はじめに:スマホ制限バトルの泥沼化
子どものスマホ問題
スマホを持たせた途端に家族の会話がなくなった、深夜まで動画を見ていて朝起きられず不登校のきっかけになった、小学生がゲームで何万円も使っていた、毎日ルーターの電源を持ち歩く親——そんな話は、もはや特別なことではなくなっています。
プログラミングスクールで学びはじめたネットワークの知識で解決を試みました。子どものスマホ依存症は保護者会の長年のテーマになっています。ファミリーリンクの次手の日本語の記事が見つからなくて困っている親御さんの一助のきっかけになれると幸いです。
既存対策の限界(n=1)
限界1: Google「ファミリーリンク」(子ども編)
子供たちが突破できる仕様になっており、抜け道がSNSやYoutubeで広く共有されています。
限界2: Google「ファミリーリンク」(旦那編)
突破できない幼い子どもから解除をねだられた、旦那からの裏切りも不定期に発生します。
限界3: スマホロッカー(物理)
力づくで破壊されます。
スマホからではなく、ネット側から制限をかける
インターネットに繋がるには、Wi-Fiを経由する必要があります。
そのWi-Fiを管理しているのが、家の中にあるルーターです。
「ルーター制限下で特定のスマホのWi-Fi接続の時間制限をする」状態を作りました。
使った機能の説明(読み飛ばしOK)
MACアドレスとは?
ネットワークに繋がるすべての機器(スマホ、PC、タブレット)には、MACアドレスという固有の番号が割り振られています。
人間でいうと「指紋」のようなもので、世界中で同じ番号は存在しません(原則として)。
ルーターはこの番号を使って「この番号の機器はうちのWi-Fiに繋いでいい/繋いではダメ」と判断できます。
時間帯制限とは?
「平日の22時〜7時はWi-Fiに繋がれない」のように、時間を指定して遮断できる機能です。
宿題が終わった時間だけ使える、寝る前は自動でオフ、のように運用できます。
Atermでの設定手順
ルーター:NEC Aterm7200d8be
Atermのシリーズごとに手順の違いもあると思いますが、基本的な手順は同じはずです。
ステップ1:子供のスマホのMACアドレスを調べる
iPhoneの場合
「設定」→「一般」→「情報」→「Wi-Fiアドレス」
Androidの場合
「設定」→「デバイス情報」→「MACアドレス」または「Wi-Fiアドレス」
⚠️ Androidは機種によって表示場所や表示名が異なります。
このMACアドレスに対して後の設定で制限をかけるので記録しておいてください。
例:aa:bb:cc:dd:ee:ff のような形式です。
ステップ2:Atermの管理画面にログイン
スマホかPCをAtermのWi-Fiに繋いだ状態で
ブラウザに http://aterm.me または http://192.168.10.1* と入力。
パスワードは本体裏面のシールに記載。
スマホ:Face IDを利用して、子供(と旦那から)はログインできないようにしました。
PC:子どもがログインできないように、パスワードを記憶させず厳重に管理してください。
ステップ3:「見えて安心ネット」MACアドレスフィルタリング + 時間制限
Atermでは、MACアドレスフィルタリングと時間帯制限の両方を 「見えて安心ネット」 という画面からまとめて設定できます。
- 管理画面にログインし、「見えて安心ネット」を開く
- 接続中の端末一覧が表示されるので、子供のスマホを「こどもの端末」に設定
- 大人のPC・スマホを「おとなの端末」に設定する(これらは制限されません)
- 「こども安心ネットタイマー」でネットを使える時間帯を設定する
- 設定を保存する
詳細手順は公式マニュアルを確認ください。
(曜日ごとに30分間隔で設定できます。休日のネット時間を6:00〜6:30に設定すると子どもが自動で朝早く起きます)
ポイント: 家庭内ネットワークのホワイトリストを作ります。別途ブラックリストも設定できます。
⚠️ ステップ4(抜け道ブロック):ONUのWi-Fiを無効化
公式マニュアルには載っていませんが、案の定、子ども達がONUのWi-Fiを使い始めたので必ず閉じてください。
ONUのWi-Fiを無効にする手順は、ONU(回線事業者の機器)によって異なります。NURO光のONUはPC管理画面から設定できました。
設定後の変化
- 子どもの睡眠時間が増えた
- 子どもがFree Wi-fiを求めて図書館にいくようになった
- 子どものスマホWi-fiの管理から親が解放された
特に3つ目が大きくて、子供との関係が改善しました。
注意点・参考
正直に書いておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モバイルデータ(4G/5G) | Wi-Fiのみの制限なので、モバイルデータには効きません。SIMカードを抜く、あるいはキャリアのペアレンタルコントロールと組み合わせる必要があります |
| MACアドレス詐称 | 今回はホワイトリスト方式(登録した番号だけ接続を許可)で設定しているため、仮にMACアドレスを偽装しても、登録済みの番号を知らない限り突破できません |
| Aterm以外のルーター | BUFFALOやTP-LINKなど他のルーターにも同様の機能があります。BUFFALOは一部のフィルタリング機能が有料サービスとなっています(2026年3月時点) |
| 家中のネット機器のネット切り替え | 家族からのクレームの多い順にwifiの設定を手作業で進めます。それぞれUIが異なるのでのんびり進めています。19/21まで進行(2026年5月時点) |
トラブルシューティング実践集
❶ 管理画面(aterm.me)にログインできない
症状: ブラウザで http://aterm.me を入力しても開かない、またはログイン画面が出ない。
対処:
- スマホやPCが AtermのWi-Fiに繋がってませんでした。AtermのプライマリSSIDに接続されているか確認してください。基本セカンダリSSIDは使いません
-
aterm.meで開かない場合はhttp://192.168.10.1またはhttp://192.168.1.1を試してみてください - PCで「入力フォームがない」場合は、スマホのブラウザからアクセスすると開けることがあります(謎現象)
❷ ブリッジモードにしたら特定のサイトが開かなくなった
症状: ブリッジモードに変更後、Yahoo! など一部のサイトだけ開けなくなった。
原因: ブリッジモードではAtermのDNS機能が無効になり、NURO光など一部の回線と相性問題が起きることがあります。
対処: ブリッジモードをやめて「ローカルルーター」モードに変更。色々試しましたが、NURO光の我が家のONUはローカルルーターモードと最も相性が良く、キッズタイマーも使えます。
補足: ブリッジモードだと回線スピードが1.2倍早いのですが、残念なことにキッズタイマーなどの管理機能が使えなくなりました。Atermがただのアンテナ係になってしまい、家の中の通信を管理する権限がなくなるためです。
❸ 動作モードが「ローカルモード(ブリッジ)」に勝手になってしまう(しつこい)
症状: 自動判定をONにすると、気づいたらブリッジモードになっている。
原因: ルーター機能を内蔵したONUが上位にいると、Atermが自動的にブリッジを選んでしまう。
対処: 自動判定をOFFにして、手動で「ローカルルーター」を選択・保存する。
❹ キッズタイマー・見えて安心ネットにアクセスできない
症状: 管理画面のメニューに表示されない、または「アクセス不可」と表示される。
対処:
- 動作モードがブリッジ(ローカルモード)になっていないか確認 → ❸を参照
- ローカルモードに変更しても開けない場合 → ブラウザのキャッシュをクリアしてから
http://aterm.meに再アクセスすると解決することがありました。初手キャッシュクリアで開かない時は、お茶飲んでから考え直してください。
❺ 5GHz チャンネルを手動固定したらWi-Fiが繋がらなくなった
症状: 5GHz を 36ch(W52)に固定したら、一部のデバイスがWi-Fiに繋がらなくなった。
原因: 古いデバイスはW52(36〜48ch)に対応していない場合があります。
対処: 管理画面から「オートチャネルセレクト:使用する(標準)」に戻す。管理画面が開けない場合は、本体のRESETボタンをピンで10秒長押しして初期化。キッズタイマー作成の感動も初期化。
❻ ファームウェア更新後に再起動が終わらない
症状: 更新を実行したら、5分以上経ってもActiveランプが点灯しない。
対処: 10分ほど待っても変化がなければ、電源ケーブルを抜いて30秒待ち、再度挿す。強制再起動で正常に戻ることがほとんどです。
❼ 突然ネットが遅くなった
症状: 設定を変えていないのに、急に速度が大幅に低下した。
確認ポイント:
- 祝日・連休・夜間(19〜22時)は回線混雑で速度が大幅に低下することがあります。
- 一日中遅い場合は、ONU → Atermの順で電源を抜き差しして再起動を試してください。
❽ 古いスマート家電がWi-Fiに繋がらなくなった(例:ホットクック)
症状: MACアドレスフィルタリングを設定後、古いスマート家電がWi-Fiに繋がらなくなった。
原因: 古い家電は2.4GHz帯のWi-Fiにしか対応していないことがあります。一方、Atermでは2.4GHzと5GHzで別々にSSIDを設定できるため、家電がどのSSIDに繋がろうとしているか確認が必要です。
対処の方向性:
- 家電のMACアドレスを確認して、許可リスト(「おとなの端末」)に登録する
- 2.4GHz専用のSSIDを別途用意して、家電はそちらに接続させる設定も可能
我が家のホットクック(KN-HW24C): この機種は2.4GHz専用で、かつ接続先のSSIDを直接指定できません。次の世代からは手動指定出来ます。
解決策として、Atermセカンダリの2.4GHz専用SSIDを作成し、そこにホットクックを接続する方法があります。ただし我が家の環境ではAtermのメッシュWi-Fi設定を一度解除する必要があり、家中のWi-Fiが壮大に切れるためまだ実施できていません。メッシュ切って、長時間無Wi-Fiに家族が耐えられるタイミング次第です。
現状の割り切り: Wi-Fiに繋がらなくてもホットクック本体のメニューはすべて使えます。遠隔操作や新メニュー追加は保留し、子供のスマホ制限を最優先しました。悔いはありません。
まとめ
「スマホを取り上げる」から「ネットワーク側で制御する」に発想を変えるだけで、親子の対立を減らしながらスクリーンタイムを管理できるようになりました。
プログラミングスクールで学んだネットワークやポートの知識が、エンジニアの仕事だけではなく、家庭の問題解決にも有効なんだと実感しました。
同じ悩みを持つ保護者の方の参考になると嬉しいです。
この記事はプログラミングスクール在学中の筆者が実際に試した内容をまとめたものです。設定は自己責任でお願いします。機種・バージョンによって画面が異なる場合があります。
※ 192.168.10.1はルーター自身のIPアドレスです。ブラウザでアクセスする際は裏側でポート80番(HTTP標準)が使われています。