##はじめに
本記事はヒューマンコンピュータインタラクション論文紹介 Advent Calendar 2016のために執筆したものです。
4日目はPfeifferらの[Cruise Control for Pedestrians: Controlling Walking Direction using Electrical muscle Stimulation]を紹介します。この論文はCHI2015にて発表されたものですが、自分がちゃんと目を通したのが今年だったのと去年のAdventCalendarでは取り上げられていなかったので許容して頂きたいです。
##概要
足の筋肉を電気で刺激することにより歩行者の進行方向を誘導するナビゲーションシステム。地図を見ながら歩かなくて良いので周囲の状況に集中できるとしている。電気刺激による歩行への影響を調査とその結果に基づいて実装したデバイスによる屋外実験を行った。
##関連研究
同じようにナビゲーション中に地図を注視する必要のない触覚を使ったナビ
- PocketNavigator: vibro-tactile waypoint navigation for everyday mobile devices
- Pull-navi: a novel tactile navigation interface by pulling the ears
電気刺激(FESやGVS)を使った人のマニピュレーション
- PossessedHand: a hand gesture manipulation system using electrical stimuli
-
Effects of galvanic vestibular stimulation during human walking
etc...
特にナビの指示を受けて自分で方向転換するのではなく無意識のうちに進行方向を誘導できるGVSを使ったものはコンセプト的にも近いとしている。
実装と現状のリミテーション
- 120Hzで動作する市販のTENS用デバイスのon/offと電圧をarudinoを使って制御している
- 電極を縫工筋に装着し、足の向きがyow方向に回転するように刺激を与える
- 電圧の強さは被験者に応じて予めキャリブレーションを行う。今回の被験者では大体13V~32V
- 歩行時の被験者の進行方向をおよそ16deg/mで曲げる事が可能
- 実際に屋外で歩いてもらい、ナビゲーションが有効についてもテストを行った。
- 電極の装着性の悪さや発汗などの皮膚のコンディションの変化によって操作量が容易に変化してしまうのが課題
雑記
最近HCI界隈でなにかと流行りが来始めている気がするEMS関連の論文。どうやっても痛覚まで刺激されたり安全性が担保しきれなかったりそもそもパッドの装着が不快だったり。。。と課題は山積みなのでそれらに打ち勝つだけのご利益をだすのはなかなか骨が折れそう。個人的にはFESではないけどSXSWでSamsungが発表してしたGVSのデバイスがうっかり発売されないかなぁとあまり期待しないで待っています。