(© Niantic, Inc. via OSM wiki)
2017年12月1日、日本地域において、ポケモンGOとIngressの背景地図がOpenStreetMap(以下OSM)に切り替わりました。
「道路がスカスカになった! いままでのほうがいい! 元に戻せ!」という声もあがっているようですが、少し待ってください。
OSMは、自分で描くことができます。
OSMに編集権限という概念は無いに等しく、アカウントを取得するだけで、誰でも簡単に編集参加することができます。
あなたが少しOSMを描くだけで、あなたのポケモンライフが格段に便利になる(可能性がある)のです!
あなたの住んでいる地域の編集、やってみませんか?
OSMへの参加方法
openstreetmap.orgでアカウントを作成することで、地図編集に参加することができます。
地図の編集を行なうには、ブラウザ上で動作するiDエディタや、Javaで作られたデスクトップアプリ JOSMなどを利用します。
ツールの使い方については、LearnOSMというサイトに詳しい情報が掲載されています。
iDエディタは、エディタ起動後の画面右側にヘルプ項目がありますので、そちらをひととおり実施すると、基本的な編集方法がわかるようになっています。
また、Otoha Mikliya (AlkAround)さんも簡易版をまとめてくれていますので、こちらもあわせてご一読ください。
最初の編集参加については、LearnOSMの以下の記事が参考になります。
OSMでどのようなもの(OSMでは"地物/feature"といいます)を描けるかは、OSM wikiにまとめられています。
編集方法などがわからなくなったら、Twitterで #osmjp というハッシュタグを使ってつぶやくか、あるいはFacebookの "OpenStreetMap Japan Community"に投稿すると、誰かが質問を拾って回答してくれます。
昔ながらのOSMユーザは Talk-jaメーリングリストをチェックしていることも多いです。
IngressコミュニティはGoogle+でのやり取りが活発、と伺っていますが、すみません、いまのところ、Google+でのOSMコミュニティはあまり活動が無いのが現状です。
Telegramも、いくつかのOSMコミュニティ(韓国など)で使われており、韓国は私も入ってコメントをやり取りしていますが、日本ではまだチャンネルがありません。
LINEグループもまだありません。
他の地図からの転記について
OSMは自由なデータを収集し、配布するプロジェクトです。オープンソースの活動と同様、"自由(Open/Free/Libre)"であることに高い価値を置いています。
OSMを編集する際に、Google MapsやYahoo!地図などをはじめとする他の地図から情報を転記したりすることは、避けてください。それは著作権の侵害、より簡単に言うと窃盗に近いことになります。
地図情報の盗用は相手が行使・主張する権利を侵害するだけではなく、それらを勝手に自由なデータとして配布してしまうことで、長期的にみたOSMプロジェクトの活動を阻害するものになります。
どうか、OSMが持つ価値観を理解いただき、協力をくださるようお願いします。
一緒に、[ポケモンマスター|よりよい地図]を目指しましょう!
英国OpenStreetMap Foundationからのお願い
ポケモンGOのポケモン生成アルゴリズムにOSMのデータが使われていることがほぼ確定となった頃、海外ではポケモンGOで有利になるために地図データを改ざんしまくるという行為が頻繁に発生しました。
具体的には、公園がない場所に公園を描いたり、道路がすべて歩道になったり、落書きのような表現が描かれたりしました。
その対応として、OpenStreetMap Foundation (OSM財団) から、ポケモンGOをきっかけにOSMをはじめたかたがたにむけてメッセージが寄せられています。ぜひご一読ください。
メッセージにもありますが、これは「編集をやめてくれ! 出ていってくれ!」というものではありません。
私たちOSMコミュニティは、共に歩いてくれるかたを歓迎します。
ただ、少しだけ、私達の活動を知ってほしい、というお願いです。
ようこそ、OSMの世界へ!
なお、日本地域でもいくつかのいたずらがありましたが、いたずら行為を行っているユーザはポケモンGOコミュニティ内で行為を指摘され、また、OSM側でも対応を行ったことで、現在、状況は沈静化しています。
よくある質問
ポケストップとOSMの関係
ポケストップの生成は、Ingressで申請されたポータルの位置と、各種提携企業が提供するデータがもとになっています。
例えばOSM上で公園の形や名前(nameタグ)を編集したからといって、ポケストップがジムになることはありませんし、ポケストップの名前が変わったりすることはありません。
ただし、いくつかのポップアップ通知サイトやアプリは、背景地図としてOSMベースの地図を使っています。そういった通知サイトの表示は変わる可能性があります。(ポップアップ通知サイトの利用は自己責任です。また、筆者個人的には、利用をおすすめしません)
OSMデータの、ポケモンGOへの適用タイミング
不明です。だいたい数ヶ月に1回程度ではないかと思いますので、気長に待ちましょう。
いちおう、12月1日に行われた編集が毎日のようにチェックされていますので、状況がわかったらお伝えします。
OSMで描いておくとポケモンGOで有利になるもの
ポケモンGOにおけるポケモンのポップアップアルゴリズムでは、OSMのデータが利用されています。
例えば、川や池の近くでは水ポケモンが多く出現します。
私の知っている限り、例えば、公園(OSM上ではleisure=park、あるいは leisure=playground)、歩道(highway=footway)などがあります。
(リンクは貼りませんが、ググると、アルゴリズムのなかで使われている対象のタグのリストがでてきます)
また、単純に、OSM上で道路を描いておくと、ポケモンGO上の地図表示が改善されます。
OSMの地図データ、品質悪くない?
OSMは10年以上の歴史を持つプロジェクトですが、日本地域、特に都市圏を離れた場所のデータはまだ未整備な場所が多いのが現状です。
2007年と比べると、かなり描かれてきているとは思うのですが、まだ足りない、といわれればそうかもしれません(^^;
ちなみに、普段から地図を編集しているOSMユーザコミュニティは、少しずつその数を増やしているものの、まだまだ商用の地図に比べ、圧倒的に少ない人数で、しかもボランティアとして活動しています。
例えば比較として、Google Mapsの元データとなっているゼンリン社は、年間でのべ10万人の作業を以って、お仕事として1日8時間(以上 (^^;)の時間を使って地図を作っています。1日に直すと273人前後です。
そんな圧倒的な品質と人的リソースをもつゼンリンの地図ですら、更新タイミングは、都市圏以外では5年に1回程度になります。
対してOSMコミュニティは、日々100人前後の編集があり、ほぼすべてがボランティアとして活動しています。
圧倒的に、人手が足りないことがわかるかと思います。
すみませんが、待っているだけでは、たぶんあなたの環境はあまりよくなりません。
あなたの周りの地図を描けるのは、そして、その道路の上を歩いて[ポケモンGO|Ingress]をできるのは、あなただけなのです!
蛇足かもしれませんが、もしあなたが子供と一緒にポケモンGOをプレイしていて、「この地図はお父さんが描いたんだぞ」といえたら、ちょっと素敵なポケモンライフになると思いませんか? :D
いたずら編集とその対応
OSMは、地球上にある事実を反映してゆく地図データのプロジェクトです。
現実に存在しないものを追加したり、現実にあるもののデータを消してしまったり、意図的な間違いでデータを登録することは避けてください。(意図しない間違いは、たとえ熟練者であってもやります!)
もしそうしたデータが登録された場合、OSMの他ユーザ有志によるデータの削除や、直接メッセージなどによる確認が行われます。
また、いわゆる"荒らし"行為が行われた場合、英国OSM財団DWG(Data Working Group/データ作業部会)によりユーザアカウントの凍結が行われます。
、、、というか、簡単に言うとこういうことです。
お互いむっちゃ不毛なんで、やめましょう。
編集レビューのリクエスト
OSMの編集を保存する際、iDエディタやJOSMには編集レビューをリクエストする
という項目が表示されます。
こちらにチェックを入れておくと、誰か他のユーザがOSM編集のチェックを行ってくれる可能性があります。(OSMはその周辺サービスとして、編集を一覧して表示してくれるOSMChaなどのソフトウェアがあり、そこで検知されます)
OSMChaは全世界のユーザによって使われているので、場合によってはメッセージが英語で飛んで来る場合があります。もしコメントがきても、怖がらずにGoogle翻訳などに突っ込んで読んでみてください。
もし対応が必要であれば、TiwtterやFacebookなどで連絡いただければフォローアップします。
また、なにか匿名で聞きたいことがあれば、Sarahahなどでも質問を受け付けていますのでご連絡ください。
では改めて、ようこそ、OSMの世界へ。
そして遅れましたが、僕もポケモンGOユーザです。どこかで見かけたら、優しくしてやってくださいw
Happy Mapping!