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【初心者向け】KubernetesはECSやACIと何が違う? メリットとユースケースで学ぶ最適な選び方

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クラウドコンテナの新常識! KubernetesはECSやACIと何が違う? メリットとユースケースで学ぶ最適な選び方

対象読者

  • クラウド(AWS, Google Cloud, Azureなど)でVMやコンテナをすでに利用している方
  • Kubernetesに興味はあるが、ECSやACIといったサービスとの違いがよく分かっていない方
  • 将来の技術選定のために、コンテナオーケストレーションツールの知識を整理したいエンジニア

TL;DR

  • KubernetesはGoogle社内の技術(Borg)から生まれた業界標準のコンテナ管理ツール。クラウドを問わず使える「移植性の高さ」が最大の武器。
  • ECS (AWS) や ACI (Azure) は各クラウドに最適化されたシンプルなコンテナ実行サービス。手軽に始められるが、そのクラウドにロックインされやすい。
  • **「マルチクラウド戦略」「複雑なマイクロサービス」**といったユースケースではKubernetesが圧倒的に有利。シンプルなアプリならECSやACIが手軽。

1. はじめに:コンテナ時代の司令官、Kubernetesの登場

Dockerなどのコンテナ技術は、アプリケーションの実行環境をコード化し、「どこでも同じように動く」を実現しました。しかし、コンテナの数が増え、複数のコンテナが連携するシステム(マイクロサービスなど)が当たり前になると、新たな課題が生まれました。

  • 「たくさんのコンテナを、どうやって効率的に配置・管理するのか?」
  • 「コンテナが停止したら、誰が自動で再起動してくれるのか?」
  • 「システムの負荷に応じて、コンテナの数を自動で増やしたり減らしたりできないか?」

これらの課題を解決する「コンテナオーケストレーション」の必要性が高まり、そのデファクトスタンダード(業界標準)となったのがKubernetesです。

Kubernetesの誕生:Googleの叡智からオープンソースへ

Kubernetesは、もともとGoogleが社内で10年以上にわたって大規模なコンテナ管理を行ってきた「Borg」というシステムが原型です。 Googleは、このBorgで培ったノウハウを基にKubernetesを開発し、2014年にオープンソースとして公開しました。

Kubernetes is an open source project that grew out of years of experience at Google running production workloads at scale using a system called Borg.
(What is Kubernetes? | Kubernetes)

Googleがこれをオープンソース化した目的は、特定の企業に依存しない、健全なコンテナエコシステムを業界全体で育てることでした。その結果、Kubernetesは主要なクラウドプロバイダー(AWS, Azure, Microsoft)に採用され、クラウドやオンプレミスを問わず利用できる普遍的な技術基盤となったのです。


2. Kubernetesと主要なコンテナサービスの決定的な違い

「コンテナを動かす」という点では同じですが、Kubernetesと、AWSのECS (Elastic Container Service) や AzureのACI (Azure Container Instances) のようなサービスには、その思想に大きな違いがあります。

比較軸 Kubernetes (EKS, GKE, AKS) 主要なコンテナサービス (AWS ECS, Azure ACI, Google Cloud Run)
標準化と移植性 ◎ 業界標準(デファクトスタンダード)
・クラウド間やオンプレミスで同じ知識・設定ファイルが通用
・ベンダーロックインを回避しやすい
△ 各クラウドに最適化
・各クラウドのサービスと深く連携し、その中では使いやすい
・他クラウドへの移行コストが高い
機能の豊富さと拡張性 ◎ 非常に豊富でエコシステムが巨大
・複雑なネットワークやストレージも柔軟に設定可能
・監視、セキュリティなど周辺ツールが豊富に存在する
◯ シンプルで学習が容易
・基本的な機能に絞られ、すぐに使える
・クラウドの管理画面から直感的に操作可能
インフラの抽象度 △ インフラを意識した柔軟な設定
・Pod, Service, Deploymentなど独自の概念を学ぶ必要あり
・インフラ構成を細かく制御できる
◎ インフラをほぼ意識しない
・コンテナイメージを指定するだけで実行できる(サーバーレスに近い)
・手軽さが魅力

簡単に言えば、「どこでも使える高機能な万能ツールキット」がKubernetes「そのクラウド専用のお手軽なコンテナ実行ボタン」がECSやACI、とイメージすると分かりやすいでしょう。


3. ここが強い!Kubernetesが本当に輝くユースケース

では、具体的にどのような場面でKubernetesの強力な機能が活きるのでしょうか。

1. マルチクラウド・ハイブリッドクラウド戦略

将来的にAWSからGoogle Cloudへ移行する可能性があったり、オンプレミスのデータセンターとクラウドを併用したりする場合、Kubernetesは絶大な効果を発揮します。アプリケーションの設定ファイル(マニフェスト)をほぼ変更することなく、異なる環境へアプリケーションを移すことが可能です。

2. 複雑なマイクロサービスアーキテクチャ

多数のサービスが連携して動く複雑なシステムでは、Kubernetesの出番です。サービス間の通信を制御する「サービスメッシュ」のような高度な仕組みを導入したり、特定のサービスだけを細かくスケールさせたりといった、柔軟な運用が実現できます。

3. 自社のプラットフォーム基盤(PaaS)の構築

開発チームに「この基盤の上で自由にコンテナを動かして良いよ」と提供するような、共通のアプリケーション実行基盤を作る際に、Kubernetesの標準化と拡張性が役立ちます。CI/CDパイプラインとの連携も容易です。


4. 3大クラウドのKubernetesサービス比較 (EKS vs GKE vs AKS)

主要なクラウドベンダーは、Kubernetesの管理を楽にしてくれるマネージドサービスを提供しています。

サービス名 クラウド 特徴
Amazon EKS AWS AWSの他のサービス(IAM, VPC, ELBなど)との連携が非常に強力。AWSのエコシステムをフル活用したい場合に最適。カスタマイズの自由度が高い反面、設定が複雑になる側面も。
Google Kubernetes Engine (GKE) Google Cloud Kubernetesの元祖であるGoogleが提供。クラスタの自動アップグレードや自動修復など、運用の自動化と安定性に強みを持つ。「Autopilotモード」ではノード管理が不要になり、よりサーバーレスに近い感覚で利用可能。
Azure Kubernetes Service (AKS) Azure 開発者体験を重視しており、GitHub ActionsやVisual Studio Codeとの統合がスムーズ。仮想ノード機能により、ACIと連携してサーバーレスでコンテナを素早く実行することも可能。

どのサービスも基本的な機能は同じですが、「連携するエコシステム」と「運用の自動化思想」に少しずつ違いがあります。


5. まとめ:あなたのプロジェクトに最適な選択は?

結局、どちらのタイプのサービスを選ぶべきなのでしょうか?

シンプルなコンテナサービス(ECS, ACIなど)が向いているケース

  • 利用するクラウドは特定の1社に決めている
  • とにかく早く、手軽にコンテナを動かしたい
  • マイクロサービスのような複雑な構成ではない
  • Kubernetesの学習コストをかけたくない

Kubernetes (EKS, GKE, AKS) が向いているケース

  • 将来的に他のクラウドへの移行マルチクラウドを視野に入れている
  • 複雑なマイクロサービスを構築・運用する必要がある
  • 業界標準の技術を習得し、ポータブルなスキルを身につけたい
  • 自社でカスタマイズ可能なプラットフォームを構築したい

コンテナ技術の選定は、プロジェクトの規模や将来の展望に大きく依存します。この記事が、皆さんのプロジェクトにとって最適な一歩を踏み出すための助けとなれば幸いです!


6. 参考ドキュメント

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