エンジニアのキャリア/人生全体の「サクセス」に徹底して向き合う!Findyの「ユーザーサクセス」のサポートに迫る
ここ最近、生成AIの動向を始め、技術トレンドの移り変わりが非常に激しくなってきています。キャリアを積んでいく当事者としては、中長期的な仕事に対するスタンスや考え方、キャリアの軸の設定に悩む方も多いのではないでしょうか。
そのようなモヤモヤとした悩みの壁打ちから直近の転職相談まで、キャリアにまつわる様々なお悩みを受け入れているのが、転職サービス「Findy」を提供するファインディ株式会社(以下、ファインディ)です。同社では「ユーザーサクセス」と呼ばれる担当者が、ユーザーとの面談を通じてキャリアの壁打ち相手や、最新で最適な情報提供などを実施。一人ひとりの課題に対して丁寧に伴走してくれると言います。
具体的にどのような思いで運営されていて、これまでにどのようなユーザーサクセスを実現してきたのか。そもそも、ユーザーサクセスとはどのような概念なのか。今回は、同社でユーザーサクセスとして最前線でご活躍されているおふたりに話を聞いてきました。
目次
プロフィール
Findy 転職事業部 ユーザーサクセス チームリーダー
Findy 転職事業部 ユーザーサクセス担当
プロダクト開発部 Qiita開発G マネージャー
入社後はQiita、QiitaJobsのプロダクト開発や機能改善などを担当。
2020年1月から「Qiita」のプロダクトマネジメントとメンバーのマネジメントを行う。
適切な情報提供を通じてエンジニア一人ひとりの人生のサクセスに伴走する
清野:まずはおふたりの自己紹介をお願いします。
上米良:ユーザーサクセスのチームリーダーをしています。最初のキャリアは高校での英語科教員で、今とは畑違いのことをやっていました。その後ITベンチャーに転職し、キャリアアドバイザーとして働いていました。未経験からエンジニアを目指す方、合計約200人へのキャリア支援を行った後、2021年10月にファインディへとジョインしました。2023年7月以降は転職事業部のユーザーサクセス チームリーダーとして、各メンバーのマネジメントやオンボーディングなどを担当しています。
佐藤:もともと新卒採用コンサルティングを行うスタートアップで働いていたのですが、「人の可能性を最大化させたい」という想いがあり、それが実現できそうなファインディへ2022年に転職しました。入社直後はフリーランス事業部に在籍して、フリーランス向けの提案(フリーランス向けユーザーサクセス)をしていたのですが、2023年1月より転職事業部に異動して、今は正社員領域のユーザーサクセスを担当しています。
プライベートではコーチングを学び、面談に生かしています。あと副業にはなりますが、コーチ・カウンセラーやイベントサポート、インタビュアーなども幅広くやっています。
清野:佐藤さん、コーチ・カウンセラーもされているんですね!
佐藤:アドラー心理学をベースとしたコーチングスクールを卒業していまして、20代から経営者まで、幅広い方々へのコーチング実績があります。
清野:素晴らしいですね。今回のテーマはファインディが取り組むユーザーサクセス面談についてです。まずは「ユーザーサクセス」とはどういう概念なのか、教えてください。
佐藤:ファインディではエンジニアと企業をマッチングする転職サービス「Findy」をはじめ、エンジニア向けの様々なサービスを提供しています。その中でもユーザーサクセスは、「Findy」のユーザーであるエンジニアのキャリア、ひいては人生全体のサクセスに徹底して向き合うポジションになります。
清野:ユーザーサクセスに向けて皆さまが担当されているのが、ユーザーサクセス面談ということですね。
佐藤:メイン業務としてはおっしゃる通り、オンラインでの30〜60分ほどの面談の実施です。その他にも、面談実施後のメッセージのやりとりを通じた継続的なサポートなども行っています。
清野:そうなんですね! キャリアや人生のサクセスとのことですが、具体的にはどのような状態になっていることが、皆さまにとっての「ユーザーサクセス」になりますか?
上米良:個人的な解釈でお伝えすると、面談が終了した次の瞬間から、前向きになれることだと考えています。面談をされる方は、何かしらのモヤモヤを抱えてお越しいただいています。そんなモヤモヤを少しでも解消して、ユーザーが本当にやりたいことや、良い人生に向けたキャリアのイメージを描いていただくことで、オンライン面談を終了した時に前向きになれている。そのような変化をもたらすことが、ユーザーサクセスだと考えています。
佐藤:私にとってのユーザーサクセスは、その人が納得感をもって面談以降の人生を送っていただくことかなと思います。転職サービスを提供している会社ではありますが、転職が全てではないとも思っています。面談の結果、転職するのではなく現職に留まる方がその人にとってのサクセスなのであれば、そのようなアドバイスもします。
清野:なるほど。ちなみに、ファインディが「ユーザーサクセス」を提唱されたきっかけは何だったのですか?
上米良:もともとは代表の山田の気づきからスタートした取り組みです。現場を知ること/現場に立つことを常に大切にしてきた人間として、エンジニアが具体的に何に悩んでいるかについて、ある時SNSで問いかけたことがあるんですね。すると「どうやって人生のゴールに向けた転職を実現できるのか悩む」「変化が早いので何を根拠に会社を決めればいいのかが分からない」といった声が挙がったことから、適切な情報提供を通じて人生のサクセスに伴走するという考え方で、ユーザーサクセスという言葉が生まれました。
佐藤:一点補足すると、「ユーザーサクセス」という職種名も、弊社が商標を取得している独自のポジションになります。
「フラット」「ファクトベース」「俯瞰」を重視して情報を提供
清野:基本的には転職意欲が高いユーザーに向けてユーザーサクセス面談を行っているのですか?
佐藤:いえ、転職意欲が高い方だけでなく、今のところ転職までは考えておらず、まずはキャリアの整理をしたいという方まで、幅広く面談を行っています。
上米良:面談でのコミュニケーションとしては、まずはユーザーのキャリアにおける「成功」とは何かを一緒に考え、その上で、昨今の情報過多な環境の中から「フラット」「ファクトベース」「俯瞰」という「3つのF」 を重視した視点を大切にしながら、成功に向けた情報をご提供するという流れになります。
清野:てっきり「良い転職まで一緒に持っていく」というのがサクセスかなと思っていたのですが、そうではなく、もっと根本的な「キャリア全体」についてフラットにサポートするということなんですね。
上米良:ユーザーサクセスは、無理な転職を勧める仕事ではありません。あくまでエンジニアの方の中長期的な「ありたい姿」を実現するために伴走するお仕事であって、ユーザーであるエンジニア一人ひとりが自分の意志でキャリアを「選択する」ためのお手伝いをする、というのが基本的なスタンスになります。
ですから面談では、キャリアビジョンや転職軸の整理、言語化のサポート、それからエンジニア転職市場の動向や技術トレンドに関する情報提供など、一般的な転職サービスで行うような支援(職務経歴書添削や会社紹介)を超えて、「人生に関する悩みや相談の壁打ち場所」としてご活用いただいています。
佐藤:「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」をビジョンとしているので、そういう想いもあって、転職を斡旋することが第一目的の取り組みではないサービスになります。
清野:人生の壁打ち場所ということで、相当難しいお仕事だと感じるのですが、おふたりがユーザーとやりとりをする上で意識されていることを教えてください。
上米良:何よりもまず、「聴く」ことだと思っています。ユーザーがどんな言葉を、どのような文脈で話しているかを「心で聴く」。その上で、ユーザーからお伝えいただいた内容を咀嚼して、一緒に考えて、様々な角度からの問いかけを通して、一緒に考えていく。この「聴く + 一緒に考える」がとにかく大事な姿勢だと思っており、こちらから発する言葉も、相手から発される言葉も、どちらも大切にしています。
佐藤:私の場合、ユーザーの可能性を広げるという考え方を大切にしています。実際に知らないから気づけていないことは世の中にたくさんあると思っているので、だからこそ情報提供は大事ですし、現職の課題感も含めて「どのように生きていきたいか?」「それに向けて、仕事には何を求めるのか?」というところまで問いかけの幅を広げ、キャリアの視点が広がるように常に意識しています。
働くという行為は、生きる中での一つの要素に過ぎません。例えば家庭の事情や自身の志向及び社会環境の変化など、生きる中でライフプランは常に変わっていくものです。仕事だけで切り取りたくないなと思いながらユーザーと接しています。
清野:面談相手の視点を広げるとなると、ご自身の視点の広がりも非常に重要だと感じます。そのあたりについて、何か意識して取り組まれていることはありますか?
上米良:組織としては、オンボーディングや情報共有のツールを使いながら、どのようなユーザーがどういったお悩みを抱えているかについて、スムーズに共有し合える仕組みを用意しています。
佐藤:月並みですが、本や新聞などは日々読んで情報の鮮度を高めるようにしています。あと、ユーザーと向き合う上で何か困ったことがあれば、社内のメンバーに積極的に聞くようにしています。すでに従業員数は200名を超えていて、様々なバックグラウンドを持つ社員がいるので、ランチにお誘いしてお話を伺う機会も頻繁に作っていますね。
清野:お話を伺っていると、僕も一度面談を受けたくなってきました! 実際にユーザーサクセス面談を受けたい場合は、どうすればいいのでしょうか?
上米良:「Findy」にログイン(未登録の方は新規登録)してFindyからお送りしているメッセージや、ユーザーサクセス面談の案内ページから予約フォームにアクセスいただけますので、希望の日にちを選択いただければOKです。ユーザーであればどなたでも面談をセットしていただけます。
清野:基本的には希望者からの登録なのでしょうか?
上米良:いえ、我々の方でユーザーのプロフィールをしっかりと確認した上で面談のスカウトというのもやっているのですが、そちらの割合の方が現状は多いですね。
2年越しの伴走によるキャリアの成功事例が心に残っている
清野:ユーザーサクセス面談では、どういったエンジニアの方が、どのような期待を持ってお越しになるのでしょうか?
佐藤:かなり幅広いです。例えば実務経験が数年ほどのエンジニアの方が今後のキャリアの方向性の解像度を高めるためにいらっしゃることもありますし、30代でマネジメントしている方が「本当にこのままで良いのか」とか「家族のライフステージの変化で悩んでいる」といったお悩みを抱えてでいらっしゃることもあります。中にはCTOやVPoEなどの職種の方々も面談にいらっしゃって、「立場的に社内ではなかなか言えないし、家族にも伝えられない。まずは話を聞いてほしい」というように相談されるケースもあります。
清野:たしかに、マネジメントレイヤーが高くなればなるほど、相談先も少なくなりますね…。具体的に印象的だったエピソードがあれば教えていただきたいです。まずは佐藤さん、いかがでしょうか?
佐藤:どのご支援も印象深いものばかりですが、例えば転職軸が複数あったけれど、ユーザーサクセス面談を経てご自身が本当に大事にしたい軸を言語化し、結果として納得する転職ができた事例についてお伝えします。その方は医療系スタートアップやチャットツールのサービス開発などをご経験されていて、30代に入って役職がつき、徐々に開発から離れつつあるタイミングでの転職活動のご相談でした。転職の主な動機としては、もう一度開発者として経験を積めるようなキャリアにしていきたい、というものです。
清野:エンジニアのキャリアの中でも、特に悩みポイントとして多いテーマですね。具体的にどのようなご支援をされたのですか?
佐藤:実はその方は、すでに複数社から内定をもらっている状況でした。でも、転職軸がいくつもあるような状態だったので、「どの企業でも希望が叶う」という感じで、ご自身では選べない状況になっていました。例えば「英語を用いた開発をしたい」とか、「フルスタックエンジニアとして開発経験を積みたい」とか「ビジネスサイドやPdMと連携して開発を行いたい」などです。
清野:なるほど。個人的にはその方の気持ちもわかる気がします。
佐藤:このままでは納得のいく転職ができないだろうと思い、各内定企業で3年後、5年後にどうなっていそうか、というのをエピソードレベルで一緒に具体化していきました。その会社に入るからこそ得られることは何で、逆に失うものとしては何が考えられるか? その人生はご自身の中で10点中何点だと思うか? ご自身として歩みたい未来のプラスに思える状態は何か?
特にその時は、規模の異なる2社からの内定だったので、事業としての成長性や参画フェーズの企業状況といった情報もご提供しながら伴走していきました。その結果、ご自身の中で一番大事なのは「事業やビジョンへの共感性」と気づかれて、納得感をもってご承諾されました。内定承諾後に「サポートいただきありがとうございました」「自分が認知してなかった良い企業にたどり着けたのはありがたい限りでした」と感謝の意をいただいた時は嬉しかったですね。
清野:そういった相談の際に、佐藤さんはどのようなキャラクターになるのでしょうか?エンパワータイプですか?それとも厳しめのスタンスになるタイプですか?
佐藤:結構しっかりとお伝えするタイプだと思いますが、その方の状況によって変わる気がします。厳しめにお伝えしないといけないと判断したら、「今のままだとご希望の会社には入るのは難しいですよ」といった感じで、現実をご理解いただくようにお伝えします。基本的には、相手のためになると思った場合、一時的に嫌われても良いというスタンスでやっていますね。
清野:最終的にはその方のためになりますから大事ですね。上米良さんの、印象的だったエピソードはいかがですか?
上米良:佐藤さんと同様、なかなか選べないところではありますが、今回は2年越しの伴走によるキャリアの成功事例についてご紹介できればと思います。その方は30代で、AI系の受託開発会社でインフラのマネージャーをされていました。2022年に初回面談にいらっしゃった際には転職欲は全くなくて、情報収集を目的に面談をセットされていました。その際はご自身の価値観などについての言語化をお手伝いしたのですが、そこから定期的にメッセージのやり取りをしながら、また1年後に久しぶりにお話しませんかという話をいただきました。
上米良:以前から役割が代わり、今度はマネージャーとして活躍されていて、マネジメントの大変さや、どうしたらメンバーを上手く成長させられるのかという観点で悩まれていました。その際は傾聴を基本スタンスとしてご対応していました。
清野:同じ方でも、接し方や支援の仕方が変わるわけですね。
上米良:そこからさらに半年後、2023年にまたご連絡をいただきまして、「あれから現職の状況も変わったので、転職を本格的に始めようと思っている」とおっしゃいました。この時点で初回面談から2年近く経過をしていたわけですが、そのタイミングで改めて一緒に頑張りましょうと、ご支援をしました。
具体的には、この先どのようなマネジメントをされていきたいのか、どんなチームを作っていきたいのかに対して問いかけをして、最終的に3社から内定をいただいて、ご自身で意思決定をされました。2年以上伴走をさせていただいたことで実現したご支援の形だと思うのですが、まさにこれって「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」をビジョンに掲げるファインディだからこそできたことだと感じています。
マラソンを頑張る人を全力で応援する伴走者のような存在でいたい
清野:ユーザーサクセスの部門として、今後目指していきたいことを教えてください。
上米良:より多くの方に価値提供をしていきたい。これに尽きると思います。「そんなサービスがあるんですね、知らなかったです」とおっしゃる方もまだまだ多く、どこかで悩まれている方にリーチできていないのは大きな課題だと感じています。
清野:仮に、人員リソースや各種コストなど、あらゆる制約を取っ払うことができるとしたら、全ユーザーと面談されたいですか?
佐藤:個人的には全ユーザーに対して実施したいですね。時間があってしっかりと人員リソースが確保できるのであれば、全員に対してサクセスを伴走できると考えています。
清野:それを宣言できるのは本当にすごいですね!ちなみに、紹介する会社は、基本的には「Findy」での掲載求人だけになりますか?
佐藤:基本は掲載企業になりますが、昔お取引をしていた会社など、現在求人掲載がない企業でもホームページなどをご紹介することもありますね。
清野:今後ユーザーサクセス面談にはどんな人に来てもらいたいですか?
佐藤:転職で悩んでいる方はもちろん、キャリアで漠然と迷われているエンジニアの方にもぜひ来ていただきたいです。正解はないので、まずはお話を伺いながら少しでも言語化していけたらと考えています。「Findy」には数千件の面談実績や転職の支援の実績があるので、お困りごとに即した事例をきっと提供できるはずです。
清野:ありがとうございます。それでは最後に、読者の皆さまにメッセージをお願いします。
上米良:改めてとなりますが、私たちはユーザーキャリアにおけるサクセスを本気で考える存在です。だからこそ転職をお勧めするだけではなく、転職をするべきではないと思ったらそのことを全力でお伝えします。イメージとしては、マラソンに参加して頑張って走っている人を、横で全力で応援する伴走者で、お一人おひとりのライフプランを伺った上で、大事なものと徹底的に向き合うことをモットーとしています。情報を受け取るだけでも納得度が上がると思うので、まずはお気軽にお越しください。
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編集後記
一般的に転職サービスを受けるとなると、どうしても「転職ありき」の力学で企業や案件の紹介がなされるものですが、今回お話を伺ったファインディのユーザーサクセス面談ではフラットなご相談ができるということで、プラットフォーム事業者が提供するサービスとしては非常に珍しいなと感じた次第です。無理やり転職活動へと誘われることはないとのことで、ご自身のキャリアの整理をされたい方など、気軽に予約してみてはいかがでしょうか。
取材/文:長岡 武司
撮影:伊東 祐輔