600人の会社が「社内AIを1つに束ねて」学んだこと
アメリカのAI企業シエラ(Sierra)が、社内で使うAIを1つにまとめた体験談を公開しました。600人を超える社員が、開発や営業や事務の仕事を、たった1つのAIの窓口から頼めるようにした話です。うれしいのは、社員が「どのAIを使えばいいか」で迷わなくなったことです。
ここで言うAIとは、ひとことで言うと、頼みごとを自分で調べて片づけてくれる相棒のような仕組みです。会社にとって何が本当に効いたのか、実例が語られています。
目次
- なぜ窓口を1つにしたのか
- 足りないのは頭の良さより「社内の事情」
- 回数ではなく成果で測る
なぜ窓口を1つにしたのか
シエラは最初、用途ごとに別々のAIを作りました。サポート用、分析用、開発用、営業用と分かれていたのです。
でも実際の仕事は、チームをまたいで進みます。窓口が分かれていると、社員はどれに頼むか迷います。そこで全部を「Pinecone」という1つのAIにまとめました。1つなら、最初から最後まで通しで任せられます。
これまで: 用途ごとに別々のAI → どれに頼むか迷う → 手間
今回: 窓口は1つのAI → 必要な道具に自分でつなぐ → かんたん
図の見方です。以前は道具ごとに入り口がバラバラでしたが、今は入り口を1つにして、その先を自動でつなぐ形にしました。
足りないのは頭の良さより「社内の事情」
著者が一番伝えたいのはここです。今のAIはもう十分に賢い。だから困るのは、AIが社内の事情を知らないことだと言います。
社内の事情とは、どの資料やデータに答えがあるか、ということです。あるAIは、社内のチャットや記録に自分でつないで調べます。おかげで、前は半日かかった顧客の調査が、数分で片づいたそうです。
もう一つの工夫があります。契約書や顧客情報などの大切な記録は、今まで通りの場所に保管したままにしました。AIはその上に乗る「窓口」の役に徹します。土台を入れ替えないので、安心して任せられるわけです。
回数ではなく成果で測る
このAIはよく使われました。ある月には、社内でコードを直す提案の約7割がこのAI経由だったといいます。
ただしシエラは、使った回数の多さは成果ではないと念を押します。本当に大事なのは、商談が早くまとまること、問題が一度で解決することです。ねらいは、人にしかできない仕事に時間を回すこと。判断や、人との関係づくりがそれにあたります。
ここは筆者の見方ですが、「便利になった量」ではなく「結果が変わったか」で見る姿勢は、AIを入れるどの会社にも当てはまりそうです。
元記事: https://sierra.ai/blog/ai-pilling-our-company-lessons-learned
今日覚えること
- 社内AIは窓口を1つにすると、社員が迷わず通しで頼める
- AIの弱点は賢さより「社内の事情」を知らないこと
- 使った回数ではなく、成果が変わったかで良し悪しを測る
出典: Neil Rahilly 著。ニュースレター『Leadership in Tech』で紹介。原文: https://sierra.ai/blog/ai-pilling-our-company-lessons-learned