Microsoft Connect(); Japan 2018 イベントレポート
年の瀬も迫る2018年12月20日、東京・永田町のNagatacho GRiDでMicrosoft Connect();Japan 2018が開催されました。このイベントは、12月5日にラスベガスで開催された米国Microsoft主催イベントの日本版です。Visual StudioやKubernetes、DevOpsなどのアップデートが紹介されるとあって、会場には200人ほどのエンジニアが集結。ドリンクを飲みながら、リラックスした雰囲気でイベントがスタートしました。
<目次>
・Visual Studio 2019のアップデート
・.NETのアップデート
・IoT
・AI
・Kubernetes+Java
・DevOps
・まとめ
本日の司会は、Microsoftのテクニカル・エバンジェリストの小田祥平さんです。まず、イベントの楽しみ方が紹介されました。
「#MSFTConnectで質問をつぶやくと、会場で拾われます」
「休憩時間にもYouTube Liveで裏トークをお楽しみいただけます。YouTube Liveの司会者はいったい誰でしょう?!」
あとで分かったことですが、「#MSFTConnect」は、同時間帯のTwitter検索キーワードで2位になったそうです。
#MSFTConnectのTwitterタイムラインはこちらから
https://twitter.com/search?q=%23MSFTConnect&src=typd
Visual Studio 2019のアップデート
1つ目のセッションは、「Visual Studio 2019」と「C# 8.0」がテーマです。
登壇者は4名。
C#とVisual Studioが好きでMicrosoftに入社した、千代田まどか(ちょまど)さん
Visual Studioを使ったライブコーディングが得意な、Microsoft MVP鈴木孝明さん
Visual Studio Codeを知り尽くす、IBM戸倉彩さん
C#の神、Microsoft MVP岩永信之さん
発表された『Visual Studio2019』。アップデートはたくさんありますが、今回は30分しか時間がないので、その中からいくつかピックアップして紹介されていました。
・AIによるコーディングサポートIntelliCode
・強力なリファクタリング機能
・VSやVSCodeを使ったペアプロが簡単にできる機能Visual Studio Live Share
・最新のC#であるC#8.0
ここからは、登壇者によるデモの内容から主なポイントだけをピックアップします。
【デモ1】Visual Studio 2019の新機能の解説
(解説は鈴木さん)
・「Look & Feel」が変更され、タイトルバーがコンパクトに、作業スペースは広めで使いやすくなりました。
・開いているファイルのエラー箇所を教えてくれる新機能「Document Health Indicator」が搭載され、クリックするとエラー箇所に飛んでくれます。数ヶ所のエラーがあるときは、新機能「Code Cleanup」で一気に修正できてしまいます。
・ソースコードのスタイルを定義する「EditorConfig」のエクスポートに新たに対応し、チームメイトとの共有がより簡単になりました。
・AI がコーディングを支援してくれる「IntelliCode」が利用できるようになります。GitHubにある膨大なソースコードを学習させることで「よくあるパターンはこれじゃない?」を提案してくれるようにます。
登壇者によるフォローアップ記事:
【Microsoft Connect(); 2018 Japan で登壇しました & Visual Studio 2019 新機能フォローアップ 】
https://blog.xin9le.net/entry/2018/12/23/225541
【デモ2】最新のペアプロ! Visual StudioLive Share
(解説は、ちょまどさんと戸倉さん)
Visual Studioおよび Visual Studio Codeを使いリアルタイムで遠隔の人とペアプログラミングできる機能「Visual Studio Live Share」のデモを行いました。
ちょまどさんはWindowsでのVisual Studio 2019、戸倉さんはMacでのVisual Studio Codeを使い、同一プロジェクトへのリアルタイムのコード編集を実演しました。
さらに、リアルタイムにターミナルも共有して(権限を与えれば)相手方のコマンド実行も可能になります。
デモでは、ちょまどさんが戸倉さんのセッションに参加する形で、ちょまどさんのWindowsから戸倉さんのmacOSのコマンドを叩いたり、ちょまどさんのNode.jsの入っていない環境から、戸倉さんの環境でnodeのプロジェクトをデバッグしたり実行したりしました。
登壇者によるフォローアップ記事:
【Microsoft Connect(); Japan 2018 の Visual Studio2019 枠で登壇しました | ちょまど帳】
https://chomado.com/presentations/microsoft-connect-japan-2018/
【デモ3】最新バージョンのC#!C#8.0
(解説は岩永信之さん)
C#8で新しく実装される機能を解説。Visual Studio2019 Previewを入れることでC#8.0を試せるようになりました。ただし、当初は目標とする機能の半分しか実装されていないようです。
詳細はこちらの動画で。
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アップデートはこちらでも確認できます。
【Visual Studio2019 Preview リリースノート】
https://docs.microsoft.com/ja-jp/visualstudio/releases/2019/release-notes-preview
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.NETのアップデート
2つ目のセッションは、「.NET」がテーマです。
登壇者は、Microsoftの井上章さんと、Microsoft MVPの芝村達郎さんです。
注目は、.NET Core3の登場です。Windows desktopのWPFやWindows Formsのアプリケーションが.NET Coreベースで動きます。.NETライブラリのグローバル参照かローカル参照を選べますし、Coreランタイムと最新のAPIを利用できます。
もうひとつの注目点は、これまでもオープンソースとして開発されていた.NET Coreに加えて、WPF, Windows FormsとXAML Libraryもオープンソースになったことです。ということは、Microsoftの開発者だけでなく、世界中の.NET利用者がソースコードを手に入れられます。
詳細はこちらの動画で。
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詳しくはこちらのブログがおススメです!
しばやん雑記
https://blog.shibayan.jp/
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休憩時間
10分の休憩時間は、YouTube Live専用司会のデプロイ王子ことMicrosoftの廣瀬さんと寺田さん、牛尾さんがこれまでの会場の様子を語ります。普段は聞けないMicrosoft社内の様子も知れ、貴重なトークを楽しめます。
会場では、参加者が美味しそうなサンドイッチなどの軽食で小腹を満たしていました。アルコールもソフトドリンクもあります。
詳細はこちらの動画で。
IoT
3つ目のセッションは「IoT」です。大阪サテライトからの中継で始まりました。
登壇者は2名。
Microsoftの太田さんと、SEEED株式会社の松岡さんです。
まずは、12月5日に米国で開催されたMicrosoft Connect();2018の中から、IoTに関連する技術が紹介されました。
太田氏により「IoT Solution Accelerator」が解説され、その中で、IoT Solution Acceleratorでも使われている「Cosmos DB」の新しい価格体系と、マネージドな「Maria DB」のリリースが紹介されました。
その後、シミュレーションされたデバイスでIoTソリューションをテストすることのできる「Device Simulator」のデモと、シミュレーション対象のデバイスAZ3166(MXCHIP IoT DevKit)の実機を使った開発が可能なVisual Studio Codeの拡張機能「IoT Workbench」も紹介されました。
詳細はこちらの動画で。
AI
4つ目のセッションは「AI」です。
登壇者は2名。
Microsoftの畠山さんと、株式会社キカガクの吉崎さんです。
機械学習のWebブラウザでプログラミングができる「Azure Notebooks」の解説から始まりました。無料で使えます!Azureのアカウントと紐づけることができます。さらに、無料でCPUが使え、将来的には無料でGPUも使えるようになるそうです。
ところで、仮想マシンが落ちたら不安ですね。そうならないように管理をしてくれるのが「Azure Machine Learning Services」です。機械学習モデルのトレーニングからデプロイ、自動化まで行えるクラウドサービスです。コストを削減できる設定方法が解説されました。
詳細はこちらの動画で。
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吉崎さんが講師を務める動画です。
【キカガク流】人工知能・機械学習 脱ブラックボックス講座 – 初級編 –
https://www.udemy.com/kikagaku_blackbox_1/
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休憩時間
10分の休憩時間は、再び、同時中継されているYouTube Liveの様子が会場に流れました。
Microsoftの廣瀬さん、ちょまどさん、IBM戸倉さん、鈴木さんが、終了したセッションを振り返りました。
会場では、最後の休憩ということもあり、とてもリラックスした雰囲気で、参加者同士も打ち解けてリラックスした雰囲気に包まれました。
Kubernetes+Java
5つ目のセッションは「Azure Kubernetes Service」です。
登壇者は、Microsoftの寺田さんと森山さんです。
Microsoftの寺田さんからは、Kubernetes関連のアップデートについて解説とデモがありました。
Kubernetes上でアプリケーションを開発するとき、新機能『Azure DevSpaces』を使えば、JavaやNode.jsを使い、チームごとに分かれて開発がしやすくなります。Kubernetes上で動くアプリケーションを、ローカルからデバッグすることもできるようになりました。
最も重要なキーワードは『サーバ・レス』です。例えば、VMの上で動いているpodを30台まで増やそうとしたとき、「VMのリソースは充分ですか?本当に増えるんですか?」という心配があります。そこで、Virtual KubeletとKubernetesを連携させることで、VMを柔軟にスケールさせる方法が紹介されました。急激なトラフィック増加に対応できますね。
Microsoftの森山氏からは、『Cloud Native Application Bundle(CNAB)』が紹介されました。これは、ローカルやオンプレ、クラウドなどの様々な環境において、ひとつの分散アプリケーションを安全に管理しデプロイできるようにするものです。
具体的な事例として、分散アプリバンドルをインストールしたり管理したりするツールが紹介されました。これは、CNABコミュニティーの成果です。
最後に、「Kubernetesって何?」という人におススメの絵本「The Children’s Guide to Kubernetes」の日本語版が紹介されました。
詳細はこちらの動画で。
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『The Children’s Guide to Kubernetes日本語訳版』
https://github.com/sasukeh/Phippy-books-i18n-ja_jp/releases
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DevOps
6つ目のセッションは「Azure DevOps再入門」です。
Microsoftの牛尾さんと、Microsoft MVPの竹林祟さんによる解説が行われました。
Azure DevOpsは、3週間に1回ほどアップデートされているので、実は、今回のイベントで発表するほどのアップデート情報はないそうです。そこで、最近のトレンドでもあるGitHubとMicrosoftの連携をについて解説が行われました。
メインテーマは、Azure DevOpsでGitHubをホストして、皆に公開しつつ、それをGitHubを基にして使う方法。会場では具体的な使い方のデモが行われました。デモでは、Azure DevOpsのプロジェクトが作られ、GitHubのレポジトリにアタッチされ、最初のビルドのパイプラインが完成します。この仕組みは無料で使えるそうなので、とりあえず触ってみたいという人にもおススメです。
最後に、Azure DevOpsの素敵なところを、登壇者の二人が振り返ります。
GitHubだとひとつのレポジトリにチケットやイッシューが入っていますが、Azure Reposは、複数のプロジェクトに複数のGitHubのレポジトリを紐づけられる点が素晴らしい。例えば、Microsoftのドキュメントがあり、ローカライズされた英語版、中国語版、日本語版を管理するとき、GitHubだと大量にレポジトリが必要だけど、Azure Reposで管理するとひとつのプロジェクトに紐づくので管理しやすくなります。
詳細はこちらの動画で。
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Azure DevOpsの最新情報を知りたければ、こちらのブログがおススメだそうです。
https://kkamegawa.hatenablog.jp/
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まとめ
熱気に包まれたイベントは、テンポよく進み、盛りだくさんの内容でした。
2019年1月21日からスタートするWebinerでは、この日に発表された技術をMicrosoftの技術者から徹底解説していただけます。
Visual Studio、Azure、.NETの最新情報への理解をさらに深めたい方は、ぜひご覧ください。
※こちらのWebinarは2019年2月20日をもって終了いたしました。誠にありがとうございました。
【Webiner】Connect(); 2018 Japan徹底解説シリーズ
〈ライター:伊藤祐介 撮影:土田凌、イベントスタッフ〉