(実例掲載)リモートワークのガイドラインを作る際のポイントは? 担当者に話を聞きました。
今回はリモートワークのガイドラインについて取り上げます。
以前、リモートワークについて取り上げた記事があり、少しだけ話題に出たことががきっかけになっています。ガイドラインを設けるにあたって、「どのような内容を盛り込むのか」、「どのように作るのか」、「どういったことに気をつけるといいのか」など、実際に作成に携わったコーポレートの社員から話を伺いました。
記事後半にはIncrements社内で共有されているガイドラインも実際にお見せしますので、ぜひ参考にしてください!
文・聞き手/Qiita Zine編集部 話し手:加賀見早苗
ガイドラインで「振る舞い」を、就業規則で「ルール」を定義
まずはIncrementsのリモートワークのガイドラインがどのような考え方で作られているのか教えてください。
そもそもリモートワークをなぜ導入したか、その目的についてお話しますと、「個人、チーム、会社としての成果を最大化するために、働く時間や場所を各自が選べるようにするため」というのが根本の考え方にあります。
この考え方に沿って「振る舞い」を定義したのが、Incrementsのリモートワークのガイドラインにおけるポイントです。
「振る舞い」を具体的にすると、「リモートワークをするにあたって、こういうスタンスで臨みましょう」ということになります。なので、「これをしてはいけない」というものではなく、メンバーの共感を得やすくするために「~~しましょう」といったトーンで記述されているんです。
拝見しましたが、行動指針のようなものに近い印象を受けました。柔らかめのトーンなので、「なるほど。そうだよね」といった共感を得られやすい内容だと思います。ちなみにリモートワークについては、ガイドラインとは別に就業規定も作られていると聞きました。それはなぜでしょうか。
会社としてリモートワークに取り組むのであれば、「申請の手続きはどうすればいいの?」、「コワーキングスペースで仕事をした場合の費用負担はどうなるの?」といった、あらかじめ決めておかないといけないことも出てきます。
そういった最低限の決め事を就業規定では明文化していますね。ガイドラインでは「振る舞い」を定義していて、就業規則では「ルール」を定義しているといった位置づけになります。
解釈の違いを防ぐために「なぜリモートワークをやるのか」という目的を明文化する
「振る舞い」と「ルール」の2つの視点からリモートワークを明文化するというのは、「自社でもリモートワークのガイドラインを作ってみよう」と考えている方に、とても参考になりそうです。
これからガイドラインを作るのであれば、まずは「なぜリモートワークをやるのか」という目的を明文化して、しっかり抑えておくべきだと思います。というのは、目的を明文化しないままにしておくと、人によってリモートワークの捉え方で解釈が違ってきてしまって、働き方にも差が生まれてしまうんですね。
人数が少ない時は、暗黙の共通認識で済んでいるからいいのですが、人が増えてくると「まあだいたいこんな感じでやっていればいいんだよね」みたいなことがあった場合、「いやいや、それは違うでしょ」と指摘しても、目的が明文化されていなければ、お互いの意見がぶつかりあうだけで、上手な落とし所が見つけられません。
そういった見解の相違を防ぐためにも、目的の明文化はポイントなんですね。では、実際にリモートワークのガイドラインを作る場合、どのように作っていくといいでしょうか。
Incrementsのガイドラインの場合は、社長の書いたリモートワークに関する考え方の記事と、リモートワークを提案した社員の書いたガイドラインの記事が、社内のQiita Teamで共有されていたので、それらのドキュメントをベースにしてより良いガイドラインの体裁に仕上げました。
まだ何もない状態であれば、関係者を巻き込みながら、まずはリモートワークに関する会社の考え方や目的を明らかにする作業から始めてみてはいかがでしょう。また、盛り込む内容については、今回の記事にIncrementsで実際に利用しているリモートワークのガイドラインを掲載しますので、そちらをたたき台にしてもいいと思います。
目的がはっきりしていれば、ガイドラインを作るにあたって盛り込む内容をどうするかも、認識が共有できてスムーズに進みそうです。ほかにも何か参考になるアドバイスはありますか?
アドバイスというか、Incrementsのガイドラインの運用もまだ完成しているわけではないので、これからこうしていきたいという話になりますが、振り返りの機会を持つことですね。運用しているメンバーが定期的に集まって、良し悪しを洗い出してアップデートしていくといいのではないでしょうか。
それからガイドラインを作ってみて「人が大事」というのを痛感しています。いくらガイドラインを用意しても、伝えていく人がいないと根付いていきません。ですから、例えば各チームでリモートワーク施策の担当者を決めて、普及に協力してもらうといった仕組みも必要な気がしています。
ガイドラインも就業規定も、実は会社の文化形成を担っている
なるほど。作って運用してみて分かった課題もあるようですね。いま見えているのはどういった課題になるんでしょう。
冒頭にお話した「個人、チーム、会社としての成果を最大化するために、働く時間や場所を各自が選べるようにするため」という、会社から提示されたリモートワークの目的に対して、Incrementsのメンバー各自が意思を持って応えているかというと、現状ではなかなか難しいところもあるのが課題ですね。
リモートワークを根付かせていくには、理想の会社像、理想の社員像、理想の働き方といった、より大きな枠組みでの決め事があって、その理想を実現するためにリモートワークがあるという認識で、会社とメンバーの認識を揃えていくのが重要だと考えるようになりました。
そのために何をすればいいのかは、他社の方に話を聞いてみたりして、これから試行錯誤していくことになりそうです。ガイドラインも就業規定も、実は会社の文化形成を担っているというのはとても学びになりました。
そうですね。会社のあり方に深く結びついているというのが、加賀見さんの話を聞いての発見でした!また何か新しい動きがあったらお話をうかがわせてください。本日はありがとうございました。
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