【実録】
投資の世界には「頭では分かっていても、感情が暴走する瞬間」が必ずあります。
現在31歳、ITエンジニアとして働きながら日々の相場と向き合っています。ポートフォリオの主軸はアップルやマイクロソフトといった米国巨大テックとETF(XLK)。しかし、私のポートフォリオにはもう一つの「夢」がありました。
Planet Labs(PL)とRocket Lab(RKLB)——最先端の宇宙ベンチャー株です。
実は昨晩、「業績は絶好調だから長期で完全放置する」と誓ったわずか数十分後に、米国市場が開いた直後のたった5分で、その誓いを破り捨てて全株を「成行」で叩き売ってしまいました。
今回は、激しすぎるボラティリティの波に呑まれ、理性が感情に敗北したリアルなドキュメンタリーと、そこから得た教訓をシェアしたいと思います。
第1章:完璧なファンダメンタルズと「ホールド」の誓い
ここ最近の宇宙株は、セクターローテーションと大型増資のニュースが重なり、とにかく地合いが悪い状態でした。連日ゴリゴリと削られていく評価額。
しかし、数字とファクトは裏切らないと信じていました。直近の決算を調べると、RKLBは売上高が前年比+63.5%、PLも受注残が+72%の大幅増。事業の成長ストーリーは全く崩れておらず、むしろ想定以上のスピードで拡大していたのです。
「本業のビジネスはこれ以上ないほど絶好調だ。市場のノイズなど無視して、数年単位で気絶したように放置しよう」
22時。私は画面の前でそう固く決意しました。この決断は論理的であり、間違いないはずでした。
第2章:開場5分の惨劇(UI/UXの暴力)
22時30分。米国現物市場がオープン。
「見ない」と決めていたのに、無意識に証券アプリを起動してしまったのが運の尽きでした。
開場わずか5分で、PLとRKLBの評価額が合わせて約90万円も吹き飛んだのです。
真っ赤に染まる画面。数秒ごとに数万円単位で目減りしていく資産。
頭では「長期保有だ、気にするな」と叫んでいるのに、強烈なマイナス表示のUIが脳の危険信号をガンガン鳴らしてきます。ポーカーで言えば、確率的には勝てるはずの強烈なオールインに対して、バリアンス(分散)の恐怖に耐えきれず、完全にティルト(冷静さを失った状態)に陥った瞬間でした。
「…もう無理だ。胃が痛い」
第3章:敗北の「全利確」と、500万円の亡霊
22時35分。
私は「完全放置」の誓いをあっさりと捨て、売却ボタンを連打しました。全株、成行売り。
すべてが約定し、ノーポジションになった瞬間、とてつもない解放感に包まれました。もう、あのジェットコースターのようなチャートにハラハラしなくていいのだ、と。
しかし、口座に残った確定利益を見て、私は複雑な感情に襲われました。
- PL(プラネット・ラボズ):利益率 +265.82%
- RKLB(ロケット・ラボ):利益率 +137.60%
客観的に見れば、圧倒的な大勝利です。
なのに、心の中では「あの最高値の時に売っていれば、あと500万円はプラスだったのに…」というタラレバの亡霊が暴れ回っていました。
第4章:この経験から得た3つの教訓
この夜の出来事は、私の投資人生において最も価値のある「生きたテストデータ」となりました。今後のためのマイルールをここに書き残しておきます。
教訓1:自分の「リアルなリスク許容度」を知る
どんなに将来性を信じていても、1日に数十万円が吹き飛ぶ小型株のボラティリティは、いまの自分のメンタルには負担が大きすぎました。リスク許容度とは、エクセル上の計算ではなく「夜、ぐっすり眠れるかどうか」という物理的な感覚なのだと痛感しています。
教訓2:市場が開いている時間は「絶対に画面を見ない」
人間の意思は弱いものです。リアルタイムで削られる資産を前にして、冷静でいられる人間は多くありません。放置すると決めた銘柄があるなら、22時30分以降は物理的にスマホを遠ざけるべきです。
教訓3:「結果論」はただの毒
「ピークで売っていれば」というのは、後からチャートの右側を見た人間の傲慢でしかありません。私はその瞬間の情報で、これ以上メンタルをすり減らさないという「期待値的に正しい判断」を下しました。そして何より、2倍、3倍という驚異的なプラスで勝ち逃げできたのです。自分の決断を誇ろうと思います。
【おまけ】実際のチャート(ここ1年間の激闘の記録)
百聞は一見に如かず。私がどれほどのボラティリティ(価格変動)の波に晒され、そして振り落とされたのか、実際の過去1年間のチャートをご覧いただければと思います。
🌍 Planet Labs (PL) の1年チャート
【チャートの解説】
左下の地を這うような水準からエントリーし、最大で+260%を超える圧倒的な大相場に乗ることができました。しかし、右端の直近の急落をご覧ください。大型増資の懸念とセクターローテーションの逆風を受け、まるで崖から飛び降りるかのような垂直落下となっています。このナイフが落ちてくるような恐怖の中、現物市場の開場直後に「これ以上利益が溶けるのは見たくない!」と、私は売却ボタンを連打してしまいました。
🚀 Rocket Lab (RKLB) の1年チャート
【チャートの解説】
こちらも+137%という素晴らしいリターンをもたらしてくれましたが、値動きの激しさはPL以上でした。期待値で買われる新興宇宙株特有の「S&P500の数倍のボラティリティ」が、チャートのギザギザから伝わるのではないでしょうか。直近の高値から一気に崩れ落ちるこのローソク足をリアルタイムで見せられれば、どんな強靭なメンタルの持ち主でもティルト(冷静さを失う状態)になってしまうはずです。
結果的に最高値(ピーク)で売り抜けることはできませんでした。

