第1回スマレジ・アプリコンテストで非エンジニアが賞金1,000万円を獲得!その理由にせまる【第2回スマレジ・アプリコンテスト開催中】
クラウドPOSレジ「スマレジ」を運営する株式会社スマレジは、2020年7月に「スマレジ」用の便利なアプリを自由に売買できる「スマレジ・アプリマーケット」を公開。公開から1年半ほどで開発パートナー(=Developers)は法人・個人合わせて600を超え、開発されたアプリも50個を超えるなど活況を呈しています。2020年12月から2021年3月には「第1回 スマレジ・アプリコンテスト」も開催されました。
この盛り上がりを受け、株式会社スマレジは2021年11月26日(金)に、第2回 スマレジ・アプリコンテストに先立って「スマレジ Developers day」を開催しました。
ゲストスピーカーに「第1回 スマレジ・アプリコンテスト」で大賞を受賞した「Cleeean」の開発者である大幸パートナーズ株式会社の五十嵐氏を招き、非エンジニアがプロダクト開発に挑んだ経緯などが語られました。本記事ではこのイベントの中でも特に「Cleeean」に関するセッションをご紹介します。
目次
プロフィール
代表取締役
事業戦略本部 パートナー推進部 部長
事業戦略本部 パートナー推進部 スマレジ・アプリマーケット
第2回スマレジ・アプリコンテストについて
2021年に開催された第1回「スマレジ・アプリコンテスト」には57作品の応募が集まり、その中から大賞を含む8作品が表彰されました。
2回目となる今回も「お店のいい未来をつくる ~ 店舗に価値(勝ち)を! ~」をテーマに個人・チーム・法人を問わずスマレジと連携利用できるアプリケーションを広く作品を募集しています。
あなたの力で「お店の未来」をつくり 、大賞の1000万円を目指してみませんか?
■スケジュール
応募開始:2021年11月1日(月)
応募締切:2022年3月31日(木)10:00(必着)
結果発表:2022年4月25日(月)予定
※応募状況等によっては、スケジュールを変更する可能性があります。最新スケジュールはホームページ・SNSでご確認ください
より細かなニーズに応える「スマレジ・アプリマーケットについて」
「スマレジ Developers day」の冒頭では、株式会社スマレジ パートナー推進部の鈴木 周吾 氏と大谷 陽介 氏より、スマレジとスマレジ・アプリマーケットについての説明がありました。
スマレジとは、iPadやiPhoneに専用のアプリをインストールすることでお店にあるようなPOSレジの仕組みを簡単に始められるPOSアプリです。
アパレル店さまや雑貨店さまなどの小売店舗さんや飲食店舗さんを中心に現在全国約104,000店舗で利用されており、POSレジを起点にした店舗DXに力を入れています。
その中でもPOSレジのAppleと称して、スマレジをお使いのユーザー様がスマレジの機能を自由に拡張できるスマレジ・アプリマーケットが2020年7月にリリースされています。
スマレジアプリマーケットとは・・https://note.com/smaregi_devtaro/n/n291b6a82bddd
「Developers Day」では、スマレジがデベロッパーをエキスパート(Expert)認定し、スマレジとともに認知活動や導入の支援をし、ともに良い未来を作っていくための新たに「スマレジ Developers Expert制度」の発表を行いました。
この制度が目指しているポイントは3点あるのだといいます。
○プラットフォーマー(platformer)としてあらゆる店舗運営の支援と共創を図る
様々な店舗でのペインポイントを解決するプラットフォームとしての機能を構築していきます。
○エキスパート企業とともに成長(growth)を目指す
エキスパート企業とスマレジ、エキスパート企業とユーザー、エキスパート企業どうしで共存することでさらなる成長を目指しています。
○イノベーションロールモデル(innovation role model)として活動する
店舗運営のイノベーションをアプリマーケットから起こし、それをロールモデルとする活動していくといいます。
「非エンジニアがプロダクトを作って1,000万円受賞したお話」
続いて、第1回スマレジ・アプリコンテスト大賞受賞者によるパネルディスカッションが行われました。
冒頭では、受賞者である大幸パートナーズ株式会社の五十嵐氏の自己紹介と会社案内がありました。同社は会計事務所とITベンダーの長所を併せ持ち、会計とITをどう使うかを提案できるのが強みとなっています。
大賞を受賞した大幸パートナーズ株式会社のクリーニング業界専用の高機能POSレジアプリ「Cleeean」の概要と開発経緯、アプリコンテストに際して準備のポイントやコツ、大賞受賞時の感想や賞金1,000万円にまつわることなどをテーマに話が進んでいきます。
第1回スマレジ・アプリコンテスト大賞受賞アプリ「Cleeean」について
大谷 : まずはじめに、第1回スマレジ・アプリコンテスト大賞受賞アプリ「Cleeean」について教えていただけますか。
五十嵐:一言でいうと、クリーニング業でも高機能クラウドPOSレジであるスマレジを使えるようにするためのアプリです。
クリーニング業界では業界に特化したレジを使用しており、スマレジだけでは「(衣料品の)タグ管理」、「預かり票発行」といった業務に対応することができません。
「Cleeean」を使うことでスマレジをクリーニング業界専用の高機能POSレジアプリとして利用できるようになります。
大谷 : どのような経緯でスマレジを知ったのでしょうか。
五十嵐:バックオフィスの改善業務でお客さまにfreeeとPOSレジを提案する案件があり、様々なPOSレジを検討した際にスマレジを知りました。
複数店舗に対応可能で、さらに在庫管理、販売管理、売り上げ分析までできると、POSレジというよりも販売管理ソフトに近い印象を受けましたね。様々なことができそうだと、バックオフィスの業務効率化における可能性を感じました。
大谷 : ありがとうございます。次にアプリ開発をしようと思った理由をお聞かせください。
五十嵐:クリーニング業の顧客から「外交営業をシステム化できないか?」と相談を受けたことがきっかけです。
その際に、「スマレジは場所を選ばず、ネットワークとiPadさえあればどこでも使えるので、外交営業にも使えるのでは」と閃きました。
ちなみにクリーニング業界の外交営業とは、品物をユーザーのところに受け取りに行き処理をして返しに行く営業スタイルのことです。
当初はアプリ開発をしようとは思っていませんでしたが、そのタイミングでスマレジ・アプリマーケットがリリースされ、プラットフォーム化したことから、アプリを作ってみたらどうかと面白そうだなと考えるようになりました。大谷さんからの後押しもありましたね。
大谷 : どうしてクリーニング業界だったのでしょうか。
五十嵐:正直なところ、クリーニング業にこだわりがあったわけではなかったのですが、
そこに困っているクリーニング業のお客さまがいたのが理由です。
クリーニング業は今右肩下がりの業界といわれています。コロナの影響で在宅時間が増え、外出しないことなどからクリーニング店の利用が減るといった悪循環がある中、クリーニング業界にはDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みがないという気づきがありました。
この課題を高機能なスマレジを活用することで解決し、クリーニング業界のDXを推し進めることができるのではないかと考えました。
クリーニング業界などで使われる業界に特化したハードレジを使用すると、業務の流れがレジの機能によって制限されてしまう問題があります。クリーニング店がコロナ禍に対応しようと外交営業をしようとしても、対応するレジの価格が160万円以上するなど容易に踏み切れない「壁」があったのです。
このレジに縛られている状況を開放したいと考え、深く掘り下げていくことにしました。
大谷 : クリーニング業だけでなく、とくに高齢化が進んでいる業界では同様のことが起きていますね。つぎに、エンジニアを自社で抱えていない大幸パートナーズさまはどのように開発を進めたのか教えてください。
五十嵐:「Cleeean」の開発は、ベトナムに開発拠点を持ちオフショア開発を得意とする株式会社エーエヌラボ(A.N.LAB JSC https://anlab.jp/ja/ )と共同で進めました。
外部設計は大幸パートナーズで行い、とにかくヒアリングを重視しました。
フロント業務からバックオフィス業務まで一貫した対応を得意とする同社ならではの強みを発揮した形です。
アプリの範囲内だけではなく、その先の会計まで意識し、フロント部分も綿密なヒアリングをした上で詰めていきました。
内部設計を外注する際には「どこまでプロジェクトを管理するか」「どのようにコミュニケーションロスを抑えるか」といったことが課題となりました。
プロジェクト管理について、機能を充実させるなどするとコストが想定以上にかかってしまいます。「中小企業を助ける」目標を達成するためにはコストを抑えることも大切なテーマだったため、エーエヌラボさんと協力してバランスを模索しました。
また、こちらの意図を正しく伝えるためにAdobe XDを導入してイメージを見せるなど、コミュニケーションロスを防止する取り組みを進めました。
大谷 : アプリを開発したことで発見や気付きはありましたか?
五十嵐:エンジニアがいない会社でも、システムを作る会社でなくてもアプリが作れることが分かりました。
今後「こんなアプリがあったら」といった要望を拾い、それを形にしてくれるデベロッパーと共同でもっと面白いことができそうだと思います。
大谷 : 補足すると、大規模開発にならなかったことがエンジニアがいない会社でもアプリを作れたことのポイントかと思います。スマレジのベースとなる機能はそのまま活用しながら、スマレジが提供しているプラットフォームAPIを活用し、必要な機能だけを効率良く開発することが可能です。
ちなみに、コンテストの準備はどのようなことをされたのでしょうか。
五十嵐:作るからには賞を取りたいと考え、他のアプリをチェックしました。良いアプリが多く応募されていたため、この中で大賞に選ばれるには、まずプレゼン資料を充実させることが必要だと思い、資料作成に力を入れることにしたのです。
資料作成にあたっては、クリーニング業界の特殊性や動向と現状を色使いにもこだわって分かりやすく掘り下げて記載しました。
また、クリーニング業界は右肩下がりの業界といわれていますが、市場規模は大きく、スマレジでボトルネックを解決することができればビジネスチャンスがあると、最終的に皆がハッピーになれることが伝わるように意識しました。
大谷 : 業界のことやアプリの機能がスマレジのユーザー層のどこに合致するのか分かりやすくまとめられており、スマレジ側での追加調査が不要でした。応募数が多いのでそのようにまとめていただけると助かりますね。受賞を聞いたときはいかがでしたか。
五十嵐:「Cleeean」が「第1回スマレジ・アプリコンテスト」大賞を受賞した知らせを聞き、すぐにキッチンにいる妻に報告したところ涙ぐんでいました。また、周囲への影響も大きく、「さん」付けから「五十嵐社長」と呼ばれるようになりましたね。
そして、スマレジを軸にビジネスを展開しようと決意し、賞金は全てアプリ開発に回しました。
大谷 : かかった開発コストはいかがでしたか?
五十嵐:オフショアを利用したり、自分たちでできるところは自分たちでやってコストを抑えました。結果的に保守もエーエヌラボさんにお願いしているのですが、エンジニアを抱えていないなど、我々の事情を汲んだマッチングをスマレジさんにしてもらえたことはありがたかったですね。
大谷 : 最後に、今後の予定を教えてください。
五十嵐:現在、リリース済みのものも含めて5つのアプリ開発に取り組んでおり、これらを滞りなくリリースして、収益に結び付けていきたいと考えています。
また、ITベンダーより現場に近い強みを活かして様々な要望を汲み取り、他のスマレジ・デベロッパーズの開発企業と共同で特化した業界分野をDXにつなげるなど新しい、面白いことにも挑戦していきたいですね。
大谷 : 鈴木さん、最後に総評をお願いします。
鈴木 : スマレジがこれまでタッチポイントを持つことがなかったクリーニング業界の支援に入る「Cleeean」を見て、スマレジの潜在的な可能性をあらためて感じました。
ディフェンディングチャンピオンとして第2回も大賞を取られるのか、我々も楽しみにしています。
「第2回 スマレジ・アプリコンテスト」と「N-1グランプリ」を開催!
「スマレジ Developers day」では、「第2回 スマレジ・アプリコンテスト」への参加方法や受賞条件、賞金1,000万円など賞の内容、日程の説明もされました。
「第2回 スマレジ・アプリコンテスト」は“お店のいい未来をつくる”をテーマにしたアプリを2022年3月31日(木)10:00まで募集しています。
さらに、新設される「N-1グランプリ」(ニッチワングランプリ)も紹介されていました。これはニッチなお店を助ける個別具体性が高いスマレジアプリのコンテストです。
いずれのコンテストもどのようなアプリが名乗りを上げるのか、注目を集めることになりそうです。
非エンジニアもアイディア次第で大賞に選ばれる「スマレジ・アプリコンテスト」に、ぜひご参加ください。
第2回スマレジ・アプリコンテストについて
2021年に開催された第1回「スマレジ・アプリコンテスト」には57作品の応募が集まり、その中から大賞を含む8作品が表彰されました。
2回目となる今回も「お店のいい未来をつくる ~ 店舗に価値(勝ち)を! ~」をテーマに個人・チーム・法人を問わずスマレジと連携利用できるアプリケーションを広く作品を募集しています。
あなたの力で「お店の未来」をつくり 、大賞の1000万円を目指してみませんか?
■スケジュール
応募開始:2021年11月1日(月)
応募締切:2022年3月31日(木)10:00(必着)
結果発表:2022年4月25日(月)予定
※応募状況等によっては、スケジュールを変更する可能性があります。最新スケジュールはホームページ・SNSでご確認ください
編集後記
非開発企業であっても、前提となる専門知識があり、課題解決の意識と熱意があれば「スマレジ・アプリコンテスト」で大賞を受賞するレベルのアプリ開発を進めることができるのは素晴らしいことだと思います。
スマレジとアプリを作るデベロッパーズには店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する力があると感じました。「スマレジ・アプリマーケット」には今後、数多くのデベロッパーズが加わり、より大きくて役に立つプラットフォームへと成長していくことでしょう。今後、予定されている「第2回スマレジ・アプリコンテスト」や「N-1グランプリ」の動向にも注目したいところです。
文:神田 富士晴