スタートアップ4社が語る“採用したくなる人材”像の共通点『Qiita Jobs Meetup』レポート
2019年7月3日、「Qiita Jobs」初となるリアルイベント『Qiita Jobs Meetup』が東京都中央区銀座にある株式会社プレイドのオフィスで開催された。
タイトルは『開発チームのリアルな裏側、全部話しちゃいます!powered by Qiita Jobs』。登壇する各企業のリアルを伝えることで、最高のチームとの出会いを生み出すと共に、エンジニアとQiita Jobs開発チームの交流を深めることを目的としている。
当日の参加チームは以下だ。
■オープンロジ開発チーム(株式会社オープンロジ)
■KARTE Datahubチーム(株式会社プレイド)
■CARTUNE開発チーム(マイケル株式会社)
■申告freee開発チーム(freee株式会社)
「Qiita Jobs」がプロデュースする初のミートアップイベント。まずは、参加チームの紹介からイベントの幕が開けた。
目次
・日本一、世界一を狙える会社(オープンロジ)
・1ペタバイトのデータを扱えるチャンス(プレイド)
・人と人がつながる場所をつくる(マイケル)
・スモールビジネスを、世界の主役に。(freee)
・採用できない人材像から求められる人材像を探す
・最高のチーム探しとは自分と企業のベストマッチにある
目次
日本一、世界一を狙える会社(オープンロジ)
従来、物流業界において小さな事業者は倉庫と契約ができないという課題があった。それは、小さな荷物を輸送することについて、コスト感が見合わないためである。メルカリを中心に小規模の輸送ニーズが増える中、台頭したのがオープンロジだ。
2018年、物流の市場規模は25兆円。ただし、EC化率は6.2%。まだまだ伸びしろがある領域という点について長谷川真さんは語った。
1ペタバイトのデータを扱えるチャンス(プレイド)
プレイドが展開しているサービスはリアルタイムユーザー解析サービス「KARTE」。サイトに訪問したユーザーの情報を収集し、ブラウザでのアクションまで指定することができる。
「iOS、Android対応や外部のデータとの連携ができます。また、いい意味で気持ち悪いのですが、リアルタイムでユーザーのブラウジングを監視することもできます(笑)」(池上純平さん)
秒間最大4万イベントを超える「KARTE」。データを扱った仕事がしたい方にはうってつけの環境だと言えるだろう。
人と人がつながる場所をつくる(マイケル)
スマホに特化した、クルマ好きのためのコミュニティサービス『CARTUNE』。モバイルに特化したUXは20代が最も好むカーコミュニティーサービスに選ばれてるという。
「趣味としてのクルマは、熱量があるファンが多い。『CARTUNE』はユーザーの数ではなく、その熱量に着目して作られたサービスです」(東江 夏奈さん)
アプリ開発ではクロスプラットフォームSDKのFlutterを採用し、ナンバープレートの自動マスクや投稿画像を解析し、タイムライン上で車体がクローズアップする車体検出などに機械学習を活用している。
スモールビジネスを、世界の主役に。(freee)
100万事業者数、クラウド会計分野では法人NO.1に成長したfreee。
スモールビジネス向けのクラウドERPはfreeeしか存在していない。この点が投資家から強く評価され、ユニコーンを目指しているフェーズだという。
「今日、この会場で『freee』を知っている人どれくらいいますか?」この質問に対し、会場の全員が反応を見せた。会計システムとしてもはや定番という領域にまで成長したfreee。本質的(マジ)で価値あるチーム開発を体験したい方に最適な環境だと言えるだろう。
採用できない人材像から求められる人材像を探す
4社によるピッチが終了すると、各社のエンジニアやコーポレート担当が参加者の元へ行き、双方がコミュニケーションを取れるフリータイムが開催された。
和気あいあいとした空気の中、参加者と企業側がつながる。チーム転職を表明する「Qiita Jobs」らしい取り組みだと言えるだろう。
先程までは硬い表情を魅せていた参加者たちも徐々に表情が明るくなっているのが、プレス席からも伝わってくる。
フランクに企業とユーザーがつながる。リアルイベントならではの素晴らしい光景が広がっていた。
20分が経ち、フリータイムが終了すると、パネルディスカッション『チームの裏側全部見せます』がスタートした。
登壇者は以下だ。
・株式会社オープンロジ / CTO 五十嵐 正人
・株式会社オープンロジ / 原田 邦彦
・株式会社プレイド / 池上 純平
・株式会社プレイド / 徳永 貴大
・マイケル株式会社 / CTO 上田 哲広
・freee株式会社 / CTO 横路 隆
モデレーターを務めるのは株式会社レクター取締役であり、技術と経営をつなぐ技術組織のアドバイザリーとして、多数の会社の経営支援を行っている広木大地さん。
今回のパネルディスカッションでは、大きく4つのテーマが設けられた。
【1】ウチの社長、エンジニアのことわかってるなー。わかってないなー。
【2】こんな人は採用しない。こんな人なら大歓迎。
【3】ウチの技術的負債について&デプロイパイプライン自慢。
【4】どんなチームにしたいか。どんなチームにはしないか。
今回は【2】の「こんな人は採用しない。こんな人なら大歓迎。」をピックアップし届けたい。
2019年現在、有効求人倍率においてエンジニア職は圧倒的に売り手市場である。企業側から見れば、喉から手が出るほど採用をしたいものの、苦戦しているケースの方が一般的だ。
ただし、採用において決して譲れることができない軸は存在している。他は目を瞑ることができても、ここだけは譲れないというポイントがあるのだ。
ここでエンジニアサイドに視点を向けてみると、「こんな人は採用しない」に当てはまりさえしなければ、各企業から引手数多な存在へと向かうことができる。
つまり、スタートアップ各社が採用活動で選ばない人間を紐解くことで、採用される人間を理解することができるのである。
「こんな人は採用しない。こんな人なら大歓迎。」についてマイケルのCTO・上田さんはこう語る。
「マイケルは全員でも12名。社長を除くと、エンジニアが5人なんです。ですので、自立して仕事を進められる人じゃないと、迎えることができないんですよね。組織課題としては、マイクロマネジメントまではできない状況で。詳細設計までできているものを振ってもらいたいタイプの人は難しいと思いますね」(上田哲広さん)
組織課題として、間口が狭くなっていることは弱点でもある。ただし、会社のフェーズによってはまさに正論だと言える。
逆説的に言えば、細かいマネジメントを必要とせず、ガリガリとコードを書き続けたいエンジニアにとってマイケルは最適なフェーズだと言えるだろう。
続いて、ムーブメント型組織を提唱するfreeeの横路隆さんはこう語る。
「freeeはたくさんの人が働く箱ではなく、テンポラリーに集まっている集団というイメージです。例えば、『月に行くロケットを作ります!』と言った時に人が集まって、それぞれの役割を全うしていく』感じですね。
なので、ミッションに共感していただけること、自分でやりたいことがある方しか採用していません。
また、少しエンジニアとしての話題になるのですが、技術をプロダクトを作るための道具です。といい切ってしまう人がいると思うのですが、個人的にはあんまり好きではありません。
エンジニアは職人です。いい職人は自分の道具を大切にしますよね。ツール一つとっても愛着を持てる人。そんな人が素晴らしいと僕は思っています」(横路隆さん)
freeeは以前から独自用語を多用し、特徴的な世界観を持った組織として注目を集めてきた。そのためか、会社としてのミッションに対する共感を最も大切にしている。
freeeが掲げるミッションに共感できること。まず、ここが大切になってくるのだ。統一した意識があるからこそ、大きなことを成し遂げることができる。
また、横路隆さんはヒューマン的な側面についてこう補足する。
「生産的な議論ができることが大切です。気分が良くないようなフィードバックを飲み込めるかどうか。グッとこらえつつ、自分自身を変えられる人は素晴らしいと思います」(横路隆さん)
オープンロジの原田邦彦さんは“悩むことが好き”な人について語った。
「言葉で現すと、悩むのが好きな人がいいですね。常に課題と向き合いつつ、悩むのが大好きな人がロジスティックハックにはハマると思います」(原田邦彦さん)
オープンロジが手がけている物流領域は変数が余りにも大きい。倉庫のサイズが少しでも異なれば、定石と思われた成功体験すら通用しない。
つまり、全ての物事について考え続ける必要があるのだ。
エンジニアリングだけでなく、ロジスティック領域をエンジニアとしてハックする。これは、オープンロジならではの働き方だと言えるだろう。
そもそもエンジニアの仕事が課題解決だと捉えるのであれば、ソースコード以外にも頭に汗をかくことのできるオープンロジの仕事は魅力的に映るに違いない。
▼オープンロジ Qiita Zine掲載記事
「改善好きな人は物流向き」オープンロジが実践する、ロジスティックハックの話が面白い
「一方で、いい悩みと良くない悩みがありますよね。悩んだ結果、次につながることが大切なんです。ポジティブに悩んで解決の糸口を見つけていく。これが大切なんだと思いますね」(原田邦彦さん)
最高のチーム探しとは自分と企業のベストマッチにある
企業に応じて、採用に求める条件は異なる。ただし、共通点として柔軟性が必要であるということが伝わってくるのがプレイド池上純平さんのコメントだった。
「エンジニアが30名程度なので、これしかやりたくないと言われると辛いですね。プレイドはフロントエンドもサーバサイドもチームで分けていません。これはNode.jsをメインに使用しているからなんですけど。『フロントエンドしかやりたくないです!』と言われると、チームや組織としてフォーカスすべきポイントがサーバサイドの場合、2ヵ月何するんですか?となってしまう。本質的な課題をベースにして自身の担当領域を決めていく。そこで自分の強みを見せていくようなイメージですね。ピンポイントに特化した技術を極めたい方よりも、プロダクト思考、サービス思考の方が活躍していると思いますね」(池上純平さん)
プロダクト、サービスに対して、自分が貢献できる技術は何か。この視点を持つ人材がプレイドには相応しいという。
いかがだっただろうか。
最高のチームとは正解が存在しないものである。ただし、その理想を追い求めなければ、組織が掲げるビジョンに到達することはできない。
そのために必要なのは、最高の仲間に加わるべき新しい力だ。今回、『Qiita Jobs Meetup』に集まった4社はパネルディスカッションで採用できない人材像について熱く語り合った。
各社それぞれが目指している最高のチーム。あなたの思考性にベストマッチするのは、どんな企業なのだろうか。
あなたにとって最高の転職を「Qiita Jobs」で実現できれば、こんなに嬉しいことはない。
編集後記
イベント終了後、各社に改めて採用できない人材像について聞いてみた。その一例を挙げると、面談時にマウントを取ってくるタイプの候補者がいたり、過去の栄光についてこだわっていたりするケースがあるという。
現在、エンジニアは売り手市場であり、各社は喉から手が出るほど技術者を求めている。ただし、全員を採用するかと言われればそうではない。各社それぞれのこだわりと、譲れない点があるのだ。
逆説的に考えてみると、今回取り上げた採用できない人材像をクリアすれば、どの企業にも欲されるようなエンジニアになれるということになる。
結論を言えば、過去に縛られず、前向きにコツコツと自分の仕事ができ、ミッションに共感できる人材ということになる。
意外とシンプルな人物像ではないだろうか。
他人は変えることができないが、自分は変えることができる。今の気持ちを少し変化させるだけで、いい転職ができるという見方もあるのである。
自分はどのフェーズの企業がマッチするのか。自分に合うチームとはどんなものなのか。今後のキャリアを考える上で、『Qiita Jobs Meetup』は実りのあるイベントになったように思う。