リモートワークでもキャリアアップを諦めない。SAP ERP運用保守への転職でつかんだ理想的な働き方
DXの取り組みが急加速する昨今、企業の基幹システムを支えるSAPソリューションの活用にも期待が高まります。企業はIT人財をDX推進に注力させようとする中で、その取り組みを妨げないためにも、既存システムの運用保守に手間を煩わせず、安心して任せられるスペシャリストの必要性を強く意識するようになってきました。
そのような需要に応えるのが、NTTデータグループにおけるSAP事業の中核会社として設立され、日系企業のグローバル展開を支えてきたNTTデータ グローバルソリューションズです。同社では働き方改革を実践しており、リモートワークでSAP利用企業をサポートできるコンサルタントを増やしています。
今回は、札幌在住のコンサルタントへNTTデータ グローバルソリューションズで実現したリモートワークで働く日々の様子や、同社での取り組みについて話を聞きました。
スペシャリスト集団だからこそできるビジネスモデル
システムのグローバル化に応える「信頼される良い会社」
NTTデータ グローバルソリューションズ(以下、NTTデータGSL)は、NTTデータグループにおけるSAP事業の中核会社として2012年に設立されました。国内のグループ会社に分散しているSAPソリューションや業務ノウハウの一体化を図り、日系企業のグローバル展開に伴う「システムのグローバル化」というニーズに応えるために、戦略的な事業経営を目指しています。2022年時点では、世界58カ国以上の海外拠点と連携しながら、SAPソリューションのスペシャリストたちがサービスを提供。
DXが企業の存続に欠かせない取り組みとなっている昨今、NTTデータGSLへのニーズは一層高まっています。
SAPソリューションは、最先端のテクノロジーとグローバルのナレッジを活用しながら、クラウド化とDXへ対応できるように進化しています。NTTデータGSLとしてもSAPソリューションを中心に、DXを見据えたIT戦略・デジタル戦略の立案、システム導入、運用保守といった幅広いサービスを提供してユーザー企業をサポートしています。
提供サービス概要
具体的には、システムのライフサイクル全般(戦略、構想、計画、導入、運用・保守)に渡りサービスを提供する「コンサルティング/PoC」、SAPソリューションやそれを含むエコシステムの導入支援をする「インプリメンテーション(導入)」、アドオンをどの程度対象とするのか、どのような移行方法が効果的で最適化であるかなどの提案をフェーズに分けた一連のプロセスにて提供する「SAP S/4HANA移行」、SAP アプリケーションのホスティング、移行サービスやディザスタリカバリ(DR)など、企業のクラウド活用を支援する「クラウドサービス」。グローバルに広がるサポート体制を活用した実績あるサービスを提供する「運用保守」。
NTTデータGSLの実績あるサービスを利用することで、企業は自社での要員確保や継続的教育、障害対応などの負担が軽減され、効率的・効果的にSAPを運用できます。NTTデータGSLは国外にも拠点を展開しているため、ユーザー企業は国内外を問わず、インシデント管理や変更管理、リリース管理などの一貫したサービスとサポートを受けられます。
運用保守フェーズにおいて、ITサービスを安定的に提供し継続的な改善を実現するために、中心的な役割を果たすITサービスマネジメント(ITSM)事業部。運用保守などの業務を代行する「AMOサービス」を提供しています。
企業が利用するITサービスが多様化・複雑化し、企業の業績やビジネスの成長に与える影響が大きくなっている今、情報システム部門に求められる役割も拡大しています。社内のIT人財をDX戦略の立案や実行といった「攻めのIT」に集中させるためには、NTTデータGSLのような企業に運用保守を代行してもらい、IT人財にかかる負担を軽減することが重要です。
またNTTデータGSLのAMOサービスでは、コンサルタントを必要に応じて集約・分散してフレキシブルにインシデント対応を行う「シェアードサービス」があります。従来の固定要員を確保する体制と比べてコストを削減することが可能です。これまで蓄積されたSAP運用ノウハウに加え、柔軟な対応力を有するSAPのスペシャリストを擁しているからこそ実現できるモデルです。
SAP運用保守をサポートするスペシャリストの1人が、大阪にある西日本プロフェッショナルサービスセンター所属でありながら、札幌からリモートワークで業務にあたるコンサルタントの江刺 琴映氏です。江刺氏に、ITSM事業部での業務内容や魅力について聞きました。
目次
プロフィール
引っ越しても辞めずにキャリアを積めることが絶対条件
「臨機応変に対応できる仕組み」が確立されている
――NTTデータGSLへ入社される前のまでの経緯を教えてください。
江刺氏(以下、江刺):大学の情報工学科を卒業後、東京にある商社へ就職して情報システム部門に配属され、自社と国内外のグループ会社が利用するSAP ERPの導入や運用を担当しました。
その後、夫の転職で地元の札幌に戻ることに。継続して同社で働くことを上司や人事・関係者と検討しましたが、札幌のオフィスは営業中心の拠点で、情報システム部で行ってきた仕事を一人リモートで行うという前例がなく、現在のように柔軟に働ける体制も整っていなかったことから断念しました。
札幌では税理士事務所に就職して、顧客の経理業務から決算支援、税務申告などの税理士補助業務に携わりました。しかし、夫の転勤が2年ごとにあり、また場所も北海道内だけではありませんでした。税理士事務所ではリモートで仕事を続けられるように配慮してもらえたので当初は辞めずに済んだのですが、お客さま対応のための出張が頻繁にあり、続けるのが難しくなって退職しました。
選考はフルリモート。1週間で採用決定
――その後、どういった経緯でNTTグループに興味を持ったのでしょうか。
江刺:NTTグループが働き方改革の推進に取り組むというニュースを見たことがきっかけです(※1)
頻繁に連絡をとっていた商社時代の元同僚がNTTデータGSLのITSM事業部で働いており、以前から仕事内容や働きやすさは耳にしていました。紹介するから働かないかと誘われていたのですが、ブランクもありリモートワークで本当に働けるのか確信を持てなかったので、具体的には検討していませんでした。
しかし、ニュースを見て意識が変わり元同僚に連絡したところ、話はとんとん拍子に進みました。現在の上司でもある西日本プロフェッショナルサービスセンターのセンター長が話を進めてくださり、1週間で採用が決まったのです。面接と適性検査も全てリモートで行われました。その後は入社手続きを経て2022年8月1日に入社し、現在に至ります。
――ブランクがあったとのことですが、当時はどのような条件で企業を探していたのですか。
江刺:夫の転勤が多いので、引っ越ししても私が辞めずにキャリアを積み重ねられる職場であることが第一条件でした。つまり、リモートワークが可能な会社かどうかを重視していました。その上で、今までの職歴を生かせるような仕事を探していました。
※1:NTTグループでは2020年6月24日、リモートワークを基本とする新たな働き方の導入について発表。新たに日本全国どこからでもリモートワークにより働くことを可能とする制度『リモートスタンダード』を2020年7月1日より実施。会社への通勤圏に居住する必要がなく、出社時には交通費が支給されます。
リモートワークで働く新たな仲間を支えたい
時間をかけて難易度の高い案件にチャレンジ
――普段の業務内容について教えてください。
江刺:AMO運用保守のデリバリメンバーとして、SAP ERPのFI(財務会計)モジュールに関する問い合わせに対応しています。また、お客さまから寄せられるカスタマイズの要望や制度改正に対応するため、要件確認や実現方法の提案、仕様変更の設計も行います。開発は協力会社さんに依頼することもありますが、設定変更やカスタマイズについては、デリバリメンバーが実施しています。
NTTデータGSLでは特定の会社を担当し続けるのではなく、優先度とデリバリメンバーの空き状況などを勘案して、様々な企業の案件を割り振っています。その都度システムの設定や状況を把握しながら臨機応変に対応する必要があるのですが、キャッチアップしやすいようにナレッジトランスファーの仕組みが確立されています。
――リモートワークでの1日の働き方を紹介してください。
江刺:チーム内でのコミュニケーションには、基本的にMicrosoft Teams(以下、Teams)を利用します。
フレックス制なので厳密に稼働時間を決められているわけではありませんが、私は9時から17時半を定時に決めています。朝はシステムのジョブエラー発生を通知するメールがないかのチェックや連絡事項などのメール・チャット確認を行い、1日の作業予定を連絡し、お客さま対応の仕事を始めます。
昼には午前中の報告と午後からの予定を共有するミーティングがあります。ここで、他のメンバーの作業内容や予定を確認したり、全体向けの連絡事項を共有してもらいます。
午後はお客さま対応を継続して、1日が終わります。随時ミーティングもあったりしますが、基本的にはこのような流れですね。
――デリバリメンバーの空き具合も、昼のミーティングで確認しているのでしょうか。
江刺:基本的には、アサインマトリックスにより、その時点で空いているメンバーに自動的アサインされる仕組みです。その上で、1週間の予定や進捗状況などを共有するミーティングが週に一度あるので、そこで空き時間ができそうな見通しを伝えておくと、その情報を基にデリバリリーダーが案件調整をしてくれます。
食事の時間を決めて仕事モードから切り替える
――実際にリモートワークを経験してみて、このような働き方にどのようなメリットを感じていますか。
江刺:私用があっても離席する時間帯を伝えておけば一時的に抜けることができるので、役所への用事や、少し休めば回復しそうな体調不良のときには助かります。コアタイムなしのフレックスタイム制なので、作業が終わっていなければ夕食をとってから引き続き対応することも可能です。昼休みの空いた時間に家事を済ませられて、宅配の荷物をいつでも受け取れるのも良いですね。
満員電車での移動がない点でも快適です。移動時間がない分、睡眠時間をきちんと取れて体調をコントロールしやすいですし、冬場に交通機関が止まる心配もありません。コロナ禍においては感染のリスクを減らせますし、良い働き方だと思います。
一方で運動不足は感じているので、時々は走るように心がけています。ただ、冬場は走れなくなるので、室内で体を動かすためのグッズを買いそろえました。
――メリットの多いリモートワークですが、慣れるまではプライベートとの切り替えで困ることもあったのではないですか。
江刺:最初の頃は、気になることがあるとなかなか昼休憩に入ることができなかったり、仕事が終わってもずっと仕事のことを考えてしまい、休日も頭から離れないことがありました。遅くまで仕事をして、疲れているのに頭が冴えて寝付けなくなることも。きっと気負いすぎていたのだと思います。そこで徹底したのが、食事の時間を固定することでした。切りのいいところまで仕事を進めたくなりますが、12時になったら席を離れ、夕食の時間には家族そろって夕食をとるように心がけています。
――リモートワークだと、江刺さんの働きぶりは直接見られないと思います。どのようにして評価が行われるのでしょうか。
江刺:自分で当期の目標を出し、その達成度合いを評価されます。評価は6月に行われるので私はまだ経験していませんが、リモートワークでは対応した案件数などの「成果」が重視されると聞いています。案件に直接関わる目標ではありませんが、私が入社時に戸惑ったことやその解決方法についてナレッジをまとめて、新たに入社してリモートワークを始める方に共有することをひとつの目標にしたいと考えています。
交流の場が多くリモートでもコミュニケーションを取りやすい
「聞けば教えてくれる」文化が根付いている
――入社後、ITSM事業部や一緒に働くメンバーにどのような印象を持っていますか。
江刺:みなさん、個性豊かで、働き方のスタンスも人によって異なるようです。共通しているのは、聞けば教えてくれること。そして自己解決するため自律的に動けることです。
――交流を図るためのイベントなどもあるのでしょうか。
江刺:コミュニケーションを取る目的で、大阪のオフィスには入社してから既に2度行きました。そのときはみなさん出社していて、普段よりも密に仕事の相談ができました。
設立10周年パーティーやニューイヤーパーティーも企画されており、オンライン・オフラインどちらでも参加できます。イベントへの参加旅費を会社が負担してくれるのはもちろん、オンラインでの参加者には食事や飲み物が自宅に届けられるようになっています。
他にはサークル活動もあって、Teamsのサークル用のチャットはゲーム、ドラマ、写真、料理、旅行などの話題で盛り上がっています。誰でも自由にコメントできる雰囲気なので私もラーメンサークルに札幌の情報を共有してみました。サークル活動や部のナレッジ共有チームの懇親会にも、費用の補助制度があります。
――入社後はどのようなサポートがありましたか。
江刺:上司やリーダと週に一度程度1on1の機会があり、何でも聞くことができました。最初の頃は、業務以外のことでもわからないことが多々あるので、このような場を用意していただけて大変助かりました。
担当するお客さまのシステム情報や資料の場所などを説明した引継ぎ用の動画を見ながら、案件に対応していきました。まずは自分で調べることが大事ですが、調べても分からないことは、周りに相談すれば一緒に確認したり、教えてくれたりします。1ヵ月ぐらいでおおよその流れはつかめました。
企業内研修制度「GSL大学」で必要な知識を得られる
――これまでのところ、想定していたような働き方はできていますか。今までの経験を生かせることが条件の1つでしたよね。
江刺:SAPは税理士事務所で働いていた頃に離れていて、その間に様々な変化があったので、戸惑うところはありました。ただ、経験が生きる部分は少なくないですし、新しいことは調べたり聞いたりして吸収していくので業務に支障はありません。また、税理士事務所でシステムを利用する側に立てたのは良い経験だったと思います。
――今後は、ITSM事業部でどのようなことを実現したいと考えていますか。
江刺:まずは、自分のスキルを上げて会社や事業部に貢献したいですね。
会社として人財育成に積極的な印象があります。私も体系的に会計領域の知識を学び、より質の高いサービスを提供できるようになりたいと考えています。
2019年10月に企業内研修制度『GSL大学』が設立されています。お客さまの業務を知る上で重要な会計やロジスティックスなどの専門知識を習得することができます。また、社内手続きやプロジェクトでの仕事の進め方、DX時代の最先端の技術を共に学ぶ場も用意されているので、積極的に活用したいです。
「専門領域」に縛られることなく学び続ける
新しい経験をチャンスだと捉えられる人が輝ける
――リモートワークで働けるNTTグループの制度を利用して、江刺さんのように入社する方が増えていくと思います。どのような方がITSM事業部で活躍できると思いますか。
江刺:私の印象では、一言で言えば自律して仕事を進められる人でしょうか。調べながら自己解決するのが基本ですが、納期もありますし、自分の考えが最善とは限りません。ですので、責任感があることはもちろん、適切なタイミングで手を挙げて相談したり仕事の進め方を相談したりできることが大切です。
また、自分の持っている情報を惜しみなく共有して、お互いに助け合おうというマインドも重要だと思います。
――みなさんモジュールの専門性を持っていると思いますが、自分の強みや長所を活かそうという意識は強いですか。
江刺:そうですね、経験したモジュールによって得意分野を持っています。ただ、先ほどご紹介したように、案件によって担当するお客さまや使っているモジュールは違います。自分が得意な領域の案件ばかりでなく、その人の空き具合によって案件が割り当てられていきます。
ですので、そんな体制を苦だと感じずに、むしろ新しいことを吸収するチャンスだと捉えて積極的になれる人が向いていると思います。実際、作業状況に空きがあれば難しい案件だとしても断らない人が多い印象ですね。
キャリアアップを諦めずに働き続けられるNTTデータGSL
――江刺さんのエピソードを読んで、ぜひITSM事業部に応募したいという方もいると思います。どういった方と一緒に働いてみたいですか。
江刺:繰り返しになりますが、自分の持っている得意分野も生かしつつ、そうではない分野でも率先して学びたい人ですね。言い換えれば柔軟性があり、前向きな未来志向の人です。そのほうが楽しいでしょうし、事業やお客さまにも貢献できると思います。それから、周りのメンバーと協力して仕事ができる方です。
――最後に、ITSM事業部に興味を持っている方にメッセージをお願いします。
江刺:ITSM事業部の保守運用サービスは、大阪の西日本プロフェッショナルサービスセンターと、東京の東日本プロフェッショナルサービスセンターの2拠点で提供しています。この区分けはお客さまのロケーションで決めているので、住んでいる場所とは関係ありません。
それから、両拠点ともIT業界にしては女性比率が高いことも特徴で、私自身も女性が働きやすい職場だと実感しています。西日本センターでは現在22名でSAPの全領域をカバーしているのですが、約3分の1は女性です。特に女性は、ライフイベントやライフステージによって、離職を余儀なくされるケースが少なくないと思います。リモートワークが可能で、しかも個々の事情に配慮してくれる環境なので、これまでキャリアを築くことを諦めていた方にとっても魅力的な選択肢となるのではないでしょうか。
両拠点とも、SAPのAMOサービスへの需要に応えるために拡大が必要で、応募を大歓迎しています。一緒に働ける日がくるのを楽しみにしています。
編集後記
昨今、ライフステージに合わせて、出社が難しくなったり働ける時間を制限されたりしがちです。リモートワークと出社を掛け合わせた「ハイブリッドワーク」を取り入れる企業も増えていますが、仕事を続ける事が難しいケースもあるかと思います。キャリアアップを諦めることなく、「辞めない」前提で働ける企業は非常に魅力的だと感じました。「継続すること」を諦めたくない方は、NTTデータGSLも候補の一つとして考えてみてはいかがでしょうか?
株式会社NTTデータ グローバルソリューションズ 採用情報