はじめに
「プロダクト思考講座30回」という、プロダクトマネージャー向けのオンライン音声講座(中国語)を使って、PdMとしての論理武装と基礎体力を鍛えています。講師は「北京中関村の一番才能のある女性」といわれるほど、プロジェクトマネジメント界隈で有名な名な梁寧氏です。
テンセント社やアリババ社など、数億人規模のユーザーが利用するサービスをたくさん擁する企業の事例を交えながらプロダクトマネージャーとして、備えるべき思考パターン、物事を見る目線を本質を突っ込んでわかりやすく説明しています。
個人的には学びと気づきが多いので、これから面白いと思った内容をここで不定期にメモします。
バックナンバー
プロダクト思考の勉強メモ: 顧客価値方程式の考察
要点
今回はService Blueprintとピーク・エンドの法則です。普段はあんまり聞きなれない言葉かもしれませんが、プロダクトマネジメントにはすぐ活用できる内容かと思います。重要なポイントは2点だけ
- Service Blueprintの本質は最適なCXに実現するために、プロダクト提供者のリソース最適配分問題を解決する手法
- プロダクトを利用する時、満足と不満といろいろ体験浮き沈みがありますが、利用後ユーザーがよく覚えているのは最高の体験と最終の体験だけ(Peak-End Rule)
Service Blueprint
さて、そもそもService Blueprintは具体的には何?それはCustomer Journey Mappingと何が違う?
と、いろいろ疑問がありますので、少し調べてみました。
Service Blueprintとは
まずは英語の定義:
A service blueprint is a diagram that visualizes the relationships between different service components — people, props (physical or digital evidence), and processes — that are directly tied to touch points in a specific customer journey. (*1)
日本語に翻訳すると
サービスブループリントとは、ある特定のカスタマージャーニーのタッチポイントに直接関係している、人、小道具(物理的またデジタルな証拠)、プロセス、というサービス要素間の関係を視覚化したダイアグラムのことである。(*2)
*1: What Is a Service Blueprint?
*2: サービスブループリント:定義
EvidenceとCustomer Journey:顧客との接点と顧客の行動です
FRONTSTAGE:接客スタッフの行動と利用するツール、顧客が見える部分
BACKSTAGEとSUPPORT PROCESS:顧客から見えない内部のスタッフの行動、利用するツール、さらに内部オペレーションのプロセス
Service BlueprintとCustomer Journey Mapping
下記の英文記事は非常にわかりやすい、一番おすすめです。
The difference between a journey map and a service blueprint
ピーク・エンドの法則
定義
ピーク・エンドの法則(ピーク・エンドのほうそく、英語:peak–end rule)とは、われわれは自分自身の過去の経験を、ほとんど完全にそのピーク(絶頂)時にどうだったか(嬉しかったか悲しかったか)ならびにそれがどう終わったかだけで判定する、という法則である。ピーク以外の情報が失われることはないが、比較には使われない。それには喜びもしくは悲しみの総量、またその経験がどのくらい持続したかですらも含まれる。
事例
1.ディズニーのCX
ピーク:刺激的なスリル体験できるアトラクション(ちなみに、自分はインディ・ジョーンズが最高)
エンド:夜のショー、花火
それ以外、長い待ち行列の苦労、レストランの混雑など、我慢と不快があるかもしれませんが、記憶にはあんまり残らないでしょう。
2.IKEAのCX
ピーク:ショールームでいろいろな家具、小物を体験、「なるほど」、「これは便利」と思った瞬間
エンド:出口のアイクリム
それ以外、中での長い移動、レジでの行列はあんまり意識していないでしょう
一方、ECサイトで購入したものがなかなか届かなかったり、届いても、破損や違うものだったりとすると、悪い「エンド」体験で、そのECサイトのイメージがダウンしますね。
現実生活のいろいろな場面に当てはまってみると、この法則の汎用性が非常に高いとわかりました。
Service Blueprintとの関係
Service Blueprintとピーク・エンドの法則と合わせて考える理由は実は簡単
- すべての顧客接点に最高のCXを実現するのは、現実的ではありません。プロダクト提供者(企業)のリソースの絞りと集中が必要
- 顧客接点のうち、最高のCXを提供できる接点、および、最後の接点にリソースを集中すべき
Service Blueprintを使ってサービス設計の要点
- 顧客が一目で自分のやりたいこと、目標が分かるようにする
- わかりやすい動線
- ピーク、エンド
- 顧客の我慢の限界に挑戦しない
例: PCでWebページを開く際、最大待つ限界時間は普通7秒としましょう。7秒以上かかるなら、ほとんどの顧客が離脱でしょう。
なので、企業がいくらリソースのコストを削減しても、表示に7秒以上かかるWebページで顧客の我慢を試してはいけません。