まえがき
この記事はRails Girls Japan Advent Calendar 2018のために書かれた記事です。よって、想定される読者の中にはコミュニティに参加したことがないような方がいます。この記事はそういった人のコミュニティへの参加を促すために書かれました。
注意
以下の文では「コミュニティ=Rubyコミュニティ」を想定していますが、他の言語でも事情は同じはずです。
コミュニティに参加する3つの意味
私が考えるコミュニティに参加する意味は以下の3つです。
いずれも実体験です。
- ブログ記事や実装にならない生の情報に触れられる
- いろんなバックグラウンドの人に話を聞いてもらえる
- 「すごい人」と同じ空気を吸える
ブログ記事や実装にならない生の情報に触れられる
これは、「情報はブログやGitHubで手に入れられる」という主張への簡単な反論となっています。
単純な話で、ある人が100の思考をしているとき、ブログ記事としてアウトプットされるのは10とか20とかで、残りは「ウェブ上のテキストとしては」アウトプットされません。
しかし、ふとした会話の中にはそういったアウトプットされなかっただろう情報が豊富に含まれていて、そこから何らかのヒントが得られることもあります。
コミュニティによってはライブラリ作者や言語のコミッターもいたりして、私たちが触れていたあの情報はこうやって生まれていたのかあ、と思うこともしばしばです。
いろんなバックグラウンドの人に話を聞いてもらえる
これは、「職場に強い人がすでにたくさんいるのでコミュニティに参加しなくてもよい」という主張への簡単な反論で、端的にいうと同じ職場である時点でどんなに強かろうとバイアスがかかっている、ゆえに相談相手としては必ずしも適切ではない、ということです。
コミュニティに出かけると、同じ会社から来ている人はせいぜい数人、全体の参加者が20人ほどいるとしたら10社以上から人が来ていることになります。これぐらいの多様性があると、ある技術的な課題を提示したときの反応は驚くほど異なります。
もちろん、自社と似た会社から来ている人の話を重点的に聞くもよし、あえて真逆の環境にいる人から話しを聞くもよしです。重要なことは、コミュニティは多様性に富んでおり、それは強みであるということです。
「すごい人」と同じ空気を吸える
これは一番曖昧なのですが、要するに人間関係から受ける影響度はその頻度に比例する、という話です。
ミメーシスという単語があります。これは「感染的模倣」と訳されたりするそうで、私の理解では「すごい人に憧れて真似をする」というぐらいの意味です(哲学はちゃんと学んでいないので、間違っていたら教えてください)。
コミュニティにはすごい人がたくさんいます。彼らは単にすごいというより、人間的に影響力があるような人であることが多いです。そんな人達と同じ場にいることで、無意識的に「感染」して自分もそうなりたいと思うようなことが起こります。
これは一応会社の中でも再現できますが、OSSの世界では1社にすごい人が集中して存在しているケースは稀で、コミュニティの場のほうが強度が高い場合が多いでしょう。
そんなコミュニティの場に「参加し続ける」ことで、最初は場違いに感じられても徐々に場に馴染んでいくでしょう。それはコミュニティの側が変わったのではなくて自分自身が変わったのであり、その原動力はコミュニティからの感染なのです。
まとめ―コミュニティは人
東京には10近いRubyコミュニティが存在します(詳細は拙記事を参照)。
どれも個性豊かですが、それを運営している人々はもちろん、参加者なしでは存在できないのは言うまでもありません。
ぜひあちこちのコミュニティに参加してみてください。そして気に入ったコミュニティには通ってみてください。コミュニティから様々な恩恵を享受するうち、あなたもコミュニティを支える側になっていることでしょう。
おまけ
https://speakerdeck.com/coe401_/qu-kechu-sienziniaga-komiyuniteinican-jia-suru-toiukoto
@coe401_ さんがとても良いスライドを作ってくれています。コミュニティに参加することで得られたものを説得力ある形で展開しているのでよかったらチェックしてみてください!