プロダクトが増えて、チームの距離を感じ始めた
プロダクトが増えてくるとチームごとに最適化されていく一方で、「他チームが何を作っているのか分からない」という状態が起きがちになりませんか?
自分たちもまさにそんな状況で、名前は知っているけど中身はよく分からないプロダクトが増え、エンジニア同士の接点も少しずつ減っていきました。
このままだとナレッジも分断されていくし、「せっかく同じ会社にいるのにもったいないな」と感じたのが、社内イベント Product Unboxed を始めたきっかけです。
プロダクトが増えた組織で起きていたこと
自社では複数のWebおよびモバイルのプロダクトを並行して開発しており、それぞれがプロダクトチームとして自律的に動いています。
日々の開発や改善を進めるうえでは、とても健全な状態だと思っています。
一方で、プロダクトやチームが増えていくにつれて、チーム間の横の接点は少しずつ減っていきました。
具体的には、
- 他プロダクトの背景や成り立ちを知らない
- どんな制約の中で作られているのか分からない
- なぜその技術選定・設計判断になっているのか見えない
といった状態が、特別なことではなくなっていました。
プロダクトの名前は聞いたことあるけれど、「実際には何を実現するためのプロダクトなのか」「どんな判断の積み重ねで今の形になっているのか」までを知る機会はそうそうありませんでした。 (自社で開発しているシステムなのに...)
こうした状況を言葉だけでなく構造として整理するために、粗いですが自分なりに課題感を起こしてみました。
単に「他プロダクトを知らない」というだけではなく、それによって気づかないうちに少しずつ分断が進んでいる。
対立しているわけではないのに、分断が進んでいる。そんな感覚を持っています。
こうした課題感は自分一人が感じていたものではありませんでした。
同じプロダクトチームの中でも、「他チームが何をしているのか分からない」といった話題が、雑談や振り返りの中で自然と出てくることがありました。
「やっぱり、みんな同じような違和感を持っているんだな」と感じたのを覚えています。
そこで、この課題感を上司に軽く相談してみることにしました。
そのときに出した提案も思っていることを書きなぐった上のメモ書きレベルのものです。
解決策として考えたこと
次に考えたのが、この状況に対してどんな変化を起こしたいのか、という点です。
結果として、
- 相互理解が深まる
- プロダクトをまたいだ会話やコラボレーションのきっかけが生まれる
という状態につながっていくことを期待しています。
ここで大事にしたかったのは、「交流すること」自体を目的にしない、という点です。
あくまで軸にあるのはプロダクトで、プロダクトを通じて人やチームを知る。その延長線上に、自然なやり取りや協力が生まれればいいと考えました。
また、いきなり大きな制度や全社施策を作るのではなく、まずは ライトに始められて、無理なく続けられる形 にすることも重要なポイントでした。
こうした考えのもとで生まれたのが、プロダクトを一つずつ丁寧に紹介する場としての Product Unboxed です。
Product Unboxed とは
Product Unboxed は、社内向けのプロダクト紹介 (のちにクロストークをメインとしたい) イベントです。
コンセプトはシンプルで、「プロダクトを“まるっと”理解する」 ことを目的にしています。
1回の開催時間は紹介するプロダクト数に応じて調整しており、
- 1プロダクト:15分の紹介 + 質問タイム(計30分)
- 2プロダクト:計45分
- 3プロダクト:計60分
といった形で、15分の紹介 + 質問タイム をベースとした形にしています。
第1回のペラ作成は ちゃっぴー に手伝ってもらいました。
インセプションデッキをベースにしている理由
Product Unboxed では、発表内容のベースとして インセプションデッキ を使うことを推奨しています。
理由はシンプルに2点
- 判断の背景や価値観が伝わりやすいため
- 発表準備の負荷を減らしたい
「何ができるか」だけでなく、「なぜそうしているのか」「何を大事にしているのか」を共有することで、プロダクトごとの違いやチームの考え方が自然と見えてくると考えました。
結果として、技術や実装の話だけでなく、チーム文化やプロダクトの立ち位置についての質問が出やすくなりました。
実際の進め方(運営の工夫)
運営面では、「ちゃんとやりすぎない」ことを意識しました。
基本的な流れは以下の通りです。
- オープニング(趣旨説明)
- プロダクト紹介
- QA
- クロージング
構成自体はシンプルですが、いくつか意識しているポイントがあります。
Slido を使った参加型の設計
QA には Slido を使い、発表中から自由に質問を投稿できる形にしました。匿名で投稿できるため心理的ハードルが低く、結果として質問数も想像以上に多くなりました。
また、オープニングやクロージングでは簡単な投票を行い、「聞いて終わり」にならないよう、参加者が手を動かす時間をあえて作っています。
「完璧な発表」を求めない
もう一つ大事にしているのが、登壇者に「ちゃんとした発表」を求めすぎないことです。
- 設定時間(15分)は超えてもOK
- 細かい資料作りは不要
プロダクトのリアルな悩みや試行錯誤が伝わることを重視しています。その結果、発表後の QA では、技術だけでなく背景や判断理由に関する質問が多く出るようになりました。
発表者のモチベーションを下げないために意識していること
もう一つ、運営側として意識しているのが、発表してくれた人が「やってよかった」と思える場にすること です。
Product Unboxed では、発表者は普段の業務に加えて、資料準備や発表の時間を捻出してくれています。その分の負荷を背負ってもらっている以上、「発表して終わり」ではなく、何らかの形で手応えやフィードバックを持ち帰ってもらいたいと考えています。
その一つとして、発表後に Slido を使い、発表を聞いた参加者の感想を選択式で回答してもらう 仕組みを取り入れています。
振り返りからすぐに改善につなげる
第1回の振り返りで、発表者から「どういう点についての感想をもらえるのかが、事前に分かっていると安心できそう」というフィードバックをもらいました。
そこで第2回からは、発表後に投げる Slido の感想質問について、事前に発表者と打ち合わせをするようにしました。
「どんな点についてフィードバックをもらいたいか」「選択肢としてどんな言葉が並ぶと嬉しいか」を事前にすり合わせておくことで、発表者が安心して場に臨めるようにしています。
今のところ感じていること
まず、他チームのプロダクトに対する理解が少しずつですが確実に進んでいる感覚があります。
また、Slido を使ったことで質問が出やすくなり、発表を聞く側のハードルも下げられている気がします。
イベントの初めは Slido に慣れてもらうためにもアイスブレイク的な質問を用意しています。
進行でこれを読み上げるだけでも盛り上がるんですよね。
登壇者からも発表内容に対して「思ったより反応があって安心した」「質問をもらえて嬉しかった」といった声があったので、少なくとも 話してよかった と思える場にはなっているようです。
これからやっていきたいこと
まずは予定している全プロダクトの紹介をやり切ること。そのうえでプロダクト横断のクロストークにつなげていけたらと考えています。
「こうすればうまくいく」という完成形はまだなく、状況を見ながら少しずつ形を変えていくつもりです。
ファシリも現在は私がメインで進行していますが、プロダクト紹介が終った後のクロストーク部分はテーマを持ち込み制にして、活動を細く長く続けていけたらいいな。
おわりに
まだ始めたばかりの取り組みなので はっきりとした成果が出た という段階ではありません。
今の時点で言えるのは、少なくとも「プロダクトについて話す場」を用意することで、会話のきっかけは確実に増えているはず...!ということです。
この先、本当にチーム間の連携やナレッジ共有につながっていくのかは、正直これから次第だと思っています。
それでも、「何もしないよりは、まずやってみよう」という気持ちで始めたこの取り組みが、少しずつでも良い変化につながっていけばいいなと思っています。
同じように悩んでいる方がいたら、「うちもこんな感じです」くらいの共有になれば嬉しいです。






