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Informatica PowerCenterとCloud Data Integrationの違いをまとめてみた(第1回/全4回)

Last updated at Posted at 2022-12-19

NTTデータ ソリューション事業本部 デジタルサクセスソリューション事業部 の nttd-nagano です。

前回の記事 で、Informaticaのクラウドデータマネージメントプラットフォーム「Intelligent Data Management Cloud」(※1)をご紹介しましたが、今回は、そのIDMCのデータ統合サービスである「Cloud Data Integration」(※2)と、同社の旧来のデータ統合製品である「PowerCenter」を比べ、その違いをまとめてみました。

記事が長くなってしまったため、全4回に分割してご説明します。
今回は第1回目として「まとめのまとめ」「差異の概要」「コンポーネントレベルでの比較」をご説明します。

※1. Intelligent Data Management Cloud 略称はIDMC。旧称はIICS。クラウドデータマネジメントプラットフォーム。以下IDMCと記載。
※2. Cloud Data Integration 略称はCDI。データ統合サービス。ETL処理(※3)やELT処理(※4)を担う。以下CDIと記載。

idmc_summary.png
cdi_summary.png

「データ統合」というのは、ETL(※3)と呼ばれていたこともある領域の処理です。

※3. ETL処理 データベースなどに蓄積されたデータから必要なものを抽出(Extract)し、目的に応じて変換(Transform)し、データを必要とするシステムに格納(Load)すること。
※4. ELT処理 ETL処理(※3)と対比して使われることが多い言葉。データ統合処理の順序を従来型のE→T→Lの順ではなく、E→L→Tの順でおこなう。近年ではDBMSの性能が爆発的に向上したことから、その性能を有効活用するために使われる手法。

なお、IDMCにはCDIをはじめ様々なサービスがありますが、本記事はPowerCenterとの比較であるため、CDIのみにフォーカスしてご説明していきます。

まとめのまとめ

  1. コンポーネントレベルで比較すると、下表のような対応関係になります。

    PowerCenterのコンポーネント IDMCのCDIのコンポーネント
    クライアントツール
    • Repository Manager
    • PowerCenter Designer
    • Workflow Manager
    • Workflow Monitor
    Informatica Cloud Services
    コアサービス
    • Log Service
    • Configuration Service
    • Gateway Service
    • Authentication Service
    • Administration Service
    • Domain Service
    同上
    Repository Database 同上
    PowerCenter Integration Service Informatica Secure Agent
  2. データ統合の定義体レベルで比較すると、下表のような対応関係になります。

    PowerCenterの定義体 IDMCのCDIの定義体
    ワークフロー タスクフロー
    セッション マッピングタスク
    マッピング マッピング
    マップレット マップレット

差異の概要

公式の動画「IICS for PowerCenter Developers: How to Navigate IICS」 をベースに筆者の解釈を交えて説明します。
cdi_summary.png

  1. PowerCenterはクライアント/サーバーベースの製品でした。一方、CDIはネイティブクラウドサービスです。
  2. PowerCenterで開発する際には、PCにクライアントツールをインストールしておく必要がありました。一方、CDIで開発する際に使うのはウェブブラウザのみです。
  3. PowerCenterのクライアントツールでログインする際にはPowerCenterリポジトリに対してログインしていました。一方、CDIでは各ログインはOrganization(略称:Org)に対してログインすることになります
  4. CDIにログインすると、まず、アプリケーションピッカーが表示されます。PowerCenterのRepository ManagerやInformatica Administratorでやっていたような管理者作業は、CDIでは、アプリケーションピッカーで「管理者」をクリックすると表示される「管理者」画面にておこないます
  5. PowerCenterの「マッピング」に相当する定義体は、CDIでも「マッピング」です。マッピングの詳細は 公式ドキュメント をご覧ください。
  6. CDIの「マッピング」を作るためには、アプリケーションピッカーにて「データ統合」をクリックし、「新規」>「マッピング」をクリックします。すると、マッピングデザイナーが表示されます。これはPowerCenter Designerに非常に近いものです。
  7. CDIのマッピングデザイナーの左側にトランスフォーメーション一覧が表示されています。PowerCenterで慣れ親しんだトランスフォーメーションの他に、CDIには新しいトランスフォーメーションもあります。
  8. PowerCenterでは、トランスフォーメーション内に「ポート」があり、他のトランスフォーメーションの「ポート」と接続していました。一方、CDIのトランスフォーメーションには「ポート」という概念がありません。「フィールドルール」と「フィールドマッピング」にて接続します。
  9. PowerCenterでの「セッション」に相当する定義体は、CDIでは「マッピングタスク」です
  10. PowerCenterでは、「セッション」を作るのにクライアントツールをWorkflow Managerに切り替える必要がありました。一方、CDIの「マッピングタスク」を作るためには、マッピングキャンバスのままで、画面左で「新規」>「マッピングタスク」をクリックすると作れます。
  11. PowerCenterの「ワークフロー」に相当する定義体は、CDIでは「タスクフロー」です
  12. CDIでは、マッピングデザイナーのままで、画面左で「新規」>「タスクフロー」をクリックすると作れます。
  13. PowerCenterでは、実行結果を確認するためにWorkflow Managerを使用していました。一方、CDIでは画面左の「マイジョブ」をクリックすると実行結果を確認できます
  14. PowerCenterでは、マッピングにおいてパラメーターファイルを使用することができました。一方、CDIでも、パラメータファイルを使用することができます。
  15. PowerCenterでは、マッピングやワークフローをコマンドで実行できました。一方、CDIでも、タスクやタスクフローをコマンドで実行できます。
  16. PowerCenterでは、チームベース開発オプションを購入している場合、バージョン管理ができました。一方、CDIではデフォルトで、「GitHub」または「Azure DevOps Git」によるバージョン管理に対応しています。
  17. PowerCenterでは、リポジトリ内のオブジェクトをファイルにエクスポート/インポートできました。一方、CDIでもCloud Servicesのリポジトリ内のアセットをファイルにエクスポート/インポートできます。
  18. PowerCenterでは、アップグレードしたい場合、サポートを通じてアップグレードリクエストを作成する必要がありました。そして、ソフトウェアをインストールする必要がありました。一方、CDIでは、アップグレードは自動的に開始します。

コンポーネントレベルでの比較

公式の動画「PowerCenter to IICS Basics - Component Architecture」をベースに筆者の解釈を交えて説明します。

cdi_architecture.png

  1. PowerCenterのクライアントツール(Repository Manager、PowerCenter Designer、Workflow Manager、Workflow Monitor)は、各開発者のPCにインストールされたファットなソフトウェアでした。開発者はそれらを使い、メタデータを作成し、そのメタデータはRDB上のリポジトリデータベースに格納されていました。実行時にはPowerCenter Intergration Serviceがメタデータを解釈し、統合タスクを実行していました。この他に、ドメインレベルでホストされているコアサービス(Log Service、Configuration Service、Gateway Service、Authentication Service、Administration Service、Domain Service)がありました。
  2. 一方、CDIには2つの主要なコンポーネントがあります。Informatica Cloud ServicesとInformatica Secure Agentです。 Cloud Servicesはマルチテナントメタデータリポジトリであり、リポジトリの管理とメンテナンスはInformaticaがおこないます。アップグレードもInformaticaがおこないます。Cloud Servicesは開発用のブラウザUIも提供します。 実行時にはSecure Agentが統合タスクを実行します。 Secure Agentも自動的にセルフアップデートされます。
  3. CDIのSecure Agentはクラウドにもオンプレにデプロイできます。あるいは完全にInformaticaのネットワーク上のマシンにホストされたAgentを使うこともできます。
  4. CDIのSecure Agentは、Cloud Servicesからメタデータを取得し、連携元(ソース)や連携先(ターゲット)と実データをやり取りして処理します。通常のSecure Agentでは、実データはCloud Services側に送信されない。 他のAgentでは送信されることもある )
  5. CDIのコンポーネントの詳細は、「Informatica’s Intelligent Data Management Cloud - Security Architecture Overview」をご覧ください。

おわりに

以上、「PowerCenterとCDIの違いをまとめてみた」の第1回目でした。
次回の第2回目は、「ソースやターゲットの設定の比較」「トランスフォーメーションの種類や使用方法の比較」「トランスフォーメーション間の接続の方法の比較」をご説明します。
※.2022.12.20追記:第2回目を投稿しました。Informatica PowerCenterとCloud Data Integrationの違いをまとめてみた(第2回/全4回)

IDMCのCDIは30日間の無料体験ができる ので、この機会に試してみてはいかがでしょうか。

IDMCには今回ご紹介したCDIの他にも、API統合、マスターデータ管理、データガバナンス関連など様々なサービスがあります。
これらについても、今後、当Organization の記事でご紹介していく予定ですので、ご興味がございましたらご覧ください。

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また、2020年度からは、Tableauを活用したデータ活用促進のコンサルティングや導入サービスの他、AI活用やデータマネジメント整備など、お客さまの企業全体のデータ活用民主化を成功させるためのノウハウ・方法論を体系化した「デジタルサクセス」プログラムを提供開始しています。
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NTTデータではこれまでも、独自ノウハウに基づき、ビッグデータ・AIなど領域に係る市場競争力のあるさまざまなソリューションパートナーとともにエコシステムを形成し、お客さまのビジネス変革を導いてきました。
Databricksは、これら先端テクノロジーとのエコシステムの形成に強みがあり、NTTデータはこれらを組み合わせることでお客さまに最適なインテグレーションをご提供いたします。

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