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Doc-jaAdvent Calendar 2013

Day 10

OpenStreetMapまわりの翻訳について

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いいだ@nyampireといいます。
OpenStreetMapの界隈で活動しています。

この記事では、OpenStreetMap関連で必要になっている翻訳と、翻訳作業への参加方法についてまとめます。

OSMの翻訳対象

OpenStreetMap (OSM) は、世界中の地理データを集めるプロジェクトです。Wikipediaがみんなの力で百科事典を作るのと同じく、みんなの力で世界地図をつくろうとしています。

そこでは、多くのアプリケーションが利用されています。
大きく分けると、以下のようになります。

  • 地図データ自体を編集するためのアプリケーション
  • 地図データを保存しておくためのアプリケーション
  • 地図データを利用するためのアプリケーション
  • 地図画像作成 (タイル画像化)
  • 地図画像の表示 (主にJavaScript)
  • 地図に表示されている内容の検索 (経路探索、ジオコーディング)
  • 地図、および地理データのライセンス

そしてもちろん、それぞれのプロジェクトには文書がついてきます。

多くの場合、英語で。
それら全てが、翻訳対象です。

メインプロジェクト群

www.openstreetmap.org - 公式サイト

OSMの中核を成しているのは、なんといっても公式サイトである osm.org でしょう。
このサイトの翻訳は、Translation wikiを使って行われています。

Translation wikiに対してアカウントを作成し、それぞれの文言に対して翻訳を行います。翻訳が投稿された後、だいたい一週間くらいでサイトに適用が行われるようです。
詳しい情報については、こちらのWikiページにまとめられています。

もし翻訳に違和感がある場合、訳語の提案を行うか、過去の翻訳担当者にメッセージを送って相談してみましょう。
また、現在osm.orgウェブサイトの大幅な更新がいくつか予定されており、翻訳が必要となるケースがこれから多くなるはずです。

なお、WebページのGithubリポジトリは以下となっており、もしかしたらこちらに直接Pull Requestを行うことができるのかもしれませんが、試したことはありません。

OSM Wiki - 公式ドキュメントページ

さて、いきなりリンク先が英語のWikiページがでてきました。
もちろん、これらのページも翻訳対象です。

OSMに関する様々な情報は、主にOSM wikiページにドキュメンテーションとしてまとめられています。

例えば、地図上で描く地物に対してどのようなタグを割り当てたらよいのか、各地域ごとの状況まとめ、マッピングパーティの告知、データを一括編集する際のガイドラインなど、多くのドキュメントの集積地点です。

そして、それぞれのページについて、内容の翻訳、最新版への追従、そしてドキュメント自体の整理が求められています。
Wikiページは、Mediawikiをつかって構築されています。ページの上部に表示されている言語ツールバーから 日本語を選択し、翻訳を行います。

もし日本語の表示が無い場合、以下の画像のようなツールバーのshowの部分をクリックすることで、非表示になっている言語へのメニューを表示させることができます。

スクリーンショット 2013-12-09 15.37.57.png

OSM Wikiのページは、翻訳が中途半端になっていたり、最新版への追従が行われていない場合が多くあります。その場合、よほどの大幅な変更でない限り、思い切って編集してしまって問題ありません。
もし翻訳した語句に自信がない場合などは、Talk-ja MLで相談するか、そのページの過去編集者にメッセージを送って相談してみましょう。
また、大幅な更新や記載内容の方針変更などを行う場合はTalk-ja MLで相談しておくのが良いと思います。

OSMの主なエディタたち

OSMで使われているデータ編集用のエディタツールも翻訳対象です。
エディタには、ブラウザ上で動作するものと、独立したアプリケーションとして動作するものがあります。

Potlatch2

Potlatch2はFlashで実装されたエディタです。ブラウザ上で動作します。
実装のアーキテクチャとしては少し古いと言われていますが、まだまだ利用者は多く存在しています。
単純にアイコンをドラッグ&ドラッグするだけでPOIの編集が可能であったり、細かいところに気の利く実装をしています。

翻訳は3つのパートに分かれています。
本体とヘルプ部分がTranslation wiki、アイコン説明の部分がTransifexで行われています。

iD

iDはJavaScriptで実装された、比較的新しいエディタです。ブラウザ上で動作します。
現在も活発に機能の追加が行われており、特に対応する地物の翻訳対象語句は毎週のように追加があります。
翻訳はTransifex上で行います。

JOSM

Javaで実装されているエディタです。
地図編集のための多くの機能を有しており、中上級者を中心に愛用されています。独立したアプリケーションとして動作します。

JOSMの翻訳は2つのパートから成り立っています。
JOSMソフトウェア本体の翻訳はLaunchpad、配布やドキュメントはWikiページがベースになっています。

OSMデータの翻訳

OSMで収集している地理データ自体も翻訳が必要です。

具体的に言うと、OSMには地物の名称をあらわすnameというタグがあります。
主に翻訳が必要なのは、この部分です。
osm.orgでの地図には直接表示されませんが、多言語での表示を切り替える機能を実装する場合には必須の情報です。

地図の多言語表示切り替えは現在テスト段階の機能があります。ただ、それとは別に、昨今増えてきているベクタタイルによる地図画像作成ではこの言語切替が非常にシームレスに行えるようになるため、これからの地図作成にとってたいへん重要な要素のひとつといえます。

nameタグの翻訳は、name:ja, name:en, name:fr のように、地物に対してname:*の形で接尾語を付与して行われます。
例えばアメリカ合衆国のリレーションデータはこんなかんじで表現されます

ただし、name:* タグは単純に入力が めんどうくさい 労力がかかります。
そのため、効果的な入力を行うための支援プラグインなどの機能開発が望まれています。

その他の翻訳対象プロジェクト

OSMはとても多くのサブプロジェクト・関連プロジェクトを有しています。

ここでは、いくつかのOSM関連プロジェクトについて紹介を行います。
OSM Wikiでも紹介がありますので、参考にしてください。

Wheelmap.org

車椅子でのアクセシビリティを可視化するサイトで、OSMの wheelchairタグの情報を使っています。
翻訳はTransifexで行われています。
サイトの翻訳だけではなく、WheelmapのiOSアプリ、Androidアプリの翻訳もこちらです。

TileMill, CartoCSS

翻訳用のインターフェースもなにもないのですが、わりと待ち望まれているコンテンツです。
OSMデータやShapeファイルを、CSSライクな記法でマークアップして色付けするアプリケーション、および記法ドキュメントです。
アプリケーションのインターフェースはとてもシンプルなので、どちらかといえば大量にあるドキュメントとリファレンス翻訳がいいのかな、と思っています。

OSMFブログ

OpenStreetMap財団の本家ブログです。
SotMなどの大きなイベント告知、財団が受けた寄付や寄贈などの情報が中心になっています。個人的には、だいたい2週間に1回公開される「週間OSMサマリ」がとても楽しみです。

翻訳を行うには、OSMFのコミュニケーション Working Groupへメールを送って、翻訳権限を貰う必要があります。

その他アプリケーション

Transifexのデキがとてもよいこともあり、多くのアプリケーションがTransifex上に展開されています。

例えばこんなものもあります。

  • OSMのデータ訂正をゲーム化した Kort
  • 特定の地物だけを指定してダウンロードする OverPassAPI Turbo
  • Pushpin_OSMに似たPOI編集アプリ POI+
  • スマホやタブレットで地物編集が直接行える Vespucci

まとめ

OSMの翻訳は、たまに地理空間情報系の用語が混じることがありますが、基本的にとてもシンプルなものが多いです。
まずはOSM WikiのMap Featureのページからいくつかたどってみて翻訳をしてみるのがいいのかな、と思います。

あるいは、もし翻訳が欲しいページがあれば、Talk-ja MLやTwitterの #osmjp ハッシュタグでつぶやくと、誰かが翻訳してくれるかもしれません。
そういうちょっとしたリクエストも大歓迎です。

来年も、多くのひとが自由な地理データに触れることができるよう、楽しんで作業が続けられたらな、と思います。

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