Ollama v0.30、Granite 4.1、LLM-jp-4-VL、Foundry Local、Gemma 4 12B を確認する
はじめに
以前、以下の記事で Windows 11 PC で使うローカルLLM候補を整理しました。
Windows 11 PCで動作する開発用途のローカルLLMの選定
前回の記事では、以下の条件で候補を絞りました。
- Windows 11 Pro を維持
- RTX 4060 Ti 16GB
- 開発用途
- ローカル実行前提
- 非中国系に絞る
- Ollama を主系にする
その時点で、第一陣の比較対象は次の4モデルにしました。
gpt-oss-20bDevstral Small 2Gemma 4 E4BLLM-jp-4-8b-thinking
今回は、その後の追加調査を踏まえて、2026年6月時点でこの選定を見直す必要があるかを確認します。
結論から言うと、第一陣4モデルは変更しません。
ただし、後続候補と実行基盤まわりでは、いくつか重要な更新があります。
結論
2026年6月時点でも、第一陣は以下のままでよいと判断しました。
| モデル | 判断 | 位置づけ |
|---|---|---|
gpt-oss-20b |
維持 | 基準機、ローカル推論の本命 |
Devstral Small 2 |
維持 | コード主力候補 |
Gemma 4 E4B |
維持 | 軽量マルチモーダル枠 |
LLM-jp-4-8b-thinking |
維持 | 日本語比較枠 |
一方で、後続候補として以下を追加で見るべきです。
| モデル / 基盤 | 判断 | 位置づけ |
|---|---|---|
Granite 4.1 8B |
追加 | 軽量補助、RAG、tool use、JSON出力 |
LLM-jp-4-VL 9B beta |
追加 | 日本語マルチモーダル候補 |
Gemma 4 12B |
追加・要検証 | Gemma 4 の中量級候補 |
| Foundry Local | 追加・用途限定 | アプリ同梱配布向け。比較基盤ではない |
| Ollama v0.30系 | 更新 | 実行基盤として引き続き主系 |
要するに、
- 第一陣は変更しない
- 後続候補として Granite 4.1 / LLM-jp-4-VL / Gemma 4 12B を追加
- 実行基盤は引き続き Ollama
- Foundry Local はモデル比較ではなく、アプリ同梱配布の段階で見る
という整理です。
なぜ別記事にしたか
公開済みの1本目は、当時の調査と意思決定の記録として残したいと考えています。
今回の更新は、結論の大幅変更ではなく、その後に出てきた追加情報の整理です。
そのため、1本目を書き換えるよりも、補遺として別記事にした方が読みやすいと判断しました。
1本目の位置づけ:
- 初回の候補選定
- 第一陣4モデルの選定理由
- 非中国系に絞る理由
- Windows 11 + RTX 4060 Ti 16GB という前提
この記事の位置づけ:
- 2026年6月時点のアップデート
- 第一陣を変更する必要があるかの確認
- 後続候補の追加
- 実行基盤の更新確認
更新1: Ollama は v0.30系まで進んでいる
最初の記事では、Ollama を主系の実行基盤として選びました。
この判断は今も変えません。
ただし、Ollama 自体はかなり更新が進んでいます。
2026年6月4日時点では、GitHub Releases 上で v0.30.4 が Latest、v0.30.5 は Pre-release として出ています。
v0.30.4 では llama.cpp のバージョン更新などが入り、既知の問題として gemma4:12b の floating point exception による crash も記載されています。
つまり、今後の比較では Ollama のバージョンを明記することが必須 です。
特に注意すべき点は次です。
- Ollama のバージョンでモデルの安定性が変わる可能性がある
- Gemma 4 系は更新の影響を受けやすい
-
gemma4:12bは候補として気になるが、既知問題があるため慎重に扱う - 比較記事では、実測時の
ollama --versionを必ず残す
前回の「Ollama を主系にする」という判断は維持します。
ただし、比較時はバージョン固定・明記が必要という注記を加えるべきです。
参考:
- Ollama Releases
https://github.com/ollama/ollama/releases
更新2: Granite 3.3 8B ではなく Granite 4.1 8B を見る
前回の調査では、軽量補助候補として Granite 3.3 8B を見ていました。
しかし、2026年6月時点では、後続候補として見るなら Granite 4.1 8B の方が自然です。
IBM の Granite 4.1 は、3B / 8B / 30B の dense language model family として公開されています。
IBM の説明では、Granite 4.1 は Granite 4.0 よりも以下の能力が改善されています。
- tool calling
- instruction following
- coding
- mathematical reasoning
また、Granite 4.1 は Apache 2.0 ライセンスで公開され、cryptographic signatures、ISO certification、transparency disclosures も説明されています。
Ollama 上では granite4.1:8b が使えます。
| モデル | サイズ | Context | 入力 |
|---|---|---|---|
granite4.1:8b |
5.3GB | 128K | Text |
さらに Ollama の説明では、Granite 4.1 は以下をサポートします。
- multilingual
- coding
- RAG
- tool use
- structured JSON output
- FIM code completions
この性格を見ると、Granite 4.1 8B は主力LLMというより、軽量補助モデルとしてかなり有力です。
想定用途は以下です。
- RAG の回答生成
- JSON 形式の整形
- tool use の補助
- 軽量なコード補完
- ログ要約
- 社内文書の要点抽出
一方で、第一陣に入れる必要はありません。
理由は、第一陣の役割とは少し違うからです。
| モデル | 役割 |
|---|---|
gpt-oss-20b |
基準機、推論・コード |
Devstral Small 2 |
コード主力 |
Gemma 4 E4B |
軽量マルチモーダル |
LLM-jp-4-8b-thinking |
日本語 |
Granite 4.1 8B |
軽量補助、RAG、tool use |
したがって、Granite 4.1 8B は 第一陣ではなく後続候補 として追加します。
参考:
-
IBM Granite 4.1
https://www.ibm.com/granite/docs/models/granite4-1 -
Ollama: granite4.1
https://ollama.com/library/granite4.1
更新3: LLM-jp-4-VL 9B beta は日本語マルチモーダル候補
LLM-jp 系では、LLM-jp-4-VL 9B beta が公開されています。
これは LLM-jp-4 8B 系をベースにした視覚言語モデルです。
LLM-jp の説明によると、日本語タスク平均では以下のような結果になっています。
| モデル | 日本語タスク平均 |
|---|---|
LLM-jp-4-VL 9B beta |
70.8 |
Qwen3-VL-8B |
71.1 |
つまり、日本語マルチモーダル候補としてかなり面白い位置づけです。
ただし、第一陣の Gemma 4 E4B を置き換えるものではありません。
理由は次のとおりです。
-
LLM-jp-4-VL 9B betaは beta - Hugging Face 上では
custom_codeタグが付いている - Ollama でそのまま横並び比較しやすいモデルではない
- 導入成熟度はまだ高く見ない方がよい
一方で、Gemma 4 E4B は Ollama 上で素直に扱える軽量マルチモーダル枠です。
したがって、現時点ではこう整理します。
| モデル | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
Gemma 4 E4B |
第一陣維持 | Ollamaで扱いやすい軽量マルチモーダル |
LLM-jp-4-VL 9B beta |
後続候補 | 日本語マルチモーダルとして有力だが導入が重い |
今後、日本語OCR、図表理解、UIスクリーンショット理解を重視するなら、LLM-jp-4-VL 9B beta は試す価値があります。
参考:
-
LLM-jp-4-VL 9B beta リリース
https://llm-jp.nii.ac.jp/blog/20260414_llm-jp-4-vl-9b-beta/ -
Hugging Face: llm-jp/llm-jp-4-vl-9b-beta
https://huggingface.co/llm-jp/llm-jp-4-vl-9b-beta
更新4: Foundry Local は有力だが、比較基盤ではない
Microsoft の Foundry Local も確認しました。
Foundry Local は、ローカルAIをアプリに組み込んで配布するためのランタイムです。
Windows / macOS / Linux に対応し、モデル取得、ハードウェアアクセラレーション、推論をアプリ側に組み込めます。
Microsoft の説明では、Foundry Local は次のような用途に向いています。
- sensitive data をユーザー端末内に留める
- オフラインまたは低接続環境で動かす
- クラウド推論コストを減らす
- 低遅延のローカルAI応答を返す
これはかなり魅力的です。
ただし、重要なのは、Foundry Local は general-purpose model experimentation 向けではない という点です。
Microsoft の公式ドキュメントでも、Foundry Local は production applications を出荷するためのものだと説明されています。
つまり、今回のように
- 複数モデルを比較する
- Ollama でモデルを引いて試す
- 開発用途の候補を絞る
- ローカルLLMの使い勝手を見る
という段階では、引き続き Ollama の方が適しています。
Foundry Local は、次の段階で再評価する候補です。
- Windows アプリにローカルAIを同梱したい
- エンドユーザー端末でローカル推論させたい
- モデル取得や推論ランタイムをアプリ内に組み込みたい
- 配布・運用まで含めて考えたい
また、Foundry Local の catalog には GPT OSS だけでなく、Qwen、DeepSeek、Mistral、Phi なども含まれます。
本シリーズでは非中国系に絞っているため、Foundry Local を使う場合でも、ランタイム単位ではなくモデル単位の allowlist が必要です。
結論として、Foundry Local はこう扱います。
| 項目 | 判断 |
|---|---|
| モデル比較基盤 | 採用しない |
| ローカルアプリ同梱 | 有力候補 |
| 今すぐの実測環境 | Ollamaを継続 |
| セキュリティ統制 | モデル単位のallowlistが必要 |
参考:
-
Microsoft Learn: What is Foundry Local?
https://learn.microsoft.com/en-us/azure/foundry-local/what-is-foundry-local -
Microsoft Foundry Local GA
https://devblogs.microsoft.com/foundry/foundry-local-ga/
更新5: Gemma 4 12B は気になるが、要検証
Gemma 4 については、Gemma 4 E4B を第一陣に残しています。
これは今も変えません。
一方で、Ollama 上では gemma4:12b も選択肢として見えるようになっています。
Ollama のタグを見ると、gemma4:12b は以下のように扱われています。
| タグ | サイズ | Context | 入力 |
|---|---|---|---|
gemma4:12b |
7.6GB | 256K | Text, Image |
gemma4:12b-it-q4_K_M |
7.6GB | 256K | Text, Image |
gemma4:12b-it-q8_0 |
13GB | 256K | Text, Image |
gemma4:12b-it-bf16 |
24GB | 256K | Text, Image |
この数字だけ見ると、RTX 4060 Ti 16GB でも q4_K_M や q8_0 はかなり気になります。
ただし、Ollama v0.30.4 の Known Issues には、gemma4:12b の crash with floating point exception が記載されています。
そのため、現時点では第一陣に入れるのではなく、要検証の後続候補として扱うのが安全です。
現時点の整理はこうです。
| モデル | 判断 |
|---|---|
Gemma 4 E4B |
第一陣維持 |
Gemma 4 12B |
後続候補・要検証 |
Gemma 4 26B-A4B |
16GB VRAMでは境界寄り |
Gemma 4 31B |
今回の構成では重い |
Gemma 4 12B はかなり気になりますが、安定性を確認してから比較対象に入れるべきです。
参考:
-
Ollama: gemma4
https://ollama.com/library/gemma4 -
Ollama: gemma4 tags
https://ollama.com/library/gemma4/tags -
Ollama Releases
https://github.com/ollama/ollama/releases
更新後の候補整理
2026年6月時点では、候補を次のように整理します。
第一陣
まず比較する対象です。
| モデル | 位置づけ | 理由 |
|---|---|---|
gpt-oss-20b |
基準機 | 16GB memory級で動くローカル推論向け |
Devstral Small 2 |
コード主力候補 | coding / agentic coding 向け |
Gemma 4 E4B |
軽量マルチモーダル | Ollamaで扱いやすい Text / Image 対応 |
LLM-jp-4-8b-thinking |
日本語候補 | 日本語比較軸として独自性あり |
後続候補
第一陣の次に見る対象です。
| モデル / 基盤 | 位置づけ | 理由 |
|---|---|---|
Granite 4.1 8B |
軽量補助 | RAG / tool use / JSON / coding補助 |
LLM-jp-4-VL 9B beta |
日本語マルチモーダル | 日本語VLMとして有力。ただし beta |
Gemma 4 12B |
中量級マルチモーダル | 16GB VRAMでも気になるが、既知問題あり |
| Foundry Local | アプリ同梱候補 | 比較基盤ではなく製品化段階で検討 |
見送り
現時点では優先しない対象です。
| モデル / 系列 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
Gemma 4 26B-A4B |
後回し | 16GB VRAMでは境界寄り |
Gemma 4 31B |
見送り | 今回の構成では重い |
LLM-jp-4-32B-A3B |
条件付き | Qwen3 MoE architecture の境界ケース |
| Qwen / DeepSeek / GLM 系 | 除外 | 方針上除外 |
| 70B級以上 | 除外 | 今回の構成では初手の比較対象ではない |
第一陣を変更しない理由
今回の追加調査で分かったことは多いですが、第一陣は変更しません。
理由は、第一陣の4モデルがそれぞれ違う役割を持っているからです。
| モデル | 役割 |
|---|---|
gpt-oss-20b |
基準機 |
Devstral Small 2 |
コード |
Gemma 4 E4B |
軽量マルチモーダル |
LLM-jp-4-8b-thinking |
日本語 |
今回追加で見た候補は、いずれも第一陣を置き換えるというより、後続で見るべきものです。
| 追加候補 | 第一陣を置き換えない理由 |
|---|---|
Granite 4.1 8B |
主力ではなく軽量補助向け |
LLM-jp-4-VL 9B beta |
beta で導入が重い |
Gemma 4 12B |
既知問題があり要検証 |
| Foundry Local | モデル比較基盤ではない |
したがって、第一陣はそのままにして、後続候補を追加するのが自然です。
今後の実測方針
今後の実測は、次の順番で進めるのがよさそうです。
第1段階: 第一陣の起動確認と基礎比較
gpt-oss:20bdevstral-small-2gemma4:e4bLLM-jp-4-8b-thinking
確認する項目:
ollama ps- VRAM使用量
- 生成速度
- 日本語品質
- コード品質
- 画像入力対応
第2段階: 軽量補助候補
granite4.1:8b
確認する項目:
- RAG用途
- JSON出力
- tool use
- ログ要約
- コード補助
第3段階: 日本語マルチモーダル
LLM-jp-4-VL 9B beta
確認する項目:
- 日本語OCR
- 図表理解
- スライド理解
- UIスクリーンショット理解
- 導入手順の重さ
第4段階: Gemma 4 12B
gemma4:12bgemma4:12b-it-q4_K_Mgemma4:12b-it-q8_0
確認する項目:
- Windows + RTX 4060 Ti 16GB で安定動作するか
- Ollama のバージョン依存
- E4B との差
- 画像入力の品質
- 速度とVRAM使用量
まとめ
2026年6月時点での結論は以下です。
- 第一陣4モデルは変更しない
- 実行基盤は引き続き Ollama
- Ollama は v0.30系まで進んでいるため、実測時はバージョン明記が必要
- Granite 3.3 8B ではなく Granite 4.1 8B を後続候補として見る
- LLM-jp-4-VL 9B beta は日本語マルチモーダル候補として有力
- Foundry Local はモデル比較基盤ではなく、アプリ同梱配布向け
- Gemma 4 12B は気になるが、既知問題があるため要検証
したがって、前回の第一陣は維持しつつ、後続候補として以下を追加します。
Granite 4.1 8BLLM-jp-4-VL 9B betaGemma 4 12B- Foundry Local
次は、Windows 11 Pro + eGPU + Ollama で、第一陣の起動確認と比較に進みます。
参考
-
前回記事: Windows 11 PCで動作する開発用途のローカルLLMの選定
https://qiita.com/ootakazuhiko/items/61d72fdb938314857c54 -
Ollama Releases
https://github.com/ollama/ollama/releases -
Ollama: gpt-oss
https://ollama.com/library/gpt-oss -
Ollama: Devstral Small 2
https://ollama.com/library/devstral-small-2 -
Ollama: Gemma 4
https://ollama.com/library/gemma4 -
Ollama: Gemma 4 tags
https://ollama.com/library/gemma4/tags -
Ollama: Granite 4.1
https://ollama.com/library/granite4.1 -
IBM Granite 4.1
https://www.ibm.com/granite/docs/models/granite4-1 -
LLM-jp-4-VL 9B beta リリース
https://llm-jp.nii.ac.jp/blog/20260414_llm-jp-4-vl-9b-beta/ -
Hugging Face: llm-jp/llm-jp-4-vl-9b-beta
https://huggingface.co/llm-jp/llm-jp-4-vl-9b-beta -
Microsoft Learn: What is Foundry Local?
https://learn.microsoft.com/en-us/azure/foundry-local/what-is-foundry-local -
Microsoft Foundry Local GA
https://devblogs.microsoft.com/foundry/foundry-local-ga/