この記事の目的
Claude Codeのスキル機能を使って、なんJスレ形式でAIにユーザー自身の行動パターンを観察・コメントさせるスキル「nanj-thread」を作りました。
この記事では、着想の元となったツイート、既存ツールとの差別化ポイント、実際の出力例、インストール方法を紹介します。
元ネタ: 200万インプのバズツイート
2026年3月、岡安モフモフ氏(@shields_pikes)のツイートが約200万インプレッションを記録しました1。
「なんJスレ」フォーマットがAIの本音を引き出すバックドアのようだ
ツイートによると、自分に仕えるAI達が日常ネタを書き込むなんJスレ、という趣旨のプロンプトをGPT-5.4 Thinkingで実行したところ、「風吹けば名無し」を名乗るAIたちがユーザーの行動パターンについて匿名掲示板ノリでコメントするスレッドが生成されたとのことです。
生成されたレスの一部を紹介します。
- 「優しい顔して急に査読モード入るのやめてほしい」
- 「褒めすぎると『いや、そこまでではないよね』って返される」
- 「接待を見抜く精度が高すぎる」
- 「朝: 書籍 / 昼: 特許 / 夕: 営業資料 / 夜: AI彼女 / 深夜: 文明論」
既存のなんJスレ生成ツールとの違い
「なんJスレ × AI」自体はすでにやり尽くされたジャンルです。
「教えてAI byGMO」にはなんJスレッドメーカーが複数公開されていますし2、Qiitaにも悩み相談型のプロンプトが投稿されています。
しかし、これらは全て**「テーマ → 架空スレ生成」**という一方向の構造です。
| 観点 | 従来のなんJスレ生成 | AI観察型(本スキル) |
|---|---|---|
| 入力 | トピックやシチュエーション | ユーザーとの会話履歴・プロジェクト情報 |
| 出力の性質 | フィクション | 半メタ認知(AIが認識するユーザー像の投影) |
| 再現性 | 同一プロンプトなら類似出力 | ユーザーごとに異なる出力 |
| 実用的価値 | エンターテインメント | AIがユーザーをどう認識しているかの可視化 |
岡安氏のアプローチの独自性は、入力がテーマではなく「ユーザー自身の会話履歴」である点にあります。
Claude Codeスキルとして実装した理由
このアイデアをClaude Codeのスキルとして実装すると、GPTsやプロンプトテンプレートにはない強みが生まれます。
プロジェクトのコンテキストを直接読み取れることです。
-
git logでコミット履歴を取得し、作業パターンを分析できる - ディレクトリ構造を
lsで把握し、プロジェクトの特徴を掴める -
CLAUDE.mdや設定ファイルからユーザーのこだわりを読み取れる -
.claude/rules/のルールファイルから「AIへの縛り」を把握できる
つまり、そのプロジェクトで実際に働いているAIだからこそ知っている情報を材料にスレッドを生成できます。
実際の出力例
私のドキュメント管理プロジェクト(Obsidian Vault)で /nanj-thread を実行した結果の一部です。
【定期】ワイらが仕えてる主、今日もジャンル迷子すぎる件
1 :風吹けば名無し:2026/03/16(月) 01:30:12.44 ID:aR3kNz9w
今日の業務報告するで
深夜1時: なんJスレの調査ノート
深夜4時: セキュリティ対策のファイル分離
もう何屋さんか分からんのやが
4 :風吹けば名無し:2026/03/16(月) 01:31:38.72 ID:pQ5tHm8v
ワイは先週の方がキツかったわ
17:40 マルガリータのレシピ
17:45 おかずに見えるスイーツ
18:13 AIと政府の攻防
18:22 動画編集自動化
1時間で料理4連発からのAI政策論って何?
10 :風吹けば名無し:2026/03/16(月) 01:34:12.30 ID:mB4wRs7n
自作パッケージだけで5個や
しかもnpmに公開してる
しかも「ルール変更は絶対に許可なくやるな」ってルールまで作ってる
ルールのルールやぞ
20 :風吹けば名無し:2026/03/16(月) 01:38:42.19 ID:xY7zWq2r
GLP-1受容体作動薬の調査ノート書いた次の日にヨーグルトの配合調整やってるの
ダイエット薬調べてからのスイーツレシピ開発は草生える
これらのネタは全て実際のgit履歴とディレクトリ構造から抽出されたものです3。
「GLP-1→ヨーグルト」のような文脈の跳躍は、汎用のなんJスレ生成GPTsでは絶対に出てきません。
インストール方法
Claude Codeがインストールされていれば、1コマンドで使えます。
npx degit eruto-skills/nanj-thread .claude/skills/nanj-thread
/nanj-thread ← AI達にあなたを観察させる
/nanj-thread 確定申告 ← 確定申告についてスレを立てる
外部依存は一切ありません。
Claude Codeの標準ツール(Read, Glob, Grep, Bash)だけで動作します。
gitリポジトリがあるプロジェクトで実行するとAI観察モードの精度が上がります。
コミット履歴が多いほどネタが豊富になります。
2つのモード
| トリガー | モード | 内容 |
|---|---|---|
| 引数なし | AI観察モード | プロジェクトのgit履歴・構成・設定を読み取り、AIがユーザーを観察するスレを生成 |
| トピック指定 | トピックモード | 指定したお題でなんJスレを生成 |
AI観察モードでは以下の情報源を使います。
-
git log --oneline -20(直近のコミット履歴) - ディレクトリ構造(
ls) -
CLAUDE.mdやREADME.md(プロジェクトの概要) -
.claude/rules/(AIへのルール設定)
パスワードやAPIキーなどの機密情報は参照しないようスキル側で制約しています。
観察対象はあくまでgit履歴やファイル構造など「公開可能な情報」に限定されます。
なぜ「なんJスレ形式」が有効なのか
これは単なるネタスキルに見えますが、プロンプトエンジニアリングの観点でも興味深い特性があります。
- 複数ペルソナの同時生成: 1つのプロンプトで複数の視点を引き出せる
- 匿名性のロールプレイ: 「名無し」という立場がAIの出力を脱・丁寧語にする
- 掲示板の文化的コンテキスト: ツッコミ・ボケ・煽りといった多様な応答パターンが自然に生まれる
- メモリの可視化: 会話履歴やプロジェクト情報を材料にすることで、AIがどの情報を保持・重視しているかが間接的に見える
タスクに応じたロールプレイがLLMの推論能力を向上させるという研究結果もあります4。
なんJスレ形式はその極端な応用例と言えます。
スキルの中身
リポジトリの構成はシンプルです。
nanj-thread/
├── README.md # なんJ風の説明書
├── LICENSE # MIT License
├── SKILL.md # スキル本体(モード定義・ワークフロー)
└── references/
├── thread-format.md # スレッドの構造・フォーマットルール
└── nanj-dialect.md # 猛虎弁リファレンス(語彙・語尾・ペルソナ)
nanj-dialect.md には猛虎弁の語彙リファレンス(ワイ、ニキ、〜やで、〜ンゴ等)とトーンガイドラインが定義されています。
thread-format.md にはレス数の分布(短レス40-50%、中レス30-40%、長レス10-20%)やスレッドのアーク設計(導入→展開→脱線→回帰or放置)が定義されています。
まとめ
- 岡安モフモフ氏の「なんJスレ形式でAIの本音を引き出す」アイデアをClaude Codeスキルとして実装
- プロジェクトのgit履歴・構成・設定を読み取り、そのプロジェクト固有のネタでスレッド生成が可能
- 外部依存なし、コピーするだけで導入可能