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PostgreSQL 10全部ぬこAdvent Calendar 2017

Day 14

システムカタログの差分

Last updated at Posted at 2017-12-13

はじめに

にゃーん
この記事は、PostgreSQL 10全部ぬこ Advent Calendar 2017 の14日目のエントリです。

PostgreSQLのシステムカタログ

PostgreSQL、特にDDLや監視用の稼働統計情報などは、pg_catalogスキーマに置かれているシステムカタログや、稼働統計情報ビューによって管理されている。
システムカタログとして、どういった情報が定義されているか、また稼働統計情報ビューの定義を見ると、どういった機能が実装されているか、おぼろげながら分かると思う。
また、新バージョンにどういった機能が追加されているかも、これらの情報を確認することで分かることもある。

ということで、今日はシステムカタログの差分から、どういった機能がPostgreSQL 10で実装されたのかを追ってみることにする。

差分の求め方

差分を求めるために、PostgreSQL文書を比較してみるのもいいが、ぬこは英語が大変苦手なので、そういう面倒なことはしたくない。にゃーん。
なので、PostgreSQL 9.6, PostgreSQL 10に対してクエリを発行し、その結果をdiffるという方法で今回は差分を見つけ出してみたい。

使うクエリは以下の2つ。

  • クエリ1:リレーションの単位で差分を見つける
SELECT c.relkind, c.relname
  FROM pg_class c
  WHERE c.relname LIKE 'pg_%' AND c.relkind IN ('r','v') 
  ORDER BY  c.relkind, c.relname
;
  • クエリ2:属性の単位で差分を見つける。
SELECT c.relkind, c.relname, a.attname, t.typname 
  FROM pg_class c JOIN pg_attribute a ON (c.oid = a.attrelid) 
    JOIN pg_type t ON (t.oid = a.atttypid)
  WHERE c.relname LIKE 'pg_%' AND c.relkind IN ('r','v') 
  ORDER BY  c.relkind, c.relname, a.attname
;

これらのクエリをPostgreSQL 9.6, PostgreSQL 10で実行し、その結果をファイルに書き出しておき、その差分をdiffを使って探す。
psqlで実行する場合、以下のようにすると楽。

  • \a メタコマンドでnoalignにしておく。余計な空白が入らないので、diffしやすくなる。
  • \o <filename> でメタコマンドで、指定したファイルに結果を書き込む

本当はrelnameではなく、pg_catalogスキーマ上のリレーションを探すようなクエリが正しいのだが、今回はちょっとズルして、'LIKE pg_%'で探すことにする。
(スキーマ名で探すと、もう1つJOINを追加しなきゃいけない)
また、差分を見つけるためなら、実はクエリ2だけでもいいのだけど、まずリレーション単位での差分だけを確認しておきたいというケースもあるので、今回はクエリ1も掲載した。

PostgreSQL 9.6とPostgreSQL 10の差分

リレーション単位

リレーション単位だと、以下のテーブル/ビューが追加されている。

種別 名前 関連する追加機能
テーブル pg_partitioned_table 宣言パーティション
テーブル pg_publication ロジカルレプリケーション
テーブル pg_publication_rel ロジカルレプリケーション
テーブル pg_sequence CREATE SEQUENCE AS
テーブル pg_statistic_ext 複数列間の拡張統計機能
テーブル pg_subscription ロジカルレプリケーション
テーブル pg_subscription_rel ロジカルレプリケーション
ビュー pg_hba_file_rules ビューによるpg_hba.confの参照
ビュー pg_publication_tables ロジカルレプリケーション
ビュー pg_sequences CREATE SEQUENCE AS
ビュー pg_stat_subscription ロジカルレプリケーション

属性単位

先に上げた、リレーション単位での追加内容以外のものを列挙する。

テーブル/ビュー名 属性名 型名 変更点 関連する機能
pg_attribute attidentity char 列の追加 ID列
pg_class relispartition bool 列の追加 宣言パーティション
pg_class relpartbound pg_node_tree 列の追加 宣言パーティション
pg_collation collprovider char 列の追加 ICUコレーションサポート
pg_collation collversion text 列の追加 ICUコレーションサポート
pg_policy polpermissive bool 列の追加 CREATE POLICYのPERMISSIVE/RESTRICTIVE 句の追加
pg_trigger tgnewtable name 列の追加 トリガのtransition tables対応?
pg_trigger tgoldtable name 列の追加 トリガのtransition tables対応?
pg_policies permissive text 列の追加 CREATE POLICYのPERMISSIVE/RESTRICTIVE 句の追加
pg_replication_slots temporary bool 列の追加 テンポラリスロット対応
pg_stat_activity backend_type text 列の追加 wal_sender等のバックグラウンドプロセスの表示
pg_stat_replication flush_location pg_lsn 列の削除
pg_stat_replication flush_lag interval 列の追加 レプリケーション遅延時間の報告
pg_stat_replication flush_lsn pg_lsn 列の追加 flush_locationからのRENAME?
pg_stat_replication replay_location pg_lsn 列の削除
pg_stat_replication replay_lag interval 列の追加 レプリケーション遅延時間の報告
pg_stat_replication replay_lsn pg_lsn 列の追加 replay_locationからのRENAME?
pg_stat_replication sent_location pg_lsn 列の削除
pg_stat_replication sent_lsn pg_lsn 列の追加 sent_locationからのRENAME?
pg_stat_replication write_location pg_lsn 列の削除
pg_stat_replication write_lag interval 列の追加 レプリケーション遅延時間の報告
pg_stat_replication write_lsn pg_lsn 列の追加 write_locationからのRENAME?

なお、pg_stat_activityの変更に関しては値域が変わったものもあり、別エントリで詳細を書く予定。

おわりに

今日はPostgreSQL 9.6とPostgreSQL 10のシステムカタログの変更についてまとめてみた。やはりロジカルレプリケーションと宣言パーティションという大きな2つの機能が追加されたことで、システムカタログについても、大きな変更があったことがわかる。

稼働統計情報ビューに関しては、pg_stat_activitypg_stat_replicationくらいしか変更はないが、ここの2つを監視することは運用上多いと思うので、この変更についてはしっかりと確認しておく必要がある。

参考:該当するリリースノート

本エントリに関連するPostgreSQL 10リリースノートの記載ですが、今回はいろいろあるので割愛。
システムテーブルの追加や変更=機能追加なんだよねぇ。

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