異なる技術、価値観を持つエンジニアと支えあって成長できる。パーソルエクセルHRパートナーズの「システム開発部」

パーソルエクセルHRパートナーズ株式会社はパーソルホールディングスのグループ企業でモノづくり総合支援サービスを行っていますが、同社には受託開発を行う技術部門「システム開発部」があります。システム開発部は長年モデルベース開発を得意としており、車載機器のECU(Electronic Control Unit)といった最新の組み込みソフトウエア開発を中心に、大手メーカーを主とするクライアントをサポートしてきました。同部は高い技術力はもちろん、働きやすさにも魅力があり、主婦やママのエンジニアも大活躍しているそうです。

システム開発部がどのような組織で、どのような開発に取り組んでいるのか、組織の特徴などを部長の柴 忠氏に伺いました。

プロフィール

柴 忠(しば ただし)
パーソルエクセルHRパートナーズ株式会社
システム開発部 責任者
システム開発部責任者として、車載機器・医療機器・産業機器等といった分野で組込みソフトからICTまで広範囲のチームを牽引。プレイングマネージャーとしてチームマネジメントに加え、クライアントへの提案、開発にも積極的に参加している。エンジニアが楽しくストレスなく開発に取り組める環境作りを推進し、若手の育成にも熱心に取り組んでいる。

長年の強みは「モデルベース開発」。車載ECUなど豊富な開発実績。

――はじめにパーソルエクセルHRパートナーズ株式会社の事業内容とシステム開発部の概要を教えてください。

柴 忠 氏(以下、柴):当社は、パーソルホールディングスのグループ企業としてモノづくり総合支援サービスを提供しています。幅広い業界のお客さまへ人材と技術のソリューションを提供しており、技術ではエンジニア派遣に加えて受託開発を行なっているのが特徴の1つです。そのなかで、私が所属するシステム開発部は受託開発を担当する部署ということになります。

――貴社の設立からの歴史的経緯からしますと、クライアントはパナソニックグループに関連した企業が多いのでしょうか?

柴:当社がパナソニックグループだった時代は、ほとんどがグループ関連の仕事でした。最近は全体的に見ると3/4ほどです。システム開発部はクライアントの90%以上がパナソニックグループ以外の企業となっています。そういった点でも、システム開発部は社内では少しアウトロー的な立ち位置かもしれません。

――アウトロー的とのことですが、システム開発部では具体的にどのような開発をしていますか?

柴:システム開発部は、元々は組み込みソフトウエア開発の分野でスタートしました。その後、Windowsのソフトウエア開発、最近ではクラウド、WEB開発にも取り組むようになりましたが、中心となるのは、やはり組み込みソフトウエア開発です。近年、ICT分野も伸びてはいますが、車載ECU(Electronic Control Unit)分野の開発が多くなっています。

――カーナビやETCなど車載機器もIT化が進んでいますが、どのような分野が多いのでしょうか?

柴:もちろん、それらに関連する開発もあるのですが、我々はハイブリッド車の制御ソフトウエアやバッテリーを効率よく制御するBMS(Battery Management System)のソフトウエアといった、「車の中」の開発が中心です。電気自動車(EV)に関連する開発にも数多く対応しています。

――最先端の自動車関連の開発に取り組まれることが多いのですね。

柴:たしかに最先端ですが、当社システム開発部が車載開発をスタートしてもう10年以上経つので「ずっとやってきたな」という感覚もあります。きっかけは日本で最初の電気自動車に関連したソフトウエアの開発に携わったことです。

当社は初号機の車載充電器のECU開発に参画させていただきました。量産される電気自動車のECUという観点からすると世界初のソフトウエア開発に加わったことになります。電気自動車に関連する開発にはもう10年以上携わってきたため、「最先端」というよりも、長年にわたって技術を蓄積してきた感覚が強いのです。

最近では、世界的な流れもあって多くの自動車メーカーが電気自動車に興味を示すようになったため、引き合いはかなり増えています。

――システム開発部はどのような開発組織でしょうか?

柴:システム開発部はメンバーの95%ほどが受託開発に取り組んでいます。一部、クライアントとの守秘契約といった関係性のなかで契約形態として派遣になることもありますが、基本的に受託開発の組織です。

現在は自動車メーカーや総合重工業メーカーの仕事が増え、多種多様なクライアントとバラエティに富んだ仕事をさせていただいています。

そのため、一種類の開発手法ではなく、状況に応じて様々な方法で開発を楽しんでできることがシステム開発部のモチベーションの1つになっています。我々は単なるソフトウエアは作っていません。クライアントからご依頼のあったことだけを開発するのではなく、テーマやお困りごとを理解した上でさらに良いものを提案して開発を進めています。最近ではアルゴリズムまでクライアントと一緒になって開発を進めることが増えました。これが他社とは異なる強みだと思っています。

――クライアントからはどのような開発領域で問い合わせを受けることが多いのでしょうか?

柴:我々が長年得意としている「モデルベース開発」分野が多いですね。先ほどお伝えした10数年前の電気自動車関連の開発もモデルベース開発技術を用いています。モデルベース開発はここ5~6年で一般的に認知が広まっていますが、10年以上前から取り組んでいる組織が少ないこともあって、我々のノウハウに関心を持つクライアントが多いようです。そのため、一部ではコンサルタント的な立ち位置でクライアントのモデルベース開発の立ち上げに協力することもありますね。

また、クライアントから他のメーカーを紹介いただくケースも多いです。紹介いただいた大手メーカーがモデルベース開発をスタートするにあたり、その導入支援を当社が担いました。他にも、既にノウハウがありモデルベース開発をしている会社の開発環境の改善に一緒に取り組んだこともあります。モデルベース開発は自信を持って提供できる技術だと自負しています。

――モデルベース開発の経験豊富な日本企業というのは、クライアントからすると心強い存在ですね。

柴:最初は「本当にできるの?」という目で見られたり、プレゼンテーションをしても半信半疑といったこともありました。しかし、実際にクライアントの課題に対して適切な提案をするところからはじめて、ご理解いただき、最終的には安心してお任せいただいています。

クライアントとしては人手不足という背景もあって待ったなしの状況だと思いますので、開発を効率化したいという強い想いをお持ちだと感じます。課題解決のためにモデルベース開発を導入されるケースが増えているのも1つの流れだと考えています。

――差し支えない範囲で、最近の開発事例を教えてください。

柴:かなり多くの事例がありますが、面白さでいうと「未来の車」関連の開発ですね。BMSに関係する開発も増えています。車以外では、工場・設備関係のIoT関係の開発事例も多いです。

またアルゴリズム開発の事例も増えています。例えば、メーカー側で実現できなかった画像処理のアルゴリズム開発に当社が入って実現したこともありました。超音波センサーを初めて開発するメーカーの試作品製作にあたっては、我々がアルゴリズム開発を担っています。

異なる技術、価値観の人たちと技術的な交流ができる「面白い組織」

――システム開発部の長年の強みであるモデルベース開発技術を、パッケージ化して提供する可能性はありますか?

柴:現時点では考えていません。実際にモデルベース開発技術や自動化技術を活用した開発ツールの販売がないか問い合わせをいただくこともありますが、個別での販売はしていません。

我々は品質を高めたり、効率化したりする視点でツールやフレームワークも開発しています。商売が下手なのかもしれませんが、これらを売ることにあまり興味がないのです。

――パッケージだけでは、クライアントがモデルベース開発をするのが難しいからでしょうか?

柴:それもありますが、クライアントが他社と差別化したものを開発するのはパッケージだけではなかなか難しいと考えています。我々には、クライアントの製品を競合と差別化したものとして開発するために一緒に仕事をしたいという想いがあるのです。

一例ですが、モーターのICを作っているメーカーから開発環境をパッケージソフトとして作ってほしいと依頼されたことがあります。その意味ではパッケージソフトを作ったことになりますが、最終的にはクライアントと一緒になってコアの制御を開発しました。パッケージはベースになっていたことになります。

――貴社の強みを発揮し、さらにクライアントに貢献するためだったのですね。

柴:そうです。組み込みソフトウエア開発ならではかもしれませんが、モデルベース開発にしても常に最新のテーマに取り組みたいと考えています。最新のもの、先進のもの、そして組み込みでは一般的に使わない手法であっても、活用できるものであれば、どんどん使っていこうというスタンスです。これが我々の強みにつながっていると考えています。

――システム開発部の特色や魅力を教えてください。

柴:多様な方が働いており、異なる価値観の人たちと交流できる面白い組織です。1つのものを作るときも、Windowsアプリケーションのエンジニアと組み込みソフトエンジニアが一緒になって開発をすると、興味深い融合や化学反応が生まれます。一般的には異なる技術を持っていると、お互いに距離を取ることが多いようですが、当部では、仲が良く双方を引きずり込んで技術的な交流をしてきました。

これまで紹介してきたように、多種多様な仕事をすることが前提の組織なので、柔軟な技術間の交流がしやすいのが組織の魅力になっています。

また、データサイエンスに携わる方を一般的には「データサイエンティスト」と呼称するかと思いますが、部内ではデータサイエンスに関わるメンバーも全員「エンジニア」と呼んでいることも特徴の1つです。

――そのようにしているのは何故でしょうか。

柴:データサイエンスやAIは、我々としてはあくまでもツールの1つだと捉えています。特にデータサイエンスについては、昔からメーカーの方々は取り組んできました。それが最近になり大規模データの利用とともに注目されていると認識しています。

我々も、過去にクライアントの研究所とデータ分析に取り組んだ経験が豊富です。我々はデータサイエンスやAIを活用して製品の質を向上させたり、テクノロジーを実現化して社会に価値を還元したりすることが重要だと考えており、その想いを「エンジニア」という名に込めています。

ママさんエンジニアがエース!? 柔軟な働き方に対応する「活躍できる環境」

――パーソルエクセルHRパートナーズで働く魅力を教えてください。エンジニアはどのようなことに挑戦できるのでしょうか?

柴:まず技術的な観点で言うと、これまでお話させていただいた通り、当社システム開発部は様々な業界で幅広い技術を使って長年開発をしてきました。ですので、エンジニアが「この技術を次にやりたい」と思ったときに、転職をしなくても多くの選択肢が部内にあります。例えば、最初の5年間は組み込みソフトウエア開発に取り組んで、その後クラウドや上流工程をやりたいと考えたら、その開発にチャレンジできるようにしています。

会社の意向だけで配置することはほとんどしていません。エンジニアは新しいことに挑戦できるのが基本です。

仕事の範囲という観点では、若手でも実力や意欲のあるエンジニアにはリーダークラスの役割を任せるようにしています。

――エンジニアの挑戦をサポートする体制が用意されているのですね。

柴:そうです。そして部内にエンジニア育成のスキームがあり、学びを支援してきました。また、定期的にチームごとに勉強会を開催したり、異なるチームの人たちがテーマごとに集って技術を学ぶワーキンググループ活動を実施したりしています。

この背景にあるのは「技術を好きになってほしい」という想いです。エンジニアとして働いていると、正直、しんどいときもあります。仕方がない一面もありますが、何よりも技術を楽しい、面白いと思ってもらえる機会をできるだけ多く提供することで、有意義に成長してほしいと願っています。

やはり、エンジニアが「この仕事、やっていて楽しい」と言ってくれるのが一番です。
2023年度からは育成担当の管理職を迎え、エンジニアの育成にさらに力を入れます。学びと挑戦でチーム間の技術の流れをよくして、システム開発部の技術力も向上させたいですね。

――エンジニアの挑戦に関して印象に残っているエピソードを教えてください。

柴:最近のことですが、文系の方を採用しました。入社予定よりも前に自然言語処理のプロジェクトが入ったのですが、その方が採用面接時に「自然言語処理に関わりたい」と話されていたのを思い出し、前倒しで参画できないかと話をしました。結果的にそのエンジニアは得意領域で仕事がスタートできたこともあって楽しく仕事できていると聞き、私としても嬉しく思います。

また、時短勤務やテレワークなど柔軟な働き方にも幅広く対応しています。それもあって主婦やママのエンジニアも数多く在籍し、活躍してくれています。

――主婦やママのエンジニアの挑戦もサポートしているのですね。

柴:はい。会社の制度で小学生未満の育児中は時短勤務が可能ですが、時短勤務であっても工夫をしてエース級の活躍をして仕事の中枢を担っている女性エンジニアもおり、心強いです。

お子さんが風邪をひいて熱があるときは、責任者をはじめ周りのメンバーがサポートして「仕事は気にしなくていいから休んで」と言ってカバーしあう環境です。

時短勤務でも主婦でも、能力や成果に応じて主要な仕事を任せています。その点で当社を選んでくれるエンジニアも多いですね。

――大学院で研究を継続しているエンジニアも在籍していると聞きました。

柴:はい。ご自身の研究を継続しているエンジニアもいます。そういった方には、関連する学会の発表会が開かれるときは仕事、つまり出張として認めることもしてきました。もちろん出張報告等はしてもらうのですが、我々の仕事に直結するものに関しては積極的に外部に行けるようにサポートしています。

テレワークなども柔軟に取り入れています。おからだが不自由な方やご家族にそういった方がいらっしゃるエンジニアも在籍しています。受託開発をしている部署ということもあり、エンジニア同士が協力しあって開発を進めています。その意味で、システム開発部は柔軟な働き方ができるところだと思います。

技術が好きなメンバーと一緒に「楽しい技術者生活」が送れる

――システム開発部には、どのような方が向いていますか?

柴:「技術が好き」と言える人ですね。「できる」「できない」もあるかと思いますが、前提として技術が好きな人が向いていると思います。

また、システム開発部は多種多様な仕事をそれに適した形で進めることもあり、1人で仕事をするのではなく、支えあってチームで一緒に働いてきました。困っている人がいたら助け、自分が困っているときは助けてもらう協力関係を持てる方が活躍できると考えています。

――品質の高い開発をするには協力関係が大切だということでしょうか?

柴:そうです。これだけ技術が広がってくると、1人のエンジニアが抱えられる技術の量ではなく、必ず誰かの助けが必要になります。1つの組み込み製品でも、音声や映像、モーター制御など、多種多様な新しい技術を取り込んで開発するような時代になりました。
それぞれが得意分野を持ち、横にいる人の技術を借りたり、手伝ったりして、一緒にモノを作り上げていくことが大切ですし、そういう方と一緒に仕事ができたら非常にありがたいと思います。

――最後にQiitaの読者にメッセージをお願いします。

柴:パーソルエクセルHRパートナーズは人材サービスをやっている会社というイメージが強いかと思います。この記事を通じて人を大事にしつつ、技術にフォーカスした組織があることも知っていただきたいです。
我々は、様々な技術を深く楽しみながら成長できる組織文化を作ることを大切にしており、エンジニアが挑戦することに対してNGを出す組織ではなく、サポートしたいと考えています。

新しいことに挑戦して成長したい方は楽しい技術者生活が送れると思いますので、そういった方に来ていただけたら嬉しいです。

パーソルエクセルHRパートナーズの採用ページをみる
お問い合わせはこちら : saiyou-pphr@persol.co.jp

編集後記

パーソルエクセルHRパートナーズには、長きにわたって受託開発で大手自動車メーカーや重工メーカーといったクライアントを支える開発組織があるだけでなく、さらに主婦エンジニア・ママさんエンジニアも活躍できるような組織文化を持っていることを知り、正直、驚きました。人を大切にする社風が醸成した文化だと感じます。

エンジニアを強力にサポートしてくれる環境で、様々なことにチャレンジしながら成長できるとは魅力的な話です。「楽しい技術者生活」を送りたいと考えているエンジニアは、ぜひ一度、同社システム開発部をチェックしてみてください。

取材・文 / 神田 富士晴

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