はじめに

実務で対応したバグの内容について、調べるとすぐに修正方法はわかったのですが、「簡単そうで、意外となんでそうなるのかよくわからない」内容でした。

調べた実装方法と検証結果を記録に残しておきます。

先に結論を書きます。

<input>要素のonKeyDownイベントを使用して、Enterキーが押されたときにフォームのSubmitを防ごう！

const handleKeyDown = (event: KeyboardEvent<HTMLInputElement>):void => {
    if (event.key === 'Enter') {
      event.preventDefault();
    }
};

const handleSubmit = (event: FormEvent<HTMLFormElement>) => {
    event.preventDefault();
  };

<form onSubmit={handleSubmit}>
    <input
        type="text"
        value={query}
        onChange={(e) => setQuery(e.target.value)}
        onKeyDown={handleKeyDown}
    />
    <button type="submit">Submit</button>
</form>

要件

<form>要素の中に、複数の<input>要素がある場合を考えます
このうち1つは、表示する要素を絞り込むための検索に使用する<input>要素です
このとき現在の実装では、検索で使用する<input>要素に文字を入力しEnterキーを押した時、<form>要素のSubmitが実行されてしまいます
この<input>要素に文字を入力している状態でEnterキーを押したときは、<form>要素のSubmitを実行させないようにしたいです
他の<input>要素に文字を入力している状態でEnterキーを押したときは、<form>要素のSubmitは実行して構いません

現在の実装

現在の実装を簡略化して示します。
<form>要素のhandleSubmitが実行されるとき、Form submitted!!とconsoleに出力されるようにしました。
ユーザー検索用の<input>要素に文字を入力しEnterキーを押すとForm submitted!!が出力されてしまいます😢これが出力されないようにしたいです。

実装

調べてみると、<form>要素の中の<input>要素で、Enterキーが押されたときにフォームのSubmitを防ぐためにはonKeyDownイベントを使うと簡単に実装できることがわかりました。

<input>要素のonKeyDownイベントを使用して、Enterキーが押されたときにフォームのSubmitを防ごう！

const handleKeyDown = (event: KeyboardEvent<HTMLInputElement>):void => {
    if (event.key === 'Enter') {
      event.preventDefault();
    }
};

const handleSubmit = (event: FormEvent<HTMLFormElement>) => {
    event.preventDefault();
  };

<form onSubmit={handleSubmit}>
    <input
        type="text"
        value={query}
        onChange={(e) => setQuery(e.target.value)}
        onKeyDown={handleKeyDown}
    />
    <button type="submit">Submit</button>
</form>

解説

ここからは検証しながら、なぜこのような実装になるのかを考えていきます。
2つのポイントがあります。

イベントのバブリング

JavaScriptのイベントには「バブリング」という特性があります。イベントが発生した要素（今回は <input>要素）から親要素（今回は<form>要素）に伝播していきます。
この特性により、<input>要素内で発生したonKeyDownイベントは、<form>要素にも到達します。

preventDefaultでデフォルト動作をキャンセル

handleKeyDownとhandleSubmitでevent.preventDefault()が出てきました。
これにより、そのイベントのデフォルト動作がキャンセルされます。

それぞれ、キャンセルされているデフォルト動作が違うらしいです🤔

handleKeyDown
<input>要素のEnterキーが押されると、通常は<form>要素のsubmitがトリガーされます。しかし、preventDefaultを呼び出すと、このデフォルトのsubmit動作がキャンセルされます。
handleSubmit
通常、フォームのsubmitボタンをクリックするか、フォーム内でEnterキーを押すと、ブラウザは以下の動作を行います。
1. フォームデータの送信：フォーム内のすべての入力フィールドのデータをサーバーに送信します。送信先は、<form>要素のaction属性で指定されたURL
2. ページのリロード：デフォルトでは、フォームが送信されると現在のページがリロードされる

handleSubmitのpreventDefaultについては、消してみると確かにページがリロードされてしまったので、調べた内容は正しそうでした。

handleKeyDownのpreventDefaultについては、ちょっとよくわからないので検証してみました。

検証①: handleKeyDownのevent.preventDefault()を残す

①handleKeyDownのevent.preventDefault()を残す

const handleKeyDown = (event: KeyboardEvent<HTMLInputElement>) => {
    console.log("onKeyDown event triggered");
    if (event.key === "Enter") {
      console.log("Enter key pressed");
      event.preventDefault();
    }
};

const handleSubmit = (event: FormEvent<HTMLFormElement>) => {
    event.preventDefault();
    console.log("Form submitted!!");
  };

// 1. input要素にカーソルを当てて任意のキーを押す
    // => onKeyDown event triggered

// 2. input要素にカーソルを当ててEnterキーを押す
    // => onKeyDown event triggered
    // => Enter key pressed

検証②: handleKeyDownのevent.preventDefault()を消す

②handleKeyDownのevent.preventDefault()を消す

const handleKeyDown = (event: KeyboardEvent<HTMLInputElement>) => {
    console.log("onKeyDown event triggered");
    if (event.key === "Enter") {
      console.log("Enter key pressed");
    }
};

const handleSubmit = (event: FormEvent<HTMLFormElement>) => {
    event.preventDefault();
    console.log("Form submitted!!");
  };

// 1. input要素にカーソルを当てて任意のキーを押す
    // => onKeyDown event triggered

// 2. input要素にカーソルを当ててEnterキーを押す
    // => onKeyDown event triggered
    // => Enter key pressed
    // => Form submitted!!

出力結果から、確かにhandleKeyDownのpreventDefaultによって<form>要素のsubmitがトリガーされるのが防がれていることが確認できました。

handleKeyDownのpreventDefaultがない場合、イベントバブリングによって<input>要素のhandleKeyDownイベントが親要素の<form>に伝播するので、handleSubmitがトリガーされます。しかし、handleSubmitのpreventDefaultがデフォルト動作を止めているので、フォームデータの送信等は実行されません。

名前を入力してEnterキーを押したときは、submitできているので要件も満たすことができました。

終わりに

「あるある」な実装のようで、修正方法について書かれている記事はたくさんありました。
自分で動かして検証したことで、納得できたのでよかったです！