発端
Command Reference, Cisco IOS XE 26.x.x (Catalyst 9200 Switches) のPDF版が手元に二つある。
左は2026年6月9日にダウンロードし、右は同7月20日にダウンロードしたものである。
改版履歴はない(最終頁や目次の後にも見当たらない)。また前述のリンクにも「Updated: April 10, 2026」とあり、6月9日~7月20日の更新はないはずである。
ところが内容を確認したところ、明らかに違う点を見つけた。
問題提起
この ip cef load-sharing algorithm というコマンドはECMP(Equal Cost Multi Path)に関するコマンドである。
端的に言えば、L3スイッチ(ルータ)内に宛先へ至る経路が複数かつ等コストで存在するときの経路選択アルゴリズムを指定するコマンドである。
「ECMP」で検索すると解説しているサイトがあるので、詳細はそちらを参照してほしい。
前述の差異において、左の橙枠の内容は以下の通り。
universal
Sets the load-balancing algorithm to the universal algorithm that uses a source and destination and an ID hash.
これは「universalの場合、同じL3スイッチにおいて送信元IPと宛先IPが同一であるパケット(フロー)は同じ経路を通る」と解釈できる。
一方、右の橙枠の内容は以下の通り。
universal
Sets the load-balancing algorithm to the universal algorithm that uses a source IP, destination IP, Layer 3 Protocol, Layer 4 source port, Layer 4 destination port and IPv6 flow label (for IPv6 traffic).
これは「universalの場合、同じL3スイッチにおいて送信元IPと宛先IPが同一であるパケット(フロー)であっても同じ経路を通るとは限らない」と解釈できる。
以上の通り、解釈が真逆になる修正がなされており、かつ文書に改版履歴が記載されていないのである。
具体的な問題点
この説明(解釈)の違いによる問題を具体化するため、下図のネットワークを例示する。
例えば端末Aがサーバ1へ最初に認証した場合、その後もサーバ1へ接続する必要がある。
しかし universal の場合、認証後のセッションが回線2→サーバ2を通ることがあり、サーバ2で認証のやり直しが発生する。システムによってはエラーや障害になるであろう。
CiscoのL3スイッチは universal がデフォルトであり、original への変更が対処となる。
提言
コマンドリファレンスに誤りを記載してしまうことはやむを得ないが、修正したならば改版履歴に記すべきである。もっと言えばコマンドリファレンスを変更した旨を告知すべきである。
実際YAMAHAのネットワーク機器のコマンドリファレンスは変更を告知しているので、ぜひ続いてほしい。



