はじめに
Amazon Q Developer CLI(以下、Amazon Q CLI)は、コマンドライン上でAIアシスタントと対話できるツールです。今回は「Amazon Q CLI でゲームを作ろう Tシャツキャンペーン」に参加し、基本的な操作から実際のゲーム開発まで挑戦してみました。
現在開催中のキャンペーンでは、Amazon Q CLI を使ってゲームを作成し、開発体験をブログや動画で共有すると限定Tシャツがもらえます(2025年5月20日〜6月30日、日本含むAPAC地域対象)。
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/build-games-with-amazon-q-cli-and-score-a-t-shirt/
Amazon Q CLI とは
Amazon Q CLI は、ターミナル上でAIアシスタント(Claude-4-Sonnet)と対話できるコマンドラインツールです。コードの生成、システム管理、ファイル操作など、様々なタスクをAIと協力して実行できます。
基本操作編:Amazon Q CLI を触ってみる
1. Amazon Q CLI の起動
q chat
コマンドを実行すると、美しいASCIIアートと共にAmazon Q CLIが起動します。

2. 日本語での挨拶
「こんにちは」と日本語で話しかけてみました。
Amazon Q は日本語にもしっかり対応しており、自然な日本語で応答してくれます。AWS関連のタスクやシステム管理について質問できることを教えてくれました。
3. ツール権限の設定
Amazon Q CLI には様々なツールが組み込まれており、ファイル操作なども可能です。
-
fs_write: ファイル書き込み(初期状態では not trusted) -
fs_read: ファイル読み込み(trusted) -
execute_bash: Bashコマンド実行(trust read-only commands)
ファイル書き込みを有効にするため、/tools trust fs_write コマンドを実行しました。
4. ファイル作成のテスト
「テスト用のファイルを作成してください」とお願いしてみました。
Amazon Q が以下の作業を自動で実行してくれました:
-
fs_writeツールを使用してファイル作成 -
/home/dministrator/test.txtにテストファイルを作成 - 作成したファイルの内容確認のため
fs_readで読み込み - 作成完了の確認
実践編:ゲーム開発に挑戦
基本操作を確認した後、実際にゲーム開発に挑戦しました。
作成したゲーム
最終的に完成したのは「金融学習クリッカー」という教育系ゲームです。
ゲームの特徴
- 働くボタンをクリックして労働収入を獲得
- 貯金箱、アルバイト、普通預金、株式投資など8種類の投資・事業
- 各投資商品をクリックすると詳細な学習ポイントが表示
- 72の法則、複利効果、分散投資などの基本知識を学習可能
- レベルシステムと経験値システム
- 完全日本語対応
開発プロセス
1. 最初のシンプルなゲーム
まずは「シンプルなキャッチゲーム」を作ってもらいました。
- 赤い敵を避けながら緑のアイテムを集めるゲーム
- スコアと残りライフが表示
- Pygameを使用したシンプルな構成
2. より複雑なゲームへの挑戦
次に「金融について学べるクリッカーゲーム」を作成依頼しました。
最初のバージョンでは:
- 基本的なクリッカーゲームの仕組み
- 投資商品の購入システム
- 金融学習コーナーの実装
3. 日本語対応の課題と解決
WSL環境でPygameを実行した際、日本語が文字化けする問題が発生。Amazon Q に相談したところ、即座に解決策を提示してくれました。
Amazon Q が実装した解決策:
- UTF-8エンコーディング指定: ファイルの先頭に文字エンコーディングを明示
- 日本語フォント検出: システムで利用可能な日本語フォントを自動検出
- 安全なテキストレンダリング: フォント表示エラーを防ぐフォールバック機能
- 英語表示: 文字化けを避けるため、重要な部分は英語表示に変更
- エラーハンドリング: ファイル保存・読み込み時のUTF-8対応
4. 最終的な完成版
完全に日本語対応した最終版では:
基本システム:
- 働くボタンをクリックして労働収入を獲得
- 所持金: 現在の所持金表示
- レベル: レベルと経験値システム
- 毎秒収入: 放置収入表示
- 労働単価: 1回の労働で得られる金額
投資・事業一覧:
- 貯金箱 (¥50) - 毎秒¥1
- アルバイト (¥200) - 毎秒¥5
- 普通預金 (¥1,000) - 毎秒¥15
- 株式投資 (¥5,000) - 毎秒¥50
- 債券投資 (¥15,000) - 毎秒¥120
- 不動産投資 (¥50,000) - 毎秒¥300
- 事業投資 (¥200,000) - 毎秒¥1,000
- 投資ファンド (¥500,000) - 毎秒¥2,000
金融学習コーナー:
- 72の法則
- 複利効果
- 分散投資
- インフレーション
- 流動性
- リスクとリターン
- ポートフォリオ
- 金利
Amazon Q CLI の評価
基本操作での印象
良かった点
- 日本語対応: 自然な日本語でやり取りできる
- ツール統合: ファイル操作やシステムコマンドを AI が代行
- 直感的な操作: チャット形式で簡単に指示できる
- 安全性: ツールの権限管理がしっかりしている
注意点
- ファイル書き込みなど、重要な操作は明示的に trust する必要がある
- 実行前に何をするか確認できるので安心
ゲーム開発での印象
優れていた点
- 問題解決能力: 日本語文字化け問題を即座に理解し、具体的な解決策を提示
- 段階的改善: 要求に応じてゲームを段階的に改善
- 技術的配慮: WSL環境特有の問題も考慮した実装
- 教育的配慮: 単なるゲームではなく、学習要素を適切に組み込み
開発体験
- 自然な対話: 日本語での要求を正確に理解
- 迅速な実装: 複雑なゲームロジックも短時間で実装
- エラー対応: 問題が発生した際の対応が的確
- コード品質: 可読性の高い、保守しやすいコードを生成
まとめ
Amazon Q CLI を使って、基本的なファイル操作から本格的なゲーム開発まで体験できました。特に印象的だったのは:
基本操作編
-
簡単な導入:
q chatコマンド一つで始められる - 安全な設計: 重要な操作には明示的な許可が必要
- 日本語対応: 自然な日本語でのコミュニケーション
ゲーム開発編
- プロトタイプから完成品まで: 簡単なゲームから複雑なシステムまで段階的に開発
- 技術的課題の解決: 文字化けなどの環境固有の問題も解決
- 教育的価値: 単なるゲームではなく、学習効果のあるコンテンツを作成
Amazon Q CLI は、AIペアプログラミングの新しい可能性を示すツールでした。「Amazon Q CLI でゲームを作ろう」キャンペーンは、この技術を体験する絶好の機会です。皆さんもぜひ挑戦してみてください!








