac{e^{ix} - e^{-ix}}{2i}
\end{aligned}
後記
コメントや誤りの指摘などありましたら、大歓迎です、大らかな気持ちで、お願いいたします