はじめに
Domo(ドーモ)は、データの接続や可視化といったデータを扱うために必要な操作を直感的に行うことができる製品です。
Domoでは、ビジネスクエッション(=データから把握したい事柄)毎にデータをグラフなどで可視化したものをカードと呼びます。
目的に沿ったカードを1つのページに配置してダッシュボードを作成して、データの分析や活用を行います。
ダッシュボードは用途に合わせ手軽に作成できる反面、無数に増えていき管理に苦労しているという声を耳にします。
本記事ではDomo運営に携わる人向けのダッシュボードを容易に管理するための方法を紹介します。
管理者権限を持つユーザー向けの内容となっています
ダッシュボード管理で知りたい情報
管理といっても切り口は様々ありますが、ここでは以下の点に絞って解説します。
- ダッシュボードの階層関係
- ダッシュボードに配置されているカード
- ダッシュボードで使用されているDataset
- ダッシュボードやDatasetの所有者
※ダッシュボードの利用状況という観点には、この記事では触れません。
必要情報の取得
必要な情報は全てDomoで取得することができます。
| ♯ | 必要情報 | 取得できるレポート |
|---|---|---|
| 1 | ダッシュボードの階層関係 | Pages and Cards |
| 2 | ダッシュボードとカードの関係性 | Pages and Cards |
| 3 | カードとDatasetの関係性 | Cards and Datasets |
| 4 | Datasetの所有者 | Datasets |
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本記事の内容
本記事では♯2ダッシュボードとカードの関係性について説明します。
※インスタンス、データは全てダミーとなります。
ダッシュボートとカードの関係性
ダッシュボートは1枚以上のカードから構成されます。
ダッシュボートは、データを複数の視点から把握することで事象の輪郭を掴むことが目的の1つに挙げられます。
1つのテーマに対して様々な切り口のKPIカード(表やチャートのカード)、ダッシュボートを使いやすくするためのフィルターカード、ダッシュボートの説明やKPIカードに対してのコメントなどを行うメモカードなどで構成されていることが多いのではないかと考えます。
カードを起点に考えるとどうでしょうか。
カードは必ずしも1つのダッシュボードだけに配置されているとは限りません。
1つのカードをテーマの異なる複数のダッシュボードで使用することができるためです。
例)page_A、page_Eに同一カードが配置されている場合の表示

”自分の使用しているダッシュボードで不要になったカードを削除したら、他のユーザーのダッシュボードで使用されているカードが突然消えてしまった”
上記のような経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事ではダッシュボード管理で必要となる以下のような情報を網羅できるようなDataset、カードの作成方法について触れていきます。
- 特定のダッシュボードにどのカードが配置されているか?
- 特定のダッシュボードに配置されているカード数は?
- 特定のカードがどのダッシュボートに配置されているか?
Pages and Cardsの読み方
こちらの記事と同じDatasetPages and Cardsで、ダッシュボードとカードの関係性を確認することができます。
以下のようなカードが4枚配置されたダッシュボード(page_A)を例にします。

Pages and CardsをTitle=page_Aに絞った結果はこちらです。
4行のデータが存在しており、Card ID、Card Titleがそれぞれ異なります。
ダッシュボードと見比べるとpage_Aに配置された4枚のカードと一致していることがわかります。
※page_Aは親ダッシュボードのため、Parent Page ID、Parent Page Titleに値はありません。
別のダッシュボードについても見てみましょう。
次は以下のようなメモカード、フィルターカードを含む6枚のカードが配置されたダッシュボード(page_E)を例にします。
メモカード以外の4枚のカードは他のダッシュボードにも配置されています。
Pages and CardsをTitle=page_Eに絞った結果はこちらです。
ダッシュボードに配置されたカード6枚が6行のデータとして確認できます。
メモカード、フィルターカードも1枚のカードとなっていることも確認できます。
次に、特定のカードで調べてみましょう。
page_A、page_Eどちらにも配置されたカード(Card Title=総売上額)で絞った結果がこちらです。
カードは1枚ですが、配置されているダッシュボードが2つあるためPages and Cardsでは2行のデータになっています。
このことから、Pages and Cardsは、ダッシュボード×カードの単位で1行のデータになっていることがわかります。
階層構造のダッシュボードとカードの関係性
ダッシュボードの階層関係(参照)とダッシュボードとカードの関係性を組み合わすことで、以下を把握することができます。
- 親ダッシュボードに配置されたカード数
- 親子孫ダッシュボード内での同一カード数
- カード削除時の影響ダッシュボード
...etc
分析用Datasetの作成
使用するDatasetはPages and Cardsのみですが、Dataflowの中で「ダッシュボードの階層関係」と「ダッシュボードとカードの関係性」をそれぞれ処理していきます。
STEP1:ダッシュボードの関係性
詳細はこちらの記事にあるため、割愛します。
STEP2:列を選択
ダッシュボードとカードの関係性を示す列のみを選択します。
STEP3:データを結合
STEP1作成した列:孫IDに対して、STEP2のPage IDを左結合します。
※孫IDには全てのPage IDが存在
STEP4:出力
最後に出力すればDatasetの完成です。
ダッシュボードで分析
ダッシュボードのカード構成を確認する
- 特定のダッシュボードにどのカードが配置されているか?
- 特定のダッシュボードに配置されているカード数は?
こちらはMega表で作ると以下のようになります。
ダッシュボード列が閉じた状態でカード数を確認、カード名を知りたい場合は+ボタンで各カード名が表示されます。
値をカード数とすることで、総計でのカード数が実在するカード数になります。
これで異常な数のカードが配置されているようなダッシュボードも簡単に発見することができます。
COUNT (DISTINCT `Card ID`)
Domoにおける1つのダッシュボードに配置するカード数のベストプラクティスは10枚前後です。
カードがあまりに多い場合は、そのダッシュボードの目的が絞られておらず、見る人によって得られる内容、注目すべき数値が異なるためデータによる合意形成が発散してしまう可能性がありますので注意しましょう。
カードがどのダッシュボードに配置されているか確認する
- 特定のカードがどのダッシュボートに配置されているか?
次は、カードから見てダッシュボードを特定しましょう。
先ほどのMega表からダッシュボードとカードを入れ替えて、値をページ数にしています。
COUNT (DISTINCT `孫ID`)
こうすることで、カードが複数のページに配置された際にページ数>1となり、カード削除時の事前確認などにも活かすことができます。
まとめ
ここではダッシュボードとカードの関係性の可視化について触れました。
データをうまく使うことで、目的に合ったDomo内のオブジェクト管理を様々な方法で実現することができます。
今回の例ではシンプルにMega表でしたが、グラフの方が直感的でオススメです。
作成したデータでDomoインスタンス内を俯瞰して、無数のオブジェクトの管理を効率的に行えるよう色々と試してみて下さい!
本記事が、Domo管理者の皆さんの一助になれば幸いです。