いいだです。
来年のことをいうと鬼が笑うといいますが、そろそろ年の瀬の足音が聞こえる時節となりました。
ここでは、来年以降に実施できるかもしれないインポートや、大規模編集の元データとして使えるかもしれないものを挙げてみます。
e-Statの行政区境
"また行政区境かよ!"といわれそうですが、国土数値情報が商用利用禁止になり、OSMへの投入ができなくなったいま、e-Statのデータは今後の市町村合併に際して利用可能な有力なリソースとなりました。
ライセンスは、GIS機能利用規約の第6条に示されている通り、e-Statの利用規約と同様、つまり、現状は政府標準利用規約1.0版です。
今後、政府標準利用規約が2.0版に改定されるに伴って、OSMへの投入がしやすいものとなる可能性があります。(今後、適切なタイミングで問合せが必要かもしれません)
なお、e-Statの行政区境のデータは国土数値情報よりも詳しく、町丁目の境まで対応しています。
これでようやく、admin_level=10までをすべて埋めることが可能となります。
ここまでくると、選挙区や郵便配達区域なども対応できそうな気がしてきますね。
法人番号
2015年の10月より、すべての法人に対して法人番号が割り当てられました。
この番号は個人のマイナンバーと異なり、完全に一般に対して公開されており、なおかつ、Public DomainやCC0と同様の自由な利用条件である旨が、国税庁に対する問合せの結果から判明しています。
こちらのサイトから、CSVでのDumpと、APIによる差分配布が行われています。
そして、この法人番号の中には、法人番号
と法人名称
と住所
というカラムが存在しています。つまり、ジオコーディングが可能です。
実際に利用するには、ジオコーディングの精度やライセンスに左右されますし、この法人番号で示されているのが"本社の住所のみ"という制約があることから、なかなか利用のハードルは高いかもしれません。(branchのデータが含まれないため、例えばコンビニや店舗の開店把握には使えません)
まずは法人の正しい表記の参考にしたり、実際の編集の下絵として利用するあたりからスタートかなー、とは思っています。
位置参照情報
位置参照情報のデータセットは、国土数値情報と異なり、ライセンスの変更が行われていません。
placeのデータについてはこちらのデータセットを利用するのがよいと考えていて、今後どこかのタイミングで状況の整理と作業の実施を行いたいなぁ、という状況です。
基本測量成果・公共測量成果
おいおい測量法に守られてるだろ
というのが現在の状況です。
そのため、OSMへのインポートを行っている都市計画図は、公開する際に公共測量成果ではない旨が明記されているもののみが現在の対象と成っています。
ただし、基本測量や公共測量のデータについては、内閣官房の電子行政オープンデータ実務者会議にて、今後オープンにしてゆくことが検討されています。(P.18に記載があります)
今後「オープンにしてゆく」にあたって、もしライセンスをつけるとすれば、CC BYや政府標準利用規約になるのかな、と考えています。
もちろんその場合、OSMへの投入はライセンス互換性の問題から問合せが必要ではあります。その場合でも、もし基本的に利用が可能である前提で話ができるというのは、交渉を行う上で、双方たいへん気が楽です。
Level0エディタ
データではありませんが。
level0エディタというツールがあります。
OverPass turboのクエリ結果を開く際のメニューにも配置されており、大規模編集においては非常に優秀な性能を発揮します。
僕はたまに、nameタグのカッコ書きを編集したりするのに使っています。
OSM2VectorTilesが公開されたこともあり、今後、オリンピック・パラリンピックに向けて、name:en等の言語系タグを追加する際にはこういうツールを使うのが便利だと思っています。
インポートガイドラインを守ろうね
毎度のお願いです :)
インポートや大規模編集を行うにあたっては、インポートガイドラインを順守して、talk-ja MLなどで事前に相談をして作業を行いましょう。
手順については、現在 osm.jpのサイトでもまとめていますので、参考にしてください。
来年も、みんなで一緒に、よりよい地図を目指しましょう! (/・ω・)/