Claude Codeの大規模プロジェクトでのメモリエラー対処法

はじめに

Claude Codeはとても便利でMAXプランでリミットがかかるほど愛用しているのですが、作成するソフトウェアが大きくなるとかなりの頻度で落ちるようになります。

問題の概要

私はWindows11のWSL2上でClaudeCodeを使用しています。
Claude Codeで大規模プロジェクトを扱う際、以下のようなNode.jsのヒープメモリ枯渇エラーが発生することがあります。

FATAL ERROR: Ineffective mark-compacts near heap limit Allocation failed - JavaScript heap out of memory

エラーの詳細分析

典型的なエラーログ

<--- Last few GCs --->
[875:0x1bbc8000] 12261718 ms: Mark-Compact 3924.1 (4137.0) -> 3908.2 (4137.3) MB, pooled: 0 MB, 182.89 / 0.04 ms
[875:0x1bbc8000] 12261940 ms: Mark-Compact 3924.5 (4137.8) -> 3908.6 (4137.5) MB, pooled: 1 MB, 183.07 / 0.06 ms

FATAL ERROR: Ineffective mark-compacts near heap limit Allocation failed - JavaScript heap out of memory

原因分析

• ヒープ使用量が約3.9GB（上限約4.1GB）に到達
• ガベージコレクションが効果的に動作せず、メモリ解放に失敗
• Node.jsのデフォルトヒープサイズ制限（約4GB）を超過

主要な原因

1. コンテキスト長制限

• 大規模コードベースの解析時にトークン上限に到達
• 複数ファイルの同時処理でコンテキストが肥大化

2. メモリ管理の問題

• 大量のファイル/ASTの同時保持
• コード解析時に構文木を過度にメモリに保持
• 循環参照や大規模オブジェクトグラフの生成

3. リソース制限

• 実行時間制限による処理の中断
• 依存関係の深い解析でメモリ使用量が増大

対処法

暫定対処法　ヒープサイズを増やす

# 方法1: コマンド実行時に指定
NODE_OPTIONS="--max-old-space-size=8192" claude

# 方法2: 環境変数として設定
export NODE_OPTIONS="--max-old-space-size=8192"

※とりあえずはこれで対処しましょう。ただし根本的な解決にはなりません。

正しい対処法　タスクの分割と限定

以下のような分割や限定が有効です。

1. ディレクトリ単位での段階的処理

# 全体ではなくサブディレクトリごとに処理
claude-code "src/components のリファクタリング"
claude-code "src/services のリファクタリング"
claude-code "src/utils のユニットテスト作成"

2. 機能モジュール単位での分割

# 依存関係の少ない独立したモジュールから処理
claude-code "認証モジュールのTypeScript化"
claude-code "データベース接続層の最適化"
claude-code "APIルーティングの改善"

3. ファイルパターンによる明示的な限定

# 特定のファイルタイプやパターンに限定
claude-code "*.controller.ts ファイルのエラーハンドリング改善"
claude-code "test/*.spec.js のテストケース追加"
claude-code "src/**/*.dto.ts のバリデーション実装"

4. 処理タイプによる分割

# 読み取り専用タスクと書き込みタスクを分離
claude-code "コードレビュー: src/api/* の問題点を指摘"
claude-code "修正実施: 指摘された問題点の修正"

5. 明示的なスコープ指定

# 具体的なファイルと処理内容を指定
claude-code "src/utils/validation.ts の単体テスト作成のみ"
claude-code "package.json の依存関係更新（devDependenciesは除外）"
claude-code "README.md のAPI仕様セクションのみ更新"

ベストプラクティス

プロジェクト構造の最適化

1. 大きなモノリシックファイルを小さなモジュールに分割
2. 循環依存を排除
3. 不要な依存関係を整理

Claude Code使用時の推奨事項

1. 初回は小規模なタスクで動作確認
2. 段階的にスコープを拡大
3. 各タスク完了後に成果物を確認・保存
4. 複雑な変更は複数のステップに分解

メモリ使用量の確認

Claudeに質問することでメモリ使用量を確認することができます。

> システムのメモリ使用量を確認してください。

● Bash(free -h)
  ⎿                 total        used        free      shared  buff/cache   available
     Mem:            30Gi       1.6Gi        29Gi       3.5Mi       476Mi        29Gi
     Swap:          8.0Gi          0B       8.0Gi

● Bash(df -h)
  ⎿  Filesystem      Size  Used Avail Use% Mounted on
     none             16G     0   16G   0% /usr/lib/modules/6.6.87.1-microsoft-standard-WSL2
     none             16G  4.0K   16G   1% /mnt/wsl
     drivers         289G  234G   55G  82% /usr/lib/wsl/drivers
     … +12 lines (ctrl+r to expand)

● システム リソース状況:

  メモリ使用量:
  - 総メモリ: 30GB
  - 使用中: 1.6GB (5.3%)
  - 空き: 29GB (96.7%)
  - スワップ: 8GB (未使用)

  主要プロセス:
  - Claude Code インスタンス: 3つ実行中 (435MB, 338MB, 278MB)
  - 合計 Claude メモリ使用量: 約1GB

  ディスク使用量:
  - ルート (/): 1007GB中 5.9GB使用 (1%)
  - Windows C: ドライブ: 289GB中 234GB使用 (82%)

  診断結果:
  システムリソースは十分に余裕があります。
  メモリ使用量に問題はありません。

今後に期待

Claude Codeは現在研究プレビュー段階であり、以下の制限があります。

• 大規模プロジェクトでのメモリ管理が最適化されていない
• エラーリカバリー機能が限定的
• 詳細なリソース制限が公開されていない
  これらの制限を理解した上で利用しましょう。

https://github.com/anthropics/claude-code/issues/79 によると .claudeignore ファイルが使えるようになるようです。

# .claudeignore
node_modules/
dist/
build/
*.log
*.tmp
coverage/
.next/
.cache/
vendor/
public/assets/

まとめ

Claude Codeでの大規模プロジェクト処理時のメモリエラーは、適切なタスク分割とスコープ限定により回避可能です。ツールの制約を理解し、段階的なアプローチを採用することで、生産的な開発支援ツールとして活用しましょう。