「AIと人間の共創: クリエイティブの未来を探る」Qiita Conference 2025イベントレポート

2025年4月23日〜25日の3日間にわたり、日本最大級*¹のエンジニアコミュニティ「Qiita」では、オンラインテックカンファレンス「Qiita Conference 2025」を開催しました。

*¹「最大級」は、エンジニアが集うオンラインコミュニティを市場として、IT人材白書(2020年版)と当社登録会員数・UU数の比較をもとに表現しています。

当日は、ゲストスピーカーによる基調講演や参加各社のセッションを通じて、技術的な挑戦や積み重ねてきた知見などが共有されました。本レポートでは、Imgix, inc.のJapan Country Managerである金本 太一氏によるセッション「AIと人間の共創 : クリエイティブの未来を探る」の様子をお伝えします。本セッションの構成は、「画像最適化の歴史と成熟モデルの解説」「AI時代の最適化事例と成功企業の取り組み」「Imgixの機能紹介とデモンストレーション」「AIと人間の役割分担、そして共創の可能性」です。デモを画面にうつしながらの紹介となり、「すごく便利!」や「精度が良いですね」というコメントがありました。

※本レポートでは、当日のセッション内容の中からポイントとなる部分等を抽出して再編集しています
※本レポートでは、2024年4月時点でのサービス内容および価格に基づいたスライドや説明を用いています。 最新の情報はAWS公式ウェブサイトにてご確認ください

記事投稿プラットフォーム「Qiita」でもImgixを導入しています。「Qiita」には日々多くのリクエストが発生しますが、Imgixを活用し、スムーズな運営を実現できています。例えば、記事のOGP画像などを簡単に生成して提供できる点や、画像を最適化して配信できるためサイトのパフォーマンス改善などを簡単に行うことが出来るのが魅力です。

プロフィール

金本 太一(かねもと たいち)
Imgix, inc.
Japan Country Manager
1989年生まれ、サンフランシスコ在住。AIを活用した画像認識データを提供する企業で日本市場の立ち上げに従事。現在はImgixのJapan Country Managerとして、最先端の画像・動画最適化ソリューションを提供し、日本市場の拡大を牽引。カスタマーサクセスや技術サポートを通じて導入企業の課題を解決し、ビジュアル改善も含めた最適化された画像と動画を活用して、ユーザーにストレスのないウェブ体験を提供している。

画像最適化の「これまで」と「これから」を網羅

本日のテーマは「AIと人間の共創:クリエイティブの未来を探る」です。AIがデザインやマーケティングに与える影響は計り知れません。画像最適化の分野でもAIの活用が進み、ImgixでもAIを取り入れた機能を提供しています。

今回は、画像最適化の歴史を振り返るとともにAI時代における画像最適化の進化をお伝えします。また、Imgixの機能をご紹介しながら、クリエイティブの質を向上させる実践的なアプローチを紹介します。AIを活用した画像最適化を成果につなげるには、どうすればいいのでしょうか。AIと人間が共創する未来のクリエイティブ戦略を一緒に考えましょう。

画像最適化の成熟度モデルには5つのステップがある

はじめに、画像最適化の成熟度モデルについてお話ししましょう。画像最適化の成熟モデルは5つのステップに分かれています。1つめは「画像リサイズ」です。こちらはフォトショップなどのソフトウェアを使って画像のリサイズを手作業で1つひとつ行います。

2つめは「レスポンシブ画像処理」です。こちらはユーザーの閲覧状況を考慮しはじめた段階です。1枚の画像からスマートフォン用の画像、タブレット用の画像、ヒーロー画像用の画像など、いくつかのサイズの画像を作っていきます。

3つめのステップは「動的画像処理」です。1枚の画像から様々なバージョンを自動的に配信できるしくみを作る段階です。この段階で、画像処理における大幅な時間の節約が可能になります。

4つめは「生成的画像処理」です。AIの活用を含めて画像のビジュアルを改善します。さらなる画像の価値やインパクトをユーザーに伝えたいときには、構成が美しく、かつサイズが大きく高解像度の画像が必要になります。生成的画像処理を行えば、画像の中にある必要ない要素を除去したり、画像を動画にしたりすることで、これまでにない画像のインパクトをユーザーに届けることができます。

5つめは「データ駆動型画像処理」です。AIとデータ分析を組み合わせてユーザー1人ひとりにパーソナライズされた画像を提供する段階です。この段階まで来れば、NetflixやAmazonのサービス画像のように高いユーザー体験を実現できるでしょう。みなさんは今、どのステップにいるでしょうか?

これまでの画像処理の歴史

画像処理はこれまで、どのように進化してきたのでしょうか。画像処理の歴史は1990年代前半の手作業時代からはじまります。Photoshopなどの画像加工ソフトを活用して、手作業で画像を作る時代です。1枚1枚画像を作成するため時間も労力もかかり、質と量のバランスが悪いという側面があります。

1990年代後半に入ると、CMS時代が到来しました。WordPressのようなCMSが普及しはじめ、プラグインで画像処理の自動化が可能になりました。一方でカスタマイズの自由度が低かったり、エンジニアのコーディングスキルが必要だったりという課題もあり、細かい部分の調整が難しいケースがありました。

2000年代前半にはAkamaiをはじめとするCDNが普及しはじめ、CDNのサーバーを駆使した画像の高速配信が実現しました。しかし当時は、1枚の画像から様々なデバイスに対応した画像を作成することまではできませんでした。そのため、結局は手作業で画像を調整する工程が発生していました。

こうした進歩を経た今、AI時代が到来しています。Imgixのような画像最適化ツールを使えば、1枚の画像から自動的にリアルタイムで様々なサイズの画像を配信できます。またAIの力で画像を動画に変換するなど、画像のビジュアルにインパクトを持たせることも自由自在にできるようになりました。

さらにユーザーの環境や行動に応じたパーソナライズ画像も提供できます。このような進化によってサイト体験の向上を実現し、ユーザーに「このサービスは良さそうだ」「体験してみたい」という気持ちを強力に引き出せるようになったのです。

AIを活用した画像最適化、成功企業の「3つの取り組み」とは

このように、AIの登場によって画像最適化の技術は大きく進歩しました。しかし、同じようにAIを活用した画像最適化に取り組んでいても、成果が上がっている企業とそうでない企業があります。両者の比較分析を行った結果、成果を上げている企業は次の3つのポイントを徹底しており、その結果、コンバージョン率(CVR)が平均35%も向上していることがわかりました。

1つめは、画像の読み込み速度の最適化です。Googleの調査によると、画像の読み込み速度が1秒遅くなるだけで、コンバージョン率が13%も低下することが分かっています。画像の最適化によってユーザーの離脱率をできる限り下げることが重要です。

2つめは、ユーザーの視線を引きつけるビジュアル作りです。人間は文字を読み取るよりも6万倍速く画像を読み取ります。そのため、美しく伝えたい情報が網羅された画像をサイトに掲載しておくことが、サービスの価値向上に直結します。

3つめは、ターゲットに最適な画像の提供です。こちらはAIとデータ分析の組み合わせによるパーソナライズされた画像の提供のことです。これによって、単なるそのサービスの機能としてではなく、マーケティング施策にも価値が付与されるでしょう。この3つのポイントを押さえることが、画像最適化によって企業を成長させる鍵になりそうです。

AIは人間の仕事を奪うのか

AIが活用され始めている今、AIが人間の仕事を奪うのではないかという議論が繰り広げられています。しかし私は、AIが人間の仕事を奪うことはないと考えています。人間の得意分野は、創造性や感情と共感、戦略的思考が求められる仕事です。一方でAIの得意分野は大量処理や精度と一貫性、自動化と最適化が求められる仕事です。企業では人間とAIそれぞれの得意領域を見極めて、AIが得意な仕事はAIに任せるというディシジョンメイキングが大事になってくるでしょう。

そう考えると、AIが人間の仕事を奪うというよりは、AIの知識を持っている人間が仕事を奪っていくというほうが正しい気がします。私は今アメリカのサンフランシスコに住んでおり、様々なAI企業と話をする機会があります。その中で、AIに精通している人ほど良い仕事に就いていることを実感しています。今後はAIの知識がある人が、ビジネス界でも有名になっていくと考えています。

ImgixはAIを活用した画像最適化のエキスパート

ImgixはWebやアプリのビジュアル体験を向上させるための画像・動画最適化プラットフォームであり、AIを活用した画像最適化のエキスパートです。画像最適化に関する160種類以上のURLパラメーターを提供し、画像の改善最適化、ビジュアルの改善を支援しています。これまで6万社以上のグローバル企業のビジュアルメディア配信をサポートしており、毎日80億枚以上の画像を配信しております。

創業者のクリス・ザカリアスは、YouTubeの2番目の開発者として参画していました。YouTubeはもともとローリングスピードがかなり遅かったのですが、その一因は画像の容量にあったそうです。クリスは当時の課題をもとにImgixを創業しました。

画像のデータ圧縮から構図調整、背景変更まで簡単に

Imgixでは、どのように画像最適化を実現するのでしょうか。実際の画面をお見せしながら、ご説明します。まず一般的な画像最適化の自動化をお見せしたあと、背景除去や背景の置換、アスペクト比の変更、画像から動画への変換など、今お問い合わせが多い機能をご紹介します。

こちらはイーコマースをモチーフにしてデザインを作成したデモ画面です。このサイト内のプロダクト画像やヒーロー画像をFixしていきます。これらの画像はすべてUnsplashという画像ストックサイトからダウンロードしたJPEGデータで、サイズもデータ容量も非常に大きいです。

ここでauto=formatというパラメータを入力してChromeでベストなフォーマットに置き換えると、自動的にavifに変換されます。JPEGからavifに変換すると、高い画質を保ったまま約60%〜70%のデータ圧縮が可能です。

つぎにfit=cropというパラメータを画像URLに入力して、画像の構図を整えます。人物が映った写真なら人物の顔、商品のPR画像なら商品が真ん中に来るように調整しましょう。

画像の背景を統一したいときは、bg-remove=trueというパラメータを活用してください。このパラメータを画像URLに入れると簡単に画像の背景を削除できます。

さらにbg-replaceというパラメータを活用すれば、背景をブランドイメージや用途に合ったカラーに変更したり、企業ロゴを挿入したりすることも可能です。AIのマシンラーニングによって、簡単なプロンプトを入力するだけで背景に使用する画像を生成することもできます。


AIによる生成塗りつぶし機能でアスペクト比変更も簡単

つぎに、ヒーロー画像を調整していきます。一見キレイに見える画像でも、fit=cropのパラメータでしっかりと画面にフィットさせると、足りない部分が出てくることがあります。

このような場合に「gen」という生成塗りつぶし機能を使うと、AIが自動的に足りない部分を埋めてくれます。これによって、正方形の画像を長方形にするといったことも簡単にできるようになっています。

ほかにもfp-yというパラメータで画像の位置を指定したり、expというパラメータで画像の露出を下げたりすることもできます。blendというパラメータを使えば多種多様な組み合わせ画像の生成が可能になり、txtというパラメータを使えば画像の切り抜きや画像に文字を合成することもできます。フォントサイズや色はもちろん、配置の指定やフォントタイプの変更もImgix上ですべて行えます。

詳細はこちら:https://docs.Imgix.com/ja-JP/apis/rendering/automatic

シンプルなパラメータ入力だけで画像から動画を生成

次にご紹介するのは、画像から動画への変換機能です。こちらはイーコマースのWebサイトに掲載されている衣料品のプロダクト画像です。Imgixの動画変換機能を使えば、シンプルなパラメータを入力するだけで画像から動画を生成できます。

静的な画像に表情やポージングという動きが加わると、洋服の魅力がさらに伝わりやすくなります。1から動画を撮影するとなると大きなコストがかかりますが、Imgixならそのコストを大幅に削減できます。画像を動画にすることでコンテンツがユーザーの目に止まりやすくなるのはもちろん、製品やサービスへの没入感を生むきっかけにもなります。こうしてユーザーの企業への愛着が強まれば、ロイヤルカスタマー化も容易です。

みなさまの企業では、製品やサービスの価値を上げるべく様々な取り組みを進めていると思います。このとき、ぜひ画像がもたらす効果に着目していただきたいです。ユーザーが皆さまのWebサイトを初めて訪れた際に、まず目にするのは画像です。画像がよければ、サービスの価値がワンランクアップすると言っても過言ではありません。今一度画像の価値を見直し、最適化に力を入れていただければと思います。

文:株式会社Tokyo Edit

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