🚀 Azureで始めるデータ運用:コアとなるストレージサービス徹底解説
Azureは、画像やログ、データベースなど、あらゆるデータ形式に対応するための多様なサービス群を提供しています。その基盤となり、データの永続化とアクセスの中核を担うのが、 **Azure Storage Account(ストレージアカウント)**です。
この記事では、データ運用の要となるストレージアカウントの基本から、Azureの主要なストレージサービスまでを詳しく解説します。
1. Azure Storage Account:データ永続化の基盤
ストレージアカウントは、Azure上でデータを安全に保管し、アクセスするためのコンテナです。作成時には、データのアクセス性、パフォーマンス、そして最も重要な耐久性を決定する主要な設定を行います。
1-1. 主要設定項目
| 項目 | 概要 | 重要なポイント |
|---|---|---|
| ストレージアカウント名 | Azure全体で**一意(ユニーク)**である必要があります。 | サービスへのアクセスURLの一部となります。 |
| リージョン | データを保存する物理的な地理的位置。 | データへのアクセス速度(レイテンシ)や料金に影響します。 |
| パフォーマンス | Standard(HDDベース)かPremium(SSDベース)を選択。 | Premiumは低レイテンシが必要なワークロードに最適です。 |
| 冗長性 | 障害に備え、データの複製場所を定義します。 | データ耐久性を保証する最重要設定です。 |
2. データの「安心」を保証する仕組み:冗長性オプション
Azure Storage Accountの最大の強みの一つが、高度な冗長性です。これにより、単一の障害から大規模な災害まで、様々なレベルの脅威からデータを保護します。
2-1. 冗長性の構成:ローカルコピーと地理的コピー
冗長性オプションは、主に以下の2つのコピー方法を組み合わせて構成されます。
| コピー方法 | コピー対象 | 目的 | 耐久性の確保 |
|---|---|---|---|
| 同期的コピー | プライマリリージョン内の3つの可用性ゾーン (AZ) | **単一障害(ローカル障害)**への対応 | データセンター内のサーバーやドライブ障害からデータを保護します。 |
| 非同期的コピー | セカンダリリージョン(地理的ペア) | **リージョン障害(大規模災害)**への対応 | 地理的に離れた場所へ複製し、プライマリリージョン全体の障害から復旧を可能にします。 |
ストレージアカウントを作成したリージョンをプライマリリージョン、その地理的に離れたペアとなるリージョンをセカンダリリージョンと呼びます。(例:東日本 ⇄ 西日本)
この組み合わせにより、データはまずプライマリリージョン内の3か所に複製され(高可用性)、さらにセカンダリリージョンにも複製される(災害耐性)ことで、最高レベルの耐久性を実現します。
3. データにアクセスするための窓口:エンドポイント
ストレージアカウントを作成すると、データへのアクセスを可能にする**エンドポイント(URL)**が自動で発行されます。
-
プライマリエンドポイント:
- クライアントがデータを読み書きする際に接続するメインのアドレスです。
-
セカンダリエンドポイント:
- 地理冗長オプション(GRS/GZRSなど)を選択した場合にのみ発行されます。
- 通常は読み取り専用です。プライマリリージョンが利用不能になった際、セカンダリの複製データにアクセスするために使用されます。
4. Azureの主要なストレージサービス一覧
Azure Storage Accountが提供する主要なサービス(コンテナ)は、扱うデータの種類や用途に応じて使い分けられます。
| サービス名 | 最適なデータ形式 | 特徴/ユースケース |
|---|---|---|
| Azure Blob Storage | 非構造化データ(画像、動画、ログファイルなど) | 大容量のオブジェクトストレージ。Webサイトの静的コンテンツホスティングも可能。 |
| Azure Files | ファイル共有(SMBプロトコル) | クラウドベースのファイルサーバー。OSのエクスプローラー等からドライブとしてマウント可能。 |
| Azure Queue Storage | メッセージング | アプリケーションコンポーネント間の非同期メッセージング。疎結合システムの実現。 |
| Azure Table Storage | 半構造化データ(NoSQL) | 大規模なキー/属性ストア。シンプルなクエリと高速なアクセスが特徴。 |
5. 詳細解説:Azure Blob Storage
Blob Storageは、非構造化データを「オブジェクト」として扱うエンタープライズ向けのストレージです。
5-1. アクセス層:データ鮮度に応じたコスト最適化
Blob Storageでは、オブジェクト単位でアクセス頻度に基づいた3つのアクセス層を設定でき、ストレージコストを最適化できます。
- ホット (Hot):頻繁にアクセスされるデータ(高料金、低アクセス料)。
- クール (Cool):アクセス頻度は低いが、30日以上保管されるデータ(低料金、高アクセス料)。
- アーカイブ (Archive):ほとんどアクセスなし、180日以上保管される長期保存データ(最低料金、最高アクセス料、取り出しに時間がかかる)。
5-2. データ保護とセキュリティ
Blob Storageは、以下のような豊富な機能でデータとアクセスを保護します。
-
アクセス承認:
- 共有キー承認:フルアクセスが可能なアカウントアクセスキーを利用。
- Azure ADでの承認:ユーザーやアプリケーションに最小限の権限(RBACロール)を割り当ててアクセスを制御。
- 共有アクセス署名 (SAS):有効期限や権限を制限した一時的なアクセスURL(SASトークン)を生成し、第三者への制限付きアクセスを委任。
-
その他の保護機能:
- バージョン管理、論理削除(ソフトデリート)、スナップショット、不変Blobストレージなど。
6. 詳細解説:Azure Queue Storage
Queue Storageは、アプリケーションのコンポーネント間で大量のメッセージを格納し、受け渡しするためのキューサービスです。
6-1. 疎結合の実現
Queue Storageの最大の利点は、コンポーネント間の疎結合を実現できる点です。
疎結合:メッセージキューを介することで、各コンポーネントが互いの詳細を知らなくても通信できる状態。これにより、一方のコンポーネントに障害が発生しても、もう一方に影響が及びにくくなり、システムの耐障害性が大幅に向上します。
6-2. メッセージの取り扱い
- メッセージには最大有効期限を設定可能です。
- 従来のキューと異なり、Azure Queue Storageではメッセージをキューから取り出しても自動的に削除されません。使用者が処理完了後に明示的に削除する必要があります。
7. 詳細解説:Azure Files
Azure Filesは、標準的なSMBプロトコルに対応したクラウドベースのファイル共有サービスです。
Blob Storageとの決定的な違いは、Azure VMやオンプレミスのコンピューターから、WindowsのエクスプローラーやMacのFinderのようにOSのドライブとしてマウントし、ファイル共有として利用できる点です。
7-1. アクセス層
Filesにもアクセス層が用意されており、「トランザクション量」や「スループット性能」の要件に応じて、パフォーマンスとコストのバランスを取ることができます。