概要
EFIの研究です。
AIに聞きました。
現車で実験したい。
狙いは、ホンダのスクーター
ホンダのスクーター(電子制御燃料噴射装置「PGM-FI」採用車)は、基本的に「スピードデンシティ方式」と「スロットルスピード方式」を組み合わせた「併用方式(マップ切り替え型)」を採用しています。
エンジンの運転状況(アクセル開度や負荷)に合わせて、ECUがこれら2つの方式を自動的に切り替えて最適な燃料噴射量を計算しています。
ホンダのスクーターにおける制御の仕組み
排気量の小さいスクーターやバイクの多くは、限られたスペースとコスト、吸気レスポンスの観点から「エアフローメーター方式(マスフロー方式)」は採用していません。その代わりに、以下の2つを使い分けています。
- スピードデンシティ方式(主に低中回転・通常走行時)
検出方法: エンジン回転数(スピード)と吸気管圧力(デンシティ=密度)から吸気量を計算します。
役割: アクセルをあまり開けないアイドリング時や、一定速度で巡航しているときに機能します。空気の密度を負圧センサーで正確に追えるため、燃費の向上や排ガスのクリーン化に貢献します。
- スロットルスピード方式(主に高回転・急加速時)
検出方法: スロットル開度(アクセルの開け具合)とエンジン回転数から吸気量を計算します。
役割: アクセルを大きく急激に開けたときに機能します。加速時は吸気管の圧力が一瞬で大気圧近くまで変化してしまい、負圧センサーでの正確な測定が難しくなるため、アクセル開度を基準にしたこの方式に切り替えることで、タイムラグのない鋭い加速レスポンスを実現しています。
3つの方式の特徴まとめ
| 方式名 | 概要 | ホンダのスクーターでの採用 |
|---|---|---|
| エアフローメーター方式 (マスフロー方式) | センサーで直接空気の重さを測る方式(主に四輪車用) | 不採用(部品が大きく空気抵抗になるため) |
| スピードデンシティ方式 (Dジェトロニック) | 回転数と吸気管の圧力(負圧)から計算 | 採用(アイドリング〜低中負荷・巡航時) |
| スロットルスピード方式 (α-N方式) | 回転数とスロットル開度から計算 | 採用(高回転・急加速・高負荷時) |
ホンダのスクーターは、この2つの制御マップをECU内で瞬時に切り替えることで、街乗りでの扱いやすさ・低燃費と、キビキビとした走りを両立させています。
「表の360度(圧縮・爆発行程)」と「裏の360度(排気・吸気行程)」の検出。
スーパーカブのPGM-FIシステムでは、カム角センサー(気筒判別センサー)を使わずに、クランク角センサーの信号波形パターン(クランクパルスの間隔変化)だけで「表の360度(圧縮・爆発行程)」と「裏の360度(排気・吸気行程)」を完璧に検出しています。
コストカットと軽量化のためにセンサー類を最小限に抑えつつ、4サイクルエンジンの行程判別(720度判定)を行うためのスマートな制御の仕組みは以下の通りです。
検出の仕組み
- クランク回転の「速度変化」を監視する
4サイクル単気筒エンジンは、クランクが2回転(720度)する間に1回だけ爆発(燃焼)します。このとき、それぞれの360度でクランクの回る速度に明確な違いが生まれます。
- 表の360度(圧縮?爆発):ピストンが空気を圧縮するため、上死点(TDC)に近づくにつれてクランクの回転速度がグッと落ちます(パルス間隔が長くなる)。
- 裏の360度(排気?吸気):バルブが開いており、空気を圧縮しないため、上死点付近でもクランクは比較的スムーズに(速く)回ります(パルス間隔が短い)。
-
ローターの「歯」とパルスによる判定
カブのフライホイール(ステーターローター)の外周には、等間隔に並んだ複数の突起(リラクター歯)と、一部が抜けた「欠歯」と呼ばれる部分が設けられています。
クランク角センサーがこの突起を読み取ることで、ECUは「現在のクランクの正確な角度」と「次のパルスが来るまでの時間(=回転速度)」をリアルタイムに計算しています。 -
ECUによる「行程判別(ステージ判定)」のプロセス
- セルやキックでの始動時:
最初は表か裏か分からないため、ECUは一時的に「クランク1回転(360度)ごとに毎回点火・噴射」する捨て火(同時点火)モードでエンジンを始動させます。 - 速度パターンの学習:
エンジンが回り始めると、ECUはパルス間隔を比較し、「一番クランクの速度が落ち込んでいる上死点」を探します。 - 行程の確定:
「速度が落ち込む上死点 = 圧縮上死点(表)」と判定し、もう一方を「排気上死点(裏)」として確定させます。
- セルやキックでの始動時:
判別が完了した後は、無駄な燃料噴射や点火をカットし、クランク2回転に1回(720度周期)の正確なタイミングへと完全なシーケンシャル制御に切り替わります。
12歯3欠
FI(フューエルインジェクション)仕様のスーパーカブにおける、フライホイール外周の突起(リブ/タイミング突起)は、ECU(コンピューター)がクランクの回転位置と回転速度を検知するための重要なパルス信号を発生させるパーツです。
従来のキャブ車が「短い突起が1つ」だったのに対し、FI車は「長い突起が1つ」または「複数の連続した突起」 が配置されています。


🛠️ FIカブの突起に関する重要知識
- 役割は「クランク角センサー」のトリガー
突起がクランクケース側にある「ピックアップセンサー(パルスセンサー)」の目の前を通過する際、磁気変化によって電気信号(パルス)がECUに送られます。これにより、最適な燃料噴射と点火のタイミングを決定しています。 - キャブ車用との互換性は「なし」
キャブ車用のフライホイールは突起の長さや位置が全く異なるため、FI車に流用するとECUが正常なクランク位置を認識できず、エンジンがかからなくなります。 - 軽量加工時の注意点
レスポンスアップを狙ってフライホイールを削る(軽量化する)際、この突起を傷つけたり削り落としたりすると、センサーが反応しなくなります。また、突起とセンサーの隙間(ギャップ)が変わると点火不良の原因になります。 - ウッドラフキー(半月キー)の溝
フライホイールの内側(クランクシャフトと結合する部分)にある突起状のパーツ(半月キー)は、回転方向のズレを防ぐためのものです。脱着時にこれを正しく溝に合わせないと、点火タイミングが大幅に狂い、最悪の場合クランクシャフトを破損します。
ホンダのPGM-FIで採用されている「12歯3欠(実歯9個、欠歯3個分)」のクランクパルス信号から、クランクの回転速度変化(圧縮時の減速)を検知して、表(圧縮・爆発)と裏(排気・吸気)の360度を判別する。
12歯3欠は、クランク1回転(360度)の中に本来なら12個あるはずの歯(30度おき)から、基準位置(主に上死点の手前など)を示すために3連続で歯を抜き去った(90度分が平らな)特殊なクランクローター仕様です。
MAPセンサーユニット
ホンダのPGM-FI(電子制御燃料噴射システム)で採用されているMAPセンサーユニットとは、インテークマニホールド(吸気管)内の絶対圧(吸気圧)を測定する電子部品です。MAPは「Manifold Absolute Pressure」の略称です。
空気の量を直接測るエアフロメーターを使わず、「吸気管内の圧力」と「エンジン回転数」から空気量を計算する「Dジェトロニック(スピード・デンシティ)方式」の核となる最重要センサーです。
特にバイク用のPGM-FI(スーパーカブやモンキーなど)においては、スロットルボディ周辺の限られたスペースに収めるため、MAP(吸気圧)センサー、TP(スロットルポジション)センサー、IAT(吸気温)センサーの3つを1つのコンパクトな樹脂製ケースに統合した「3連センサーユニット」として広く採用されています。
主要な役割と仕組み
空気量の推定:ピストンが空気を吸い込むときの「負圧(真空度)」を測ります。圧力が低い(負圧が強い)ときは空気が少なく、大気圧に近いときは空気(負荷)が多いとECUが判断します。
大気圧の自動補正:エンジン始動直後やアクセル全開時の圧力を測定することで、現在の「大気圧」を検知します。これにより、山道などの高地(気圧が低い場所)でも自動で燃料を薄くし、エンジンの不調を防ぎます。
噴射量と点火時期の決定:測定された圧力データをECU(コンピューター)に電圧信号として送信し、最適なガソリン噴射量と点火のタイミングをミリ秒単位で決定します。
IACV
「50cc用エアバルブは、超小型ステップモーターで高精度のバルブを30μm単位で精密に作動させることにより、始動・暖機・アイドリング等エンジンの運転状態に応じた最適な空気量を制御することが可能となった。」
ECUから4本の配線を伴うことから、2相のステッピングモーターによる制御を行っていると考えられる。
バンクアングルセンサー
- バンクアングルセンサー(U4)の役割
バイクが転倒した際、エンジンがそのまま回り続けると、リアタイヤが暴走したり、ガソリンが漏れて火災が起きたりして非常に危険です。
このセンサーは「車体が一定以上(約50度〜60度)傾いたこと」を検知し、安全のためにエンジンを強制停止(燃料カット・点火カット)させる役割を持っています。 - 回路図(U4)から読み取れるホンダ独自の制御構造
この回路図では、ホンダ純正の「3pinタイプ」のバンクアングルセンサーが極めて正確にモデリングされています。
ピンの接続先:
29番ピン(BAS):センサーからの「傾き信号」をECUに送るメインラインです。
6番ピン(VCC):3連センサーと共通の5V基準電源から電気を分けてもらっています。
4番ピン(SG):こちらも3連センサーと共通のセンサーグランド(アース)に落ちています。
ホンダ特有の「電圧制御」の再現:
ホンダのバンクアングルセンサーは、単なる「ON/OFFのスイッチ」ではありません。
正常時(直立〜通常走行時):約1.0V前後の低い電圧を出力。
転倒時(規定以上傾いた時):5V電源に近い約4.0V以上のシグナル電圧を出力。
回路図を見ると、U4の出力(BAS)がそのままECUの29番ピンに入っています。ECUはこの電圧が「高くなった(4V以上)」ことを検知すると、即座に16番ピン(INJ)のインジェクター駆動と、ign_coilへの点火信号を遮断し、エンジンを安全に止めます。
- なぜ「3連センサー」と同じ電源(VCC/SG)を使っているのか?
回路図上で、MAPセンサー(U2)やスロットル(U3)と同じ「6番(VCC)」と「4番(SG)」に繋がっているのには理由があります。
もし車体のメイン12V電源から直接センサーを動かすと、バッテリーの電圧変動(セルのクランキング時など)で「転倒した」とECUが誤認識してしまうリスクがあります。そのため、ECU内部で作られた極めて安定した5V(VCC)を共有することで、誤作動を防ぐ設計になっているのです。
センサー入力
スロットル(TH)
物理的なワイヤーをスロットルグリップからスロットルボデーまで引いて、スロットルボデーのスロットルバルブを直接操作する。
スロットルバルブの開度は、スロットルボデーにアッセンブリーされたセンサーユニットの可変抵抗で受け取る。
5Vライン。
MAPセンサーユニット
スロットル開度、吸気温度、吸入負圧を入力するセンサー系。
スロットルボデーにアッセンブリーされる形で小型化に一役買っている。
油温センサー(TO)
小型バイクの場合は水温センサーが無く、油温センサーから補正係数を算出する。
センサーの取り付け位置はシリンダーヘッドのオイルリターン経路の真下で、燃焼によりアツアツになったオイルの温度を計測する。
Templature Oilの略称。
O2センサー(O2)
O2フィードバック用のNallow Band A/Fセンサー。
出力アークチェーター
イグニッションパルス(IGPLS)
キャブ車の時代に比べ、絶縁破壊で見えるプラズマ(火花放電)が格段に大きい。
12V。
燃料ポンプ
フューエルポンプ(FFP)
12V駆動のモーター。
インジェクター(INJ)
インジェクター。
中身はソレノイドで、FFPによって加圧されたガソリンを噴出させる。
IACV
アイドル・エア・コントロール・バルブ。
PGM-FI ECU 制御仕様一覧
1. 基本パラメータとタイミング基準
制御サイクル(1サイクル)
クランク角 0°〜720° (4ストロークエンジンの1サイクル、画像内では1080°まで連続表示)。 基準位置(上死点等)
1TDC(第1気筒の上死点):0°、720°付近。
1OLT(第1気筒のオーバーラップ上死点):360°、1080°付近。
ステージ管理(クランクパルス基準)
絶対ステージ:1サイクルを 0 〜 17 の計18ステージで分割・管理。
相対ステージ:クランクパルスをさらに細分化した 0 〜 23 の計24ステージで管理。
2. 吸排気バルブの動作時期
排気バルブ開期間:約180°〜365°付近、および900°〜1085°付近。
吸気バルブ開期間:約340°〜560°付近。
3. 燃料噴射量の算出仕様
基本噴射量算出ステージ(FICAL)
1サイクル中に2回設定(絶対ステージ 7〜8 付近、および 16〜17 付近)。
- スロットル開度などのセンサー情報を基に、基本となる「噴射量α」を算出する。
追加噴射量算出ステージ(TIASTG)
クランク角約180°〜270°(絶対ステージ 11〜13)、および約900°〜990°に設定。 - 急加速時などスロットル開度が急変した際、「噴射量β」を算出する。
- 追加噴射量の算出ステージは、設定により範囲を変更可能(Ⓔ 追加噴射量算出ステージ設定可能範囲)。
4. 燃料噴射弁(インジェクター)の作動仕様
基本噴射(常時)
基本噴射量算出ステージ(FICAL)で算出した「噴射量α」を基に、吸気バルブが開く前の最適なタイミング(絶対ステージ 9 付近)で噴射を駆動(ON)。
追加噴射(スロットル急開時など)
追加噴射量算出ステージ(TIASTG)においてスロットル開度の変化を検知した場合に作動。
既に基本噴射が始まっている場合、差分である「噴射量 β - α」の分だけ追加で燃料噴射弁を駆動(ON)し、噴射時間を延長する。
🔑 エンジン始動時の制御仕様・挙動一覧
1. クランク1回転目(始動開始・同期期間)
- ECU起動
- クランキング直後、圧縮工程の途中でECU電源電圧が立ち上がり、ECUが起動します。
- 燃料ポンプ起動
- ECU起動後、膨張工程の開始タイミングで燃料ポンプ(ポンプ電圧)が即座に起動します。
- 信号の状態
- 1回転目はインジェクター(INJ信号)および点火信号は出力されず、クランク角の同期やエンジン回転数の立ち上がりを待つフェーズとなります。
2. クランク2回転目(燃料噴射フェーズ)
- 燃料噴射の実行
- 2回転目の「吸入工程」のタイミングで、最初のINJ信号(燃料噴射)が出力されます。
- 電圧の変動
- 噴射に伴いインジェクター等の負荷が動くため、ポンプ電圧(およびECU電圧)がわずかに波打つように変動します。
3. クランク3回転目(点火・初爆フェーズ)
- 点火の実行
- 3回転目の「圧縮工程」の終盤(上死点前)に点火信号(点火)が出力され、エンジンが燃焼(初爆)します。
- 点火時の瞬時電圧降下
- 点火信号が出力される瞬間、ポンプ電圧が一時的にゼロ(矩形波状にドロップ)になります。これは点火ノイズ対策やイグニッションコイルへの通電電力を確保するためのECU仕様、あるいは一時的な回路遮断制御の挙動と考えられます。
- エンジン回転数の急上昇
- 点火・燃焼が成功した(膨張工程に入った)直後、ENG回転数が1000rpm付近から一気に2000rpm近くまで急上昇(完爆)します。
4. 時間的制約(有効時間)
- 有効時間(0.2sec)
- チャート下部に「有効時間 0.2sec」という緑色の矢印があります。
- これは、クランキング開始(またはECU起動)から、最初の点火・完爆に至るまでの目標時間、あるいは始動時専用の特殊な制御モードが維持される時間が約0.2秒であることを示しています。
📊 PGM-FI入出力・基準値仕様一覧
1. 入力信号系(センサー類)
- CRANKPLS(クランクパルスセンサー)
配線色:青/黄 (L/Y)、白/黄 (W/Y)
基準値:最小電圧 0.7 V以上(クランキング時ピーク電圧) - OIL TEMP.(油温センサー)
配線色:黄/青 (Y/L)、緑/橙 (G/O)
基準値:抵抗値 2.5 〜 2.8 kΩ(周囲温度 20°C時) - BANK ANGLE(バンクアングルセンサー)
配線色:赤/青 (R/L)、黄/赤 (Y/R)、緑/橙 (G/O)
電源:ECMから Vcc (5V) を供給 - SENSOR UNIT(スロットルボディ一体型センサー)
MAP(吸気絶対圧):配線 淡緑/黄 (LG/Y)
THROTTLE(スロットルポジション):配線 黄 (Y)
INTAKE AIR(吸気温):配線 灰/青 (GR/L)
共通線:電源 Y/R (5V)、アース G/O - NEUTRAL(ニュートラルスイッチ)
配線色:淡緑/赤 (LG/R)
2. 出力信号系(アクチュエーター・警告灯類)
- F. PUMP(燃料ポンプ駆動)
配線色:茶 (BR) - INJECTOR(インジェクター駆動)
配線色:ピンク/緑 (P/G)
基準値:インジェクター抵抗値 10.2 〜 11.4 Ω(20°C時) - IGNITION(点火コイル駆動)
配線色:ピンク/青 (P/L)
基準値:一次側ピーク電圧 最小 100 V以上 - INDICATOR(FI警告灯)
配線色:白/青 (W/L)
3. 通信・診断系
- SERVICE CONNECTOR(データリンクコネクタ)
K-LINE(通信線):配線 黄 (Y)
SERVICE(SCS線):配線 青 (L)
以上。


