Podcast番組 | 『まるごと学べる 異常検知の実践知』著者・中村謙太さんに聞く日本での技術発信の価値(ゲスト:中村 謙太さん)

『QiitaFM-エンジニアのキャリアを深掘り』は、「エンジニアを最高に幸せにする」というQiitaのミッションに基づき、エンジニアの皆さまに役立つヒントを発信していくPodcast番組(無料・登録不要)です。毎回、日本で活躍するエンジニアの方々をゲストに迎え、キャリアやモチベーションに関するお話をしていただきます。

今回の記事では、中村 謙太さんをゲストにお招きした回について、配信の模様をご紹介します。
※2026年2月配信当時の内容を記事化しています。

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プロフィール

出演ゲスト

中村 謙太(なかむら けんた)

2011年、東京大学工学部を卒業。2013年、東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻にて修士課程を修了。製造業で機械学習を用いた品質保証・異常検知システムの開発に従事しており、研究知識を現場実装につなげるエンジニアリングが強み。
Qiitaなどの技術発信プラットフォームで、Pythonを用いた機械学習、クラウド、IoTの記事を多数公開。複雑な理論を分かりやすく解説することに定評あり。
X(Twitter):https://x.com/c60evaporator
Qiita:https://qiita.com/c60evaporator

番組ホスト

清野隼史(きよの たかふみ)
Qiita株式会社

アルバイトを経て、2019年4月にIncrements(現Qiita株式会社)へ新卒入社。入社後はQiita、QiitaJobsのプロダクト開発や機能改善等を担当。2020年1月から「Qiita」のプロダクトマネジメントとメンバーのマネジメントを行う。2025年4月よりプロダクト開発部部長として開発組織の統括を行う。
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ハード系エンジニア、プログラミングとの出会い

清野:今回のQiita FMは特別編です。Qiitaでのアウトプットをきっかけに技術評論社から『まるごと学べる 異常検知の実践知』を出版された、中村謙太さんをゲストにお迎えしました。よろしくお願いします。

中村:よろしくお願いいたします。

清野:Qiitaでのアウトプットがきっかけということで、Qiitaとしてもすごくありがたいです。ぜひ、どのような経緯で出版されることになったのかとか、今までのキャリアについて、お伺いできればと思います。

中村:今はメーカーですね、製造業で機械学習エンジニアとして、データを活用する仕事をしています。具体的には、機械の故障検知や顧客データの分析です。あとは、自動運転関係のAI開発をしております。

清野:いわゆるWeb系ではないんですね。

中村:そうですね。完全に機械学習エンジニアで、Web系についてはAPI使うなどはしていますけれどメインではないですね。

清野:ありがとうございます。今のお話をベースにキャリアについてお伺いしてから、アウトプットについてもお伺いします。今、機械学習エンジニアとしてお仕事されていますが、プログラミングを始めたきっかけは何だったんですか?

中村:私、大学は機械工学科で、プログラムとは全く縁がないんですね。ソフトウェアよりはハードウェアの方をしていたんですけれども、そこから就職して仕事を始めて、検査装置の開発も担当することになりました。画像処理のプログラムを仕事で少しずつ触るようになって。そこもあまり本格的なところではなかったですが。転職してデータ分析や機械学習モデルの開発を行うようなところへ行ったことをきっかけに、本格的にプログラムを仕事にしはじめて、そこからプログラミングが好きなのでプライベートでもするなど、本格的にやることを未だに続けてるような状況です。

清野:そうなんですね。じゃあ最初はプログラミングではなくて工学系をされていて、その流れで製造系のメーカーに最初入社されたんですね。

中村:まさにその流れですね。結構レールに乗ったような形で。

清野:最初のころはプログラミングをされてなかったと思いますが、どういうことをされていたんですか?

中村:最初は検査装置の開発なのでカメラで検査対象の製品を取るということで、カメラのセッティングやレンズの設計など、画像処理に必要なハードウェアをメインにやっていましたね。加えて、カメラで撮影した製品の画像を処理し、合格か不合格かを判定する必要があったので、その部分で画像処理のプログラミングも行っていました。それが、プログラミングを始めた最初の触りかなと思います。

清野:そうなんですね。僕は全然工学をやっていないので印象にはなりますが、工学とソフトウェアのプログラミングって、分野として結構毛色が違うんじゃないかなと思います。そこでプログラミングも自身の領域として・お仕事としてやり始めた理由などは何かあるんですか?

中村: そうですね。やってみたら意外とはまってしまったというのが1番大きいかなと思っています。元々私、メカが好きで機械工学科へ行ったというのもあるのですが、ソフトウェアに対してそれほど興味もなかったです。ソフトウェアの授業も大学のころはあまり本腰を入れて受けていなかったのですが、仕事でプログラム画像処理を触るようになってから、自分で作ったもの・パソコンで書いたものが、画面でUIで映ったりロボットが動いたりして、自分が作ったものを実際に動かすのを早く実現できるフィードバックの速さにすごく楽しさを感じて、はまっていったのが大きいかなと思います。

清野:ちなみにその当時は、ご自身一人でやってたのか、機械学習エンジニアみたいな方は他にいらっしゃったのかでいうと、どちらですか?

中村:いらっしゃいました。最初は教えていただいてお世話になったのですが、だんだんはまってくると1人でのめり込んでいって、自分の世界に入っていったかなと思います。

清野:そうなんですね。じゃあ基本的に独学でされていたんですね。

「楽しい」が、学びの原動力

中村:そうですね、大体私が持ってる知識は基本的には独学かなと思っています。プログラミングを含めたソフトウェアの良い点として、独学をしやすい点があると思います。機械ですと、各企業さんのノウハウは企業秘密なので社外に出さないです。一方でソフトウェア、特にWeb系では、営利企業でも外部にオープンソースでライブラリを提供したり、発信したりする文化がすごくあるので、情報を一般の人でも手に入れて勉強しやすい環境があります。独学しやすい点も、のめりこんでいった1つの理由かなと思います。

清野:そうなんですね。プログラミングの中でも機械学習系はちょっと毛色が違う印象があります。Webプログラミングやアプリ開発とかだと、開発して動くものができて、自分で触ってても嬉しいし、他の人に使ってもらって「面白い」と言ってもらえて嬉しいなどあると思います。一方、機械学習では推論や画像処理など、それ自体の技術はすごいなとは思いつつ、触ってて「楽しい」のベクトルが若干違うんじゃないかと思うのですが、そのあたりの面白さはいかがですか?

中村:似てる部分もあるかなと思っています。Web系ですとJavaScriptやReactなどで作ったWebアプリが実際に動きますが、例えば機械学習での画像処理系のAIでも、何か動物 ── 例えば猫が映っていたら猫の部分 ── が、四角で検出されて映ります。自分で作ったアルゴリズムが、「〇〇を検出できた」のように、視覚的にすぐフィードバックとして見ることができるので、見てすぐに分かる点は似ているかなと思いますね。

清野:たしかにそうですね。僕もコンピューターサイエンスを大学からずっとやっていて、機械学習もしていて、「文字認識できて嬉しい」みたいなことを思い出しました。よくあるデータセットを使って、Kaggleなどで回して、「動いた!」みたいな。

中村:そういう意味では検出できたこと自体が嬉しいというよりは、例えばPythonですと可視化のためのJupyter Notebookという仕組みがあって、そこで検出した結果を可視化したグラフやさきほど話したように猫に四角の枠がつくみたいなことがあり、視覚的に見れることにすごく達成感を感じるので、私も視覚的に見れないと達成感を得づらいのはあるかなと思いますね。

清野:ここまでのお話では、プログラミングを実際にやってみると面白くて、のめり込んでいったということですね。きっかけとしては、お仕事の中で必要に迫られて始めた、という流れだったかなと思います。一方で、もともと大学では工学を学ばれていて、ある程度の専門知識もある中で、プログラミングを独学で始めて、そこからお金を稼いでいくというのは、結構チャレンジだったのではと感じました。そのあたりのキャリアチェンジというか、ジョブチェンジぽいことをへの葛藤や不安などはありましたか?

中村:葛藤…。最初は仕事で必要になって始めた部分があったので、「これをやっていって意味があるのかな」と考えることもあまりなかったですね。それよりも、やっていてすごく楽しいという気持ちが自分の中に出てきたので、続けていくことに対して特に不安はなかったです。まさに「楽しい」が原動力になっていたかなと思います。

清野:本当にプログラミングがお好きなんですね。

中村: そうですね、好きですね。

清野:ちなみに最初に工学を学ばれていたからこそ、プログラミングに取り組む上で「このあたりは得意だ」と感じる部分はありますか?

中村:工学ではないかもしれませんが、数学は結構役に立ったかなと思います。例えば機械工学科ですと微分計算や行列計算などを学ぶのですが、そのときの知識が機械学習の理論を理解するときに役立つようなことがありました。

清野:たしかに。いわゆるコンピューターサイエンスでの数学って、解析みたいな具体的なデータを扱うというよりも、情報数学というか、例えばオートマトンのような、概念的な数学のイメージがありますよね。

中村: そうですね。少し論理的なところがあって、割と好きというか。論理立てて筋道を組み立てていくようなことが好きだったので、その点も自分にフィットしていたかなと思います。

清野:そうなんですね。僕は色々やった結果、やっぱり「動くものを作る」のが楽しいなと思い、今に至っています。

中村: 私も最後はそうですね。数字として結果が出てくるよりも、ちゃんと可視化して機械学習の判定結果みたいなところ、例えば猫の部分に四角がつくみたいなことがあって、喜びが3倍増みたいになります。結構近いかなと思いますね。

清野:ちなみに今は、100%機械学習系のお仕事をされてるんですか?

中村:今はほぼ100%機械学習系のことをしています。ただ、つい3ヶ月前までアメリカへ駐在していて、その時は現地のスタートアップと一緒に作業用ロボットの開発みたいなことをしていました。現地の方との打ち合わせや、どのようなネットワーク構成でロボットを動かすか、ということもしていました。アメリカにいた3年間は結構毛並みが違うことをしていました。

清野:そうなんですね。では、完全に工学を離れたというよりも、どちらも軸としては持ちながらやられているんですね。

中村: そうですね。ロボットと言いますか、ハードウェアにもある程度は関わりは今もあります。

記録から発信へ、反響が生んだアウトプットの変化

清野:先ほど、ソフト系に関してはナレッジがインターネットにあって学びやすく、独学されてたというお話がありましたよね。中村さん自身もアウトプットをしていたからこそ本の出版にも繋がったかなと思っていまして、アウトプットを始めた理由とかきっかけは何かありますか?

中村:きっかけは2つあるかなと思っています。1つめがコロナのパンデミックですね。私はアウトドアな趣味がたくさんあったのですが、それが全部できなくなってしまって、時間がたくさんできたからどうしようかとなりました。そのときに偶然Raspberry Piという小型のLinuxのコンピューターを買って、電子工作みたいな形でPythonでプログラミングしてIoT家電を動かすようなことをしていました。それを日記感覚でQiitaに投稿していくうちに書くことにはまって、継続したのがきっかけの1つです。

もう1つのきっかけは、その次の年に転職をしたんですけれども、その転職のタイミングでのまとまった休みですね。有休消化で1ヶ月強くらいお休みをいただいて、時間がたくさんあったので、思いきり良い記事を書こうと時間をかけて書いた記事が結構バズりました。人間誰しもバズりたいみたいな気持ちがあると思いますけれど、その快感のようなものを忘れられなくなって、良い記事を書いて反響をいただくことにはまったのが、2つめのきっかけとしてあるかなと考えています。

清野:ちなみに1つめの「はまった」とは、何がはまったんですか?

中村:先ほどあった「Webアプリで動いて楽しい」にかなり近いかなと思うのですが、自分が作ったプログラムで、家電が遠隔で動くことがすごく楽しかったです。物理的なアウトプットがある点ですね。あとは、そのときもQiitaで投稿をしていて、日記を書くような感覚で投稿していたんです。それを見直すのも楽しいなと感じていました。

清野:何かしら作って記事にログとしてまとめるみたいなこと自体が、習慣のようになっていったということなんですね。

中村:そうですね。投稿頻度は多分その頃が一番高くて、バズってはまったころからクオリティを結構重視するようになりました。投稿頻度は落ちましたが、比較的長い記事を投稿していたかなと思いますね。

清野:前半後半でアウトプットするときに気にしていたことや、アウトプットをしてどのような反応をもらいたいなみたいなことは、何か変わりましたか?

中村:最初のころはそもそも反応を目的にしていなかったので、あまりこだわりはなかったです。あったことを書き連ねるだけで。強いて言うなら、あとで自分が見たときに、見やすいようにまとめることは意識してたかなと思いますね。人間なので忘れていってしまいますし、同じことを早くキャッチアップしようとすると、綺麗にまとめておいた方がキャッチアップしやすいので、意識していました。

後半に少しバズを意識するようになってからは、ボリュームを意識していました。ちょこっと書くだけでは情報量として少なくてアウトプットの量としてはあまり多くないと思ってしまうので、関連知識なども網羅的に載せて、その分野に関しては広くカバーできるようにしました。ボリュームをかなり意識するようになったかなと思います。書籍を書くようになってからは正確性をかなり意識するようになったかなと思います。

Qiitaでの発信が書籍につながるまで

清野:本のアウトプットについても、お伺いさせてください。おさらいとして、今回出版に至った経緯をお聞きしてもよろしいでしょうか?

中村:私がバズりを意識するようになってからいくつかバズった記事がありまして、それがおそらく出版社さん、もしくはQiitaさんの目に止まったのかなと思います。それでお声がけいただいたことをきっかけに「本を書きませんか」とお話が来ました。二つ返事で「ぜひお願いします」と、やらせていただきました。

清野:Qiitaとしても、Qiitaの中で活躍されてる方に新しい形でのアウトプットの機会を設けてはいきたいと考えています。今までイベントの登壇とかもやっていたのですが、技術評論社(『まるごと学べる 異常検知の実践知』出版社)さんとの「良い人いないですか」みたいな話もちょうどあったので、Qiitaの中で運営として見て「こういう方いますよ」とお話ししてはいました。おそらくそのようなお話も含めて、中村さんに本の出版をしていただいたのも経緯としてはあるかなと思っています。Qiitaとしても非常にありがたいです。ちなみに「ぜひやらせてください」とお返事されたとのことですが、「大変じゃないかな」とか、そういう気持ちはなかったですか?

中村:大変じゃないかなっていうのもありはしたのですが、発信してバズるのが良いなと思い始めてから、本を書きたいなと元々思っていたんです。個人ブログで発信されてる方で「出版社の方から声がかかって、そこから出版に至った」という例を何個か見ているので、うまくいけばこういうパターンもあるのかなというふうに思っていました。そしたら思ったよりも非常に早いタイミングでお声がけいただいて、すごくラッキーだったなというのもありました。そのように元々書きたい気持ちがあったので、不安というよりは、最初から覚悟はあったかなと思います。

清野:ちなみに実際に書くとなったときの内容決めは、どのような感じで進めたんですか?

中村:内容決めは結構白紙の状態から始まりました。「何を書こうか」という段階から編集の方とお話をして、自分の過去の経験の洗い出しと言うか、やってきたことを洗っていきました。すると、当時の前職のときに異常検知を仕事で扱うことが多く、その経験や知識と、現場での知見を生かせるかなと思い、実践と知識の両方が揃っている異常検知の分野について、本を書かせていただくことになりました。

清野:じゃあ、内容としては異常検知について今までの経験を元にしたものを、理論的なところを含めて書かれてらっしゃるということですね。

中村: そうですね。

異常検知の手法と“現場あるある”が学べる一冊

清野:今回書かれた本って、どのような方に読んでいただきたいですか?

中村:機械学習などをがっつりやってる人にももちろん見ていただきたいですが、まさに私が今働いている製造業や、これまで機械学習の導入ハードルが高かったような業界の方にも見ていただきたいなと思ってます。Qiitaで発信していても感じるのですが、Web系やソフトウェアをがっつりやってるところが一番情報を手に入れやすくて。メーカーや日本に昔からある大きな企業さんって、情報が閉じてしまう傾向があって、外部の情報をあまり手に入れられない場合があります。そのような方に情報が届きやすいような構成で今回本を書かせていただいたので、そのような業界ですね。いわゆる事業会社と言われているところのエンジニアに読んでいただきたいというのが、想いとしては一番強いかなと思います。

清野:ありがとうございます。いわゆる事業会社、ソフトウェア系を作っている会社とかって、なかなか異常検知への若干のとっつきにくさや専門的な内容という印象がありますが、そのあたりの基礎知識がなくても読みやすくなってるのでしょうか。内容が分からなくても「こういうことが分かるようになる」などがあればお伺いしたいです。

中村:今回の本では、「異常検知に関する基礎的な技術・手法の紹介」と、「実際の現場でよく起こる問題とその対処方法」を中心にまとめています。内容としては専門的なところが強いかなと思いますので、異常検知とはそもそも何かを紹介する記事をQiitaに投稿し、それを入り口にするようなことをやった方が良いのかなとは思いました。まずは、かなり初歩的な部分についての記事を1回作ってみようと思います。

清野:本を読んで何かしらスキル身につけることもあれば、きっかけにして色々とインプットをする呼び水的な意味合いも、本の価値としてあると僕は思っています。大体読んで分からない時って、その分からないものを自分で調べることもあるじゃないですか。それで色々と学べることもあるかなと思うので。そういう意味で言うと、いわゆる事業会社の方とか、僕もちょっと読んでみたいなって思いましたし、読んでいただけると良いかなと思いました。分からなかったらQiitaに書いていただく記事を読んでいただけると(笑)

中村: そうですね、「猫でもわかる異常検知」の記事をQiitaでぜひ投稿させていただこうと思います。

清野:ぜひお願いします。

中村:今回、Pythonのプログラミングのサンプルコードみたいなものをたくさん作ってGitHubに投稿しているのですが、スターをたくさんいただいていて、結構反響をいただいているので、実装の知識を身につけたい方にはかなり刺さる本かなと思います。

今まで異常検知の本は、PythonではなくてRで書かれている本が非常に主流になっています。ただRは、Web系の連携、データベースだとかを連携しようとすると、Pythonと比べると、実際にシステムとして搭載しようとしたときの機能が、どうしても少なくなってしまいます。実際のシステムに載せようとしたときのPythonで書きたいという需要には、かなり応えられるかなと思いますね。

清野:かなり大きいですね。大体そういった数値解析や異常検知って、Rとかで書かれている事が多いかなと思います。統計とか。

中村:昔はよくRを使っていたのですが、やはりどうしてもWebのAPIを作ろうなどすると、かなり機能が不足しているなと思いました。実際のシステムに載せようとするとPythonの方が非常に扱いやすいので、そこはかなり意識して、Pythonでの実装について書きました。

清野:ぜひいろんな方に読んでいただきたいですね。

中村:私が「こういう方に刺さる」と思っている以外の方にも、もしかしたら、すごく本の内容が刺さって役立てていただける可能性もあるかなと思っています。その意味でも、様々な方に読んでいただきたいですね。今回のGitHubのリポジトリがすごく反響が大きかったのも私の想定外で、思ってないところでバズったりするんだなと感じたので。

中村さんの記事・著書はこちら:
Podcastの内容を深掘り
『まるごと学べる 異常検知の実践知』(技術評論社)

技術を社会に届ける、日本語で技術発信する意味

清野:今回、異常検知に関して本を書かれて、今は出版されているところかなと思うんですけど、実際書いてみてどうでしたか?

中村:書いてみて、意識として変わったところがたくさんあるなと思っています。まず最初に、先ほど言わせていただいたような内容の正確性はすごく重視するようになりました。あとは社会に対するアウトプットへの意識が非常に強くなったかなと思っています。本って世の中に広く流通するものなので、社会に良い影響を与えたいような気持ちは当然出てきます。

あとは調べていると、英語の参考文献の幅広さと言いますか、内容の濃さに比べてやはり日本語の情報がすごく少ないなと思ったので、このままだと日本の機械学習やデータ分析の業界がまずいぞ、というような気持ちも生まれてきまして、日本語で良質な発信をしていきたいなという気持ちがすごく強くなったかなと思いますね。英語での情報量の多さが本当にすごいなと実感しました。

清野:ありがとうございます。今までも本を出版された方にゲストとして参加いただいたことがありますが、もう1回書きたいという方が多くて。本を書くのってすごく大変だと思うので、燃え尽き症候群じゃないですけれど、アウトプットをやめたくならないのかなって思うのですが、たいていは逆にモチベーションが上がって「今2作目を考えてる」みたいな方が多いです。書くことによって見えるものとかが変わるんだろうなと、改めて思いました。

中村:そうですね。思った以上に意識の変化はあったかなと思いますね。マズローの欲求5段階説がありますけれど、社会に対して自分がアウトプットできてる感覚が、その1番上の欲求を満たすようなところになるかなと思いますね。

清野:もし次に本を出版するとなったら、どのようなトピックで書きたいですか?

中村:基本的には今までずっとやってきた機械学習や、ここ数年仕事でしてきたロボット関係に興味があります。ロボット関係で調べているとあんまり本がなくて。ROSと呼ばれるロボット向けのOSのライブラリがあるのですが、英語のドキュメントから情報収集しないといけないというのが非常に強くて。本が1冊あるにはありますが、数がすごく少ないので、日本語の本が増えることによって、最初にとっかかる人にとってやりやすくなるかなと思うので、ロボット関係は書く対象として興味があります。

清野:それもすごく面白そうなトピックですね。日本の本で出版することの価値って、目に留まりやすくなるっていうところかなと思っています。勉強しようと思って勉強するのではなくて、目に留まるから手に取ってみるような。そういうのが、新しい知識の発見やインプット、新しい世界の扉を叩くきっかけになるかなと思います。そのようなきっかけ作りを中村さんにしていただけるのは、日本をこれからより盛り上げていく上でも非常に大事なんじゃないかなって思いました。

中村:そうですね。日本を盛り上げていきたいですね。

清野:中村さん、本日はありがとうございました。Qiitaをきっかけに出版につながったという方は多く、お話を聞くたびに本当にありがたいなと思っています。これからも、そのようなきっかけ作りをQiitaで提供しつづけていきたいと考えていますので、Qiitaに期待することやリクエストがあれば、ぜひお寄せいただけるとありがたいです。

さいごに

「エンジニアストーリー by Qiita」は、近年高まるエンジニア向けPodcastのニーズに応え、エンジニアのキャリア形成に有益な情報を発信しています。興味のあるテーマを見つけて配信を聞いてみましょう!

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