はじめに
プロダクトマネジメントをもっと極めたいので、「プロダクト思考講座30回」という、プロダクトマネージャー向けのオンライン音声講座(中国語)を使って、PdMとしての論理武装と基礎体力を鍛えています。講師は「北京中関村の一番才能のある女性」といわれるほど、プロジェクトマネジメント界隈で有名な名な梁寧氏です。
テンセント社やアリババ社など、数億人規模のユーザーが利用するサービスをたくさん擁する企業の事例を交えながらプロダクトマネージャーとして、備えるべき思考パターン、物事を見る目線を本質を突っ込んでわかりやすく説明しています。
個人的には学びと気づきが多いので、これから面白いと思った内容をここで不定期にメモします。
顧客価値の方程式
顧客価値の方程式:
顧客価値 = (新体験-旧体験)-サービス乗り換えコスト
※ 「体験」はいわゆるCX、つまりCustomer Experienceのこと
実はこの方程式は梁寧氏の発想ではなく、元Baiduのトッププロダクトマネージャー兪軍氏が考えた方程式です。講座の中で梁氏がわかりやすく説明してれました。
この方程式のポイントは「サービス乗り換えコスト」です。具体的には、新サービス・プロダクトのブランド認知度、学習コスト、入手のためにかかるコスト、サポートなど。
簡単に言うと、新CXが旧CXより優れても、乗り換えのコストが絶対発生するから、顧客が必ず価値を感じるわけではありません。サービス乗り換えコストは、顧客価値を考える際に結構重要です。これは学びの一つです。
一方、これは直感でシンプルでわかりやすいですが、実際にサービス設計に使おうとすると、どこかものなりたいなと引っかかっています。
例えば、よりよい睡眠体験ができるマットレスの買い換えを例として考えてみましょう。
今まで使っているスプリングマットレスは体に合わず、翌朝起きると疲れが溜まって、すっきりにはなりません。
自分の体形にあう、体圧分散できるマットレスに出会って、横になって試してみたところ、新マットレスの体験が良く、非常にほしくなりました。一方、買い替えのコストは数万や十数万であるため、購入の判断は普通難しいでしょう。
※単純化するため、乗り換えコストは入手コストだけにします
このマットレスのプロダクトマネージャーとして、この悩みはどうやって解消できるでしょうか?
それでは、時間もひとつの要素として、この方程式に加えてをさらに深堀してみたらどうなるでしょうか?
下記の方程式に書き換えることができると思います。
方程式1
顧客価値= 単位時間あたりの(新体験ー旧体験)*時間 -サービス乗り換えコスト
さらに、下記の方程式にも書き換えてみます。
方程式2
単位時間の顧客価値 = 単位時間あたりの(新体験ー旧体験)ー単位時間のサービス乗り換えコスト
経験上サービス乗り換えコストは大体最初しか発生しなく、一過性のものが多いです。
なので、乗り換えコストが膨大であっても、「新旧体験のギャップ*時間」で掛けて考えれば、結果的には顧客価値を提供できることです。
上記の新マットレスの例でもう一度考えてみましょう。
例え価格は10万で、最低5年使える、単位時間は「日」にしましょう。
単位時間のサービス乗り換えコスト = 10万/(365日*5) = 55円/日
つまり、品質のよい睡眠による翌朝疲れを解消しすっきりになる体験に1日55円払いたいかどうかだけを判断すればよいです。
さらに、分割払いや、現在のマットレスを無料で引き取りなど、乗り換えコストをさらに下げるサービス設計もできます。
学びのまとめ
・ 顧客価値のあるサービスはかならず乗り換えコストを考慮すること。
・ 時間軸を加えて考えると、顧客価値説明する新しい観点が得られること。