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gRPC入門

Last updated at Posted at 2025-09-30

gRPC入門

1. はじめに

「マイクロサービス」「クラウドネイティブ」といった言葉をよく聞くようになった昨今、サービス間の高速な通信を実現する技術としてgRPCが注目を集めています。

「名前は聞いたことあるけど、REST APIと何が違うの?」
「導入すると何が嬉しいの?」
「実際の開発ではどうやって使うの?」
この記事では、そんな疑問に答えるべく、制作しました。

2. gRPCとは?

gRPC(gRPC Remote Procedure Calls)とは、Googleが開発したオープンソースのRPC(Remote Procedure Callフレームワークです。

RPCを直訳すると「遠隔手続き呼び出し」。簡単に言えばネットワーク越しに、別のサーバーにある関数を、まるで手元にあるかのように呼び出すための仕組みです。

gRPCは、このRPCを以下の技術で実現しています。

  • 通信プロトコル: HTTP/2 を採用し、高速で効率的な通信を実現
  • データ形式: Protocol Buffers というバイナリ形式を使い、データを小さく圧縮

3. gRPCの最大の特徴:スキーマ駆動開発

gRPC開発の核となるのが、スキーマ駆動開発というスタイルです。

  1. protoファイルでスキーマ(APIの仕様)を定義する
    protoという専用のファイルに、APIの仕様書となる「どのようなデータを送受信するか」「どのような関数を呼び出せるか」を定義します。この定義ファイルが、サーバーとクライアント間の唯一の「契約書」となります。
  2. コードを自動生成する
    作成した.protoファイルから、専用のコンパイラ(protoc)を使って、Go, Java, Pythonなど様々な言語のサーバー/クライアントのひな形コードを自動で生成します。
  3. ビジネスロジックを実装する
    自動生成されたコードのインターフェースに沿って、具体的な処理内容を実装していきます。

この開発スタイルにより、「言った・言わない」といったサーバーとクライアント間の仕様の認識ズレがなくなり、開発をスムーズに進めることができます。

4. gRPC と REST API それぞれの特徴

gRPCの利点を理解するために、Web APIの主流であるRESTと比較してみます。

特徴 gRPC REST API
プロトコル HTTP/2 HTTP/1.1 (HTTP/2も可)
データ形式 Protocol Buffers (バイナリ) JSON (テキスト)
パフォーマンス 高速。データが軽量で、通信も効率的。 比較的低速。データが冗長で、パースにも時間がかかる。
API定義 厳密 (.protoファイルが必須) 任意 (OpenAPI等に依存)
ストリーミング 標準サポート 別途実装が必要 (WebSocketなど)
コード生成 標準機能 ツールに依存
ブラウザ対応 限定的 (gRPC-Webが必要) 完全対応
  • gRPC: パフォーマンスが最優先されるサーバー間通信や、モバイルアプリとの通信。リアルタイムな双方向通信が必要な場合。
  • REST API: ブラウザから直接アクセスされるような公開API。シンプルさが求められる場面。

5. gRPCの導入事例とまとめ

gRPCは、Netflix, Square, Dropbox といった多くの企業で利用されています。

  • パフォーマンスが命のサーバー間通信に強い
  • 厳密なスキーマ定義で、大規模開発でも安定
  • ストリーミングでリアルタイム通信も得意

REST APIがなくなるわけではありませんが、適材適所でgRPCを選択することで、より堅牢で高性能なシステムを構築できます。

ぜひ、次のプロジェクトでgRPCの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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