「実装のスピード感に驚いた」 NewsPicks、SPEEDAの開発を支えるユーザベースのカルチャーとは
ユーザベースは「経済情報で、世界をかえる」をミッションに掲げ、経営企画に必須の企業・業界情報プラットフォーム『SPEEDA』やソーシャル経済メディア『NewsPicks』を軸に急成長を続けています。
同社では多様な人材を競争力の源泉として、それぞれの能力を結集するために、共通の価値観を明文化した「7つのルール」を設けています。
・自由主義で行こう
・創造性がなければ意味がない
・ユーザーの理想から始める
・スピードで驚かす
・迷ったら挑戦する道を選ぶ
・渦中の友を助ける
・異能は才能
※:【ユーザベース7つのルール】
同社のカルチャーとも言える「7つのルール」が、エンジニア組織にどのように根付いており、何をもたらしているのでしょうか。「7つのルール」に共感してユーザベースに転職したエンジニアに登場いただき、IncrementsのCTOを務める荻原一平をモデレーターにその実際を伺いました。
・「自由主義で成長を果たす」というユーザベースの姿勢に共感
・「新しい事例を試す柔軟さ」や「きちんとアーキテクチャを構築していく」取り組みがある
・目指すのは「ビジネスを作れるエンジニア」
・信頼できる、切磋琢磨できる仲間と働きたい
プロフィール
目次
「自由主義で成長を果たす」というユーザベースの姿勢に共感
荻原:まずは、お二人がユーザベースを転職先に選んだ理由を教えてください。
久保:私は元々SIerでした。転職活動では、多くの会社から内定をいただいたのですが、自分が本当に働きたいと思える会社が見つけられなかったので全て辞退してしまいました。結果、前職を退職後、転職活動に本腰を入れたんです。
荻原:それは勇気のある決断ですね。
久保:今振り返ってもそう思います。そんな時にエージェントのご紹介でユーザベースと出会ったんですね。正直、ビビッときたというか。「経済情報で、世界をかえる」というミッションやその実現のための事業内容に共感でき、自分自身がやりやいこと、挑戦したいことができる環境だと感じただけでなく、ユーザベースの「7つのルール」という企業文化に惹かれました。
企業として掲げている言葉が飾りではなく、実際に体現されていることを感じました。
荻原:「7つのルール」が実際に体現されていると感じたのはどんな時でしょう?
久保:面談中もそうですし、選考中にお会いしたメンバーとの会話の中でも感じましたね。「7つのルール」が日常会話の中にあったり、意思決定時の基準になっている。ユーザベースのカルチャーとして根付いてる印象を受けました。
荻原:なるほど。大日田さんはいかがでしょう?
大日田:私は社長の稲垣(代表取締役社長(共同経営者)稲垣裕介)と話す機会があったことがきっかけです。稲垣からユーザベースの事業内容や「7つのルール」に紐付いた企業文化について聞いていくうちに、ユーザベースへの興味が高まりました。
私はこれまで大手やスタートアップに籍を置いていたのですが、「7つのルール」はさまざまな企業で語られている文化をユーザベース流に上手にまとめ上げている印象があります。そのルールをベースにメンバーそれぞれが責任を持ちながら自由に働き、実際に会社を成長させるべく挑戦している。この点に共感し、転職を決めたんです。
荻原:実際に入社してみて、印象としてはいかがですか?
大日田:仕事中はもちろん社員同士の飲み会でも「7つのルール」の話題はよく出ます。指針としてユーザベースに定着している印象です。「異能は才能」や「迷ったら挑戦する道を選ぶ」といったワードがひん繁に登場します。
荻原:お二人は「7つのルール」の中で、どの言葉が好きですか?
久保:私は「迷ったら挑戦する道を選ぶ」ですね。転職活動を振り返ってみてもそうですし、すごく自分に馴染んでいる言葉です。開発チームでは「過去に囚われず挑戦する」という発想が技術選定で重要視されています。
大日田:「自由主義で行こう」と「異能は才能」が共存していることが格好いいですよね。実際、いろいろなバックグラウンドやスキルセットを持った個性ある人たちが、パフォーマンスを最大限に発揮しながらまとまっているのがすごい。
その背景には「7つのルール」が大切にされていて、そういった価値観に見合った人たちが入社してくるからこそ、なし得ているんだと思います。僕自身、自由にやりたいし優秀な方々と仕事ができていることがとても楽しいです。
「新しい事例を試す柔軟さ」や「きちんとアーキテクチャを構築していく」取り組みがある
荻原:いろいろなバックグラウンドを持った方と仕事をするのは楽しいですよね。そういった人たちと仕事をしていると、全く違った発想の提案があったりもしますし。
では、ユーザベースの開発体制や技術なども伺わせてください。
大日田:『NewsPicks』の開発は5チームで構成されています。プロダクト系のチームは現在、NewsPicks本体のプロダクト強化をしているチームと、月額5,000円の有料プラン『NewsPicksアカデミア』を進化させるチームがあります。そのほか基盤系では、検索や機械学習で利便性を向上させる取り組みや広告配信の仕組み作りなどをしています。
久保:『SPEEDA』の開発は、プロダクトとSREのチームに分かれています。共通点としてはアジャイルでイテレーションを回して開発していく点です。私はSREチームに所属しているので、プロダクトの改修やインフラレイヤーの運用・構築を担当しています。
少し話が逸れますが、少し前にモブプログラミングの記事が話題に上がったじゃないですか?
荻原:ありましたね。
久保:そういった新しい事例が登場したらすぐに試してみたりとか。柔軟性を持って開発に取り組んでいます。
荻原:ユーザベースには、『SPEEDA』や『NewsPicks』など複数のサービスがありますよね。エンジニアのコミュニケーションについてはいかがでしょう?
久保:全プロダクトのTechチームを巻き込んだ社内ISUCON(※)やハッカソンなどの企画が開催されています。私も運営に携わっていますが、社内のエンジニア同士でのシナジーやコミュニケーションを生み出すために、こういった取り組みって大切だと思うんです。
※:ISUCONは、お題となるWebサービスを限界まで高速化を図るチューニングバトル (http://isucon.net/)。同様の催しを社内で行う動きが活発。
荻原:そうですね。僕もそういった社内活動は大事だと思います。大日田さんはプロダクトマネージャーという目線でエンジニアの開発現場を見て、気付いたことはありますか?
大日田:そうですね。SIerのバックグラウンドを持っているエンジニアが多い印象があります。例えば、銀行系システムの設計を担当されていた方とか。僕はWeb系出身ですので、設計を見た時にとてもしっかりとした作り方を実践している印象を受けました。
「何か動くものができればいい」という価値観ではなく、モデル図やフロー図を作ったりするなど、きちんとアーキテクチャを構築していく姿勢がありますね。より良い設計をすることで、その後の開発スピードにも良い影響があるという点を理解した上での行動だと思います。
荻原:ちゃんと設計しないと後々辛くなりますもんね。
大日田:本来はそうあるべきだと頭では理解しつつも、いろいろな理由でそれができないケースは多いですよね。
荻原:今の開発スピードと将来の開発スピードに関してどのように配慮すべきかを考えながら、開発に取り組む文化が根付いているということですね。
では、サービスを作っていく中で、『NewsPicks』ならではの楽しさはどこにあると思いますか? メディアという特性上、エンジニアや編集、セールス、マーケティングなどさまざまな関係者がいますよね?
大日田:そうですね。私が『NewsPicks』にジョインしてチャレンジングに感じているのがまさにその点です。一般的なサービス開発では、エンジニアがいて、プロデューサーや企画、デザイナーがいるというのが普通ですが、『NewsPicks』には編集部もあります。職種をまたいだプロジェクトも動いていて、この編集部の「今後挑戦したいこと」も1つの大きな軸になっています。
先程お話した『NewsPicksアカデミア』についても、イベントや書籍の出版、コミュニティ作りなど、編集部と一緒になって築き上げたい世界観をみんなで達成していくイメージです。
荻原:そうなると『NewsPicks』のプロダクトマネージャーは、求められる役割も大きなものになりそうですね。
大日田:そうですね。多様な意思を持った組織なので、部門やチームを横断してプロダクトマネージャーとして何をすべきか考え、自分なりの取り組みを実践していく必要があります。
私としては、『NewsPicks』独自の強みをもっと伸ばしたい、進化させていきたいという気持ちがあります。この組織ならではのプロダクトマネジメントの形を作って、『NewsPicks』をさらなる高みに持っていきたいと考えています。
荻原:なるほど。編集部の方とは議論するケースも多いですか?
大日田:フラットに議論をする機会は多いです。今までになかった経験ですが、エキサイティングで楽しいです。
荻原:いいですね。印象残っている仕事やエピソードなどはありますか。
大日田:入社してまず感じたのは実装までのスピード感ですね。「7つのルール」にも「スピードで驚かす」というワードがあるのですが、まさにその通りだなと。例えば、ミーティングをしていて「これをやってみよう!」などアイデアはたくさん出てくるものですよね?
これまでの経験上、例えばここで出たこの大きさのアイデアが実装されるのはだいたい2カ月後くらいだろうと想定するとします。それが、翌々週には十分なクオリティでリリースされていたりして。これにはとても驚きました。
目指すのは「ビジネスを作れるエンジニア」
荻原:複数の企業を経験してきた大日田さんから見ても開発スピードに目を見張るものがあったと。では、久保さんとは技術寄りの話ができればと思います。今使われている技術スタックなどを教えてください。
久保:『SPEEDA』はオンプレミスですので、データセンターのラックに物理サーバーをマウントしています。仮想環境はXen、OSはCentOS、開発言語はJava、アプリケーションサーバーはTomcatです。データベースはMySQL、最近はAerospikeや PostgreSQLも使っています。
荻原:オンプレを運用するのって楽しさもあるけど大変さもありますよね。
久保:そうですね。開発するまでのタイムラグが生じたりもしますし。この課題を解決するためにDockerやKubernetesを導入しています。オンプレでKubernetesを使うのって珍しいですよね?
荻原:確かに珍しい印象があります。Dockerコンテナを用意するだけで良くなると、サービス構築のタイムラグも削減できそうですね。
久保:それまでは1週間程度掛かっていた時間が1日まで短縮されましたね。
荻原:それは大きな変化ですね。担当エンジニアの手が空いてないと、結構待ちになってしまうことも多いので。久保さんは実際、物理サーバーを触ってみていかがですか?
久保:物理サーバーを触りたいと思っていたので、楽しいと感じる時は多いですよ。夜中にみんなでデータセンターに行ってのメンテナンス作業はオンプレならではだなって(笑)。クラウドを使っている時には味わえないような仕事だと思います。
荻原:まさにオンプレならではですね。Aerospikeが出てきたりと、新しい技術も取り入れている印象ですが、技術選定をする時はどのような考え方で進めていますか?
久保:まず作るシステムにおいて何がベストなのかを重要視しています。ただ、先程もお話した通り、「迷ったら挑戦する道を選ぶ」ことも大切にしています。
荻原:常に挑戦する環境だということですね。
久保:そうですね。ちょうど今、JVMのGCアルゴリズムを変えようとしていて、いろいろなJVMを検証しているんです。私としては、OpenJDKプロジェクトのShenandoahに注目しているのですが、日本語のドキュメントもほぼないので、本当に挑戦です。
荻原:結構攻めていますね。久保さんが目指すエンジニア像などはありますか?
久保:今回SREチームに改名(2017年10月にインフラチームとプロダクト改修チームが統合してSREチームに)されたこともあり、単純にインフラだけでなく、アプリの改善も行うポジションになりました。ですので、インフラだけに留まらずサーバーサイド、フロントエンドの開発にも挑戦したいです。インフラも強いし、コードも書けるエンジニアみたいな。
ただ、技術を磨くのは勿論ですが、本当に目指しているのはビジネスを作れるエンジニアなんです。エンジニアリングは新しいものを生み出すための手段だと考えていて、いいアイデアが生まれれば社内のメンバーと開発したいですし、より良い機能を思いついたら、自分でモックを作って提案もしたいと思っています。
荻原:手段を磨くだけに留まりたくないというのは、いつ頃から考え始めたんですか?
久保:これはユーザベースに入る前から思っていました。元々大学では法律を学んでいたのですが、これからはビジネス+ITの時代だと思って、エンジニアになりましたし。大学時代に思い描いた仕事像をユーザベースで実現できて、今すごく満足しています。
荻原:それはいい転職でしたね。ただ、SIerからの転職って環境が大きく変わると思うのですが、すぐに対応できましたか?
久保:環境については、前職と何が変わったのか友達にも聞かれることがあり、「全部変わった」と答えていますが、そこまで苦労した印象はありません。自分には今の環境や文化が合っているのだと思います。ユーザベースでは、チームとして目指している方向をフラットに仲間たちと議論して、自分の意見も受け入れられる。そういった仕事ができるのは素晴らしいと実感しています。
信頼できる、切磋琢磨できる仲間と働きたい
荻原:「7つのルール」に基づいて、挑戦やスピード感などさまざまなことに取り組んでいるチームがユーザベースにはあると。では、お二人がこれから一緒に働く仲間に求めているものを教えてください。
大日田:ユーザベースって、すごく自由に仕事ができる環境なんです。だからこそ、みんなの意思を束ねる価値観を共有できることが大切だと思っていて。価値観に賛同して、背中を預けられるような信頼できる仲間が加わってくれると嬉しいですね。
久保:「経済情報で、世界をかえる」というミッションに対して共感できる方ですね。加えて、エンジニアとしては、今のメンバーを超えるという成長意欲があると嬉しいです。
私自身、上長や技術的に優れたメンバーを超えられるエンジニアになるのが目標で、同じような思いのあるエンジニアと切磋琢磨していきたいんです。そういう上昇志向を持ったエンジニアが増えることで、さらに刺激的な職場に変化していくと思うんです。
荻原:貴重なお話をありがとうございました。
ユーザベースでは、「7つのルール」に基づいた企業文化が開発にも大きく影響しているようです。
・自由主義で行こう
・創造性がなければ意味がない
・ユーザーの理想から始める
・スピードで驚かす
・迷ったら挑戦する道を選ぶ
・渦中の友を助ける
・異能は才能
お二人の話を伺いながらルールを見てみると「どうやって開発するのか」、「エンジニアとしてどうあるべきか」を考える際の指針として、とても役立つのが分かります。会社から一方的に強制された決まりごとではなく、ボトムアップで実践している様子も見えてきました。
内容にエンジニアとして共感できる方は、ご応募いただきぜひ一度エンジニアとお話ください。
当記事は開発現場のお二方からインタビューいただきましたが、対となる企画、ユーザベースCEOとチーフテクノロジストが語る記事をこちらからご覧いただけます。
ユーザベースの取り組みへの理解を深めることができる企画となっております。併せてご覧ください。