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電気回路の基礎とシミュレーション --- 直流回路 ( 3 ) --- コンデンサとインダクタンスに蓄えられるエネルギー

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電気回路の教科書に紹介される定番の回路を下記の
https://www.falstad.com/circuit/circuitjs.html
回路シミュレータでシミュレーションしてみました。

今回はコンデンサとインダクタンスに蓄えられるエネルギーです。直流電源から $RC$ あるいは $RL$ 回路にエネルギーを供給し、蓄えられたエネルギーを同じ抵抗 $R$ に供給するときの様子を見てみましょう。

◆コンデンサの電気エネルギー

コンデンサとインダクタンスA.png

$SW$ を「$a$」側に倒して、電源 $E~[~\text V~]$ からコンデンサ $C~[~\text F~]$ にエネルギーを供給するときの端子電圧 $v_{C_1}$ と電流 $i_{C_1}$ は
$$\begin{align*}
v_{C_1}&=E\left(1-e^{-\frac{t}{CR}}\right)\\
i_{C_1}&=\frac{E}{R}e^{-\frac{t}{CR}}\\
\end{align*}$$

電源 $E$ からコンデンサ $C$ に供給されるエネルギー $W_{C_1}~[~\text J~]$ は
$$\begin{align*}
W_{C_1}&=\int_0^\infty p_{C_1}dt=\int_0^\infty v_{C_1}i_{C_1}dt\\
&=\int_0^\infty\frac{E^2}{R}\left(e^{-\frac{t}{CR}}-e^{-\frac{2~t}{CR}}\right)dt\\
&=\frac{E^2}{R}\Bigg|-CR~e^{-\frac{t}{CR}}+\frac{CR}{2}e^{-\frac{2~t}{CR}}\Bigg|_0^\infty\\
&=CE^2\left(1-\frac{1}{2}\right)=\frac{1}{2}CE^2
\end{align*}$$

$SW$ を「$b$」側に倒して ( シミュレータでは $SW$ の切り替え時間は $0$ )、端子電圧 $E~[~\text V~]$ のコンデンサ $C~[~\text F~]$ からエネルギーを $R$ に供給するときの端子電圧 $v_{C_2}$ と電流 $i_{C_2}$ は
$$\begin{align*}
v_{C_2}&=Ee^{-\frac{t}{CR}}\\
i_{C_2}&=-\frac{E}{R}e^{-\frac{t}{CR}}=-i_{C_1}
\end{align*}$$

コンデンサ $C$ は電源としてふるまい、コンデンサ $C$ から $R$ に供給されるエネルギー $W_{C_2}~[~\text J~]$ は
$$\begin{align*}
W_{C_2}&=\int_0^\infty p_{C_2}dt=\int_0^\infty v_{C_2}i_{C_2}dt\\
&=\int_0^\infty-\frac{E^2}{R}e^{-\frac{2~t}{CR}}=-\frac{E^2}{R}\Bigg|-\frac{CR}{2}e^{-\frac{2~t}{CR}}\Bigg|_0^\infty\\
&=-\frac{CE^2}{2}
\end{align*}$$

◆コンデンサの電気エネルギーのシミュレーション

シミュレーション条件は、$E=1~[~\text V~]$、$R=1~[~\Omega~]$、$C=1~[~\text F~]$。
回路図の右側のオシロスコープでは、白色は電力 $p_C(=v_C\times i_C)$、緑色は $v_C$、黄色は $i_C$ を示します。時刻 $t_1$ で $SW$ を「$a$」側に倒し、時刻 $t_2$ で $SW$ を「$b$」側に切り替えています。上記のエネルギーの計算から、$t_1$から始まる $p_C$ 波形と時間軸で囲まれた面積と、$t_2$ から始まる $p_C$ 波形と時間軸で囲まれた面積は等しい。

◆コンデンサのエネルギーの性質

  1. 端子電圧 $1~[~\text V~]$ のコンデンサに抵抗 $1~[~\Omega~]$ を接続するとピーク電流は $1~[~\text A~]$ 流れます。$0.1~[~\Omega~]$ を接続するとピーク電流は $10~[~\text A~]$ 流れます。短絡すると無限大のピーク電流が流れることになるので、コンデンサを短絡してはいけません。
  2. コンデンサのエネルギーを維持するには、端子間を開放します。

◆インダクタンスの磁気エネルギー

コンデンサとインダクタンスB.png

$SW$ を「$a$」側に倒して、電源 $E~[~\text V~]$ からインダクタンス $L~[~\text H~]$ にエネルギーを供給するときの端子電圧 $v_{L_1}$ と電流 $i_{L_1}$ は
$$\begin{align*}
v_{L_1}&=Ee^{-\frac{R~t}{L}}\\
i_{L_1}&=\frac{E}{R}\left(1-e^{-\frac{R~t}{L}}\right)\\
\end{align*}$$

電源 $E$ からインダクタンス $L$ に供給されるエネルギー $W_{L_1}~[~\text J~]$ は
$$\begin{align*}
W_{L_1}&=\int_0^\infty p_{L_1}dt=\int_0^\infty v_{L_1}i_{L_1}dt\\
&=\int_0^\infty\frac{E^2}{R}\left(e^{-\frac{R~t}{L}}-e^{-\frac{2~R~t}{L}}\right)dt\\
&=\frac{E^2}{R}\Bigg|-\frac{L}{R}~e^{-\frac{R~t}{L}}+\frac{L}{2R}e^{-\frac{2~R~t}{L}}\Bigg|_0^\infty\\
&=\frac{LE^2}{R^2}\left(1-\frac{1}{2}\right)=\frac{1}{2}LI^2
\end{align*}$$

$I=\dfrac{E}{R}$ は $i_{C_1}$ の定常電流です。

$SW$ を「$b$」側に倒して ( シミュレータでは $SW$ の切り替え時間は $0$ )、電流 $I~[~\text A~]$ が流れているインダクタンス $L~[~\text H~]$ からエネルギーを $R$ に供給するときの端子電圧 $v_{L_2}$ と電流 $i_{L_2}$ は
$$\begin{align*}
v_{L_2}&=-RIe^{-\frac{R~t}{L}}=-v_{L_1}\\
i_{L_2}&=Ie^{-\frac{R~t}{L}}
\end{align*}$$

インダクタンス $L$ は電源としてふるまい、インダクタンス $L$ から $R$ に供給されるエネルギー $W_{L_2}~[~\text J~]$ は
$$\begin{align*}
W_{L_2}&=\int_0^\infty p_{L_2}dt=\int_0^\infty v_{L_2}i_{L_2}dt\\
&=\int_0^\infty-RI^2e^{-\frac{2~R~t}{L}}=-RI^2\Bigg|-\frac{L}{2R}e^{-\frac{2~R~t}{L}}\Bigg|_0^\infty\\
&=-\frac{1}{2}LI^2
\end{align*}$$

◆インダンクタンスの磁気エネルギーのシミュレーション

シミュレーション条件は、$E=1~[~\text V~]$、$R=1~[~\Omega~]$、$L=1~[~\text H~]$。
回路図の右側のオシロスコープでは、白色は電力 $p_L(=v_L\times i_L)$、緑色は $v_L$、黄色は $i_L$ を示します。時刻 $t_1$ で $SW$ を「$a$」側に倒し、時刻 $t_2$ で $SW$ を「$b$」側に切り替えています。上記のエネルギーの計算から、$t_1$から始まる $p_L$ 波形と時間軸で囲まれた面積と、$t_2$ から始まる $p_L$ 波形と時間軸で囲まれた面積は等しい。

◆インダクタンスのエネルギーの性質

  1. 電流 $1~[~\text A~]$ が流れているインダクタンスの回路に抵抗 $1~[~\Omega~]$ を挿入すると抵抗両端のピーク電圧は $1~[~\text V~]$ になります。$10~[~\Omega~]$ を挿入するとピーク電圧は $10~[~\text V~]$ になります。回路を開放すると無限大のピーク電圧が発生することになるので、インダクタンスの回路を開放してはいけません。
  2. インダクタンスのエネルギーを維持するには、端子間を短絡します。
    ( シミュレータで 右側の $R$ を最小値の $1~[~\text n\Omega~]$ に設定して、$SW$ を $a\rightarrow b$ に切り替えると、電流はずっと流れ続けて磁気エネルギー $\dfrac{1}{2}LI^2$ が維持されます )

  • $E,R,C,L$の値は、電圧源、抵抗、コンデンサ、インダクタンスのシンボルをダブルクリックすると開く編集パネルで設定できます。
  • $SW$ をクリックするたびに接続先が、$a/b$ に切り替わります。
  • マウスホイールで回路図を拡大縮小できます。
  • Altキー + ドラッグで回路図全体を移動できます。
  • シミュレーションを実行するには下記の回路ファイルをコピーして、シミュレータの File → Import From Text... で開くパネルに貼り付けてください。
$ 1 0.01 0.18682459574322224 43 5 50 5e-11
v -144 160 -144 -112 0 0 40 1 0 0 0.5
S 0 -32 0 -112 0 1 false 0 2
w -144 -112 -16 -112 0
w 16 -112 144 -112 0
w 144 -112 144 160 0
l 0 336 0 528 0 1 3.5129303824535897e-307 0
403 192 400 528 544 0 5_4_0_x81217_1.25_1.6_-1_2_0.5_0_5_3_0.5_0_Green\qVL,\sYellow\qIL
403 192 256 528 384 0 5_4_7_x81216_0.0000762939453125_0.1_-1_1_0.0000762939453125_0.25_0_PL
w 144 256 144 528 0
w 16 256 144 256 0
r 144 528 0 528 0 10
w -144 256 -16 256 0
S 0 336 0 256 0 1 false 0 2
v -144 528 -144 256 0 0 40 1 0 0 0.5
x -130 10 -87 13 4 16 E\q1V
x -134 379 -91 382 4 16 E\q1V
c 0 -32 0 160 0 1 0.9999104689127927 0.001
403 192 32 528 176 0 16_4_0_x81217_5_0.1_-1_2_0.5_0_16_3_0.5_0_Green\qVC,\sYellow\qIC
403 192 -112 528 16 0 16_4_7_x81216_5_0.1_-1_1_0.0000762939453125_0.25_0_PC
x -146 210 154 213 4 20 図A\sコンデンサの電気エネルギー
x -147 580 193 583 4 20 図B\sインダクタンスの磁気エネルギー
r 0 528 -144 528 0 1
r 144 160 0 160 0 1000000
r 0 160 -144 160 0 1
x -29 71 -19 74 4 16 C
x -16 439 -8 442 4 16 L
x 67 553 77 556 4 16 R
x -76 553 -66 556 4 16 R
x -75 184 -65 187 4 16 R
x 68 184 78 187 4 16 R
x 27 -83 36 -80 4 16 b
x -35 -83 -26 -80 4 16 a
x 6 -37 32 -34 4 16 SW
x 6 331 32 334 4 16 SW
x -35 285 -26 288 4 16 a
x 27 287 36 290 4 16 b
x 213 -31 229 -28 4 16 t1
x 388 -57 404 -54 4 16 t2
x 210 119 226 122 4 16 t1
x 387 98 403 101 4 16 t2
x 225 340 241 343 4 16 t1
x 391 313 407 316 4 16 t2
x 393 464 409 467 4 16 t2
x 227 488 243 491 4 16 t1
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