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デザイナー志望の障害のある方を職場実習で受け入れてみた~企業側に求められている最初の一歩~

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Last updated at Posted at 2025-12-24

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なぜ今、この話を届けるのか

現在、多くの企業でダイバーシティが推進されていますが、クリエイティブ職における障害者雇用の現実は、厳しいものがあります。
デザイナーとしてのスキルや意欲があっても、障害者雇用ではクリエイティブ職の求人自体が極めて少なく、専門性を活かせる選択肢は非常に限られています。特に都市部を離れた地方においては、挑戦する場を見つけることさえ困難なケースが少なくありません。

障害福祉領域で多様なサービスを展開する企業のデザイナーとして、この現状を少しでも変えていきたい。そんな想いから、先日私たちのグループで、デザイナーを目指す障害のある方を対象とした5日間の職場実習を実施しました。

今回の実習を通じて見えてきた、彼らが持つ確かなポテンシャルと、私たち企業側に今こそ求められている最初の一歩についてお伝えします。

職場実習とは
就労を目指す障害のある方が、実際の企業環境で業務を訓練として行う実習です。
相互理解と適性の確認を主な目的とします。

プロの日常をそのまま体験してもらう

今回の実習で取り組んでいただいた課題は、ある地域で職場実習を受け入れている企業の紹介サイトのデザインリニューアルでした。

私たちがこだわったのは、単にデザインソフトの練習をするのではなく、デザイナーが日々向き合っている一連の業務プロセスそのものを体験してもらうことです。5日間という限られた時間ですが、以下のステップで実習を進めました。

実習の流れ

1. 課題のヒアリング

サイトの目的や、ターゲットとなる方がどんな情報を求めているのか、現場スタッフから直接聞き取りを行いました。

2. 情報設計

ヒアリングの内容を整理し、「誰に・何を・どの順番で伝えるか」という構成案(ワイヤーフレーム)を練り上げました。

3. デザイン制作

設計した構成に基づき、具体的なビジュアルへの落とし込みを行いました。
単に見た目を整えるだけでなく、視覚的な使いやすさ(UI/UX)と、ターゲットに届く適切な印象(コミュニケーションデザイン)の両面を形にしていきました。

4. ブラッシュアップ

プロのデザイナー視点でのフィードバックを元に、何度も修正を重ねていきました。

5. 最終プレゼンテーション

自分が作ったデザインの意図を、論理的に説明し提案を行いました。

手加減をせず、クライアント(社内スタッフ)の要望や技術的な制約など、リアルな難しさに触れていただきました。それは、単なる作業のお手伝いではなく、自分のアウトプットが誰かの役に立つというプロとしての手応えを肌で感じてほしかったからです。

受け入れてみての学び(良かった点、次への課題)

実際に5日間の実習を終えてみて、受け入れ側である私たち自身にも多くの気づきがありました。ここでは、実際にやってみて分かった良かった点と、次に向けて見えてきた課題を正直に共有します。

良かった点

リアルな業務体験と価値の提供

単なる練習課題ではなく、実際のWebサイト制作のプロセスを体験していただくことで、プロのデザイナーとしての仕事の手応えを届けることができました。自分のアウトプットが課題を解決し、誰かの役に立つ。そんなデザイナーとして働くことの本当の価値を感じていただけたことは、受け入れる側としても大きな喜びでした。

実務意識の高さと興味関心

5日間を通じて、実習生の方の非常に高いプロ意識を感じることができました。特に、デザインがどのような結果を生んだかという数値検証に強い興味を持っていただいたことが印象的でした。Webデザイナーにはマーケティングの知識も欠かせません。作るのその先にある成果にまで関心を広げてもらえたことは、大きな収穫でした。

実習生の強みを発見

実習を通じて、ご本人も気づいていなかった多くの強みを発見することができました。特に驚かされたのは、最終日のプレゼンテーションです。自分のデザイン意図を論理的に説明できていただけでなく、声のトーンも非常に聞き取りやすく、説明のうまさという確かなポテンシャルを目の当たりにしました。これは、実習生の方が働く自分を具体的にイメージする大きな自信になったはずです。

次への課題

情報共有の徹底と一貫性のある受け入れ体制

日ごとに担当者が変わるなか、実習生の細かな変化を翌日の担当者へ的確に引き継ぐことが不十分でした。今後は主担当を配置するなど、点ではなく線で成長をサポートできる一貫性のある体制づくりを目指したいと考えています。

実習後の現実を伝える責任

プロの楽しさを伝える一方で、クリエイティブ職としての就業がいかに険しい道であるかという実情も真摯に伝えるべきでした。厳しい現状を共有した上で、どうキャリアを切り拓くべきか具体的なアドバイスを持って背中を押すことこそが、受け入れ側の本当の責任だと痛感しました。

理想的な距離感の構築

初めての取り組みということもあり、つい手を差し伸べすぎてしまったことが反省点です。 実習生からの発信を待つなど、あえて見守る(モニタリング)べき場面もあり、一人のプロ候補として対等に向き合う理想的な距離感を構築する難しさを痛感しました。

初めての受け入れは反省の連続でもありましたが、課題がこれほど明確になったのは、それだけ真剣に実習生と向き合えたからこそだと感じています。今回の成果と、見えてきた課題。そのすべては、実際に受け入れてみたからこそ得られたリアルな収穫です。 この経験をグループの知識として留めるだけでなく、より良い受け入れの形を目指して次へのアクションへと繋げていきます。

これからの展望~最初の一歩を社会のスタンダードに~

今回の5日間は、私たちグループにとっても、クリエイティブ職における障害者雇用の現状を自分事として深く認識する貴重な機会となりました。

最初は「何ができるだろう」という手探りのスタートでしたが、実習生の鋭い感性や高い実務意識に触れるなかで、適切な機会や環境さえ整えば、クリエイティブ職としての可能性はどこまでも広がるということを肌で感じました。それと同時に、これほどのポテンシャルを持つ人が、現在の選択肢の少なさによってキャリアを阻まれてしまうもどかしさについても、改めて痛感しています。

今後は今回の課題を活かし、より実りのある職場実習の受け入れへと進化させていく予定です。

この記事を読んでくださっている皆さまへ。
障害のある方を受け入れることは、決して支援のひとつにとどまりません。自分たちの業務を改めて言語化し、多様な視点を取り入れるプロセスは、グループの仕事の質やコミュニケーションを磨く実践的な学びの場となります。

もし、この取り組みに少しでも関心を持っていただけたら、まずは職場実習の検討から始めてみませんか?

いきなり雇用を検討する前に、まずは実習という形でお互いを知る場を作ること。その小さな一歩の積み重ねが、誰もが培ってきた強みや専門性を活かしてプロフェッショナルとして輝ける、新しい社会の選択肢を増やすことに繋がっていくと信じています。

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